中3理科の生物、体細胞分裂の単元。図を見て「分裂が進む順に並べなさい」と言われて、手が止まった人は多いはずです。

細胞分裂の図の並べ替え、どれが最初でどれが最後か分からなくて、いつも当てずっぽうで並べちゃいます…

その気持ち、めちゃくちゃわかる。実はこれ、5つの図をまるごと覚える必要はないんだ。「染色体」がどう動くか、その1本の流れだけ追えば順番は勝手に決まるよ。一緒に見ていこう。
この記事では、実際の授業で使った問題を例に、順番の見分け方と、みんながいちばんつまずく「(2)分裂前に核の中で起きていること」を順番に説明します。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
1. 今回の問題
まず問題です。A〜Eの5つの図(立方体で描かれた細胞)が、細胞分裂のいろいろな段階を表しています。
> 次の図は、細胞が分裂するようすを表したものである。あとの問いに答えなさい。
> (1) 細胞分裂が始まるときに現れる、ひも状のアを何というか。
> (2) 細胞分裂を始める前に、細胞の核の中ではどのようなことが起こっているか。
> (3) 図のAから、細胞分裂が進む順に記号を並べよ。
暗記が多いイメージの理科ですが、この問題は丸暗記では解けません。逆に言えば、仕組みを1つ理解すれば全部つながって答えが出るタイプの良問です。順番に見ていきましょう。
2. まず(1):分裂のときに現れる「ひも状のもの」=染色体
(1)は多くの人が即答できます。答えは染色体(せんしょくたい)です。
細胞が分裂を始めると、核の中に、それまで見えなかったひも状(ひもじょう)のものが現れます。これが染色体です。ふだんは核の中でほどけて散らばっているので見えませんが、分裂のときにギュッと太く短くまとまるので、顕微鏡で見えるようになります。
この染色体という言葉が、実はこのあとの(2)(3)を解くカギになります。だから(1)は「ただの用語問題」ではなく、この問題全体の主役の名前を確認していると思ってください。
3. 次に(3):順番は「スタートとゴール」を先に決める
並べ替えは、いきなり真ん中から考えると迷います。順番はいつも同じ手順で決めましょう。
ステップ1:スタート(A)とゴールを先に押さえる
問題文に「図のAから」と書いてあるので、スタートはA。これは分裂前の、まだ何も起きていないように見えるふつうの細胞です。
そしてゴールは、細胞が2つに分かれて分裂が完了した図。今回はこれがCです。まず両端をこうやって固定してしまいます。
スタート=A、ゴール=C。あとは間をつなぐだけ
ステップ2:真ん中は「染色体の動き」だけを追う
間の3つ(D・E・B)は、染色体がどう動くかで順番が決まります。動きはいつもこの流れです。
- ① 現れる:核の中にひも状の染色体が見えてくる → D
- ② 並ぶ:染色体が細胞の中央に一列に並ぶ → E
- ③ 分かれる:染色体が両側に分かれ、間に仕切りができる → B
「散らばって見えない → 現れる → 真ん中に集合 → 両側にサヨナラして仕切りができる → 2つになる」。染色体が旅をしていくイメージで追うと、迷いません。
ステップ3:順に並べる
スタートと染色体の動きをつなぐと、
A → D → E → B → C
これが答えです。5つの図を暗記したのではなく、染色体の動き1本で決めた、というのがポイントです。
ちなみに授業でこの問題を解いた生徒さんは、最初「Aの次はE」と答えました。気持ちは分かります。でも染色体が中央に並ぶ(E)前に、まず核の中に現れる(D)段階が必ずある。この「現れる」を飛ばさないことが、順番を間違えないコツです。
4. いちばんの山場は(2):分裂前、核の中で「染色体が複製されている」
さて、この問題でいちばん差がつくのが(2)です。「細胞分裂を始める前に、核の中でどんなことが起こっているか」。
授業でも、生徒さんはここで手が止まりました。「核の中だから…核細胞(かくさいぼう)?」という答えが出たのですが、「核細胞」という言葉は理科にはありません。似た言葉を思い出そうとして、つい口から出てしまうところ。ここを正しい言葉と仕組みで押さえましょう。
考え方はこうです。分裂が終わると、細胞は2つになりますね。その2つの細胞のどちらにも、同じ染色体がそろっていないといけない。もとの染色体が1セットしかないのに2つに分けたら、片方が足りなくなってしまいます。
だからどうするか。分裂を始める前に、染色体をコピーして数を倍にしておくんです。この「コピーして数を倍にする」ことを、理科では複製(ふくせい)といいます。
答え:染色体が複製されている
例えるなら「配る前にコピーを取る」
抽象的に感じたら、プリントの配布をイメージしてください。1枚しかないプリントを2人で分けたら、どちらも半分ずつしかもらえません。でも先にコピー機でもう1枚コピーを取ってから分ければ、2人とも同じプリントを1枚ずつ持てます。
細胞も同じで、分ける前に染色体のコピー(複製)を取っておくから、分裂後の2つの細胞がどちらも同じ染色体をそろえられる、というわけです。
5. 3つの流れでまとめて覚える
ここまでを一本につなぐと、体細胞分裂は結局この3ステップです。
複製する → 分裂する → 新しい細胞が2つできる
- 複製:分裂前に、核の中で染色体をコピーして倍にする(=(2)の答え)
- 分裂:染色体が現れて(D)、中央に並び(E)、両側に分かれて仕切りができる(B)
- 完成:まったく同じ染色体を持つ細胞が2つできる(C)
この3つの流れが頭に入っていれば、(1)の用語も、(3)の順番も、(2)の「複製」も、バラバラの暗記ではなく1つの物語として思い出せます。細胞分裂は「コピーしてから分ける」。これだけ押さえてください。
6. よくあるつまずき2つ
つまずき①:(2)を「複製」と言えず、別の言葉にしてしまう
今回の生徒さんのように「核細胞」など、聞いたことのある言葉を当てはめてしまうミスです。ここで問われているのは核の中で何が起きているかであって、答えは「染色体が複製されている」。用語があやふやなときは、丸暗記でなく仕組みから戻るのが理科の鉄則です。「分裂後に両方へ同じ染色体を配るために、先にコピーしている」——この理由とセットで覚えれば、言葉も自然に出てきます。
つまずき②:(3)で「並ぶ(E)」を先にしてしまう
「Aの次はE」と答えてしまうパターン。染色体が中央に並ぶ(E)ためには、その前に核の中に染色体が現れる(D)段階が必要です。「現れる → 並ぶ」の順は絶対に逆にならないと覚えておきましょう。
7. よくある質問(FAQ)
Q. 染色体って、ふだんは細胞の中にないの?
あります。ただ、ふだんはほどけて核の中に散らばっているので、顕微鏡では見えません。分裂のときだけ太く短くまとまって、ひも状に見えるようになります。「新しく作られる」のではなく「見える形に変わる」と理解してください。
Q. 複製するのはいつ?分裂が始まってから?
分裂が始まる前です。だから問題文も「細胞分裂を始める前に」とわざわざ書いています。準備(複製)をすませてから、分裂の動きが始まる、という順番です。
Q. 動物の細胞でも植物の細胞でも同じ?
染色体を複製してから分ける、という大きな流れは同じです。細かい違いとして、仕切りのでき方が変わります(植物は中央に仕切り=細胞板ができ、動物は外側からくびれて分かれる)。ただ、順番を問う問題では「染色体がどう動くか」で追えば同じように解けます。
8. まとめ
・(1) 分裂のとき核に現れるひも状のもの=染色体
・(2) 分裂を始める前、核の中では「染色体が複製されている」
・複製する理由=分裂後の2つの細胞に、同じ染色体を配るため
・(3) 順番はスタート(A)とゴール(C)を先に決め、間は染色体の動き(現れる→並ぶ→分かれる)で追う → A→D→E→B→C
・体細胞分裂は結局「コピーしてから分ける」の3ステップ(複製→分裂→2つの細胞)
この問題は、Lafの授業で実際に解説したものを記事にしたものです。「理科の用語がなかなか覚えられない」「図の並べ替えが苦手」という単元があれば、公式LINEから気軽に送ってください。
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