
円を1つは作れたんですけど、そのやり方で合ってるか自信がなくて。

なるほど、じゃあ一緒に「中心をどこに置くか」から整理してみようか。
これは、実際の授業でのやり取りです。中1数学の平面図形、作図の問題ですね。「半径がABと等しい」という条件だけを見ると手がかりが少なく感じますが、中心の位置に注目すると、答えの形が一気に見えてきます。今回はこの考え方を、作図の手順まで順番に解説します。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題
下の図で、2点A,Bを通り、半径が線分ABと等しい円Oを作図しなさい。【20点】
つまり、点Aと点Bの両方を通っていて、しかも半径がちょうど線分ABの長さと同じになる円を、コンパスと定規だけで見つける問題です。
まず「中心はどこか」を考える
円を作図する問題では、いきなり円をかこうとせず、中心の位置を先に決めるのが基本です。
中心をOとすると、円がAとBを通るので、OA(中心から点Aまでの距離)とOB(中心から点Bまでの距離)は、どちらも円の半径と同じ長さになります。
さらに今回は「半径が線分ABと等しい」という条件があるので、
OA = OB = AB
という関係が成り立ちます。
3辺が等しい→正三角形になる
OA、OB、ABの3つの長さがすべて等しいということは、点A、B、Oを結んでできる三角形は、3辺の長さが全部同じ、つまり正三角形になります。
半径の条件を「距離が全部同じ」と読みかえると、正三角形が見えてきます。ここが今回のいちばんのポイントです。
正三角形には「どの点と点を結んでも、その垂直二等分線は残りの頂点を通る」という性質があります。ということは、中心Oは、線分ABの垂直二等分線の上にあることになります。
中心Oは「半径ABの2つの円の交点」
垂直二等分線の上にあって、なおかつOA(=OB)がABの長さと等しい点。この条件を両方満たす点を、コンパスだけで作図する手順が次の3ステップです。
ステップ1: 点Aを中心に、半径ABの円をかく
コンパスを線分ABの長さに開き、点Aを中心にして円をかきます。
ステップ2: 点Bを中心に、同じ半径で円をかく
コンパスの開き具合を変えずに、今度は点Bを中心にして円をかきます。ステップ1と同じ半径にするのがポイントです。
ステップ3: 2つの円の交点を中心に、円をかく
2つの円は、線分ABの上下でそれぞれ1点ずつ交わります。この交点が、求める中心Oです(線分ABの反対側の交点はO’とします)。
Oを中心に、半径AB(=OA)の円をかけば、2点A,Bを通り半径がABと等しい円のできあがりです。同じようにO’を中心にしても、条件を満たす円がもう1つできます。
答えの確かめかた
作図が終わったら、目で見て確認できることが2つあります。
まず、点OとA、点OとBを結んだとき、その長さがどちらもABと同じくらいに見えるかどうか。極端にずれていたら、ステップ1・2でコンパスの半径を変えてしまっている可能性があります。
次に、A・B・Oの3点を結んだ三角形が、見た目にも正三角形っぽくなっているかどうか。ひしゃげた三角形になっていたら、交点の取り方を間違えているかもしれません。
この2点をさっと見るだけで、作図のミスにはだいたい気づけます。
よくあるつまずき
つまずき1: 円をいきなりかこうとしてしまう
「半径が同じ円」と言われると、コンパスをどこかに当てて円をかき始めたくなりますが、それでは中心の位置が定まりません。まず条件を満たす中心Oがどこにあるかを考えるのが先です。
つまずき2: 「半径が等しい」を図形の性質に結びつけられない
半径の条件だけを見ていると、次に何をすればいいか分かりません。OA=OB=ABという3つの等しい長さを、正三角形の3辺として読みかえるのが今回のカギです。この読みかえができると、垂直二等分線の作図という、すでに知っている手順に落とし込めます。
つまずき3: 円が1つしか見つからない
線分ABを対称の軸として、中心になれる点は上下に2つ(OとO’)あります。片方だけ見つけて満足せず、もう一方も条件を満たすことに気づけるかどうかも、作図問題では大事なポイントです。
よくある質問
Q. なぜ「半径が等しい」という条件から正三角形が出てくるのですか?
A. 円の半径とは、中心から円周上の点までの距離のことです。円がA,Bを通るので、中心Oから見るとOA、OBはどちらも半径。そこに「半径=AB」という条件が加わると、OA、OB、ABの3辺がすべて等しくなり、三角形OABは自動的に正三角形になります。
Q. 中心Oはなぜ垂直二等分線の上にあると分かるのですか?
A. 正三角形OABにおいて、頂点Oから底辺ABに向かって垂直二等分線を引くと、その線はちょうど頂点Oを通ります(正三角形はどの頂点からでも対辺の垂直二等分線が残りの頂点を通る性質があるためです)。逆にいうと、ABの垂直二等分線上にある点のうち、ABと同じ距離だけ離れた点が中心Oということになります。
Q. この考え方は他の作図問題にも使えますか?
A. はい。「距離の条件から図形の中心や頂点を作図する」というタイプの問題は、平面図形の単元でよく出てきます。今回のように、まず条件を「距離が等しい」という形に整理し、それを正三角形や垂直二等分線といった知っている性質に結びつけるという流れは、他の作図問題でも共通して使えます。
今回のポイントまとめ
- 円の作図は、円そのものより先に中心の位置を考える
- OA=OB=ABが成り立つとき、三角形OABは正三角形になる
- 正三角形の頂点は、対辺の垂直二等分線の上にある
- 中心Oは、AとBそれぞれを中心にした半径ABの円の交点として作図できる
- 交点は線分ABの両側に1つずつあり、条件を満たす円は2つ求まる
もっと詳しく見たい人は、実際の解説動画も参考にしてください。コンパスの使い方を、手元の映像で確認できます。
平面図形の作図は、手順を覚えるだけでなく「なぜその作図でいいのか」が分かると、初めて見る問題にも応用できるようになります。分からない問題があれば、公式LINEで気軽に質問してくださいね。
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