部活も引退して、「よし、夏から本気出すぞ」と思っていたのに、気づいたら昼までスマホを触っていて、夕方になって「今日も何もしてない…」と罪悪感だけが残る。そんな中3の夏を過ごしている受験生、そして「うちの子、引退したのに全然勉強を始めなくて」と心配している保護者の方へ。
こんにちは、オンライン学習塾Lafのおっしー塾長です。今日は「中3の夏、受験勉強は何から始めればいいですか」というご相談に答えていきます。結論から言うと、中3の夏休みの勉強法でいちばん大事なのは、1日8時間机に座ることではなく、中1・中2の「穴」を1つずつ消すことです。8時間できなくても、間に合います。

部活を引退したら急に時間が空いちゃって、何から始めればいいかわからないんです。気づいたらスマホばっかり触ってて…

その状態、あなたの意志が弱いせいじゃないんです。理由もやることも、今日ぜんぶ整理していきましょう。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
夏にやることは「中1・中2の穴を消す」の1つだけ
「夏は受験の天王山」という言葉、聞いたことがありますよね。この言葉のせいで「夏は1日8時間勉強しないとダメなんだ」と焦ってしまう人が多いのですが、実は焦って全部やろうとするのがいちばん危ないんです。
そもそも「天王山」の本当の意味を知っていますか?
天王山とは、豊臣秀吉と明智光秀が戦った「山崎の戦い」で勝敗を分けた山のことです。大阪と京都の境あたりにあるこの山を、先に押さえた側が勝つと言われていて、実際に先に取った秀吉が勝ちました。つまり「勝負の分かれ目になる、いちばん大事な場所」という意味です。
「長時間勉強した人が勝つ」という意味ではありません。夏休みという大事な期間を「押さえた」人が勝つ、ということなんです。
では、何を押さえればいいのか。ここが今日の核心です。
夏休みは、学校の授業が止まっている唯一の長期間です。ふだんは新しい単元を学ぶのに追われ、宿題に追われ、定期テスト対策に追われて、前の学年の復習をする余裕はなかなかありません。
でも成績を上げるために本当に大切なのは、前の単元の抜け漏れをなくすことです。連立方程式は方程式がわかっていないと解けないし、二次関数のグラフの前には一次関数、その前には比例のグラフが必要です。前の学年が弱いまま新しいことだけ積み上げても、基礎が抜けていては積み上がりません。
だからこそ、授業が止まっている夏休みは、自分の抜けている基礎を徹底的に振り返れる貴重な時間なんです。
前の学年に戻るのは、後退じゃなくて近道。ちょっと怖く感じるかもしれませんが、そこから取り組むのがいちばんの近道です。
引退したのに切り替えられないのは、意志が弱いからじゃない
「わかってるけど、切り替えられない」。その気持ちにも、ちゃんと理由があります。
部活を引退した後にやる気が出なくなる状態は「部活ロス」と呼ばれていて、ごく自然な反応です。なぜかというと、引退した瞬間に次の3つが一度に起こるからです。
- 毎朝の部活から始まっていた生活リズム(1日の時間割)が丸ごと消える
- 部活をやり切った達成感と空虚感が同時にやってくる
- ぽっかり空いた時間をどう使えばいいか、「受験生の生活」は誰も教えてくれない
人間は、空いた時間にはいちばんラクなものを入れてしまいます。だからスマホに手が伸びる。これは意志が弱いのではなく、時間割が消えただけなんです。
なので、「切り替えられない自分はダメだ」という自己否定はしなくて大丈夫です。根性や自制心のせいにして反省するのは、今日でおしまいにしましょう。必要なのは反省ではなく、仕組みとやり方を知って実行することです。
生活リズムそのものが崩れてしまっている場合は、先にこちらの記事から立て直すのがおすすめです。

1日1時間×40日で、1教科分の授業時間に届く
「もう7月末だし、遅いんじゃないか」と思っている人に、希望の出る割り算を1つ紹介します。
1つの教科が1学期に学ぶ授業時間は、おおよそ45時間ほどと言われています。一方、夏休みはおよそ40日。つまり、
1日1時間 × 40日 = 40時間
1日たった1時間の勉強でも、1つの教科の1学期分をまるごと復習できるくらいの時間が確保できる計算になります。1日1時間、あなどれませんよね。
8時間座れなくても大丈夫な理由が、この割り算です。大事なのは長さではなく、ゼロの日を作らないこと。今日1時間から始めれば、まだ全然間に合います。
夏にやってはいけない勉強法3つ
やることの前に、やってはいけないことを先に押さえておきましょう。この3つは本当に多い失敗パターンです。
NG①:いきなり「1日8時間」の計画を立てる
帰宅部だった人がいきなりフルマラソンに出るようなものです。ほぼ確実に三日坊主になって、「やっぱり自分はできないんだ」という自己嫌悪だけが残ります。ふだんから勉強している人ならいいのですが、これから始める人がいきなり立てる目標ではありません。
NG②:新しい問題集を買い込む
モチベーションが上がると新しい問題集を買いたくなりますよね。でも、今持っている学校のワークや塾の教材を1冊3周やり切るほうが、確実に伸びます。いろいろなものに手を出すのではなく、今持っている武器を使いこなせるところまで磨き上げましょう。
NG③:いきなり応用問題・過去問から入る
基礎に穴があるうちに応用問題や過去問をやるのは、穴の空いたバケツに水を注ぐようなものです。どれだけ時間を注いでも貯まりません。先に穴をふさぐ。これが夏の仕事です。夏休み前までに基礎の復習が済んでいる人は応用・過去問に入ってOKですが、まだ穴がある人は、埋めてから実践に進みましょう。
【無料特典】どこに戻ればいいかわかる「対応表」
「穴を埋めると言われても、どこに戻ればいいかわからない」という人のために、無料の特典を用意しています。公式LINEで「天王山」と送ると、数学のつまずき単元ごとに「どの単元に戻ればいいか」が一目でわかる戻る場所の対応表と、定期テスト振り返りワークショップのご案内が無料で受け取れます。
追加したら「天王山」と送ってね。
今日からできる5つのステップ
ここからが心臓部です。中3の夏休みの受験勉強は、この5ステップで進めてください。
ステップ①:志望校を「仮」でいいから1つ置く
ゴールのないマラソンは、いつまで走ればいいかわからないから続きません。ダイエットも「目標体重なしで食事制限を一生続けなさい」と言われたらモチベーションが持ちませんよね。それと同じで、仮でいいので志望校を1つ決めましょう。
「カラーバス効果」という言葉があります。「今日は赤い車を探してください」と言われると、その日1日「赤い車、めっちゃ多いな」と感じる現象です。人間の脳は、一度意識した情報を勝手に拾い上げるようにできています。志望校を1回調べるだけで、その高校に関する情報が自然と目に入るようになるんです。最近はスマホで1回検索すれば、関連する情報がおすすめに流れてくるようにもなります。アルゴリズムにハックされる側ではなく、自分の目標を応援させる側として使ってやりましょう。
「志望校を下げる」判断は12月の三者面談でもできます。逆に、後から上げるのは大変です。だから今は高めに仮置きでOK。詳しくは三者面談の回でも話しています。
ステップ②:穴を「見える化」する
次に、自分の穴がどこにあるのかを分析します。やり方は簡単で、1学期の定期テストを引っ張り出して、間違えた問題を3段階で仕分けするだけです。
- A:不注意で間違えた(いわゆるケアレスミス系)
- B:知識はあったけど、応用問題で解けなかった
- C:そもそも知識がなかった
多くの人は、定期テストが終わった後の振り返りをやっていません。でも1時間振り返るだけで、夏にやるべきことがはっきり見えます。計画(Plan)と実行(Do)だけで終わらせず、チェック(Check)と改善(Action)までやる。PDCAのCとAが抜け落ちている中高生は本当に多いので、ここで差がつきます。
ステップ③:英語と数学から始める
全教科をいきなり頑張る必要はありません。教科は大きく2種類に分かれます。
| 種類 | 教科 | 夏にやるべき? |
|---|---|---|
| 積み上げ系 | 英語・数学 | ◎ 夏が最優先。前の単元に戻れるのは今だけ |
| 暗記系 | 理科・社会 | △ 単元が独立しているので秋からでも挽回できる |
英語はbe動詞がわからなければ、現在進行形も受け身も「be動詞+〇〇」なのでぜんぶ崩れます。数学も同じで、積み上げ系は前の単元に戻ることが必須。だから時間のある夏のうちに押さえておくべきなのは英語と数学です。
理科・社会は暗記系なので、早くやりすぎると受験本番までに忘れてしまいます。直前に詰め込むほうが効率的です。ただし、英数の基礎がすでに固まっていて理科にも手を付けたい人は、数式を使う「物理」と「化学」の単元だけは理解系なので、夏のうちに先にやっておくのがおすすめです。
理科・社会の覚え方は、こちらの回で詳しく話しています。

ステップ④:毎日固定の「1枠」から始めて、5日ごとにレベルアップ
新しい習慣を作るには時間がかかります。よく「333の法則」と言われていて、3日(三日坊主の壁)→3週間(習慣になる)→3か月(やらないと気持ち悪くなる)という段階を踏みます。いちばん大変なのは最初の3週間です。
だからこそ、いきなり詰め込まずに、「必ずやる1枠」を1つだけ決めて毎日固定しましょう。おすすめは朝の1時間です。夜は1日の疲れで意志力が落ちていて、誘惑も多く、コントロールしづらい時間帯です。朝なら誘われることも少ないし、朝いちばんに「マスト」を終わらせると、達成感と「今日の自分はやれる」という自己肯定感で1日を過ごせます。
そして5日間続いたら30分足す。この「5日ごとにレベルアップ」方式なら、無理なく勉強時間が伸びていきます。マストとベターの考え方は、夏休みの計画の立て方の回で詳しく話しています。

ステップ⑤:丸付けと解き直しまでで「1セット」
最後のステップは、勉強の「終わり方」です。実は、問題を解くだけでは、まだ勉強に入っていません。
問題を解いている段階は、健康診断を受けているようなものです。どこが得意でどこが苦手かを調べているだけ。丸付けをして、できた問題とできなかった問題を仕分けして、解けなかった問題を解けるようにするところからが本当の勉強です。
人間は1日寝ると、覚えたことの7割ほどを忘れてしまうと言われています(エビングハウスの忘却曲線)。せっかく理解した問題も、放っておけば翌日には抜けていきます。だから翌日にもう一度サクッと解き直す。これだけで定着はまるで変わります。
効率を求めるのではなく、効果を求める。同じ問題を解き直すのは一見効率が悪そうに見えますが、やった内容が定着するまでやり切るのが、いちばん効果のある勉強法です。
「1日6〜8時間」という目安の本当の読み方
いろいろなサイトに「受験生の夏は1日6〜8時間」と書いてあって、プレッシャーに感じている人も多いと思います。でもこの数字は、8時間ぶっ通しという意味ではありません。午前3時間+午後3時間+夜2時間のような分割の合計で、塾や夏期講習の授業時間も込みの数字であることがほとんどです。
今まで勉強習慣がなかった人は、1時間から始めて5日ごとに伸ばしていけば大丈夫。大事なのは時間の長さより「ゼロの日を作らない」ことです。
過去問と模試はいつから?
過去問は、夏の段階では1年分だけ解いてみるのがおすすめです。目的は点数ではなく「どんな形式で、どこが出るのか」を知ること。本格的な過去問演習は、基礎の穴を埋め終えた秋以降で間に合います。
模試は、判定に一喜一憂しないこと。見るべきは判定より「分野別の正答率」です。どの分野が弱いかを夏の復習リストに変換すれば、模試は最高の「穴発見器」になります。
保護者の方へ——「勉強しなさい」がいちばん効かない夏
最後に、これを読んでくださっている保護者の方へ。いつもお疲れ様です。
引退直後のお子さんがだらけて見える時期は、実は本人がいちばん「やらなきゃ」と思っている時期です。そこに「受験生でしょ」「勉強しなさい」を重ねると、罪悪感が反発に変わってしまいます。
おすすめは、指示ではなくヒアリングです。「今日のマスト1個は、何やる予定?」と聞いてあげてください。本人が自分で決めて口に出すことに意味があります。
中高生は、自分ではもう大人だと思っています。親からするとつい最近までハイハイしていた子でも、対等な大人として「あなたはどう考える?」と聞いてもらえると、子どもは自分で考え始めます。もし直接聞くのが難しければ、毎朝7:15からのInstagramライブ配信を朝ごはんの時間に一緒に流して、「先生はこう言ってるけど、どう思う?」と話のきっかけにしていただくのもおすすめです。
よくある質問
Q. 塾なしで大丈夫?
基礎の復習だけなら、塾なしでも大丈夫です。学校のワークか市販の基礎復習用の1冊を、3周する勢いでやり切ってください。9月以降は、模試だけ外部で受けて立ち位置を確認するのがおすすめです。
Q. 夏期講習は行くべき?
「1人だとカリキュラムが作れない」「学習ペースがつかめない」という人には有効です。ペースメーカーとして使いましょう。また、偏差値60以上の高校を目指していて、基礎はできているけれど入試レベルの応用問題・過去問の解説だと理解しきれない、という人も夏期講習で対策する価値があります。ただし「行くだけ」で安心しないこと。
Q. もう7月末。遅くない?
天王山の意味を思い出してください。「先に動いた方が有利」です。今日1時間から始めれば、今日から有利側に回れます。
Q. 志望校が決まっていません
仮置きでOKです。夏のオープンスクールで実際に見て決めるのがふつうですし、最終決定は12月の三者面談でもできます。
まとめ:夏の仕事は「穴をふさぐ」1つだけ
- 夏休みは学校の授業が止まる唯一の40日。前の学年に戻るのは「後退」じゃなくて「近道」
- 切り替えられないのは意志のせいじゃなく「部活ロス」。仕組みで解決する
- やってはいけない3つ=①いきなり8時間計画 ②問題集の買い込み ③いきなり応用・過去問
- 5ステップ=①志望校を仮置き ②穴を見える化 ③英数から ④毎日固定の1枠・5日ごとにレベルアップ ⑤丸付けと解き直しまでで1セット
- 時間の長さより「ゼロの日を作らない」
Lafでは、無料のオンライン授業や、定期テスト振り返りワークショップも開催しています。「1人だと始められない」という人こそ、うまく使ってください。
追加したら「天王山」と送ると、数学の「戻る場所の対応表」とワークショップのご案内が受け取れます。
動画でくわしく確認する
この内容は、こちらの動画でくわしく話しています。
毎朝7:15から勉強相談ライブをやっています
オンライン学習塾Lafのおっしー塾長が、毎朝7:15からInstagramで中学生の勉強相談ライブを配信しています。
「やる気が出ない」「覚えられない」といった悩みに、その場でお答えします。
勉強の悩みを直接相談したいときは、公式LINEからどうぞ。無料でお答えします。





関連記事