一次方程式の計算はできるのに、文章問題になったとたんに手が止まる。中1の数学で、いちばん多いつまずきです。

一次方程式の文章題、問題文を読んでも何をxにすればいいのかわからなくて、そこで止まっちゃいます…

その気持ち、めちゃくちゃわかる。でもね、文章題は日本語を1行ずつ式に置きかえるだけなんだ。今日は2問使って、その置きかえ方を一緒にやってみよう。
この記事では、実際の授業で生徒と一緒に解いた2問をそのまま使って、一次方程式の文章問題の解き方を説明します。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
1. まずは1問目。「ある数x」の問題
最初の問題です。
> ある数xに4を加えた数の5倍は、xを2倍して4を引いた数に等しい。xを求めなさい。
授業でこの問題を見せたとき、私が最初に言ったのはこれでした。
「これ見た時に頭痛くなるよね、この文章」
そう、読んだ瞬間に頭が痛くなるタイプの問題文です。「加えた」「5倍」「2倍」「引いた」が1文にぎゅっと詰まっていて、どこから手をつけるのか見えません。生徒に「この問題見た時どう思った?」と聞くと、たいてい返ってくるのは「どういうこっちゃ、って感じ」です。
しかもこの問題文には、図もグラフもありません。手がかりが日本語だけなので、計算問題と同じつもりで数字から触ろうとすると、そこで止まってしまいます。
でも安心してください。この形は覚えてしまえば、毎回おなじ手順で解けます。頭が痛くなるのは、文章を「全部いっぺんに」式にしようとしているからです。1文をまるごと1つの式にしようとするから、情報が多すぎて処理しきれないんですね。
やることはひとつ。文章を前から順番に、短く区切って式に置きかえていくだけです。区切ってしまえば、ひとつひとつは中1の1学期にやった内容しか出てきません。
2. 文章題の核は「ひとかたまりを意識してカッコでくくる」
計算を始める前に、この問題でいちばん大事な考え方を先に言っておきます。
「〜した数の◯倍」は、ひとかたまりをカッコでくくってから◯倍する
問題文の「xに4を加えた数の5倍」を、そのまま前から書いていくと事故が起きます。カッコをつけずに書いてしまうと、5倍がxだけにかかるのか、4だけにかかるのかがわからなくなるからです。
授業でも、私はここで手を止めてこう言いました。
「これカッコつけないと、どっちかしか5倍しないことになっちゃうから」
つまり、「加えた数」という1つのかたまりを、まるごと5倍する。この「まるごと」を表す道具がカッコです。カッコは飾りではなく、「ここからここまでが1つのかたまりですよ」という宣言なんですね。
見分け方は簡単です。「〜した数の◯倍」「〜の合計の◯倍」のように、◯倍の前に説明のことばがくっついていたら、その説明の部分がひとかたまりだと考えてください。今回なら「xに4を加えた数」の部分がまるごとひとかたまりです。
この感覚が入ると、文章題の式づくりはぐっと楽になります。カッコをつけるかどうかで迷う時間がなくなるからです。
3. 3ステップで式を作る
では実際に作ってみましょう。文章を3つに区切ります。
ステップ1:「xに4を加えた数」を式にする
授業で生徒に「xに4を加えるといくつだ?」と聞いたとき、返ってきた答えは「4x」でした。
これ、とても多い間違いです。私はこう返しました。
「それ4xは4倍しちゃってる。じゃなくて、シンプルにx+4って書けない?」
「加える」は足し算、「◯倍」はかけ算。ここを取り違えると、その先の計算が全部ずれます。
xに4を加えた数 = x+4
ステップ2:「その5倍」を式にする
次は「4を加えた、その数の5倍」です。5倍なのでかけ算。ただしここで、さっきのカッコが登場します。
(x+4) を5倍 = 5(x+4)
x+4というかたまりをカッコで囲んで、それを5倍する。この1行が書けたら、授業ではこう言いました。
「はい1行目クリア。めっちゃ簡単じゃね?」
生徒も「簡単です」と返してくれました。実際、区切ってしまえば1行目はこれだけです。
ステップ3:右側を式にして、=で結ぶ
後半は「xを2倍して4を引いた数」です。ここも2つに区切ります。
- xを2倍 = 2x
- そこから4を引く = 2x−4
そして問題文の最後、「等しい」という言葉。「等しい」は、そのまま=に置きかえられます。方程式の「=」は、この一言から生まれます。
左と右、2つの数が等しいので=で結びます。
5(x+4) = 2x−4
方程式ができました。ここまで来れば、あとはいつもの計算です。
4. 式を解く。1行ずつ計算する
作った式を解いていきます。途中式は1行ずつ書きましょう。
5(x+4) = 2x−4
5x+20 = 2x−4
5x−2x = −20−4
3x = −24
x = −8
答え:x = −8
1行目から2行目は分配法則です。カッコの外の5を、カッコの中の2つ両方にかける。xだけにかけて「5x+4」としてしまう人が本当に多いので、ここは指を2回動かして確認してください。5×xで5x、5×4で20。だから5x+20です。
2行目から3行目は移項です。授業でも「これ計算するためにはどうしたらいい?」と聞いたら、生徒から「xはxで計算する」という答えが返ってきました。まさにその通りで、xはxどうし、数字は数字どうしに寄せます。
このとき、=をまたいで動かした項は符号が逆になります。右側の2xは左に移して−2x、左側の+20は右に移して−20です。移項は「引っ越すと符号が反対になる」と覚えておくと間違えにくくなります。
3行目から4行目は、寄せたものどうしの計算です。5x−2xで3x、−20−4で−24。最後は両側を3で割ってx = −8になります。
5. 検算。マイナスどうしの足し算に注意
実は授業では、この計算の途中で生徒がひとつミスをしました。「−20−4はいくつだ?」と聞いたら、返ってきたのは「−16」。
惜しい間違いです。私はこう説明しました。
「これが+4だったら−16でOKなんだけれど、−20に−4だから、−20をさらにマイナスさせたって感じ」
マイナスにマイナスを足すと、もっと小さくなります。−20から左に4つ進むので−24です。正の数・負の数のこの感覚は中1でいちばん引っかかるところなので、九九の要領で数をこなして慣れておくのがおすすめです。
では検算しましょう。x = −8 を、いちばん最初の式に戻して代入します。
- 左側:5(−8+4) = 5×(−4) = −20
- 右側:2×(−8)−4 = −16−4 = −20
両方とも−20で一致しました。検算は「作った式」ではなく「最初に作った式」に戻して入れるのがポイントです。移項したあとの式に入れても、移項をミスしていたら気づけないからです。
6. もう1問見てみましょう。調理実習の材料費
1問目は「日本語を式に置きかえる」練習でした。次は、少し状況が複雑な問題です。
> クラスで調理実習のために材料費を集めることになった。1人300円ずつ集めると材料費が2600円不足し、1人400円ずつ集めると1200円余る。このクラスの人数は何人か。
この問題文、読んだだけだと「紛らわしいな」と感じますよね。授業でも生徒は「ちょっとわかんない」と正直に言ってくれました。それでいいんです。
そこで私が最初にした質問はこれでした。
「今回、何が聞かれてるんだっけ?」
生徒の答えは「人数」。そこがスタート地点になります。
文章題の大前提は、聞かれているものをxとおくこと
今回聞かれているのはクラスの人数なので、クラスの人数をx人とおきます。何をxにするか迷ったら、問題文の最後の一文を読み返してください。答えてほしいものが、そのまま書いてあります。
7. 「足りない」「余る」を材料費にそろえる
人数をx人とおいたので、集まるお金は式にできます。
- 1人300円ずつ集めたとき = 300x(円)
- 1人400円ずつ集めたとき = 400x(円)
ここまでは生徒もすぐに出せました。問題はこの先です。集めたお金と材料費は、同じ金額ではありません。
300円ずつのときは「2600円不足」。集めたお金では材料費に届かないので、足りない分を足せば材料費になります。
- 材料費 = 300x+2600
400円ずつのときは「1200円余る」。集めすぎているので、余った分を引けば材料費になります。
- 材料費 = 400x−1200
この2つ目の式は、授業では生徒が自分で「400x−1200」と答えてくれました。「足りない」は足す、「余る」は引く。集めたお金ではなく、材料費という同じものにそろえるのがこの問題の核です。
そして、どちらも同じクラスの同じ材料費を表しています。同じものを2通りで表せたら、=で結べます。
300x+2600 = 400x−1200
8. 計算して人数を出す。検算まで
あとは1問目と同じです。xはxどうし、数字は数字どうしに移項します。
300x+2600 = 400x−1200
300x−400x = −1200−2600
−100x = −3800
x = 38
答え:クラスの人数は38人
ここでも−1200−2600の計算が出てきます。マイナスにマイナスなので−3800。1問目と同じ形なので、さっき慣れておいた考え方がそのまま使えます。
検算します。人数38人を、それぞれの式に戻します。
| 1人あたり | 集まるお金 | 材料費 | |
|---|---|---|---|
| 300円ずつ | 300円 | 300×38=11400円 | 11400+2600=14000円 |
| 400円ずつ | 400円 | 400×38=15200円 | 15200−1200=14000円 |
どちらも材料費は14000円で一致しました。しかも人数が38人という、クラスとして自然な整数になっています。答えが小数や負の数になったら、どこかで式を間違えている合図です。人数・個数・年齢を求める問題では、答えの見た目も吟味してください。
9. よくあるつまずき3つ
つまずき①:「加える」を「◯倍」と読み違える
授業でも最初に出た「x+4」を「4x」としてしまうミスです。加える・足すは足し算、◯倍・かけるはかけ算。文章題では日本語がヒントなので、動詞に線を引いてから式にすると防げます。
つまずき②:カッコをつけ忘れる
「4を加えた数の5倍」を 5x+4 と書いてしまう形です。これだと5倍がxにしかかかりません。「〜した数の◯倍」という言い方が出たら、まずカッコを書く。この一手だけで防げます。
つまずき③:マイナスどうしの足し算で符号を落とす
−20−4を−16としてしまうミスです。授業でも実際に出ました。数直線を思い浮かべて、「マイナスからさらに左に進む」とイメージすると間違えにくくなります。
このミスが起きるのは、頭の中で「20と4」だけを見て引き算をしてしまうからです。式を見たら符号まで含めてひとかたまりで読む。−20と−4という2つの数を足している、と声に出して読み直すだけでも、気づける回数が変わってきます。
10. よくある質問
Q. 何をxとおけばいいか、いつも迷います
原則は「聞かれているものをそのままxとおく」です。今回の材料費の問題なら、聞かれているのは人数なので人数をx人とおきました。材料費をxとおいても解けますが、最後に人数を出す一手間が増えてミスのもとになります。聞かれたものを直接xにするのがいちばん短い道です。
Q. 「足りない」なのに足すのが納得できません
「2600円足りない」は、集めたお金が材料費より2600円少ないという意味です。少ないほうに2600円を足せば、材料費と同じ金額になります。迷ったときは具体的な数字で試してみてください。材料費が1000円で900円しか集まらなければ100円足りない。900に100を足すと1000になりますよね。同じことです。
Q. 検算はどこまでやればいいですか
2つやると安心です。ひとつは最初の式に代入して両側が一致するか。もうひとつは、答えが問題の状況としておかしくないかの確認です。人数がマイナスや小数になっていないか、金額が現実的かを見ます。この2つを毎回やっておくと、テストで取りこぼす点数が減っていきます。
11. まとめ
・文章題は、日本語を前から短く区切って1行ずつ式にする
・「〜した数の◯倍」はカッコでくくってから◯倍する
・「等しい」という言葉は、そのまま=に置きかえる
・聞かれているものを、そのままxとおく
・「足りない」は足す、「余る」は引いて、同じもの(材料費)にそろえる
・答えが出たら最初の式に戻して代入。人数が整数かどうかも吟味する
一次方程式の文章問題は、日本語を式に置きかえる部分さえ手順化できれば、あとはいつもの計算です。今回の2問のように、区切って、カッコでくくって、=で結ぶ。この流れを何問か通すと、解ける問題は着実に増えていきます。
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