
グラフが3本もあって、どこから手をつけたらいいのか全然わからないです…

大丈夫。順番さえ決まれば、あとはほとんど作業だよ。一緒に手元を見ていこうか。
これは、ラフ先生の公式LINEに実際に届いた質問です。一次関数のグラフが3本あって、その交点でできる三角形の面積を求める、中2の「一次関数の利用」でよく出るタイプの問題ですね。
見た瞬間に手が止まる人が多いのですが、止まる理由ははっきりしています。聞かれている直線から解こうとしているからです。今回は「どこから手をつけるか」の決め方まで含めて、順番に見ていきます。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題
下の図のような一次関数のグラフ①、②、③があります。
- ①の式は y=4分の1x+4分の11
- ②はy軸と−4で交わっています
- ③はx軸と1で交わっています
- 点Bのx座標は−1、点Cのx座標は5です
点A、点B、点Cは、それぞれ次の交点です。
- 点A = ①と②の交点
- 点B = ②と③の交点
- 点C = ①と③の交点
そのうえで、次の3つを求めます。
- ②の直線の式を求めなさい。
- 点Aの座標を求めなさい。
- 三角形ABCの面積を求めなさい。
一次関数の問題では、問題文に書かれている情報をグラフに直接書き込むところから始めてください。①の式、②が通る−4、③が通る1、点Bの−1、点Cの5。この5つを図に書き込むだけで、次に何ができるかが見えてきます。
核になる考え方は「求められるところから埋めていく」
(1)で聞かれているのは②の式です。ところが②について分かっているのは「y軸と−4で交わる」の1つだけ。直線の式を出すには、切片と傾きの2つか、通る2点の座標が必要です。つまり、②はいまの手持ちでは求まらないということになります。
そこで発想を切り替えます。求めたいものから解くのではなく、いま求められるものから埋めていくのです。
②は点Bを通ります。点Bは③の上にもあります。だから③の式が分かれば、点Bの座標が出せます。では③はどうか。③は点Cを通り、点Cは①の上にもあります。①の式は最初から与えられていますね。
たどっていくと、こうなります。
①の式 → 点Cの座標 → ③の式 → 点Bの座標 → ②の式
遠回りに見えますが、これが最短ルートです。分かっているものが1つしかない直線から解こうとすると、そこで手が止まってしまいます
3ステップで解いていく
ステップ1: 点Cの座標を出して、③の式を求める
点Cは①と③の交点で、x座標は5と分かっています。①の式は与えられているので、x=5を代入します。
y=4分の1×5+4分の11
計算していきます。
y=4分の5+4分の11
y=4分の16
y=4
よって、点Cの座標は C(5, 4) です。
次に③の式です。③はx軸と1で交わるので、点(1, 0)を通ります。そして点C、つまり(5, 4)も通ります。2点が分かれば傾きが出せます。
xの増加量は 5−1=4
yの増加量は 4−0=4
傾き=4÷4=1
傾きが1なので、y=x+b とおいて(1, 0)を代入します。
0=1+b
b=−1
③の式は y=x−1
グラフで読むこともできます。傾き1ということは、xが1戻ればyも1下がるということ。(1, 0)から左に1戻れば(0, −1)なので、切片が−1だと直接見えてしまいます。
ステップ2: 点Bの座標を出して、②の式を求める
点Bは②と③の交点で、x座標は−1です。③の式が出たので、x=−1を代入します。
y=−1−1
y=−2
よって、点Bの座標は B(−1, −2) です。
ここまで来れば②が求まります。②はy軸と−4で交わるので(0, −4)を通り、さらに点B(−1, −2)を通ります。2点が揃いました。
xの増加量は 0−(−1)=1
yの増加量は −4−(−2)=−2
傾き=−2÷1=−2
切片は−4と最初から分かっているので、そのまま使えます。
(1)の答え: ②の式は y=−2x−4
ステップ3: 連立方程式で点Aの座標を求める
点Aは①と②の交点です。交点とは、2つの式のyの値が一致する点のことなので、右辺どうしをイコールでつなぎます。
−2x−4=4分の1x+4分の11
このまま解いてもいいのですが、分数の計算はミスが増えます。先に両辺を4倍しておきましょう。
−8x−16=x+11
xを左辺、数字を右辺に移項します。
−8x−x=11+16
−9x=27
x=−3
x座標が出たので、②の式に代入してy座標を求めます。①でも②でも同じ答えになりますが、②のほうが分数がなくて楽です。
y=−2×(−3)−4
y=6−4
y=2
(2)の答え: 点Aの座標は (−3, 2)
(3) 面積は「長方形で囲んで、いらない部分を引く」
3つの座標が出揃いました。A(−3, 2)、B(−1, −2)、C(5, 4)です。
ところが、この三角形は底辺も高さも直接は測れません。どの辺もx軸ともy軸とも平行ではないからです。ここで使うのが、座標平面の三角形の定番の手です。
三角形をx軸・y軸に平行な長方形でぴったり囲み、はみ出した直角三角形を引く
まず、3点を囲む最小の長方形を作ります。x座標は−3から5まで、y座標は−2から4まで。長方形の4つの頂点はこうなります。
| 位置 | 座標 | 由来 |
|---|---|---|
| 左上 | (−3, 4) | Aのx座標とCのy座標 |
| 右上 | (5, 4) | 点Cそのもの |
| 右下 | (5, −2) | Cのx座標とBのy座標 |
| 左下 | (−3, −2) | Aのx座標とBのy座標 |
たての長さは 4−(−2)=6
よこの長さは 5−(−3)=8
長方形の面積=8×6=48
次に、はみ出している直角三角形を1つずつ引いていきます。3つあります。
1つ目(右下): 頂点は B、C、(5, −2)。底辺は 5−(−1)=6、高さは 4−(−2)=6 です。
6×6×2分の1=18
2つ目(左下): 頂点は A、B、(−3, −2)。底辺は −1−(−3)=2、高さは 2−(−2)=4 です。
2×4×2分の1=4
3つ目(左上): 頂点は A、C、(−3, 4)。底辺は 5−(−3)=8、高さは 4−2=2 です。
8×2×2分の1=8
あとは長方形から3つとも引くだけです。1式1行で書くとミスが減ります。
48−18=30
30−4=26
26−8=18
(3)の答え: 三角形ABCの面積は 18
番外編: 等積変形を使うと、計算が一発で終わる
長方形で囲む方法は、手順どおりに進めばたどり着けるかわりに計算が多めです。動画では最後に、もう1つの解き方も紹介しました。等積変形です。
等積変形とは、面積を変えずに三角形の形だけを変えることです。ルールは1つだけ。
底辺と平行な直線の上でなら、頂点をどこに動かしても三角形の面積は変わらない
理由もシンプルです。平行な2直線の間の距離は、どこまで行っても等しくなります。だから頂点を平行線の上で滑らせても高さは変わりません。底辺はもともと動かしていません。底辺も高さも変わらないので、面積も変わらないというわけです。
これを今回の三角形に使います。
点Bと点Cは、どちらも③の上にあります。つまり辺BCは③そのものです。そこで、BCを底辺と考えます。
次に、頂点Aを通って③に平行な直線を引きます。これを③’とします。平行な直線は傾きが等しいので、③’の傾きも1です。傾きが違えば、どこかで交わってしまいますからね。
その③’の上で、点Aを点Bの真上まで滑らせます。行き先のx座標は−1です。
xの増加量は −1−(−3)=2
傾きが1なので、yの増加量も+2
移した点A’の座標は (−1, 4)
三角形A’BCは、三角形ABCと面積が同じです。そしてA’BCは、底辺がy軸に平行になったので、長さがすぐ読めます。
底辺A’Bは、x=−1の縦線でy座標が−2から4まで。長さは 4−(−2)=6
高さは、そこから点Cまでのx座標の差。5−(−1)=6
6×6×2分の1=18
引き算をひとつもせずに、同じ18が出ました。慣れてくると、こちらのほうが速いです。
答えの吟味(検算)
答えが出たら、そこで確かめる習慣をつけておくと安心です。今回は3か所で確認できます。
1つ目は面積の一致です。 長方形から引く方法で18、等積変形で18。解き方の違う2つのやり方で同じ数になったら、それが一番強い検算です。片方だけで合っているかを悩むより、こちらのほうが速く安心できます。
2つ目は座標の代入チェックです。 点Aは①の上にもあるはずなので、①の式にx=−3を入れてみます。
y=4分の1×(−3)+4分の11
y=−4分の3+4分の11
y=4分の8
y=2
きちんとy座標の2と一致しました。②から出した答えが①でも成り立つので、点Aの座標は正しいと確認できます。
3つ目は大きさの感覚です。 三角形は長方形48の内側にすっぽり入っています。答えの18は48より小さいので、この点でも矛盾していません。もしここで50などが出ていたら、その時点で計算のどこかがおかしいと気づけます。
よくあるつまずき
つまずき1: 聞かれた②から解こうとして、そこで止まる
いちばん多いのがこれです。(1)で②を聞かれているので、素直に②から手をつけようとしてしまいます。ですが②について分かっているのは切片の−4だけ。情報が足りないので、どうやっても進みません。
一次関数の問題は、聞かれた順に解けるとはかぎりません。「聞かれたもの」ではなく「いま求められるもの」から手をつける。この切り替えができると、3本のグラフが出てきても迷わなくなります。
つまずき2: 傾きを出すときに、引き算の順番がバラバラになる
傾きは「yの増加量÷xの増加量」です。このとき、xもyも同じ向きで引く必要があります。
たとえば点B(−1, −2)から(0, −4)へ進むなら、xは 0−(−1)、yは −4−(−2) と、どちらも「行き先から出発点を引く」で揃えます。片方だけ逆に引くと、傾きの符号がひっくり返ってしまいます。今回のように答えがマイナスの傾きになる問題では、ここでの取り違えが特に起きやすいところです。
つまずき3: 長方形の頂点の座標を書かずに進める
長方形で囲む方法は考え方こそシンプルですが、書き込みをサボると途端に事故が増えます。左上・右上・右下・左下の4つの座標を、実際に図に書き込んでください。
書き込んでしまえば、底辺と高さは全部「引き算」で出てきます。今回なら、右下の三角形の底辺は 5−(−1)、高さは 4−(−2)。頭の中で処理しようとせず、座標を目に見える形にしておくのがコツです。
よくある質問
Q. どうして②を先に求めないのですか?
A. ②について分かっているのが「切片−4」の1つだけだからです。直線の式を決めるには、切片と傾きの2つか、通る2点の座標が必要です。今回は①から点C、点Cから③、③から点B、と順に埋めていくと②が求まります。
Q. 長方形で囲む方法と等積変形、どちらを使えばいいですか?
A. テストでは、まず長方形で囲む方法をおすすめします。図さえ描ければ、あとは引き算だけでたどり着けるからです。等積変形は計算がぐっと短くなるので、慣れてきたら切り替えていくと時間の節約になります。
Q. 等積変形は中2で習いますか?
A. 教科書によって扱う時期は違いますが、中2の図形分野で出てくる考え方です。「平行線の間の距離は等しい」というだけの話なので、一次関数の問題でも使えます。知っておくと、面積を聞かれる問題で手数がかなり減ります。
Q. 交点を求めるとき、連立方程式は加減法と代入法のどちらがいいですか?
A. 一次関数の交点は、どちらの式も「y=」の形になっているので、右辺どうしをイコールで結ぶのがいちばん速いです。今回のように分数が入っているときは、先に両辺を4倍して分数を消してから計算すると、ミスが減ります。
今回のポイントまとめ
- 聞かれた直線からではなく、いま求められる座標から順に埋めていく
- 通る2点が分かれば、傾きは「yの増加量÷xの増加量」で出せる
- 交点は、2つの式の右辺どうしをイコールで結んで解く
- 座標平面の三角形は、長方形で囲んではみ出した直角三角形を引く
- 等積変形を使うと、底辺と平行な線の上で頂点を動かして計算を短くできる
- 解き方の違う2通りで同じ答えが出たら、それが一番強い検算
もっと詳しく知りたい人、実際に書き込んでいく手元を見ながら確認したい人は、YouTubeの動画も参考にしてください。
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