計算はできるのに、比が出てきたり「四捨五入して65点」みたいな条件がつくと、とたんに手が止まる——中2の一次不等式の文章題で、とても多いつまずきです。

学年の平均をxで表すところまでは何とかいけたんですけど、四捨五入して65点になる範囲を不等式にするところで、どこにイコールを入れればいいのか分からなくなっちゃって…。

そこ、この問題でみんなが引っかかる一番のポイントなんだ。「以上」なのか「より大きい」なのか、その境目をきっちり見分けられるかが勝負。実は今回、途中でイコールを入れて解いた子が自分でミスに気づいて直したんだ。その流れごと一緒に見ていこう。
この記事では、比を使って学年の平均をxで表すところから、四捨五入の境界をどう不等号にするかまで、順番に説明します。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
1. 今回の問題
まず問題文です。
> 男女比が3:2の学年で数学のテストをしたところ、男子の平均点は女子の平均点より7点低かった。男子の平均点をx点と置くとき、次の問いに答えなさい。
> (1) 学年の平均点をxを用いて表しなさい。
> (2) 学年の平均点を小数第1位で四捨五入して求めたところ65点となった。xの値の範囲を不等式で表しなさい。
「男女比3:2」「7点低い」「四捨五入して65点」と、条件が3つも重なっていて手強く見えます。でも1つずつ式にしていけば、ちゃんとほどけます。順番に見ていきましょう。
2. 核になる考え方:比は「文字a倍」で人数にする
まず、この問題を解くカギになる考え方を1つだけ押さえます。
比だけで人数がわからないときは、比の各項を「a倍」して人数を文字で表す。
男女比が3:2とわかっていても、実際が「3人と2人」なのか「30人と20人」なのかは決まっていません。そこで、共通の倍率を a とおいて、男子を3a人・女子を2a人と表します。こうすれば学年全体は 3a+2a=5a人。人数が文字で書けたので、あとは「平均点×人数=合計点」で全部つなげられます。
そしてもう1つ。男子の平均点がx点で、女子は男子より7点高いので、女子の平均点は
x + 7(点)
です。「7点低いのは男子」なので、女子はxに7を足す——ここを逆にしないよう注意しましょう。
3. (1)を解く:学年の平均点をxで表す
平均点は「合計点 ÷ 人数」で求まります。だから、学年全体の合計点と、学年全体の人数がわかればいいわけです。
ステップ1:男子・女子それぞれの合計点を出す
合計点は「平均点 × 人数」で求められます。
- 男子の合計点:平均x点 × 3a人 = 3ax(点)
- 女子の合計点:平均(x+7)点 × 2a人 = 2a(x + 7)= 2ax + 14a(点)
女子の方はカッコを分配法則で展開しておきます。2aを、xと7の両方にかけて 2ax+14a です。
ステップ2:学年全体の合計点と人数をまとめる
男子と女子の合計点を足せば、学年全体の合計点になります。
3ax +(2ax + 14a)= 5ax + 14a(点)
学年全体の人数は、男子3aと女子2aを足して、
3a + 2a = 5a(人)
ステップ3:合計点を人数で割る
いよいよ平均点です。学年の合計点を学年の人数で割ります。
学年の平均点 =(5ax + 14a)÷ 5a
分数で書いて、項ごとに約分します。
= 5ax/5a + 14a/5a
= x + 14/5
14/5 は小数に直すと 14 ÷ 5 = 2.8 なので、
学年の平均点 = x + 14/5 = x + 2.8(点)
これが(1)の答えです。aは約分できれいに消えてしまうのがポイント。人数がわからなくても、比さえあれば平均は出せる、というわけです。
4. (2)を解く:四捨五入して65点になる範囲
ここが今日いちばんのヤマです。「学年の平均点を小数第1位で四捨五入したら65点だった」——この条件を、xの不等式に翻訳します。
ステップ1:四捨五入して65になる範囲を考える
まず、ある数を「小数第1位で四捨五入」して65になるのは、その数がどこからどこまでのときでしょうか。
- 下の端:64.5 は、小数第1位の5を切り上げて65になります。だから 64.5 は「入る」(以上)。
- 上の端:65.4 なら切り捨てて65。65.49も、65.499も65。では65.5は? これは切り上げて66になってしまいます。
つまり、四捨五入して65になるのは
64.5 以上、65.5 未満
の範囲です。式で書くと、学年の平均点(x+2.8)について
64.5 ≦ x + 2.8 < 65.5
ステップ2:ここが分かれ道——上の端にイコールを入れてはいけない
実は今回の授業で、生徒さんは最初こう考えました。「65.4までが65になるから、上は65.4以下(≦)でいいや」。そして 61.7≦x≦62.6 という答えを出しました。
でも、途中で自分でこう気づいたんです。

あ、65.4以下って書いちゃったけど、65.499999…みたいな数も四捨五入したら65になりますよね。65.4以下だと、その65.45とか65.49がこぼれちゃう。
これが大正解です。「65.4以下」では、65.4と65.5のあいだの数(65.45や65.49)を捉えきれない。かといって「65.49以下」「65.499以下」と書いても、どこまで9を並べても切りがありません。
だからこう表すのが正解です。
上の端は「65.5より小さい(<)」。65.5ちょうどは含まない。
65.5になった瞬間に切り上げで66になってしまうので、65.5は仲間はずれ。でも65.5の一歩手前(65.499…)まではぜんぶ65になる。この「ちょうどは入らないけど、その手前は全部入る」を表せるのが、イコールなしの不等号「<」なんです。
- 下の端(64.5):ちょうどでも65になる → イコールあり(≦)
- 上の端(65.5):ちょうどだと66になる → イコールなし(<)
同じ問題の中でも、端によってイコールを入れたり入れなかったりする。ここを機械的に「以上・以下」で揃えてしまうのが、いちばん多い失点です。
ステップ3:不等式を解く
範囲が決まったので、あとは計算です。
64.5 ≦ x + 2.8 < 65.5
3つの辺すべてから2.8を引きます。
64.5 − 2.8 ≦ x < 65.5 − 2.8
それぞれ引き算して、
61.7 ≦ x < 62.7
これが(2)の答えです。下はイコールあり、上はイコールなし。最初に生徒さんが出した「62.6以下」ではなく、「62.7未満」が正しい上限になります。
5. 答えの吟味・検算
不安なときは、境目の値を実際に入れて確かめます。
- x=61.7 のとき:平均は 61.7+2.8=64.5 → 四捨五入して65 ✓(だから61.7は「入る」)
- x=62.7 のとき:平均は 62.7+2.8=65.5 → 四捨五入して66 ✗(だから62.7は「入らない」)
x=61.7 はセーフ、x=62.7 はアウト。「61.7 は含み、62.7 は含まない」という答えの形(≦と<)とぴったり一致しました。境界の数を代入して確かめると、イコールの向きを自分でチェックできます。
6. よくあるつまずき3つ
つまずき①:女子の平均点を「x−7」にしてしまう
「男子の平均は女子より7点低い」と読んで、つい男子基準で女子を「x−7」としてしまうミスです。低いのは男子の方なので、女子=男子+7=x+7。日本語を式にするときは「どっちが高いか」を必ず指さし確認しましょう。
つまずき②:人数がわからず手が止まる
比が3:2としか書いていないので「人数が出せない」と固まってしまう人が多いです。でも比は文字a倍で人数にできる。男子3a・女子2aと置けば、最後にaは約分で消えるので、具体的な人数はそもそも要りません。
つまずき③:四捨五入の上の端まで「以下(≦)」にしてしまう
この問題の本丸です。「65.4以下」と書くと65.45や65.49がこぼれ、「65.5以下」と書くと切り上げで66になる65.5まで入ってしまう。正しくは「65.5より小さい(<)」。下の端は「以上(≦)」、上の端は「未満(<)」と、端ごとに判断が変わることを覚えておきましょう。
7. FAQ
Q. どうして下の端はイコールが入って、上の端は入らないの?
四捨五入のルールが「5以上は切り上げ」だからです。64.5は小数第1位が5なので切り上げて65に「なる」→だから64.5は含む(≦)。一方65.5も小数第1位が5なので切り上がって66に「なってしまう」→だから65.5は含まない(<)。同じ”5″でも、上がった先が65のままか66に飛ぶかで、入る・入らないが分かれます。
Q. 「64.5以上65.5未満」って、どう覚えればいい?
四捨五入して整数nになる範囲は、いつでも「n−0.5 以上 n+0.5 未満」です。今回はn=65なので、64.5以上65.5未満。下だけイコールがつく、と型で覚えておくと、次に「四捨五入して70」などが来ても同じように書けます。
Q. 男子ではなく女子の平均点をxにしてもいい?
問題文が「男子の平均点をxと置く」と指定しているので、今回は男子をxにするのがルールです。もし自分で文字を置く自由問題なら、女子をxにしても解けますが、そのときは学年平均の式が変わるので、最後に「xが何を表しているか」を必ず確認しましょう。
8. まとめ
・比3:2は、男子3a人・女子2a人と「a倍」で人数にする
・女子の平均は男子より7点高いので x+7
・学年平均 =(5ax+14a)÷ 5a = x+14/5 = x+2.8
・四捨五入して65になるのは 64.5以上65.5未満
・下の端はイコールあり(≦)、上の端はイコールなし(<)
・答え:61.7 ≦ x < 62.7(62.6以下ではなく62.7未満)
この問題は、Lafの授業で実際に扱ったものです。動画の中でも、生徒さんが一度「62.6以下」と答えてから自分でミスに気づき、「62.7未満」に直す流れを見ることができます。「不等号のイコール、入れる?入れない?」でいつも迷う——そんなときは、公式LINEから気軽に送ってください。
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