
因数分解するところまでは分かったんですけど、解説を見たらaがよく分からないところに行っていて、どうしてそうなるんだろうって思いました。

なるほどね。この問題は、理解してしまえば簡単なんだけど、初めて見るとなかなか難しいよね。一つずつ整理していこうか。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題
次の問題を考えます。
方程式 (x+2)(x-4)=a の解が整数となるとき、最も小さい自然数aを求めなさい。
左辺はすでに因数分解された形なのに、右辺が0ではなくaという文字になっています。ここが今回のいちばんの引っかかりどころです。いつもの二次方程式なら「=0」の形で、左辺を因数分解して解を出すという流れが決まっていますが、右辺が謎の文字だと手が止まってしまいます。
高校入試の応用問題でもよく出るタイプで、レベルは高めです。ただ、二次方程式の因数分解を「和と積」で理解できていれば、やることは決まった手順に落ちます。
考え方の核: 解を文字で置いて、和と積の条件に変える
「解が整数になる」という条件は、そのままでは式に書けません。そこで、解に関わる数を文字で置いて、和と積の条件に翻訳します。
二次方程式の解は2つあるので、因数分解の形をこう置きます。
(x+m)(x+n) = 0
この形に持ち込めれば、解は x=-m と x=-n です。つまり、mとnが整数なら解も整数になります。逆に解が整数ならmとnも整数です。「解が整数」という条件を、「mとnが整数」という条件に置き換えられたわけです。
そして、この形を展開すると
(x+m)(x+n) = x² + (m+n)x + mn
となります。xの係数が2数の和、定数項が2数の積。因数分解でいつも使っている「和と積」がそのまま出てきます。あとは、もとの式をこの形に合わせていくだけです。
ステップ1: 展開して右辺を0にする
まずは、右辺のaを左辺に移項して、右辺を0にします。そのために左辺を一度展開します。
(x+2)(x-4) = a
x² – 2x – 8 = a
aを左辺へ移項して
x² – 2x – 8 – a = 0
ここで、定数の部分をひとまとめにして括弧でくくっておきます。
x² – 2x + (-8 – a) = 0
括弧でくくらなくても計算は同じですが、「ここが積の部分ですよ」と見た目で分かるようにしておくと、次のステップで迷いません。
ステップ2: 和と積の条件を書き出す
ステップ1の式と、(x+m)(x+n)=0 を展開した形を見比べます。
xの係数が和、定数項が積なので、
m + n = -2
m × n = -8 – a
この2本が今回の条件です。和のほうは -2 という具体的な数字で決まっていますが、積のほうにはaが残っています。ここでaの条件が効いてきます。
ステップ3: 自然数の意味からaの範囲を出す
問題文には「自然数a」と書かれています。自然数とは何だったか、ここで確認しておきます。
自然数は「正の整数」で、0は含みません
覚え方はシンプルで、自然に数えるときに出てくる数だと思っておくと迷いません。物は1個、2個、3個と数えますが、マイナス1個とは数えませんし、何も無いときに「0本のペンがあるよ」とわざわざ言うこともありません。だから自然数は1以上の整数です。
すると、aは1以上なので
- aが1のとき、-8-a = -9
- aが2のとき、-8-a = -10
- aが10のとき、-8-a = -18
というように、aが大きくなるほど値は小さくなっていきます。つまり
m × n = -8 – a ≦ -9
積は-9以下になります。積が負の数ということは、mとnは片方が正、もう片方が負だと分かります。
ステップ4: 条件に合う組を小さい数から試す
和が-2で、片方が正、片方が負。この条件でmに小さい正の整数を入れていき、そのときのnと積を確かめます。
| m | n | 和 m+n | 積 m×n | 積が-9以下か |
|---|---|---|---|---|
| 1 | -3 | -2 | -3 | 該当しない |
| 2 | -4 | -2 | -8 | 該当しない |
| 3 | -5 | -2 | -15 | 該当する |
| 4 | -6 | -2 | -24 | 該当する |
| 5 | -7 | -2 | -35 | 該当する |
m=1のとき積は-3で、-9より大きいので条件に合いません。m=2でも積は-8で、まだ-9より大きい。m=3でようやく積が-15になり、-9以下という条件を満たします。
その先も見ておくと、m=4で-24、m=5で-35。mが3より大きくなると、積はどんどん小さくなっていくので、すべて条件を満たします。組み合わせは無限にあるということです。
ステップ5: aが最も小さくなる組を選ぶ
条件を満たす組はいくらでもあるので、ここから「aが最も小さい」ものを選びます。それぞれの組について、-8-a の値からaを逆算します。
積が-15のとき
-8 – a = -15 より a = 7
積が-24のとき
-8 – a = -24 より a = 16
積が-35のとき
-8 – a = -35 より a = 27
並べてみると分かりますが、積が小さくなるほど、引く量を増やさないといけないのでaは大きくなっていきます。これ以上mを大きくしても、aが大きくなるだけです。
したがって、aが最も小さくなるのは積が-15のとき。
答え: a = 7
検算: a=7を代入して確かめる
出た答えを、もとの式に戻して確かめます。
a=7なので、x² – 2x – 8 – a = 0 の -8-a の部分は -8-7 = -15 になります。
x² – 2x – 15 = 0
和が-2、積が-15になる2数は3と-5なので
(x+3)(x-5) = 0
x = -3, 5
どちらも整数になりました。解が整数という条件をきちんと満たしているので、a=7で正しいと確認できます。
m、nの置き方と符号のずれに注意
ここは補足ですが、大事なところなので付け足しておきます。
「解をmとnとおく」と言うと、因数分解の形は (x-m)(x-n)=0 になります。これを展開すると
x² – (m+n)x + mn = 0
となり、xの係数は「和にマイナスをつけたもの」です。つまり、解そのものをm、nと置くと、和の符号が逆転します。
今回 m+n=-2、m×n=-8-a として扱ったm、nは、解そのものではなく (x+m)(x+n)=0 と因数分解したときの2つの数です。だから和も積もそのまま読めます。実際、答えの組(3, -5)に対して解は x=-3, 5 で、符号が入れ替わっていますよね。
置き方の細かい話に振り回されるくらいなら、因数分解の「和はxの係数、積は定数項」だけをシンプルに意識するのがおすすめです。そこさえ外さなければ、答えはずれません。
よくあるつまずき
- 右辺がaのまま因数分解しようとしてしまう。まずは展開して移項し、右辺を0にするのが先です
- 自然数に0を含めてしまう。0を入れると積が-8となり、条件に合わない組まで数えてしまいます
- 積が-9以下という条件を、-8以下や-9より小さいと読み違えてしまう。aが1のときの-9はきちんと含まれます
- mを1から順に試したとき、最初の1、2個が該当しないところで「合う組が無い」と諦めてしまう
- 条件に合う組をすべて書き出したあと、そのまま最初の組を答えにしてしまう。求めるのはaが最小になる組なので、積が最大の組を選びます
FAQ
Q. なぜ解をmとnの2つ置くのですか?1つではだめですか?
A. 二次方程式なので解は2つあると考えるのが基本です。解が1つ(重解)の場合は、mとnが同じ値になるだけなので、2つ置いておけば両方の場合をカバーできます。
Q. mとnはどこまで試せばいいですか?
A. 積が-9以下になり始めたあとは、mを大きくするほど積は小さくなり続けます。積が小さくなるとaは大きくなるので、最初に条件を満たした組(今回はm=3)で打ち切って構いません。
Q. mが負でnが正の組は考えなくていいですか?
A. mとnを入れ替えただけなので、和も積も同じです。同じ組み合わせを二度数えることになるだけなので、片方だけ調べれば十分です。
Q. 「最も小さい自然数a」なのに、なぜ積が最も大きい組を選ぶのですか?
A. m×n = -8-a という式は、aで引き算をしている形だからです。引く量が小さいほど結果は大きくなるので、積が大きい(絶対値が小さい)組ほどaは小さくなります。
この問題のポイント
- 右辺が文字のときは、展開して移項し、右辺を0にしてから考える
- 「解が整数」は、因数分解した2数の和と積の条件に置き換える
- 自然数は1以上の整数なので、-8-a は-9以下になる
- 条件に合う組を小さい数から並べ、aが最小になる組(積が最大の組)を選ぶ
- 答えが出たら代入して、解が整数になるか確かめる
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