
面積を2等分する直線って、頂点を通るやつなら中点をとればいいですよね。でも今回は頂点を通らないみたいで、どこから手をつけたらいいのか分からなくて。

うん、そこに引っかかったのはいいところだよ。今回のは中点では出てこないんだ。でもね、二段構えで考えると道が見えるから、一緒に手元を見ていこうか。
一次関数の応用問題の中でも、後ろのほうに置かれがちな「面積を2等分する直線」。頂点を通るタイプなら中点をとるだけで終わるのに、頂点を通らないタイプになった途端に手が止まってしまう。この差はどこから来るのか、今回はそこを丁寧にほどいていきます。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題
まずは問題文を確認しましょう。
直線y=x上の2点(4,4)、(1,1)をそれぞれA、B、x軸上の点(4,0)をCとし、3点A、B、Cを結んで△ABCをつくります。
このとき、点(3,3)をDとして、点Dを通り、△ABCの面積を2等分する直線と辺BCとの交点をEとしたとき、点Eの座標を求めなさい。
図の上で位置を確かめておきます。A(4,4)とB(1,1)はどちらも直線y=xの上にある点です。C(4,0)はx軸上の点で、AとCはx座標がどちらも4なので、辺ACはy軸に平行にまっすぐ立ちます。この3点を結んだものが△ABCです。
そして今回追加された点D(3,3)も、x座標とy座標が同じなので直線y=xの上、つまり辺ABの上にのっている点です。ここが後で効いてきます。
なお、この問題の前の設問で、2点B、Cを通る直線の式はy=−3分の1x+3分の4、△ABCの面積は6と求めてあります。底辺ACが4、高さがBからACまでの3で、4×3×2分の1=6という計算でした。この2つは後の検算で使います。
頂点を通らないときは、面積の比から辺の比を逆算する
同じ「2等分する直線」でも、頂点を通るかどうかで難易度がまるで変わります。
- 頂点を通る場合: 向かい合う辺の中点をとればおしまい。たとえば点Aを通って2等分するなら、辺BCの中点(2分の5, 2分の1)が交点です
- 頂点を通らない場合: 中点は使えません。点Dも点Eも△ABCの頂点ではないので、どこで切れば半分になるのかが図からは見えません
今回はこの後者です。授業でも「何が嫌かというと、点Dも点Eもどちらも三角形の頂点を通っていないこと」と言いましたが、まさにそこが難所になります。
ここでやりがちなのが、いきなり点Eの座標を文字でおいて、直線DEの式を立てにいく解き方です。式は書けるのですが、面積が半分という条件を式に落とし込む段階で行き詰まりやすい。一発で2等分する直線を求めにいくと、たいてい途中で止まります。
そこで発想を変えます。座標を先に出そうとせず、面積の比を先に決めて、そこから辺の比を逆算するのです。
面積の比と辺の比は、高さが共通なら比例します。底辺が3分の2になれば面積も3分の2、底辺が4分の3になれば面積も4分の3。この関係を2回続けて使うと、点Eの位置が比の形で決まります。座標を出すのは、比が決まった一番最後です。
3ステップで点Eの座標を求める
ステップ1: AB上での点Dの位置から、△DBCの面積を出す
まず、点Dと点Cを結んで直線DCを引きます。すると△DBCという三角形ができます。
この三角形の面積を、△ABCとの比で表しましょう。△ABCの面積をSとおきます。
辺ABを底辺として見ると、△ABCも△DBCも高さは同じ(どちらも点Cまでの距離)です。だから面積の比は、底辺ABとDBの比そのものになります。
点A、D、Bのx座標を並べると、Aが4、Dが3、Bが1。x座標の差で長さの比が読めるので、
ADの分が4−3=1
DBの分が3−1=2
つまりAD:DB=1:2です。AB全体を3とすると、DBは2にあたります。
したがって、
△DBC=3分の2S
ステップ2: △DBEが半分になるBEの比を求める
次は、この△DBCを見る向きを変えます。今度は辺BCを底辺として見てください。
求めたいのは、△DBEの面積が△ABCのちょうど半分、つまり2分の1Sになる状態です。△DBEは、△DBCの底辺BCをBEまで縮めた三角形です。高さは点Dまでの距離で共通なので、ここでも面積の比=底辺の比が使えます。
BEがBCの何倍なのかをxとおくと、
3分の2S×x=2分の1S
両辺のSは約分できるので落とします。
3分の2x=2分の1
両辺に2分の3をかけて、
x=2分の1×2分の3
x=4分の3
BEはBCの4分の3の長さ、ということが分かりました。BC全体を4とすると、BEが3、残りのECが1です。
BE:EC=3:1
このとき△DBEの面積は2分の1S、つまり△ABCの半分になっています。線分DEが2等分する直線だと言えました。
ステップ3: 比から点Eの座標を出す
ここまで来れば、あとは座標に翻訳するだけです。点Cから見ると、点EはBCの長さの4分の1だけ内側に入ったところにあります。縦の差と横の差に、それぞれ4分の1をかけていきます。
まずy座標から。点CのY座標が0、点BのY座標が1なので、BCの縦方向の差は1です。ECはその4分の1なので、
1×4分の1=4分の1
点CのY座標0から4分の1だけ上がった位置なので、点Eのy座標は4分の1です。
次にx座標。点BのX座標が1、点CのX座標が4なので、BCの横方向の差は3です。ECはその4分の1なので、
3×4分の1=4分の3
点Eは点Cより4分の3だけ左にあります。だから点CのX座標4から引いて、
4−4分の3
=4分の(16−3)
=4分の13
2つを合わせて、
点E(4分の13, 4分の1)
これが答えです。
出した答えを確かめる
数字が出たらそこで終わりにせず、ひと呼吸おいて確かめます。ここは30秒でできます。
1つめ。点Eが本当に辺BCの上にあるか。 前の設問で求めた直線BCの式にx座標を代入します。
y=−3分の1×4分の13+3分の4
−3分の1×4分の13=−12分の13
3分の4を通分すると12分の16
−12分の13+12分の16=12分の3=4分の1
出したy座標の4分の1とぴったり合いました。点EはきちんとBC上にのっています。
2つめ。座標の値が範囲に収まっているか。 点Eは点B(1,1)と点C(4,0)のあいだにある点です。ということは、x座標は1と4のあいだ、y座標は0と1のあいだでなければおかしい。4分の13は3.25なので1〜4の中、4分の1は0.25なので0〜1の中。どちらも範囲内です。
x座標とy座標を取り違えると、この範囲チェックで一発で引っかかります。仮に逆に書いてしまうと、x座標が0.25で点Bより左に飛び出し、y座標が3.25で点Bより高くなってしまう。図と見比べれば明らかにおかしい形です。
3つめ。比の感覚。 BE:EC=3:1ということは、点EはCのすぐ手前にあります。x=3.25はCの4に近く、y=0.25もCの0に近い。図に打った点の位置とも一致しています。
よくあるつまずき
つまずき1: つい中点をとってしまう
前の設問が「点Aを通って2等分する」タイプだと、その流れで中点をとりたくなります。でも中点が使えるのは、二等分線が頂点を通るときだけです。頂点を通る直線なら、向かい側の辺を半分に分けたところで面積も半分になります。でも今回の点Dは、辺ABの途中にある点です。中点をとっても半分にはなりません。まず「この直線は頂点を通っているか」を確認する。ここが分かれ道です。
つまずき2: どちらの辺を底辺として見ているかが混ざる
この問題では、途中で底辺の見方を1回切り替えます。ステップ1では辺ABを底辺、ステップ2では辺BCを底辺として見ています。同じ図の中で見方を変えるので、頭の中がこんがらがりやすいところです。授業でも図をぐるっと回して見せました。紙に書くときも、いま底辺として見ている辺に線を引いて印をつけておくと迷いません。
つまずき3: 4分の3をどこにかけるか分からなくなる
x=4分の3が出たとき、これは「△DBCの底辺BCを4分の3に縮める」という意味です。△ABCに4分の3をかけるわけでも、点Eの座標に4分の3をかけるわけでもありません。かける相手は、直前のステップで出した3分の2Sのほうです。3分の2S×4分の3=2分の1Sとなって、はじめて半分になります。式を書くときに「何を何倍しているのか」を言葉で添えておくと、取り違えが減ります。
よくある質問
Q. なぜ最初に直線DCを引くのですか?
A. 点Dと点Eを直接つなぐ線だけを見ていても、面積の条件を式にできないからです。DとCを結ぶと、△DBCという「面積が比で分かる三角形」が現れます。ここを足がかりにすれば、あとは比の計算だけで進みます。2段階に分けるための補助線だと考えてください。
Q. △DBCが3分の2Sになるのはなぜですか?
A. 辺ABを底辺として見たとき、△ABCと△DBCは高さが共通(どちらも点Cまでの距離)だからです。高さが同じ三角形どうしの面積比は、底辺の長さの比と同じになります。AB:DB=3:2なので、面積も3:2です。
Q. 直線DEの式は求めなくていいのですか?
A. 今回聞かれているのは点Eの座標だけなので、式は不要です。もし続けて式を聞かれたら、D(3,3)とE(4分の13, 4分の1)をy=ax+bに代入して連立方程式を解けば出せます。
今回のポイントまとめ
- 2等分する直線が頂点を通るなら、向かい側の辺の中点をとるだけ
- 頂点を通らないときは、座標を先に出そうとせず面積の比から考える
- 高さが共通なら、面積の比と底辺の比は同じになる
- 補助線DCで△DBCをつくり、3分の2Sを足がかりにする
- そこから2分の1Sになる比を逆算して、BE:EC=3:1
- 最後に比を座標に翻訳して、点E(4分の13, 4分の1)
- 出した座標が点Bと点Cのあいだの範囲に収まっているかを最後に見直す
もっと詳しく見たい人は、解説動画もあわせて見てみてください。図をどう回して見ているのか、比をどこに書き込んでいるのかを、手元の動きごと追いかけられます。
一次関数の応用は、こうやって「見方を切り替える」練習を重ねた分だけ手が動きやすくなる分野です。今回のように途中で詰まった問題があれば、公式LINEから気軽に質問してくださいね。
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