食塩水の濃度の問題は、方程式の文章題のなかでも「見た瞬間にあきらめてしまう」問題の代表格です。中1の数学でつまずく子がとても多いところでもあります。

10%の食塩水、っていう言葉が出てきた時点で、もう何を計算すればいいのか分からなくなります…

その反応、めっちゃ多いよ。でもね、食塩水の問題は絵を1枚描くだけで見え方が変わるんだ。今日は実際の授業でやったとおりに、一緒に描きながら解いていこう。
この記事では、実際に生徒と解いた1問をそのまま使って、食塩水の濃度から方程式を作る手順を説明します。授業でのやりとりも、そのまま載せていきます。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
1. 今回の問題
まずは問題文を読んでみてください。
> 10%の食塩水300gに、x%の食塩水450gを加えたら、7%の食塩水になりました。このとき、次の問いに答えなさい。
> (1) 10%の食塩水300gに溶けている食塩の量を求めなさい。
> (2) 方程式を作り、xの値を求めなさい。
授業でこの問題を見せたとき、私が最初に言ったのはこれでした。
「この文面がもう来ただけで、アレルギー反応出たりするんだけれど、大丈夫そう?」
生徒は「大丈夫です」と答えてくれましたが、そのあと「どこでつまずいた?」と聞くと、返ってきたのはこの一言でした。
「もう10%というのが来てから、もう分かんなくなりました」
正直な答えだと思います。%という記号が出てくると、それが何を表しているのか分からなくなる。ここが食塩水の問題の最初の関門です。
でも安心してください。%の正体さえつかめば、あとは中1の1学期にやった方程式の計算しか出てきません。
2. 文章題は図を描くところから始める
食塩水にかぎらず、方程式の文章題を解くときに私がいつも言っているのはこれです。
文章問題は、まず図解する
道のりや速さの問題も、食塩水の問題も、まずは絵を描く。これが最初の一手になります。今回ならビーカーの絵です。
やり方はシンプルで、問題文に出てくる数字を、そのまま絵の中に書き込んでいくだけです。授業では生徒と一緒に、こう描いていきました。
- 1つ目のビーカーに「300g」と書き、その中に「10%」と書く
- 「+」の記号を書く
- 2つ目のビーカーに「450g」と書き、その中に「x%」と書く
- 「=」の先に大きいビーカーを描き、「7%」と書く
ここで生徒に「混ぜたあとの食塩水は何gになる?」と聞くと、すぐに「750g」と返ってきました。300gと450gを混ぜるので、量はそのまま足し算です。この750gを大きいビーカーに書き込めば、図は完成です。
ちなみにビーカーの大きさは、450gのほうを少し大きめに描いておくと見やすくなります。量の差が絵に出るので、あとで式を作るときに取り違えにくくなるからです。
図が描けた時点で、生徒に聞きました。「これ図解しただけで、何が起こってるかイメージしやすくなってない?」と。ここまで来れば、もうほとんどクリアです。
3. この問題の核は「食塩の量」でそろえること
図が描けたら、次は方程式の作り方です。方程式というのは「同じものを2通りで表して、=で結んだ式」のことでした。だから、混ぜる前と混ぜたあとで変わらないものを1つ見つけるのがポイントになります。
食塩水の問題で、その「変わらないもの」は何でしょうか。答えは食塩の量です。
300gの食塩水に入っている食塩と、450gの食塩水に入っている食塩。この2つを混ぜても、食塩がどこかへ消えるわけではありません。だから、
(左のビーカーの食塩)+(右のビーカーの食塩)=(混ぜたあとの食塩)
という関係がそのまま成り立ちます。これがこの問題の心臓部です。
ここで大事なのは、濃度どうしを足しても、混ぜたあとの濃度にはならないということです。10%と7%を足したり引いたりしても答えは出ません。%は「全体に対する割合」なので、全体の量がちがえば、同じ1%が表す食塩の量もちがってきます。だから割合のままでは足せないんですね。
足し算ができるのは、gという同じ単位にそろえた「食塩の量」だけ。だからこの問題では、3つのビーカーそれぞれについて食塩の量をgで書き出していきます。
4. ステップ1:10%の食塩水300gに溶けている食塩を出す
では(1)から解いていきます。ここで%の正体をはっきりさせましょう。
授業では、生徒にこう聞きました。「100%って、全部のことを100%って言わない?」。そうです、100%は全体を表します。ということは、10%は全体の10分の1、つまり100分の10ということになります。
だからルールはひとつ。
食塩の量 = 食塩水全体の量 × 100分の濃度
食塩水全体の量に「100分の何%」をかけるだけで、食塩の量が出てきます。これが食塩水の問題を解く道具の全部です。
さっそく当てはめてみましょう。
300 × 100分の10 = 30(g)
300と100を約分すると3になるので、3×10で30。答えは30gです。
授業でも「めちゃくちゃ簡単じゃね?」と聞いたら、生徒から「めちゃくちゃ簡単です」と返ってきました。実際、公式にあてはめて約分するだけです。
そして出た30gは、必ず図に書き込んでおきます。1つ目のビーカーに斜線を引いて食塩を表し、そこから矢印を出して「30g」と書く。こうしておくと、(2)を解くときにこの数字がそのまま使えます。
(1)は(2)の準備になっている。問題がわざわざ小問に分けてくれているときは、前の答えが次で生きると考えて先に進んでください。
5. ステップ2:混ぜたあとの食塩の量を出す
次は(2)です。方程式を作るために、残り2つのビーカーの食塩の量も出していきます。
まずは混ぜたあとの大きいビーカーから。量は750g、濃度は7%です。さっきのルールにそのまま入れます。
授業でも生徒に「750gで7%だったら、食塩の量はいくつになると思う?」と聞くと、すぐに「750×100分の7」と返ってきました。ルールがひとつだけなので、1回使えばもう自分で使えるようになります。
計算していきます。
750 × 100分の7
750と100を10で約分すると 75 × 100分の7 の形になり、さらに75と10を5で約分すると、分母が2、分子が15×7になります。
15 × 7 = 105
750 × 100分の7 = 2分の105(g)
2分の105は小数にすると52.5gですが、このあと方程式で使うので、分数のまま置いておくほうがラクです。小数にすると、あとで両辺を2倍する一手が使えなくなるからです。
この2分の105gも、大きいビーカーのところに書き込んでおきましょう。これで、3つのうち2つが埋まりました。
6. ステップ3:xを使って式を作り、方程式を立てる
残っているのは、真ん中のビーカーです。ここで生徒に「これはどうやって求める?」と聞いたら、返ってきたのは「2分の105 − 30」でした。
考え方としては合っています。全体から左の分を引けば残りは出ます。でも、これだとxが式に出てきません。今回求めたいのはxなので、xを使った形で表さないと方程式にならないんです。
そこで、さっきと同じルールに戻ります。このビーカーの量は450g、濃度はx%。だったら、100分のxをかければいいだけです。
450 × 100分のx
450と100を10で約分して45と10、さらに5で約分して9と2。だから、
450 × 100分のx = 2分の9x(g)
やっていることは30gを出したときとまったく同じで、100%のところがxになっているだけです。文字が入ると急に難しく感じますが、手順は変わりません。
これで3つそろいました。ステップ3で確認した関係に入れていきます。
(左)30 + (真ん中)2分の9x = (混ぜたあと)2分の105
30 + 2分の9x = 2分の105
方程式が完成しました。図に書き込んだ3つの数字を、+と=でつないだだけです。
7. 方程式を解く。両辺2倍で分母をはらう
あとはいつもの一次方程式です。ただ、分数が入っているのが気持ち悪いですよね。授業でも「2分のが邪魔じゃね?」と聞いたら、生徒は即答で「邪魔です」と返してくれました。
分数が邪魔なときの一手はこれです。
両辺に分母をかけて、分数を消す
今回の分母は2なので、両辺を2倍します。
30 + 2分の9x = 2分の105
60 + 9x = 105
9x = 105 − 60
9x = 45
x = 5
答え:x = 5、つまり加えた食塩水の濃度は5%です。
両辺を2倍するときは、左辺の30も2倍して60にするのを忘れないでください。分数がついている項だけを2倍して、30をそのまま残してしまうミスがとても多いところです。両辺というのは「=の左と右にあるもの全部」という意味なので、項ごとにもれなくかけていきます。
3行目の移項では、左の60を右に動かして符号が反対になり、105−60で45。最後は両辺を9で割ってx=5です。
8. 検算。答えが問題の状況に合っているか
x=5が出たので、元の問題に戻して確かめます。
x=5ということは、加えたのは5%の食塩水450gです。この中の食塩の量を出してみましょう。
450 × 100分の5 = 22.5(g)
では、混ぜたあとの食塩の量はどうなるでしょうか。
30 + 22.5 = 52.5(g)
一方、混ぜたあとの食塩水は7%の750gなので、
750 × 100分の7 = 52.5(g)
両方とも52.5gで一致しました。検算は、答えを元の状況に戻して同じ数になるかを見るのがいちばん確実な方法です。
もうひとつ、答えの見た目も吟味してください。今回のx=5は、10%と7%のあいだの話としてつじつまが合っています。10%の食塩水に何かを混ぜて7%まで薄まったのだから、加えたほうは7%より薄いはずです。5%はちゃんと7%より小さい。ここが逆になっていたら、どこかで式を間違えています。
答えが100%を超えたり、マイナスになったりしたときも同じで、計算を見直す合図になります。
9. よくあるつまずき3つ
つまずき①:食塩水の量と食塩の量を取り違える
いちばん多いのがこれです。300gは食塩水の量であって、食塩の量ではありません。ビーカーに入っている全体の重さと、その中に溶けている食塩の重さは別物です。図を描くときに、全体はビーカーの外側に、食塩は斜線を引いた部分に書き分けておくと、混ざらなくなります。
つまずき②:濃度どうしを足したり引いたりする
10 + x = 7 のような式を作ってしまう形です。%は割合なので、全体の量がちがえば同じ1%の中身もちがいます。足し算ができるのはgにそろえたあとだけ、と覚えておいてください。
つまずき③:分数を消すときに一部の項を忘れる
30 + 2分の9x = 2分の105 を2倍するときに、30をそのまま残して 30 + 9x = 105 としてしまうミスです。両辺2倍は、=の左右にあるすべての項にかかります。かけ忘れると答えがずれるので、2倍したあとに項の数を数えて、全部に2がかかったか確かめてください。
10. よくある質問
Q. 混ぜたあとの食塩水が750gになる理由が分かりません
食塩水を混ぜるときは、重さがそのまま足し算になります。300gの液体と450gの液体を1つの容器に入れれば、中身の合計は750gです。%は足せないのに量は足せる、というのがこの問題のややこしいところなので、量(g)は足せる、濃度(%)は足せないとセットで覚えておくと迷いません。
Q. 分数のままにするか、小数にするか、どちらがいいですか
方程式で使うなら分数のままがおすすめです。今回の2分の105は52.5と書いても間違いではありませんが、小数にすると両辺を2倍して分母を消す一手が使えなくなります。分数のまま置いておけば、そのあとの計算が整数だけで済みます。
Q. 図はテストでも毎回描いたほうがいいですか
描いたほうが速いです。文章題は情報が多いほど図に書き込める材料が増えるので、長い問題文ほど図解の効果が出ます。今回のように「量」と「濃度」の2種類の数字が出る問題は、頭の中だけで整理しようとすると取り違えが起きます。入試本番でビーカーをささっと描けるように、練習のうちから手を動かしておいてください。
11. まとめ
・食塩水の問題は、まずビーカーの図に量と濃度を書き込む
・食塩の量 = 食塩水全体の量 × 100分の濃度
・混ぜても変わらない「食塩の量」でそろえて=を作る
・濃度(%)は足せない。足せるのはgにそろえた食塩の量だけ
・分数が邪魔なときは両辺に分母をかける。全部の項にかける
・答えが出たら元の状況に戻して代入。濃度の大小もつじつまが合うか見る
食塩水の濃度の問題は、公式がひとつと、図の描き方さえ手に入れば、あとはいつもの方程式です。文章が長くなるほど図に書き込める情報が増えるので、じつは長い問題文のほうが解きやすくなります。今回の流れを何問か通して練習してみてください。
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