二次方程式の解の公式は覚えたのに、いざ計算するとルートの中がとんでもなく大きな数になって、心が折れそうになる——中3の数学で、とても多い悩みです。

解の公式、覚えたんです。でも代入するとルートの中が3ケタ4ケタになって、そこから約分とか素因数分解でぐちゃぐちゃになって…。合ってるか自信もないし、計算が大変で心が折れそうです。

その気持ち、めちゃくちゃわかる。実はね、bが偶数のときだけ使える「もう一つの解の公式」っていうのがあって、これを使うとルートの中の数が一気に小さくなるんだ。今日は同じ問題を、いつもの公式と新しい公式の両方で解いて、どれだけラクになるか見てもらうね。
この記事では、公式LINEに実際に届いた問題を例に、「もう一つの解の公式」の使い方と、なぜそれで計算がラクになるのかを順番に説明します。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
1. 今回の問題
まず問題文です。
> (16−x)(12−x)=116 を解きなさい。ただし、xは12より小さいものとする。
かけ算の形になっているので、まずは左辺を展開して「=0」の形(二次方程式の基本形)に直すところから始めます。
2. まずは基本形に直す
左辺を展開します。
192 − 16x − 12x + x² = 116
xの項をまとめて、右辺の116を左辺に移項します。
x² − 28x + 192 − 116 = 0
x² − 28x + 76 = 0
これで、a=1、b=−28、c=76 の二次方程式になりました。左辺は因数分解できそうにないので、解の公式の出番です。
3. まずは「いつもの解の公式」で解こうとしてみる
みんなが覚えている解の公式はこれですね。
x = (−b ± √(b²−4ac)) ÷ 2a
a=1、b=−28、c=76 を代入します。
x = (28 ± √((−28)² − 4×1×76)) ÷ 2
ルートの中を計算すると、
x = (28 ± √(784 − 304)) ÷ 2
x = (28 ± √480) ÷ 2
……ルートの中が 480。この数を素因数分解して、√の外に出せるだけ出して、最後に2で約分して——と、まだまだ計算が続きます。

ここでストップ。bが「−28」で偶数でしょ。こういうときこそ「もう一つの公式」の出番なんだ。同じ問題をそっちで解いてみるよ。
4. 「もう一つの解の公式」で解く
ステップ1:b′=b/2 とおく
bが偶数のとき、bの半分を b′(ビーダッシュ)とおきます。
b′ = b ÷ 2
今回は b=−28 なので、
b′ = −28 ÷ 2 = −14
ステップ2:もう一つの公式に代入する
「もう一つの解の公式」はこれです。いつもの公式と見比べてみてください。
x = (−b′ ± √(b′² − ac)) ÷ a
いつもの公式とちがって、分母が「2a」ではなく「a」、ルートの中が「b²−4ac」ではなく「b′²−ac」になっています。数が小さくなりそうな予感がしますね。
a=1、b′=−14、c=76 を代入します。
x = (14 ± √((−14)² − 76)) ÷ 1
ルートの中を計算すると、
x = 14 ± √(196 − 76)
x = 14 ± √120
さっきは480だったルートの中が、たったの120になりました。480÷120=4で、ちょうど4分の1です。√120 は 120=4×30 なので、
x = 14 ± 2√30
ステップ3:条件に合う方を選ぶ
答えの候補は、
x = 14 + 2√30 と x = 14 − 2√30
の2つです。ここで問題文の条件「xは12より小さい」を思い出します。2√30 はだいたい11くらいなので、14+2√30 は12より大きくなってしまいアウト。よって、
x = 14 − 2√30
条件がついている問題は、最後に「どっちの解が条件に合うか」を必ず確認してください。両方書いて丸をもらえないのはもったいないです。
5. なぜ「もう一つの公式」で計算がラクになるのか
「便利なのはわかったけど、なんでこの公式で解いていいの?」と思いますよね。ここはいつもの解の公式から実際に作れます。仕組みがわかると忘れなくなるので、一緒に導いてみましょう。
出発点は、みんなが知っているいつもの公式です。
x = (−b ± √(b²−4ac)) ÷ 2a
ここで、bが偶数なので b=2b′ と書けます(b′=b/2 の両辺を2倍しただけ)。これを代入します。
x = (−2b′ ± √((2b′)²−4ac)) ÷ 2a
ルートの中を整理すると、(2b′)²=4b′² なので、
x = (−2b′ ± √(4b′²−4ac)) ÷ 2a
ルートの中の 4b′²−4ac は、4でくくれるのがポイントです。
x = (−2b′ ± √(4(b′²−ac))) ÷ 2a
√4=2 なので、√の外に2が出せます。
x = (−2b′ ± 2√(b′²−ac)) ÷ 2a
分子も分母も、すべての項が2で割れます。分母と分子を2で約分すると、
x = (−b′ ± √(b′²−ac)) ÷ a
「もう一つの解の公式」が出てきました。もとの公式で最後にやっていた「√4=2を外に出す」「2で約分する」という作業を、公式の中で先にやってしまったのがこの公式の正体です。だからルートの中の数が小さくなって、約分の手間も消えるわけですね。
6. よくあるつまずき3つ
つまずき①:bが奇数なのに使ってしまう
この公式が使えるのはbが偶数のときだけです。bが奇数だと b′=b/2 が分数になってしまい、かえって計算が面倒になります。bが偶数(−28、10、6など)かどうかを最初に確認してから使いましょう。
つまずき②:分母を「2a」のままにしてしまう
いつもの公式のクセで、分母を2aと書いてしまうミスが多いです。もう一つの公式の分母は「a」だけ。2はもう約分で消えています。「b′を使うときは分母もルートの中も軽くなる」とセットで覚えてください。
つまずき③:条件を無視して両方の解を答えにする
「xは12より小さい」のような条件がついているのに、2つの解を両方とも答えにしてしまうミスです。解の公式の±から出てくる2つの候補のうち、条件に合わないものは消す。文章題や図形がらみの二次方程式では、これがそのまま失点ポイントになります。
7. FAQ
Q. 「もう一つの公式」は覚えないとダメ?いつもの公式だけじゃダメ?
いつもの公式だけでも、もちろん正解にたどり着けます。もう一つの公式は「bが偶数のときのショートカット」です。テストで計算量が減れば、その分ミスも減って時間も浮きます。まずはいつもの公式を確実に、慣れてきたらショートカットもという順番でOKです。
Q. b′って結局どんな数?
bのちょうど半分です。b=−28ならb′=−14、b=10ならb′=5。「bの半分」とだけ覚えておけば、公式のどこに入れるかは形で思い出せます。
Q. ルートの中がマイナスになったら?
b′²−ac がマイナスになったら、その二次方程式は(中学の範囲では)解なしです。これはいつもの公式で b²−4ac がマイナスになるのと同じ意味なので、判定の仕方は変わりません。
8. まとめ
・二次方程式の解の公式には、bが偶数のとき使える「もう一つの公式」がある
・b′=b÷2 とおくと、公式は x=(−b′±√(b′²−ac))÷a
・分母が「a」、ルートの中が「b′²−ac」になり、いつもの公式より数が小さくなる
・正体は、いつもの公式を先に4でくくって2で約分したもの(だからラクになる)
・条件つきの問題は、最後にどちらの解が条件に合うかを必ず確認する
この問題は、Lafの公式LINEに実際に届いた質問をもとに動画で解説したものです。「解の公式の計算でいつも心が折れる」「この問題の途中式が合っているか見てほしい」——そんなときは、公式LINEから気軽に送ってください。
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