連立方程式の計算はスラスラできるのに、速さや道のりの文章題になったとたんに手が止まる。中2数学でいちばん多いつまずきのひとつです。

式までは作れたんです。x+yが2100で、140分のx足す70分のyが22。でも(2)のxとyを求めるところでケアレスミスを連発してしまって、答えまでたどり着けなくて。

式が作れているなら、いちばん重い山はもう越えてるよ。残っているのは分数を先に消してから解くかどうかだけ。今日は式の作り方をもう一度おさらいして、その勢いで計算まで一気にいこう。
この日の授業では、生徒さんから「ガイドを見ながらやったら解けたけど、自分ひとりで解いた分にはバツがついていた」という話も出ました。答えが合った日と合わなかった日の差がどこにあるのか、この記事で順番に見ていきます。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題
今回考えるのは、次の問題です。
> ある人が、A地点からB地点を通ってC地点までの2100mを歩いて行きました。A地点からB地点までは分速140m、B地点からC地点までは分速70mで歩き、全体で22分かかりました。A地点からB地点までの道のりをxm、B地点からC地点までの道のりをymとします。
> (1) x、yの値を求めるための連立方程式をつくりなさい
> (2) x、yの値を求めなさい
2100、140、70、22。数字が4つも並んでいて、どれをどこに使えばいいのか迷いやすい問題です。しかも(1)で「連立方程式をつくりなさい」と言われているので、計算より前の段階でつまずくと、そこから先へ進めません。
このタイプは、教科書でも問題集でも定期テストでも、くり返し出てきます。逆に言えば、一度型をつかんでおけば同じ手順で解ける問題が何度も現れる、おいしい単元でもあります。実際に手を動かしながら解いていく様子は動画でも解説しています。書き方ごと見たい人はこちらもどうぞ。
考え方の核: 「合計が分かっているもの」を数える
文章題で式が作れないとき、多くの人は「どう式を立てるか」で悩んでいます。でも本当に探すべきなのは、式そのものではありません。
式は、「同じ量が2通りの言い方で書けるところ」から生まれます。
いちばん見つけやすいのが、合計が分かっているものです。この問題文を読み返すと、合計が書いてある場所が2か所あります。
- 道のりの合計は 2100m
- かかった時間の合計は 22分
つまり、道のりで1本、時間で1本、合わせて2本の式が作れるということです。求めたい文字はxとyの2つ。文字が2つなら式も2本必要なので、ちょうど数が合います。
授業でも、この問題文の「2100m」と「22分」に丸をつけるところから始めました。わざわざ合計が書いてある数字は、式を作るために用意された数字です。読み飛ばさずに拾ってください。
逆に言うと、合計が1か所しか見つからない問題では、式は1本しか作れません。そのときは文字を1つに減らせないかを考えます。合計を数えることが、そのまま「文字をいくつ置くか」の判断にもつながっています。
ステップ1: 図をかいて、上に道のり・下に時間を書き分ける
いきなり式を書かず、まず図をかきます。かき方は決まっています。
- A地点からC地点まで、直線を1本引く
- 途中にB地点の印を入れる
- 線の上に道のりを書く(xm、ym、全体が2100m)
- 線の下に時間を書く(それぞれ□分、全体が22分)
- 矢印をそえて、速さを書き込む(140m/分、70m/分)
ここでいちばん大事なのが3と4です。
上は道のり、下は時間。1本の線に、種類のちがう情報を混ぜない。
この書き分けをしておくと、あとで「上の段だけで1本、下の段だけで1本」と、式を機械的に作れるようになります。逆に、道のりと時間を同じ場所に書いてしまうと、どれとどれを足せばいいのかが見えなくなります。
今回の問題は図が最初から印刷されていて、とても親切です。ただ、同じページの他の問題には、たいてい図はついていません。図つきの問題を解くときこそ、自分でも同じ図をかいてみて、書き方を手に覚えさせておくと得をします。
ステップ2: 「上の段」から、道のりの式をつくる
まずは図の上の段だけを見ます。上に書いてあるのは、xm、ym、そして全体の2100mです。
AからBまでがxm、BからCまでがym。それを足したものが、AからCまでの全体の道のりでした。
x + y = 2100
これが1本目の式です。図の上の段しか見ていないので、迷う余地がありません。
ここで「速さの140や70はどうするの?」と気になった人がいるかもしれませんが、上の段の式には、上の段に書いた数しか出てきません。速さと時間は下の段の担当です。情報を混ぜない、というルールがそのまま効いています。
授業でも、生徒さんはこの1本目をすぐに自分で言えていました。図の書き分けができていれば、道のりの式はほとんど考えずに書けます。
なお、2100という数字は問題文に「2100mを歩いて行った」と書かれていたものです。図の上の段に「全体2100m」と先に書き込んでおけば、xとyを足す相手を探す手間もなくなります。式を作るときに問題文へ戻らなくて済むように、読み取った数はその場で図へ移しておいてください。
ステップ3: 「下の段」から、時間の式をつくる
次は下の段、つまり時間の式です。ところが、AからBまでに何分かかったのかは問題文に書かれていません。ここが、この問題のいちばんの山場です。
分からない時間は、速さと道のりを使って表します。小学校で習った「みはじ(はじき)」の図を思い出してください。
道のり ÷ 速さ = 時間
AからBまでは、道のりがxmで、速さが分速140mです。だから、かかった時間は
x ÷ 140 = x/140(140分のx)
BからCまでは、道のりがymで、速さが分速70mなので、
y ÷ 70 = y/70(70分のy)
この2つを足したものが、全体の22分になります。
x/140 + y/70 = 22
これが2本目の式です。(1)の答えは、この2本をまとめた形になります。
x + y = 2100
x/140 + y/70 = 22
分数が出てきて身構えるかもしれませんが、やったことは「道のりを速さで割っただけ」です。
(2) 分数は先に消す: 両辺を140倍してから解く
ここからが(2)です。生徒さんがケアレスミスを連発したと話していたのも、この先でした。
このとき、分数がついたまま加減法や代入法に進んでしまうのが、ミスがいちばん増えるパターンです。先に分数を消してしまいます。
分母は140と70。分母の最小公倍数をかけて、分数を消してから解くのが定番の手順です。140と70の最小公倍数は140なので、2本目の式の両辺を140倍します。
x/140 × 140 = x
y/70 × 140 = 2y
22 × 140 = 3080
x + 2y = 3080
分数が消えて、すっきりした式になりました。ここで気をつけたいのが、右辺の22にも140をかけることです。左辺だけかけて右辺を22のまま置いてしまうと、そこから先はどれだけ丁寧に計算しても答えが合いません。
あらためて、2本の式を並べます。
x + 2y = 3080
x + y = 2100
xの係数がどちらも1でそろっているので、加減法が使えます。上から下を引きます。
x – x = 0
2y – y = y
3080 – 2100 = 980
y = 980
BからCまでの道のりが980mと分かりました。これを x + y = 2100 にもどします。
x + 980 = 2100
x = 2100 – 980
x = 1120
答えは x = 1120(m)、y = 980(m) です。
検算: 8分と14分を足して22分になるか確かめる
答えが出たら、問題文の条件にもどして確かめます。この問題は2か所で確認できるので、とても検算しやすいタイプです。
まず、道のりの合計から。
1120 + 980 = 2100
問題文の2100mと一致しています。次に、時間です。それぞれの区間を速さで割ります。
1120 ÷ 140 = 8(分)
980 ÷ 70 = 14(分)
8 + 14 = 22(分)
こちらも問題文の22分と一致しました。道のりと時間の両方が合ったので、この答えで間違いないと言えます。片方だけの確認だと、たとえば足して2100になる別の組み合わせを見落とします。2か所そろって初めて確かめたことになります。
答えの吟味も1つ。速い区間(分速140m)のほうが道のりは長い(1120m)のに、かかった時間は8分と短くなっています。速く歩いた区間のほうが短時間で終わるので、感覚とも合っています。もし「速いほうが時間も長い」という答えが出たときは、どこかでxとyを取り違えている可能性が高いです。
よくあるつまずき
つまずき①: 分数のまま解こうとして、計算ミスが増える
いちばん多いのがこれです。x/140 + y/70 = 22 のまま加減法に進むと、通分と移項が同時に起きて、途中式が長くなります。長い式はそれだけミスの入り口が増えます。分数を見たら、まず分母の最小公倍数をかけて消す。この一手を入れるだけで、そのあとの計算はただの整数の足し引きになります。
つまずき②: 両辺にかけるとき、右辺を忘れる
分母を払うときに、左辺の2つの項にだけ140をかけて、右辺の22をそのままにしてしまうミスです。x + 2y = 22 のような式ができあがり、そこから先はどうやっても答えが合いません。かけるのは「両辺のすべての項」です。式を書き写すときに、右辺まで指でなぞって確認してください。
つまずき③: 上の段と下の段の情報を混ぜてしまう
道のりの式に22を入れてしまったり、時間の式に2100を入れてしまうパターンです。図の上下を分けて書いていれば、まず起きません。逆に、図をかかずに問題文だけを見て式を立てようとすると、数字が5つ並んでいるぶん混ざりやすくなります。図をかく時間は、ミスを消す時間だと思ってください。
つまずき④: 最後にxとyを取り違える
y = 980 が先に出るので、そのまま「x = 980」と書いてしまうミスもよくあります。xはAB間、yはBC間。答案には「x=1120(AB間)」のように、どの区間かを書きそえておくと取り違えを防げます。
FAQ
Q. 分母を払うとき、なぜ140をかけるのですか? 70ではだめですか?
A. 分母は140と70の2つあるので、両方をきれいに割り切れる数をかける必要があります。140と70の最小公倍数は140です。70をかけると、y/70の項は消えますが x/140 の項が x/2 として残ってしまい、分数が消えきりません。残る分数が1つでもあると、分母を払った意味が薄れます。両方の分母を見てからかける数を決めてください。
Q. 道のりではなく、時間のほうをxとyにおいてもいいですか?
A. 考え方としてはできます。AB間をx分、BC間をy分とおくと、時間の式は x + y = 22、道のりの式は 140x + 70y = 2100 となり、分数が1つも出てきません。実際、この置き方だと x=8、y=14 が出て、そこから道のりを 140×8=1120、70×14=980 と計算できます。
ただし今回の問題文は「AB間の道のりをxm、BC間の道のりをym」と指定しているので、その置き方に従います。置き方が自由な問題のときだけ、時間で置く手を使ってください。
Q. 「みはじ」や「はじき」の図は使ってもいいですか?
A. 使って構いません。道のり・速さ・時間の関係を思い出す道具です。大事なのは、その図で出した式を、上下に書き分けた図のどこに置くかまで決まっていることです。関係式だけ思い出せても、置き場所が決まっていないと式にまとまりません。
Q. 問題に図がついているときも、自分で図をかき直したほうがいいですか?
A. 余裕があればかき直してみてください。図つきの問題は少数派で、多くは文章だけで出されます。図つきのうちに「上に道のり、下に時間」の書き方を練習しておくと、図がない問題でも同じ形を自分で作れます。
まとめ
この問題のポイント
- 合計が書いてある数を数える。この問題は「2100m」と「22分」の2か所なので、式は2本作れる
- 図は直線1本。上に道のり、下に時間を書き分け、線に速さの矢印をそえる
- 上の段だけで1本目。x + y = 2100
- 下の段だけで2本目。道のり÷速さ=時間なので x/140 + y/70 = 22
- 分数は先に消す。分母140と70の最小公倍数140を両辺にかけて x + 2y = 3080
- 加減法で引くと y = 980。もどして x = 1120
- 検算は2か所。1120+980=2100、1120÷140=8分と980÷70=14分で合計22分
速さの文章題が苦手な人の多くは、計算ではなく「式を作る手前」で止まっています。図を1本の線でかいて、上と下に情報を分ける。この書き方を決めておくと、迷って手が止まる時間は短くなっていきます。
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