連立方程式の計算はできるのに、文章題になったとたんに手が止まる。しかもそこに「30%」「45%」という割合が混ざってくると、何をどう式にすればいいのか分からなくなる。中2数学でとても多いつまずきです。

人数の問題なんですけど、180人とか63人とかの数字は分かるんです。でも30%とか45%とかの割合を、どうやって式に入れればいいのか分からなくて。0.45%とかは使えないですよね?

そこで止まれたのは、いい止まり方だよ。割合はそのまま式に置かずに、人数の形に直してから入れるんだ。やることはいつもと同じで、聞かれていることを文字で置いて、表に整理する。その順番でいくと、割合の行も普通に式になるよ。
この日の授業も、この「割合をどう数式にするか」からスタートしました。結論から言うと、特別なテクニックは1つも使っていません。普段から言っている2つの手順をなぞっただけで、答えまでたどり着いています。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題
今回考えるのは、次の問題です。
> T中学校の2年生の人数は、男女合わせて180人である。そのうち、ボランティア活動に参加したことがあるのは63人で、男子の30%(=0.3倍)と女子の45%(=0.45倍)であるという。このとき、T中学校の2年生の男子と女子の人数を、それぞれ求めなさい。
出てくる数字は、180人、63人、30%、45%の4つです。数が多いうえに、人数と割合という種類のちがうものが混ざっているので、読んだだけでは式の形が見えません。
生徒さんが止まったのも、ちょうどここでした。「180と63は人数だから足し算や引き算で使えそう。でも30%と45%は、そのままでは足せない」。この違和感は正しくて、実は解き方の入り口そのものです。人数と割合は、同じ土俵にのせないと計算できません。
このタイプは、定期テストでも入試でもくり返し出てきます。人数を男女で分ける問題、部活の人数を学年で分ける問題、商品の値段を定価と割引で分ける問題。見た目は変わっても、使う手順は同じです。
考え方の核: 文字で置いて、表に整理する
文章題で手が止まったとき、いちばんやってはいけないのが「いきなり式を書こうとすること」です。おっしーが授業でいつも言っているのは、次の2つだけです。
- 聞かれていることを文字で置く
- 表に整理する
まず1つ目。この問題で聞かれているのは「男子の人数」と「女子の人数」です。だから、そのまま男子をx人、女子をy人と置きます。
男子の人数をx人、女子の人数をy人とする
「何を文字で置くか迷う」という相談はとても多いのですが、多くの問題では答えを出すように言われているものが、そのまま文字の置き場所になります。まずはそこから疑ってください。
次に2つ目の、表に整理するほうです。この問題には、人数の情報が2種類あります。全体の人数と、ボランティアに参加した人数です。そして、その2種類それぞれに男・女・全体があります。縦と横で2方向に分かれているので、表が作れます。
表にすると、式を「ひらめく」必要がなくなります。表の1行が、そのまま1本の式になるからです。行が2つあれば式も2本。文字がxとyの2つなので、式も2本必要でした。ちょうど数が合います。
割合をどう扱うかで悩んでいたのが、表を作り始めたとたんに「この欄には何が入るか」という具体的な問いに変わります。悩みの形が変わると、手は動き出します。
ステップ1: 表に整理して、式を2本つくる
作る表は、3行2列です。
- 縦(行): 男・女・全体
- 横(列): 全体の人数・ボランティア参加
まず、全体の人数の列を埋めます。男子はx人、女子はy人、そして全体は問題文にある180人です。
ここから、いちばん上の行がそのまま1本目の式になります。
x + y = 180
男子と女子を足したら学年全体の人数になる。当たり前のことを、そのまま式にしただけです。
次が本題の、ボランティア参加の列です。ここで、悩んでいた割合が登場します。ここでのルールは1つだけです。
割合は、もとにする量にかけて人数に直す
男子の30%=0.3は、男子全体のx人をもとにした割合です。
0.3 × x = 0.3x(人)
女子の45%=0.45も、女子全体のy人をもとにした割合なので、
0.45 × y = 0.45y(人)
この2つを表のボランティアの欄に書き込みます。そして全体の欄には、問題文にある63人が入ります。
これで、ボランティアの行がそろいました。男子の参加者と女子の参加者を足すと、参加者全体の63人になります。
0.3x + 0.45y = 63
これが2本目の式です。「%は使えない」と止まっていた部分が、0.3xと0.45yという人数の形に変わったので、足し算ができるようになりました。
あらためて、2本の式を並べます。
x + y = 180
0.3x + 0.45y = 63
ここまで来れば、あとは計算するだけです。表を作り始めてから式が2本そろうまで、ひらめきを使っていないことを確かめてみてください。
ステップ2: 小数の式を整理する(100倍して約分)
2本目の式には小数が入っています。このまま解いても答えは出ますが、小数の計算はミスが増えやすいところです。先に整理しておきます。
小数を消すには、10や100をかけます。今回は小数第2位まであるので、両辺を100倍します。
0.3x × 100 = 30x
0.45y × 100 = 45y
63 × 100 = 6300
30x + 45y = 6300
小数が消えました。ここで、右辺の63にも100をかけるのを忘れないでください。左辺だけ100倍して右辺を63のままにすると、そこから先はどれだけ丁寧に計算しても答えは合いません。
さらに、数字が大きいので約分します。授業でも「何で割ろうか」と相談しながら進めました。30と45と6300は、どれも5で割れます。
30x ÷ 5 = 6x
45y ÷ 5 = 9y
6300 ÷ 5 = 1260
6x + 9y = 1260
まだ割れます。6と9と1260は、どれも3で割れます。
6x ÷ 3 = 2x
9y ÷ 3 = 3y
1260 ÷ 3 = 420
2x + 3y = 420
ここまで小さくなりました。係数が小さいほど、このあとの計算はミスが減ります。「割れるところまで割る」を先にやっておくと、あとが楽になります。
整理できた2本を並べます。
x + y = 180
2x + 3y = 420
最初に見た小数の式と比べると、別の問題のように見えるくらいすっきりしました。
ステップ3: 代入法で解く
ここからは、いつもの連立方程式です。今回は代入法を使います。
代入法は、片方の式を「x=〜」または「y=〜」の形にして、もう片方の式に入れる方法です。x + y = 180 は、xについてもyについても簡単に解けます。どちらの形にするかは、代入したあとの計算が楽なほうを選びます。
ここでは、xについて解いた形を使います。
x + y = 180
x = 180 – y
この x = 180 – y を、もう1本の式 2x + 3y = 420 のxの場所に入れます。
2(180 – y) + 3y = 420
かっこを外します。2を180にも、-yにもかけます。
360 – 2y + 3y = 420
yの項をまとめます。-2y + 3y は y です。
360 + y = 420
360を右辺に移します。
y = 420 – 360
y = 60
女子の人数が60人と出ました。これを x = 180 – y にもどします。
x = 180 – 60
x = 120
答えは 男子120人、女子60人 です。
かっこを外すところで符号を落としやすいので、2(180 – y) の展開は1行ずつ書くようにしてください。頭の中で2手進めようとしたときに、-2yが+2yになるミスが起きます。
検算: 36人と27人を足して63人になるか確かめる
答えが出たら、問題文にもどして確かめます。この問題は、ボランティアの人数で確認できます。
男子120人の30%=0.3×120は、
0.3 × 120 = 36(人)
女子60人の45%=0.45×60は、
0.45 × 60 = 27(人)
この2つを足します。
36 + 27 = 63(人)
問題文の「ボランティア活動に参加したことがあるのは63人」と一致しました。検算は、答えを問題文の条件にもどして確かめることです。自分の計算をもう一度なぞるのではなく、問題文の数字と突き合わせるのがポイントになります。
もう1つ、男女の合計も見ておきます。
120 + 60 = 180(人)
こちらも問題文の180人と一致します。2か所そろって合ったので、この答えで進められます。
答えの吟味も1つ。男子のほうが人数は多い(120人)のに、ボランティア参加者は36人。女子は人数が少ない(60人)のに27人が参加しています。割合が30%と45%で女子のほうが高いので、人数の差ほどには参加者の差が開かない。この感覚と計算結果が合っているかを見るのも、答えのチェックになります。もし男子の参加者が女子より少ない、といった答えが出たときは、どこかでxとyが入れかわっている可能性が高いです。
よくあるつまずき
つまずき①: 割合を「かける数」に直せない
この記事の生徒さんが止まったところです。30%や45%を、そのまま式に書こうとして手が止まります。%は「全体を100としたときの数」なので、そのままでは人数と足せません。30%は0.3、45%は0.45。もとにする量にかけて、人数の形にしてから式に入れる。この1手を入れるだけで、あとは普通の連立方程式になります。
そして、かける相手を取りちがえないことも大切です。男子の30%=0.3×xなのだから、かける相手は男子のx。ここで全体の180にかけてしまうと、意味のちがう式ができます。表に整理しておくと、「その欄は男の行だからxにかける」と目で確認できます。
つまずき②: 代入法で、どちらの文字に代入すると楽か迷う
x + y = 180 は、x = 180 – y にも y = 180 – x にもできます。どちらでも答えは同じですが、代入したあとの計算量は変わります。目安は、代入する先の式で係数が小さいほうの文字を消すことです。
迷って止まってしまうくらいなら、どちらかを選んで最後まで進めてください。途中で大変になったら、もう一方でやり直せば済みます。
つまずき③: 両辺にかけるとき、右辺を忘れる
小数を消すために100倍するとき、左辺の2つの項にだけ100をかけて、右辺の63をそのままにしてしまうミスです。30x + 45y = 63 という式ができあがり、そこから先はどうやっても答えが合いません。かけるのは「両辺のすべての項」です。
つまずき④: 最後に、どちらが男子か分からなくなる
先に出るのは y = 60、つまり女子の人数です。ここで「x = 60」と書いてしまう取りちがえが起きます。答案には「男子120人、女子60人」と、どちらがどちらかを言葉で書きそえておくと防げます。自分で置いた文字が何を表していたか、答えを書く直前にもう一度確かめてください。
FAQ
Q. 表を書かずに解く方法はありますか?
A. 頭の中で式が2本そろうなら、表は省いても構いません。ただ、おっしーが授業で表をすすめているのは、書く手間よりも「どこで止まっているか」が自分で見える点にあります。表の欄が埋まらないときは、その欄の情報が読み取れていないということなので、問題文のどこを読み直せばいいかがはっきりします。
慣れてくると、表を書くのはほんの少しの時間で済みます。テスト本番で迷いたくない人ほど、練習のうちは書いておくと落ち着いて進められます。
Q. 連立方程式の文章題が苦手です。どう練習すればいいですか?
A. おっしーが授業でよく出す順番は、次の3つです。
- 同じ型の問題を、間をあけずに3問続けて解く
- 答え合わせのときは、答えの数字ではなく「表と式2本」が合っているかを見る
- 式を作るところまでで止まっている問題を、計算だけ別の日に仕上げる
とくに2つ目が大事です。文章題でつまずいている人の多くは、計算力ではなく式の作り方で止まっています。式が合っていたのに計算でミスした問題と、式そのものが作れなかった問題は、原因も練習の仕方もちがいます。丸かバツかだけで済ませず、どちらだったかを分けて記録してみてください。順番に手を入れていくと、解ける問題は増えていきます。
Q. 「男子の割合=30%」を「0.3x」と書くのと「30x/100」と書くのは、どちらがいいですか?
A. どちらも同じ意味なので、答えは変わりません。分数で書くと、あとで両辺に100をかけるときに「分母を払う」という見慣れた形になるので、分数の処理に慣れている人はそちらが速いです。小数で書くと、表に書き込むときの見た目がすっきりします。自分がミスをしにくいほうを選んでください。
大事なのは、どちらで書いたとしてももとにする量にかけているという中身です。書き方は入り口で、考え方は同じです。
まとめ
この問題のポイント
- 聞かれていることを文字で置く。男子をx人、女子をy人
- 表に整理する。3行(男・女・全体)× 2列(全体の人数・ボランティア参加)
- 表の1行が1本の式になる。全体の行から x + y = 180
- 割合はもとにする量にかけて人数に直す。男子の割合=0.3x、女子の割合=0.45y
- ボランティアの行から 0.3x + 0.45y = 63
- 小数は先に消す。両辺を100倍して 30x + 45y = 6300、5で割って 6x + 9y = 1260、3で割って 2x + 3y = 420
- 代入法で x = 180 – y を代入し、y = 60、もどして x = 120
- 答えは男子120人、女子60人。検算は 0.3×120=36、0.45×60=27、36+27=63
この問題で使った道具は、「聞かれていることを文字で置く」と「表に整理する」の2つだけでした。割合が出てきても、その2つの手順の上に乗せられれば、あとはいつもの連立方程式に戻ります。
新しい問題に出会ったときも、まずはこの2つから始めてみてください。手が動き出すところまで来れば、あとは計算です。
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「わからない」を「わかった!」に、一緒に変えていきましょう。
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