反比例と最短距離の融合問題|線対称なグラフでAQ+QBが最小になるときのQBの長さ【中2数学】3 min read

数学

反比例のグラフ、対称移動、三角形の合同、そして最短距離——ひとつの問題にこれだけ詰め込まれると、どこから手をつければいいのか分からなくなりますよね。今回はまさにそのタイプ、中2数学の「融合問題」です。実際に公式LINEに届いた質問をもとに、順番にほどいていきます。

生徒
生徒

情報が多すぎて、頭がこんがらがってます…。点Qが動くのに、AQ+QBを最小にするってどういうことですか?とりあえずBQの長さを固定して考えてみたんですけど、そこから全然進まなくて。

おっしー
おっしー

うん、そこで止まるの、すごくよく分かる。まず大事なことを1つだけ言うね。最短距離の問題は、いつも「折り返し(線対称)」で考えるんだ。BQを固定するんじゃなくて、点Bを折り返して”まっすぐ”に直す。今日はそのコツを、下ごしらえから一緒にやっていこう。

先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。

 

1. 今回の問題

まずは問題文です。(1)〜(3)の3問構成で、今日の主役は(3)です。

> 右の図のように、原点をOとする座標平面上の y>0 の範囲に、y軸に関して対称な反比例のグラフ①、②がある。①、②のグラフ上の点A、Bはともにy座標が15であり、AB=16である。
> (1)①の式について、yをxの式で表しなさい。
> (2)点Bをx軸に関して対称移動させた点をB′とし、x軸上にある点をPとする。△APB′の面積が45であるとき、点Pのx座標をすべて求めなさい。
> (3)点Bからx軸に下ろした垂線とx軸との交点をHとする。△BOH≡△ODI をみたすように、①のグラフ上に点Aと異なる点Dと、x軸上に点Iをとる。点Qが線分OD上を動くとき、折れ線の長さAQ+QBが最小となるときのQBの長さを求めなさい。

一気に全部を追いかけると混乱します。条件を1つずつ座標に翻訳していくのがコツです。順番に見ていきましょう。

 

2. 核になる考え方:最短距離は必ず「折り返し」で考える

(3)の本題に入る前に、いちばん大事な発想を1つだけ押さえます。まずは有名な「川の水くみ問題」で感覚をつかみましょう。

> A地点にいる人が、川で水をくんでからB地点へ行きたい。歩く距離を最短にするには、川のどこで水をくめばいい?

AからBへまっすぐ結ぶと、川に立ち寄らないのでダメ。ここで使う手が「折り返し」です。川を鏡だと思って、Bを川に関して線対称移動した点B″をつくります。すると「くむ点までの距離+くむ点からBまでの距離」は、そっくりそのまま「くむ点までの距離+くむ点からB″までの距離」に置きかえられます(折り返しても長さは変わらないから)。あとはAとB″をまっすぐ結ぶだけで最短が決まります。ルールを一言でまとめると、

経由する直線上の点を通ってA→B と進む折れ線を最短にするには、Bをその直線に関して折り返す。

折り返した点をB″とすると、AQ+QB=AQ+QB″。そして A・Q・B″ が一直線に並んだときが最短です。

生徒
生徒

なるほど、BQを固定するんじゃなくて、Bのほうを折り返してまっすぐにするんですね。

おっしー
おっしー

そう。「Qを動かして最短を探す」んじゃなくて、「折り返して直線にすれば最短は一発」。ここが発想の切り替えポイントだよ。あと大事なのは、折り返すときは必ず”その直線に垂直”に折るってこと。今回はその直線がナナメだから、そこがヤマ場になるよ。

今回、Qが動くのは線分OD上。だから直線ODに関してBを折り返すのが最終目標です。ただしODはナナメの直線。まずはその「折り返す軸OD」がどこにあるのかを、下ごしらえで確定させます。

 

3. 下ごしらえ:座標を決めて(1)(2)を片づける

 

まずAとBの座標を出す

A、Bはともにy座標が15、AB=16で、グラフはy軸について対称です。ということは、AとBはy軸から左右に等しく、16の半分ずつ離れています。

x座標は +8 と −8。よって、

A(−8, 15)、B(8, 15)

 

(1)①の式

①はy軸について②と対称なグラフで、点A(−8, 15)を通ります。反比例なので y=a/x とおいて、A(−8, 15)を代入します。

15 = a ÷ (−8)

a = 15 ×(−8)

a = −120

したがって、①の式は、

y = −120 / x

 

(2)対称移動と面積からPを求める

点Bをx軸について対称移動すると、y座標の符号だけが変わって、

B′(8, −15)

ここでA(−8, 15)とB′(8, −15)を見ると、原点Oについて点対称(AとB′がちょうど正反対)になっています。つまり線分AB′は原点Oを通ります。

P(p, 0)をx軸上の点とすると、△APB′は、底辺をOP(長さ|p|)として上下2つの三角形に分けられます。Aはx軸から高さ15、B′は下側に高さ15なので、

△APB′ = 1/2 ×|p|×15 + 1/2 ×|p|×15

△APB′ = 15|p|

面積が45なので、

15|p| = 45

|p| = 3

したがって、

P(3, 0)、P(−3, 0)

x軸上の左右どちらでも面積は同じなので、符号のちがう2つが答えです。片方だけで止めないよう注意しましょう。

 

4. 本題(3)を3ステップで解く

ここからが今日の心臓部です。(3)は「①合同で折り返す軸ODを求める → ②OB⊥ODを見抜く → ③折り返してQBを出す」の3ステップで進みます。

 

ステップ1:合同な三角形から、折り返しの軸ODを求める

まず、点Bからx軸に下ろした垂線の足Hは、

H(8, 0)

直角は頂点Hにあって、辺の長さは座標から直接読めます。

OH = 8(Oから H(8,0) までの横の長さ)

BH = 15(H(8,0) から B(8,15) までのたての長さ)

次に条件 △BOH≡△ODI を、対応する頂点の順(B↔O、O↔D、H↔I)どおりに読みます。対応する辺は等しいので、

OI = BH = 15

DI = OH = 8

直角はHに対応するIにあります。Iはx軸上でOI=15、Dと重ならないよう原点の左側にとるので、

I(−15, 0)

IでDIがx軸と直角に交わり、DI=8。Dは①(y>0)上の点だから上向きで、

D(−15, 8)

念のため確認すると、①の式 y=−120/x に x=−15 を入れると −120÷(−15)=8 で、Dはちゃんと①の上にあります。合同の条件だけで、折り返す軸ODの位置が完全に決まりました

 

ステップ2:OB⊥OD を見抜いて、折り返し先を出す

ここが一番のカギ、そして今回わざわざ「合同」が用意されている理由です。合同から、角Oが直角(OB⊥OD)であることを角度の計算だけで示せます。三平方の定理はまだ使いません。

△BOH で、角Bを●、角Oを○とします。直角は角Hなので、三角形の内角の和180°より、

● + ○ = 90°

合同 △BOH≡△ODI より、対応する角どうしは等しいので、△ODIでは 角O=●、角D=○ になります。ここでx軸は、H(右)とI(左)を通る1本のまっすぐな直線で、その上に原点Oがあります。O のまわり、x軸の上側で角を左から右へ並べると、

(角DOI=●)+(角BOD)+(角BOH=○)= 180°

したがって、

角BOD = 180° − ● − ○ = 180° − 90° = 90°

OB ⊥ OD

これで、直線ODに対して垂直な向きにあるのが、ほかでもないOBだと分かりました。折り返す軸ODの上には原点Oがあり、Bはその軸と垂直な方向に伸びている——つまりBから軸ODへ下ろした垂線の足は、ちょうど原点Oです。だから、BをODで折り返した点B″は、Oをはさんで真反対の、原点について点対称な点になります。

B″(−8, −15)

Bの座標の符号を両方ひっくり返すだけ。ナナメの軸での折り返しは普通ぐちゃぐちゃになりますが、OB⊥ODのおかげで、折り返し先が−Bというシンプルな点に化けました。ここが「合同がわざわざ与えられていた」ごほうびです。

 

ステップ3:AQ+QBが最小になる経路と、QBの長さ

折り返しでAQ+QB=AQ+QB″ になりました。これが最小になるのは、A・Q・B″が一直線に並ぶとき。

A(−8, 15)とB″(−8, −15)を見ると、どちらもx座標が−8。つまりAとB″を結ぶ直線は、たての直線 x=−8 です。Qはこの直線と、動ける範囲である線分ODとの交点になります。

直線ODは原点とD(−15, 8)を通るので、傾きは 8÷(−15)=−8/15、式は y=−8/15 x。ここに x=−8 を代入すると、

y = −8/15 ×(−8)

y = 64/15

よって最短経路をつくる点Qは、

Q(−8, 64/15)

(64/15=約4.3で、これは0と8の間。ちゃんと線分OD上にあります。)

あとはQBの長さです。ここで三平方の定理(中3)を使えば一発ですが、三平方を習っていなくても求められるのがこの問題のうまいところ。折り返しの性質を使います。

Bを軸ODで折り返した先がB″でした。折り返しでは長さが変わらないので、軸OD上のどの点から見ても「Bまでの距離」と「B″までの距離」は等しくなります。Qも軸OD上にあるので、

QB = QB″

(これは、QからBとB″を結ぶ三角形QB″Bが、QB=QB″の二等辺三角形になっている、と言っても同じことです。)

そこで、測りやすいほうの QB″ を求めます。Q(−8, 64/15)とB″(−8, −15)はどちらもx座標が−8なので、たての距離を引き算するだけです。

QB″ = 64/15 −(−15)

QB″ = 64/15 + 225/15

QB = 289 / 15

これが答えです。約19.3。ナナメの折り返しでしたが、直交と二等辺三角形をうまく使ったおかげで、最後は引き算1本で決まりました。

 

5. 答えの吟味:割り切れなくても不安にならない

289/15 は約分できず、割り切れもしません。「こんな中途半端な数、間違えたかも」と不安になりますよね。でも、割り切れないこと自体はミスの証拠ではありません。ここまでの筋(①の式・合同・座標)が合っていれば、堂々と答えにしてOKです。

心配な人は、三平方の定理を習っていれば直接チェックできます。Q(−8, 64/15)から本物のB(8, 15)まで直線ではかると、

横の差 = 8 −(−8) = 16

たての差 = 15 − 64/15 = 225/15 − 64/15 = 161/15

QB = √(16² + (161/15)²) = √(83521/225) = 289 / 15

やはり 289/15。折り返しで出した値と、直接はかった値がピタリ一致。これで安心して答えにできます。

 

6. よくあるつまずき

つまずき①:BQ(QB)の長さを先に固定してしまう

Qが動く問題で、先にBQをある長さに決め打ちしてしまうと、そこから一歩も進めなくなります。最短距離では長さを固定するのではなく、Bを折り返して「まっすぐな線分」に直すのが正しい入り口です。「動かすのはBのほう」と覚えておきましょう。

つまずき②:情報が多すぎて、条件を座標に翻訳しないまま考える

反比例・対称移動・合同・最短が一度に出ると、頭の中だけで処理しようとして混乱します。手を動かして、A、B、B′、H、D、I、Qを1つずつ座標で書き出す。図の言葉を座標の言葉に翻訳してしまえば、見た目ほど複雑ではありません。

つまずき③:合同の「対応の順」を無視してしまう

△BOH≡△ODI は、書かれた頂点の順番そのものが対応関係です。B↔O、O↔D、H↔Iを守れば OI=BH=15、DI=OH=8 と自動で決まり、I(−15,0)・D(−15,8)が出ます。順番を勝手に入れ替えると、DやIの座標がずれて全部くるってしまうので要注意です。

つまずき④:合同を「長さ」にしか使わず、角Oが直角だと気づかない

多くの人は合同を辺の長さ(OI=15など)にだけ使って止まります。でも今回いちばんおいしいのは角の情報です。合同な角を●○で印をつけ、●+○=90°から角BODが90°(OB⊥OD)を導けると、折り返し先が−B=(−8,−15)と一瞬で出ます。「わざわざ合同が与えられている=角にも意味がある」と疑う習慣をつけましょう。

 

7. FAQ

Q. なぜ最短のときにわざわざ「折り返す」の?

A→Q→Bと進む折れ線は、途中で曲がっているぶんだけ遠回りです。Bを軸の反対側に折り返すと、QからBまでの距離は変わらないまま、経路全体を1本の直線として見られるようになります。2点を結ぶ最短は直線なので、A・Q・B″がまっすぐ並んだ瞬間が最小、というわけです。

Q. 折り返しの軸が今回みたいにナナメじゃなくて、x軸やy軸ならどうするの?

もっと簡単です。x軸で折り返すならy座標の符号だけ、y軸で折り返すならx座標の符号だけを変えればOK。今回は軸がナナメでしたが、OB⊥ODという特別な形のおかげで、結果的に「符号を両方変えるだけ」に落ち着きました。

Q. 点Qの座標を出さなくてもQBは求められる?

長さだけなら、折り返し先B″とAが同じ直線 x=−8 上にあると分かった時点で、AB″=30(最短経路の全長)も見えます。ただしQBそのものを問われているので、直線ODと x=−8 の交点=Qを必ず求め、そこからBまでの距離を出す必要があります。今回はそこがゴールでした。

 

8. まとめ

・最短距離(折れ線AQ+QB)は、いつも「Bを折り返して直線にする」で考える

・条件は1つずつ座標に翻訳:A(−8,15)、B(8,15)、①は y=−120/x

・(2)はB′(8,−15)とAが原点対称→△APB′=15|p|=45→P(±3, 0)

・(3)は合同△BOH≡△ODIの対応どおりに読み、D(−15,8)・折り返す軸ODを確定

・合同の角(●+○=90°)から角BOD=90°=OB⊥ODを導くと、折り返し先はB″(−8,−15)とシンプル

・AとB″はともに x=−8 上→Q(−8, 64/15)→QB=64/15+225/15=289/15

この問題は、Lafの公式LINEに実際に届いた質問をもとに、動画で解説したものです。「融合問題になると急に解けなくなる」「最短距離の折り返しがいつ使えるのか分からない」——そんなときは、公式LINEから気軽に送ってください。あなたのつまずきに合わせて、一緒にほどいていきます。

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