
この問題、文章が長すぎて…途中で何をしているのか分からなくなりました。

分かる(笑)。これはね、書き方がかなり意地悪な問題なんです。でも図を描きながら整理すると、実はやっていることはシンプル。今日は一緒に解いていきましょう。
こんにちは、オンライン学習塾Lafのおっしー塾長です。
今回は公式LINEに届いた、一次方程式の超難問を解説します。テーマは「水槽から水をくみ出す問題」。問題文がとにかく長くて、読んでいるうちに迷子になる問題の代表格です。
でも安心してください。長い文章題のつまずきの正体は、読解力ではなく「図にして整理する手順」を知らないことがほとんどです。この記事では、実際の生徒とのやり取りをもとに、図解で解く手順を最初から最後まで見せていきます。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
問題文の確認
まずは問題文を読んでみましょう。
> 水槽に水が入っており、この水を次のように順にくみ出していく。
>
> 1回目の操作では、水槽から水を10Lくみ出した後、さらに水槽に残っている水の1/10をくみ出す。
>
> 2回目の操作では、水槽に残っている水から20Lくみ出した後、さらに水槽に残っている水の1/10をくみ出す。
>
> 以下同様に、n回目の操作では、水槽に残っている水から10nLくみ出したあと、さらに水槽に残っている水の1/10をくみ出す。ただし、水槽に途中で水を足すことはしないものとする。
>
> 上の操作を、水槽から水をくみ出せなくなるまで繰り返したところ、水槽からくみ出した水の量はどの回でも等しくなり、水槽に入っていたすべての水がちょうどくみ出された。
>
> 最初、水槽に入っていた水の量をxLとする。
長いですよね(笑)。この問題に挑戦した生徒も「問題の意味がよくわかってない」と正直に言ってくれました。実はそれが正常な反応です。
長い文章題を、読んだだけで理解しようとしない
これが今日いちばん伝えたいことです。読んで分からなければ、図に描く。それだけで景色が変わります。
(1) 1回目にくみ出した水の量を図で整理する
最初の問いは「1回目の操作で水槽からくみ出した水の量をxを用いて表すと、1/10x+【ア】(L)である」の【ア】を埋める問題です。
ここで多くの人がこう考えます。

10Lくみ出して、残りの1/10だから…1/10x+10ですか?
気持ちはすごく分かります。でもここがこの問題最大のひっかけポイントです。
手順を図で追いかけましょう。
- 最初、水槽にはxLの水が入っている
- まず10Lくみ出す → 水槽に残っているのは x−10(L)
- 「残っている水の1/10」をくみ出す → くみ出すのは (x−10)×1/10
「水の1/10」は、最初のxの1/10ではなく、10Lくみ出した後の残り(x−10)の1/10なんです。
だから1回目にくみ出した水の量の合計は、
10+(x−10)×1/10
これを計算すると、
10+1/10x−1 = 1/10x+9
答えは【ア】=9です。
「+10」と書いてしまった人は、問題文の「さらに水槽に残っている水の1/10」という部分を図に描かずに読み流しています。複雑な問題ほど、いきなり答えを求めず図を描く。これが鉄則です。
(2) 方程式を立てて最初の水の量を求める
次は「1回目と2回目の操作でくみ出した水の量が等しいことから、xを求める」問題です。
2回目の操作を図に描く
1回目の操作が終わった時点で、水槽に残っている水は、
x−(1/10x+9) = 9/10x−9
2回目の操作では、まず20Lくみ出します。残りは、
9/10x−9−20 = 9/10x−29
さらにこの残りの1/10をくみ出すので、2回目にくみ出した水の量の合計は、
20+(9/10x−29)×1/10 = 20+9/100x−29/10
「どの回でも等しい」を方程式にする
問題文にこう書いてありました。「水槽からくみ出した水の量はどの回でも等しくなり」。
つまり、1回目にくみ出した量と2回目にくみ出した量をイコールで結べるということです。
1/10x+9 = 20+9/100x−29/10
両辺を100倍して分数を消す
このままだと1/10、9/100、29/10と分母がバラバラで計算しづらい。そこで両辺を100倍します。
計算は1行ずつ丁寧にいきます。
10x+900 = 2000+9x−290
9xを左辺に移項して、
10x−9x = 2000−290−900
x = 810
最初に水槽に入っていた水の量は810Lでした。
ここで大事なのは、「左辺と右辺のすべての項に100をかける」こと。片方だけ100倍したり、一部の項だけ100倍したりすると等式が崩れます。動画の中でも生徒が「勝手に100かけたら答えが違くなりません?」と質問してくれましたが、両辺に同じ操作をする限り、イコールの関係は保たれます。
1回にくみ出す量も求まる
xが分かれば、1回の操作でくみ出す水の量は「代入」で求められます。
1/10×810+9 = 81+9 = 90(L)
そして810÷90=9なので、この操作を9回行うと水槽の水はすべてなくなることも分かります。
ちなみに「代入」とは「代わりに入れる」という意味です。x=810と分かったから、式のxのところに810を代わりに入れる。漢字の意味そのままですね。
ここまでで、問題の全体像はこうなりました。
| 分かったこと | 値 |
|---|---|
| 最初の水の量 x | 810L |
| 1回の操作でくみ出す量 | 90L |
| 操作の回数 | 9回 |
(3) n−1回くみ出した後に残る水の量
次は「はじめに810L入っている水槽から、(n−1)回、90Lの水をくみ出したとき、水槽に残っている水の量」を式で表す問題です。
ここで生徒から鋭い一言が出ました。

あれ、でもnって9って分かったんだから、8回分を計算すればいいんじゃないですか?
その通りなんです(笑)。でもこの問題は「nを使った式で表せ」とわざわざ要求してくる。回りくどいですが、これが作者の意図なので真っ向勝負しましょう。
考え方はシンプルです。
- 最初にあるのは810L
- 1回で90Lくみ出す
- それを(n−1)回やる
810−90×(n−1) = 810−90n+90 = 900−90n(L)
「n−1回」を見た瞬間に難しく感じますが、「810から90Lずつ、n−1回引くだけ」と日本語に直せば、式は自動的に書けます。
(4) n回目にくみ出す量が90Lになることを確かめる
最後は総仕上げです。「n回目の操作で水槽からくみ出す水の量」を式にして、それが90Lになることを確かめます。
n回目の操作を図でイメージします。
- n回目の操作を始める時点で、水槽には 900−90n(L) 残っている((3)の答え)
- まず10nLくみ出す → 残りは (900−90n)−10n
- さらに残りの1/10をくみ出す
だから、n回目にくみ出す水の量の合計は、
10n+{(900−90n)−10n}×1/10
中カッコの中を整理すると、
900−90n−10n = 900−100n
この1/10倍は、
(900−100n)×1/10 = 90−10n
よって、くみ出す量の合計は、
10n+90−10n = 90(L)
10nと−10nが相殺されて、きれいに90Lだけが残りました。どの回でも90Lずつくみ出される、という問題文の条件と一致します。x=810は問題に適している、と確かめられました。
よくあるつまずきポイント
この問題で生徒がつまずいたポイントは、そのまま多くの中学生に共通します。
- 「残っている水の1/10」を「最初の水の1/10」と読み違える — 図を描いて「今、水槽に何L残っているか」を毎回確認すれば防げます
- 分数入りの方程式で手が止まる — 分母が10と100なら、両辺を100倍。分数は消してから解くのが基本です
- 「n−1回」などのnを使った表現にひるむ — 「何をn−1回やるのか」を日本語で言い直してから式にします
- 空欄だらけの問題形式に混乱する — 空欄は「誘導」です。前の空欄の答えが次の式の材料になるので、順番に埋めていけば道はつながっています
ちなみに動画の中では、私自身も計算の途中で書き間違えて「間違えた間違えた」と訂正する場面があります(笑)。複雑な式は誰でも間違えます。大事なのは、間違いに気づける「検算の習慣」の方です。
FAQ
Q. 文章題はいつも図を描いたほうがいいですか?
A. 迷ったら描く、でOKです。特に「操作を繰り返す」「量が変化していく」タイプの問題は、図にすると変化が目で追えるので圧倒的に楽になります。描き方に決まりはありません。今回のように水槽の絵と矢印だけでも十分です。
Q. 図を描こうとしても、何を描けばいいか分かりません。
A. 問題文を1文ずつ区切って、「1文につき1つの動き」を絵にしていきます。今回なら「10Lくみ出す→矢印1本」「残りの1/10をくみ出す→矢印もう1本」。問題文の情報が出てきた瞬間に描き込むのがコツです。
Q. この問題は何年生向けですか?
A. 使っている知識は中1の一次方程式だけです。ただし文章の読み取りと式の整理が重いので、入試レベルの応用問題として中2・中3の復習にも向いています。
まとめ
- 長い文章題は、読んだだけで理解しようとせず図に描いて整理する
- 「残っている水の1/10」=くみ出した後の残りの1/10。ひっかけに注意
- 分母が10と100の方程式は両辺を100倍して分数を消す
- 「n−1回」は「何をn−1回やるか」を日本語に直してから式にする
- 空欄は誘導。前の答えが次の材料になっている
分からない問題を写真に撮って送るだけで、Laf先生が解説を返します。数学の文章題で困ったら、いつでも公式LINEで質問してください。
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