溶解度曲線のグラフは読めるのに、いざ計算になると答えが合わない。とくに「水を蒸発させた量」を求める問題で、どこから手をつけていいかわからなくなる——中1理科で、とても多い悩みです。

溶解度曲線の問題が苦手で…。80℃で溶ける量を聞かれて、グラフを見たら170gって書いてあったから、そのまま「170g」って答えたんです。でも答えを見たら全然ちがっていて、なんでダメなのかわからなくて。

あー、なるほどね。それ、グラフの数値を「実際の水の量」にそのまま使っちゃってるんだ。すごくよくあるやつだよ。グラフの数字は「水100gあたり」の値だから、水が200gあるときはそのままじゃ使えないんだ。今日は富山県の入試問題で、そこを一緒に整理していこう。
この記事では、実際の入試で出た溶解度曲線の問題を例に、「あと何g溶けるか」と「蒸発した水は何gか」の2問を、グラフの読み方から順番に解説します。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
1. 今回の問題
まず、実験の様子を確認します。
> 【実験1】
> ・60℃の水200gを入れたビーカーに物質Aを300g加えてよくかき混ぜたところ、とけきれずに残った。
> ・水溶液を加熱し、温度を80℃まで上げたところ、すべてとけた。
> ・さらに加熱して沸騰させ、水をいくらか蒸発させた。
> ・水溶液の温度を30℃まで下げ、出てきた固体をろ過でとり出した。
そして溶解度曲線のグラフには、次のことが書かれています。
- 横軸は水の温度、縦軸は「100gの水にとける物質の質量」
- 物質Aは温度が上がるほど大きく溶ける(60℃で約110g、80℃で約170g)
- 物質Bはほぼ横ばい(どの温度でも約45g)
この「縦軸は100gの水あたり」という一文が、今日いちばん大事なポイントです。
2. いちばん多い間違い「グラフの数値をそのまま使う」
設問(1)はこうです。
> (1) 温度を80℃まで上げた水溶液には、あと何gの物質Aをとかすことができるか。
ここでやってしまいがちなのが、グラフの170gをそのまま答えにすることです。冒頭の生徒も、まさにこれをやってしまいました。
でも、思い出してください。グラフの縦軸は「100gの水にとける量」でした。つまり170gというのは、あくまで「水が100gのときに溶ける量」なのです。
今回の水は200g。グラフの数値をそのまま使ってはいけません。
水が2倍なら、溶ける量も2倍になります。ここを見落とすと、答えが半分の大きさになってしまいます。まずはこの「100gあたり」をそろえるところから始めましょう。
3. 設問(1)を3ステップで
ステップ1:水200gに溶ける量を出す
80℃での溶解度は、グラフより 100gの水に170g です。今回の水は200g、つまり100gの2倍あります。
170 × 2 = 340
つまり、80℃の水200gには、物質Aが340gまで溶けます。
ステップ2:すでに溶けている量を確認する
問題文をよく読むと、最初に加えた物質Aは300gで、80℃にしたら「すべてとけた」とあります。つまり、いま水溶液には300gの物質Aが溶けている状態です。
ステップ3:あと溶ける量を引き算で出す
限界まで溶ける量が340g、いま溶けているのが300g。だから、あと溶かせる量はその差です。
340 − 300 = 40
(1) の答え:40g

グラフの170gをそのまま答えにすると、大きくズレちゃうでしょ。「まず水の量に合わせて2倍する」——これができるかどうかで、溶解度の問題はほとんど決まるんだ。
4. 設問(2)を「引き算」と「比例」で
次はこの記事の山場です。設問(2)はこうです。
> (2) ろ過でとり出した固体は228gだった。蒸発させた水は何gか。ただし、30℃における物質Aの溶解度は48gである。
いきなり「蒸発した水」を求めようとすると、手が止まります。いったん「まだ水に溶けている物質Aの量」を先に出すのが、この問題のコツです。
ステップ1:まだ溶けている物質Aの量を出す
最初に溶かした物質Aは、全部で300gでした。そのうち228gが固体として出てきて、ろ過でとり出されたわけです。ということは、まだ水の中に溶けたまま残っている物質Aは、その残りです。
300 − 228 = 72
つまり、30℃の水溶液には、物質Aが72g溶けたまま残っていることがわかります。
ステップ2:比例式で「残っている水の量」を求める
ここで、問題文にある「30℃の溶解度は48g」を使います。これは「水100gに48g溶ける」という意味でしたね。
いま、その30℃の水に72gが溶けています。では、その水は何gなのか。「100gに48g」の割合と同じはずなので、水の量を x として比例式を立てます。
100 : x = 48 : 72
比例式は、外側どうし・内側どうしをかけて計算します。
48 × x = 100 × 72
48x = 7200
x = 150
つまり、30℃のときに残っていた水は150gだとわかりました。
ステップ3:最初の水との差が「蒸発した量」
最初、ビーカーに入っていた水は200gでした。それが最後には150gに減っています。減った分が、沸騰させて蒸発した水です。
200 − 150 = 50
(2) の答え:50g
公式LINEには、こういう「入試のちょっと難しい1問」もたくさん届きます。「解き方の流れは合ってる?」と確かめたいときは、公式LINEで気軽に送ってくださいね。
5. 答えの吟味(本当に合っているか確かめる)
出した答えが正しいか、逆から確かめてみましょう。
30℃の水150gに、物質Aは何gまで溶けるか。溶解度は「100gに48g」なので、150gは1.5倍。
48 × 1.5 = 72
ちゃんと72gになりました。これは、ステップ1で出した「まだ溶けている72g」と一致します。残っている量と、溶けられる限界の量がぴったり同じ=この水溶液は「これ以上溶けない状態(飽和)」になっていて、計算が合っているとわかります。
固体になって出てきた228gも確認しましょう。最初300g溶かして、72gが溶けたまま残ったのだから、出てきた固体は 300−72=228g。問題文の228gと一致します。バッチリですね。
6. よくあるつまずき3つ
つまずき①:グラフの数値をそのまま使う
今日の主役の間違いです。グラフの縦軸は「100gの水にとける量」。水が200gや150gのときは、必ず水の量に合わせて倍率をかけてから使います。80℃の170gを、そのまま200gの水の答えにしてはいけません。
つまずき②:(2)でいきなり「蒸発した水」を求めようとする
「蒸発した水」を直接求める式はありません。まず「まだ溶けている量」を引き算で出す→比例式で「残っている水」を求める→最初の水との差をとる、という2段階で考えます。順番を守れば、一本道で答えにたどり着けます。
つまずき③:比例式の左右を逆にする
「100 : x = 48 : 72」の形をそろえるのがポイントです。左側は「水の量」、右側は「溶けている物質の量」で、上下の並びを合わせるとミスが減ります。水と物質を左右でごちゃまぜにすると、答えが合わなくなります。
7. FAQ
Q. 物質B(ほぼ横ばいの曲線)は、この問題ではどう関係するの?
物質Bは、温度を下げても溶ける量がほとんど変わらない物質です。だから「温度を下げて結晶をとり出す」やり方だと、少ししか出てきません。物質Bのような溶解度が横ばいのものは、温度を下げるより「水を蒸発させる」ほうが結晶をとり出しやすい、という対比を覚えておくと、別の問題でも役立ちます。
Q. 「溶解度」って、そもそも何の数字ですか?
溶解度は、100gの水に溶けることのできる物質の最大量(g)のことです。溶解度曲線は、その溶解度が温度によってどう変わるかをグラフにしたものです。「100gの水あたり」という基準を、まず頭に入れておきましょう。
Q. 比例式が苦手です。ほかの解き方はありますか?
「1gあたり」で考える方法もあります。30℃では水100gに48g溶けるので、物質A 1gには 100÷48 の水が必要、と考えて 72gぶんの水を求めてもかまいません。ただ、比例式のほうが立てやすくミスも減るので、まずは比例式に慣れるのがおすすめです。
8. まとめ
・溶解度曲線の縦軸は「100gの水にとける量」。実際の水の量に合わせて倍率をかける
・(1) 80℃は100gに170g→水200gなら340g溶ける→すでに300gなので、あと40g
・(2)は「まだ溶けている量」を先に出すのがコツ:300−228=72g
・比例式 100:x=48:72 で残った水150gを求め、200−150=50gが蒸発した水
・答えは逆から確かめる(150gの水に72g溶ける=飽和で計算が合う)
・比例式は「水の量」と「物質の量」の上下の並びをそろえる
この問題は、Lafの公式LINEに実際に届いた質問をもとに動画で解説したものです。「溶解度曲線の計算がいつも合わない」「この解き方で合ってるか見てほしい」——そんなときは、公式LINEから気軽に送ってください。
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