
解き方は前にやったはずなんですけど、いざこの問題を見たら手が止まってしまって、学校の教科書を見て思い出しながら解きました。

正直に言えるのがいいね。この形は「思い出す」に頼らなくても、毎回同じ手順に流し込む形にしておくと手が動きやすくなるよ。今日はその手順を整理しよう。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題
次の問題を考えます。
a < √10 < a+1 を満たす整数aの値を求めなさい。
中3の平方根で出てくる定番のタイプです。√10という見慣れない数がまん中にはさまれていて、その両側に整数のaとa+1がある。この形を見た瞬間に「√10って何だっけ」と考え始めると、そこで止まってしまいます。
実際、今回の授業でも生徒はこの問題を一度は自力で解いていました。ただ「最初に解き方を忘れていて、教科書を見て思い出してやりました」と話してくれました。手順を知っているのに本番で引き出せない、という状態です。
ここで押さえておきたいのは、この問題は√10の値を求める問題ではないということです。√10がだいたいいくつかを知らなくても、これから紹介する手順だけで答えは出せます。逆に、√10 ≒ 3.16 という近似値を思い出そうとするところから始めると、記述で書くことがなくなってしまいます。
この記事では、授業で実際に使った順番のまま、次の3ステップに分けて整理します。①両辺を2乗した形にそろえる、②平方数を並べて10がどこに入るかを探す、③出てきた範囲からaの値を確定する。この3つだけです。
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核になる考え方: 全部をルートの形にそろえる
不等号で平方根をはさんでいる問題を見たときの合図はひとつです。
全部をルートの形に統一する。
√10と整数のaは、そのままでは形がちがうので大小を比べにくいです。そこで、整数のほうをルートの形に書きかえます。
a = √(a²)
a+1 = √((a+1)²)
これを問題の不等式に入れ直すと、3つとも√の形になります。
√(a²) < √10 < √((a+1)²)
ここまで来ると、比べているのは「ルートの中身どうし」です。ルートの中身が大きいほうがルートをつけた数も大きい、という関係なので、中身だけを並べて書けます。
a² < 10 < (a+1)²
はさまれているのが√10から10に変わりました。√のままでは比べにくかったものが、整数どうしの比較に置きかわったのが、この問題の山場です。あとは10がどの平方数とどの平方数の間にあるかを探すだけになります。
ステップ1: 両辺を2乗した形にそろえる
もう一度、手順として書き出します。まず、はさまれている数の両側を2乗の形にそろえます。
もとの式:
a < √10 < a+1
すべてをルートにそろえた式:
√(a²) < √10 < √((a+1)²)
ルートの中身だけを取り出した式:
a² < 10 < (a+1)²
3行を並べると、やっていることは「a を a²に、a+1 を (a+1)² に置きかえた」だけだと分かります。√10だけは中身の10がそのまま残ります。√10はもともと「2乗すると10になる数」なので、中身の10がそのまま2乗した値にあたるわけです。
ここで書きかえるのは3つ全部です。aだけを2乗して√10をそのままにする、という混ざった式を作ってしまうと、そのあとの比較が成り立ちません。「a² < √10」のような、2乗した数とルートのままの数が同じ式に並んでいる状態は、比べる土台がそろっていない合図です。
3つそろえて初めて「整数どうしの比較」に持ち込めます。ノートに書くときも、上の3行のように「もとの式」「ルートにそろえた式」「中身だけの式」を縦に並べておくと、どの段で何をしたかが後から自分で追えます。
ステップ2: 平方数を並べて10がどこに入るかを探す
a² < 10 < (a+1)² を満たすaを、平方数を小さいほうから書き出して探します。
1² = 1
2² = 4
3² = 9
4² = 16
10より小さい平方数を探すと、1、4、9が見つかります。そのうち10に一番近いのは9です。次に10より大きい平方数を探すと、16が最初に出てきます。つまり10は9と16の間の数です。
9 < 10 < 16
平方数を書き出すときは、1²から順に上げていく形にしてください。10のあたりから当てずっぽうに始めると、9と16のどちらが「10のすぐ隣」なのか判断しにくくなります。小さいほうから上げていって、初めて10を追い越した数が右側の相手です。
この形を a² < 10 < (a+1)² と見比べます。左が9、右が16なので、次の2つが読み取れます。
a² = 9
(a+1)² = 16
平方数を順に書き出すだけで、10の居場所が9と16の間だと決まります。九九のうしろに 11²=121、12²=144 あたりまでを書き出せるようにしておくと、この作業がぐっと軽くなります。
ステップ3: 範囲からaの値を確定する
a² = 9 と (a+1)² = 16 から、aとa+1をそれぞれ求めます。
a² = 9 になる正の数は、
a = 3
(a+1)² = 16 になる正の数は、
a+1 = 4
この2つはきちんとかみ合っています。a=3のとき a+1=4 なので、a と a+1 が「3と4」という連続する2つの整数としてそろいました。片方から出したaが、もう片方の式でも成り立っているかを見るところまでがステップ3です。ここがかみ合わないときは、ステップ2で選んだ平方数の組がずれています。
もとの不等式に戻すと、こうなります。
3 < √10 < 4
答えは a = 3 です。
授業でも「じゃあaの2乗、何が10より小さいかな」というところから2²=4、3²=9、4²=16と数え上げていって、9と16の間に10が入ることを確認してから答えを決めました。順番に数えるだけの作業なので、当てずっぽうで数を入れる場面はどこにもありません。
答えを検算する。そして答えの吟味
出した a=3 を、もとの条件に戻して確かめます。a=3 のとき a+1=4 なので、確かめるべき式はこれです。
3 < √10 < 4
この不等式が成り立つかどうかは、また2乗にそろえて確かめられます。
3² = 9
4² = 16
この2つのあいだに10が入るかどうかを見ます。
9 < 10 < 16
10は9より大きく、16より小さいので、3<√10<4 は成り立っています。検算も「2乗にそろえて比べる」という同じ道具でできるのが、この問題の気持ちのいいところです。
答案に書くときも、この3行をそのまま添えておくと「なぜ3なのか」が伝わります。近似値を持ち出さずに、9と10と16の3つの数を並べるだけで説明が閉じるからです。
あと1つ吟味しておきます。「他の整数でも成り立つのでは」という点です。a+1 は √10 より大きい整数で、√10 は 3 より大きい数なので、a+1 は 4 以上になります。同時に a は √10 より小さい整数で、√10 は 4 より小さいので、a は 3 以下です。a+1 が 4 以上かつ a が 3 以下なので、この2つを同時に満たすのは a=3 だけです。条件を満たす整数は1つに決まります。
よくあるつまずき
- 手順は知っているのに本番で引き出せない。今回の生徒もここでした。「√をはさんだ不等式は全部ルートにそろえる」という1行だけをノートの見出しにして、そこから毎回始める形にしておくと、思い出す作業を挟まずに手が動きます
- 式の形がうろ覚えのまま処理を進めてしまう。授業でも、自分の解き方を説明しようとして式の形がはっきり言葉にならない場面がありました。言葉にできない式は、いったん最初から書き直すのが早いです。書けるところまで書けば、どこがあいまいだったかがその場で見えます
- √10 ≒ 3.16 を思い出そうとする。近似値を覚えていなくても答えは出ます。逆に近似値だけで「だいたい3ちょっとだから a=3」と決めてしまうと、なぜそうなるかを書けず、記述式で点にならないことがあります
- a と a+1 を別々に決めてしまう。a=3 なら a+1 は 4 で固定です。a²=9 と (a+1)²=16 の両方が同時に成り立っているかを、最後に見比べてください
- 平方数の書き出しを2乗の途中でやめる。10より大きい平方数まで書かないと、10の右側がどこかを決められません。10をはさむ2つが出そろうまで並べます
FAQ
Q. √の大小比較は、いつも2乗すればうまくいきますか?
A. 比べる2つがどちらも0以上のときは、2乗して中身で比べられます。今回は a+1 が √10(3より大きい数)より大きい整数なので a+1 は4以上、そこから a も正の数だと分かるため、2乗して比べる形が使えます。マイナスの数が混ざる場合は大小関係が入れかわるので、そのまま2乗する形は使えません。まず両側が0以上かどうかを見てください。
Q. 平方数はどこまで覚えておけばいいですか?
A. 目安として 1² から 15²(225)まで書き出せると、中3の平方根で出てくる数はだいたいカバーできます。全部を暗記しなくても、10²=100 と 15²=225 を目印にして、そこから前後を計算して埋める形でも間に合います。今回のように10前後の小さい数なら、1²から4²までを順に書くだけで足ります。
Q. 「a<√10<a+1」の a+1 は何を表しているのですか?
A. a と a+1 は連続する2つの整数です。つまりこの問題は「√10 は、どの連続する2つの整数の間にあるか」を聞いています。答えの a=3 は「√10 は 3 と 4 の間にある」という意味になります。この読み替えができると、問題文の見え方が変わります。
この問題のポイント
- √をはさんだ不等式は、全部をルートの形にそろえる(a = √(a²)、a+1 = √((a+1)²))
- そろえたら中身だけを取り出す(a² < 10 < (a+1)²)
- 平方数を小さい順に書き出して、10をはさむ2つを探す(9 < 10 < 16)
- a² = 9、(a+1)² = 16 から a = 3、a+1 = 4 と確定する
- 検算も同じ道具で行う(3² = 9、4² = 16 なので 3 < √10 < 4)
平方根の大小比較は、覚える公式が少ないかわりに「どこから手をつけるか」で差が出る単元です。今回の手順で解いてみて途中で止まったところがあれば、公式LINEから気軽に質問してください。
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