
点とか、どこを切り取るとかが多すぎて、どの形を見ればいいのか分からなくて。どこをどう引けばいいのかも分からなくなってしまって。

あーなるほどね。今回のはちょっと難しいと思うよ。でもね、引く方向で考えると一気に楽になるから、一緒に手元を見ていこうか。
これは、実際の授業で生徒から出てきた言葉です。中1の空間図形、立方体の中に三角錐ができるタイプの問題ですね。図の中に線がたくさん引かれていて、どこを見ればいいのか迷ってしまう。この気持ち、すごくよく分かります。今回は、その「どこを引くか」を一つずつ確かめながら解いていきます。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題
立体ABCD-EFGHは、一辺の長さが6cmの立方体です。
立方体の名前の付き方も確認しておきましょう。ABCDが上の面、EFGHが下の面で、AとE、BとF、CとG、DとHがそれぞれ縦の辺でつながっています。頂点の名前を見ただけで上下が分かるようになると、図を追いかけるのがぐっと楽になります。
辺AE上に点Pをとり、点Pと頂点F、頂点H、頂点Cをそれぞれ結びます。さらに頂点C、頂点F、頂点Hどうしも結んで、立方体の中に立体をつくりました。
このとき、AP=3cmです。つまり点Pは、辺AEのちょうど真ん中の点ということになります。
このとき、立体P-CHFの体積は何cm³ですか。
立体P-CHFというのは、点Pが頂点で、三角形CHFが底面になっている三角錐のことです。図の中で言うと、立方体の内側にぽつんと浮かんでいるように見える、あの立体ですね。
立体の体積は「直接」と「引く」の2通りある
立体の体積を求める問題は、大きく2つのパターンに分かれます。
- 求めたい立体を、そのままダイレクトに計算するパターン
- 全体(今回なら立方体)を求めてから、いらない部分を切り抜いて引くパターン
求めたい立体の底面と高さがすぐに測れないときは、全体から引く方向を考える、と決めておくと迷いが減ります。
今回の三角錐P-CHFは、底面の三角形CHFが立方体の中で斜めに傾いています。この三角形の面積も、そこまでの高さも、中1の道具ではまっすぐには出せません。だから直接は求めにくいのです。
一方で、立方体全体の体積は一瞬で出ます。そして、余った部分は立方体の角にくっついた三角錐ばかりで、こちらは底面も高さも辺の長さそのままで読み取れます。つまり、引き算の方が圧倒的に楽です。
授業でも、生徒が「どこを引けばいいのか分からない」と言ってくれたので、そのまま引く方向で進めました。方針が決まれば、あとは順番の作業です。
3ステップで解いていく
ステップ1: 立方体全体の体積を出す
まずは、いちばん大きい入れ物から。一辺6cmの立方体なので、
6×6×6=216
立方体全体は216cm³です。ここから余分な立体を引いていきます。
ステップ2: 引く立体を2種類に分ける
立方体から立体P-CHFを取り除くと、残りは6つの三角錐に分かれます。数は多いのですが、大きさで見ると18cm³のグループが3つ、36cm³のグループが3つの2種類だけです。
まずは18cm³のグループから。底面が3cmと6cmの直角三角形で、高さが6cmの三角錐です。三角錐なので、最後に3分の1をかけます。
3×6×2分の1×6×3分の1
順番に計算していきます。
3×6×2分の1=9
9×6=54
54×3分の1=18
1つで18cm³です。この形は、点Aのまわりに左右対称の向きで2つあります。
このグループにはもう1つ、点Pの真下、頂点Eの角にできる三角錐が入ります。こちらは底面が6cmと6cmの直角三角形で、高さがPE=3cmです。
6×6×2分の1×3×3分の1
6×6×2分の1=18
18×3=54
54×3分の1=18
数字の並びは違うのに、答えはやはり18cm³。授業でも「これと同じになるね」と確認したところです。合わせて3つなので、
18×3=54
次は36cm³のグループです。底面積が6×6×2分の1で18cm²、立体の高さが6cmの三角錐が3つあります。
6×6×2分の1×6×3分の1
こちらも順番に計算します。
6×6×2分の1=18
18×6=108
108×3分の1=36
1つで36cm³なので、3つ分は、
36×3=108
ステップ3: 立方体から引く
あとは引き算をするだけです。
216−54−108=54
216から54を引くと162。162から108を引くと54。
答えは、立体P-CHFの体積は54cm³です。
答えの確かめかた
出た数字をそのまま書いて終わりにせず、ひと呼吸おいて確かめます。
まず、引いた分を足し戻してみます。
54+54+108=216
答えの54と、引いた6つの立体の合計162を足すと、立方体全体の216にきちんと戻りました。足し戻して全体に戻るかどうかは、空間図形の引き算でいちばん手軽な検算です。
次に、大きさの感覚も見ておきます。54は216のちょうど4分の1です。図をながめると、真ん中の立体は立方体のわりと大きな部分を占めているように見えるので、4分の1という結果はしっくりきます。ここで「2cm³」のような極端に小さい数が出ていたら、どこかで高さを取り違えている可能性が高いです。
最後に、3cmの出どころです。この問題で3という数字は、AP=3cmからしか出てきません。点Pがまったく関係していない立体の式に3が混ざっていたら、そこは見直しどきです。
この3つはどれも、答えを出したあと30秒あればできます。空間図形は式が長くなる分、途中の1か所がずれても最後まで気づけません。足し戻し、大きさの感覚、数字の出どころ。この順番で見直すクセをつけておくと、テストで拾える点数が変わってきます。
よくあるつまずき
つまずき1: どこを切り取ればいいのかが見えない
授業でいちばん最初に出た声が、まさにこれでした。線がたくさん引かれた図を見ると、どの三角形を底面にすればいいのか分からなくなります。
こういうときは、立体を1つずつ「底面はどれか、高さはどこか」の2点だけで見るのがおすすめです。今回引いた6つは、どれも底面が立方体の面の上にのっていて、高さはその面と垂直な向きで測れます。この2つさえ読み取れれば、あとは底面積×高さ×3分の1に入れるだけです。図全体をいっぺんに理解しようとせず、1つの立体だけを取り出して見るのがコツです。
つまずき2: 3分の1をかけ忘れる
角柱と角錐がまざってしまうパターンです。三角柱なら底面積×高さで終わりですが、三角錐は最後に3分の1をかけます。今回の式は3つも4つも数がつながるので、書いているうちに抜け落ちやすいところです。式を書くときに3分の1を先に書いてしまうのも一つの手です。
つまずき3: 高さをどこで測るかが混ざる
底面を決めたら、高さは「その底面と垂直な向き」で測ります。底面を選び直すと、高さになる長さも変わります。ステップ2では、3×6の底面に高さ6の立体と、6×6の底面に高さ3の立体が出てきました。使う数字がまったく違うのに、体積はどちらも18cm³です。ここを「どちらかが間違いでは」と疑ってしまうと、手が止まります。底面と高さはセットで確認するようにしましょう。
よくある質問
Q. なぜ三角錐P-CHFを直接計算しないのですか?
A. 底面になる三角形CHFが、立方体の中で斜めに傾いているからです。この三角形の面積も、点Pからそこまでの高さも、中1で習う道具ではそのままの形で測れません。まっすぐな辺の長さだけで計算できる形に持ち込むために、全体から引く方法を使います。
Q. 「P-CHF」の書き方は何を表しているのですか?
A. ハイフンの前が頂点、うしろが底面です。P-CHFなら、点Pが頂点で、三角形CHFが底面の三角錐という意味になります。どちらが頂点か分かると、図のどこを見ればいいかがはっきりします。
Q. 引く立体は6つで合っていますか?
A. はい。18cm³のものが3つと、36cm³のものが3つで、合わせて6つです。真ん中に残る立体とあわせると、立方体は7つの立体に分けられていることになります。
今回のポイントまとめ
- 立体の体積は「直接求める」か「全体から引く」かの2通り
- 底面や高さがすぐに測れない立体は、引く方向で考えると楽になる
- 引く立体は、底面が立方体の面にのっている三角錐ばかり
- 三角錐は最後に3分の1をかける
- 引いた分を足し戻して全体に戻るかを確かめる
もっと詳しく見たい人は、実際の解説動画も参考にしてください。図のどこを消しているのかを、順番に追いかけられます。
空間図形は、図の読み取りができるようになると解ける問題がぐっと増えていく分野です。分からない問題があれば、公式LINEで気軽に質問してくださいね。
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