分数の文字式の計算で、なぜか答えが合わない。分母がじゃまで、どう手をつけていいかわからない——中1数学で、とても多い悩みです。

分数の文字式が苦手で…。分母が嫌いなので、学校で習った「分母を消す」やり方で、分母をなくしてから計算しようとしたんです。でも答えを見ると分母の数が残っていて、どこで間違えたのかわからなくて。

あー、なるほどね。それ、一次方程式の解き方と、ふつうの計算がごちゃまぜになっちゃってるんだ。すごくよくあるやつだよ。今日は「なんで分母を消しちゃダメなのか」と「じゃあどう解くのか」を、実際の問題で一緒に見ていこう。
この記事では、公式LINEに実際に届いた2問を例に、分数の文字式を通分で解く手順と、やりがちな「分母を消す」間違いの正体を順番に説明します。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
1. 今回の問題
まず問題文です。次の計算をしなさい、という2問です。
> (1) (1+a)/8 − (5a−3)/12
> (2) (3x−1)/2 + (1−x)/4
どちらも分数の形をした文字式の計算です。イコール(=)がついていないことに注目してください。ここが後で効いてきます。
2. いちばん多い間違い「分母を消してしまう」
この問題でまずやってしまいがちなのが、分母を消そうとすることです。
「分母が8と12だから、24をかければ分母が消えてスッキリ計算できる」——こう考える気持ちは、すごくよくわかります。実際、方程式ならそのやり方は正解です。
でも今回の問題には、イコール(=)がありません。これは「式を計算しなさい」という問題であって、方程式ではないのです。
計算式では、勝手に数をかけて分母を消すことはできません。
なぜダメなのか。ここは大事なので、後の「5.」でじっくり説明します。まずは正しい解き方を身につけましょう。合言葉は「分母は消さない。通分する」です。
3. 正しい解き方(1)を3ステップで
ステップ1:分母をそろえる(通分)
(1) の分母は8と12です。8と12の最小公倍数は 24 なので、両方の分数を分母24にそろえます。
分母を24にするために、左の分数は分母・分子を3倍、右の分数は2倍します。
(1+a)/8 = (3+3a)/24
(5a−3)/12 = (10a−6)/24
ステップ2:分子どうしを計算する
分母が24でそろったので、あとは分子だけを計算します。今回は引き算なので、右の分子を引きます。
{(3+3a) − (10a−6)} / 24
ここでかっこの前のマイナスに注意です。うしろのかっこを外すとき、中の符号がすべて反転します。−(−6) が +6 になるところが最大のポイントです。
3 + 3a − 10a + 6
ステップ3:同じ文字・数どうしをまとめる
数の部分は 3+6=9、文字の部分は 3a−10a=−7a です。
9 − 7a
分母の24をつけて、答えはこうなります。
(1) の答え:(9−7a)/24

答えに分母の24が残ってるでしょ。これが「分母を消さない」ってことなんだ。分母を勝手に消しちゃうと、この24が消えて答えが変わっちゃう。
4. 正しい解き方(2)も同じ手順で
(2) の (3x−1)/2 + (1−x)/4 も、まったく同じ手順です。
ステップ1:通分する
分母は2と4なので、最小公倍数の 4 にそろえます。左の分数だけ分母・分子を2倍します。
(3x−1)/2 = (6x−2)/4
右の (1−x)/4 は、もう分母が4なのでそのままです。
ステップ2:分子どうしを計算する
今回は足し算なので、分子をそのまま足します。
{(6x−2) + (1−x)} / 4
かっこを外して、
6x − 2 + 1 − x
ステップ3:まとめる
文字の部分は 6x−x=5x、数の部分は −2+1=−1 です。
5x − 1
分母の4をつけて、
(2) の答え:(5x−1)/4
こちらも、分母の4はちゃんと答えに残ります。
5. なぜ分母を消してはいけないのか(方程式との違い)
ここが今日いちばん伝えたいところです。「方程式なら分母を消せるのに、なんで計算式ではダメなの?」に答えます。
ポイントは、イコール(=)があるかどうかです。
もし方程式だったら、たとえば次のような形です。
(1+a)/8 = (5a−3)/12
これは「左辺と右辺が等しい」という式です。天びんのように左右がつり合っているイメージですね。つり合っているものは、両辺に同じ数をかけても、つり合ったままです。だから両辺に24をかけて、
(1+a)×3 = (5a−3)×2
のように分母を消してよいのです。
でも今回の問題には、イコールがありません。 ただの計算式です。天びんの片方だけを勝手に24倍したら、もとの式とは別の大きさになってしまいます。

方程式の「両辺に24をかける」は、左右が=で結ばれているからできる技なんだ。片方しかない計算式で同じことをすると、式の値そのものが24倍に変わっちゃう。だから計算式では通分して、分母は残したまま分子を計算するんだよ。
まとめると、見分け方はシンプルです。
イコール(=)がある → 方程式 → 両辺に数をかけて分母を消してOK
イコール(=)がない → 計算式 → 分母は消さず、通分して分子を計算
6. よくあるつまずき3つ
つまずき①:計算式なのに分母を消してしまう
今日の主役の間違いです。分母が嫌いだからと24をかけて消してしまうと、答えから分母が消えて別物になります。イコールがなければ分母は消せない。これだけは最初に確認してください。
つまずき②:引き算のマイナスをかっこの中まで配れない
(1) のように引き算のときは、うしろの分子全体にマイナスがかかります。−(10a−6) は −10a +6 です。−(−6) が +6 になるのを忘れて、−6 のままにしてしまうミスがとても多いです。かっこを外すときは、中の符号を1つずつ反転させましょう。
つまずき③:通分するとき分子をかけ忘れる
分母を3倍したのに、分子を3倍し忘れる——これもよくあります。分数は分母と分子を必ずセットで同じ数だけかけるのがルールです。(1+a)/8 を分母24にするなら、分子も (1+a)×3=3+3a にします。
7. FAQ
Q. 答えの分母は約分しなくていいの?
約分できるならします。今回の (9−7a)/24 や (5x−1)/4 は、分子と分母に共通の約数がないので、これ以上は約分できません。「分母が残っているのは間違い」ではなく、約分しきった形なら分母が残っていて正解です。
Q. 答えを (9−7a)/24 のように1つの分数でまとめず、9/24 − 7a/24 のように分けてもいい?
大丈夫です。分けて書いても間違いではありません。ただ、テストでは1つの分数にまとめた形のほうが採点者に伝わりやすく、その後の計算にも使いやすいので、まとめておくのがおすすめです。
Q. 分母をそろえる数(最小公倍数)がすぐに見つかりません。
まずは2つの分母をかけた数を使ってもかまいません。(1) なら 8×12=96 でも通分はできます。ただし数が大きくなって計算が大変になるので、最小公倍数(8と12なら24)を使えると一番ラクです。九九の中で「8の段にも12の段にも出てくる数」を探すと見つけやすいですよ。
8. まとめ
・分数の文字式は「分母を消す」のではなく「通分する」
・分母を消していいのは、イコール(=)でつながれた方程式のときだけ
・イコールのない計算式は、通分して分母をそろえ、分子だけを計算する
・引き算のときは、うしろのかっこの符号がすべて反転する(−(−6)=+6)
・通分では分母と分子を必ずセットで同じ数だけかける
・約分しきった答えなら、分母が残っていて正解
この問題は、Lafの公式LINEに実際に届いた質問をもとに動画で解説したものです。「分数の文字式でいつも分母の処理をミスする」「この計算、途中式が合っているか見てほしい」——そんなときは、公式LINEから気軽に送ってください。
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