先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
「最短距離の問題は解けるのに、四角形になった瞬間に手が止まります」
> 塾生からの相談
>
> 「先生、公式LINEで質問した問題なんですけど、Y軸で1回はね返る最短距離のやつは解けるようになりました。でも今回は点がCとDの2つあって、しかもCとDの間が1って決まってて、どこから手をつけたらいいのか分からないです」
これは実際に授業で出てきた質問です。
気持ちはとてもよく分かります。この問題は先生も初めて見たときに「どうやって解くんだろう」と一瞬悩みました。
でも安心してください。
使う道具は、みなさんがすでに知っている対称移動と一次関数の式を求める連立方程式の2つだけです。
新しく必要になるのは「CDの1をどう処理するか」という工夫がひとつだけ。そこを乗り越えれば、あとはいつもの最短距離の問題に戻ります。
問題
> 座標平面上に四角形ABCDがある。Oは原点とする。
> 点Aの座標は (1, 0)、点Bの座標は (4, 5) である。
> 点C、点DはY軸上の点であり、点Dのy座標は正である。
> また、点Cのy座標は、点Dのy座標より常に1だけ大きい。
> 四角形ABCDの周の長さが最小となるときの、点Cの座標を求めなさい。
図をイメージすると、右側にAとBがあり、Y軸の上にCとDが縦に1だけ離れて並んでいます。
DはCの1つ下です(Cのほうが1大きいので、Cが上、Dが下)。
核の考え方:動かない辺は無視して、CDの1は「先に足しておく」
まず、動く部分だけを見る
四角形ABCDの周の長さは、4つの辺の合計です。
周の長さ = AB + BC + CD + DA
このうち、
- AB は A(1, 0) と B(4, 5) という決まった点どうしなので、長さは変わりません
- CD は「常に1」と問題文に書いてあるので、これも変わりません
つまり、動くのは BC + DA だけです。
だから、この問題は「BC + DA が最小になるときを探しなさい」と言い換えられます。
いつもの最短距離の形を思い出す
もしDがなくて、Cだけだったらどうでしょうか。
「BからスタートしてY軸のどこかにいったん触れて、Aまで行く。この道のりが一番短くなるのはどこで触れたとき?」
これは川の問題として有名です。
Bの家から出て、いったん川(Y軸)に行って水をくんで、Aの家に行く。その最短ルートを求めなさい、というやつですね。
このときは、Aを川(Y軸)に関して線対称に移した点A’を取るのがお決まりです。
Y軸で折り返しているので、CからAまでの距離と、CからA’までの距離は必ず同じになります。
だから、
BC + CA = BC + CA’
となり、これが最小になるのは、BとA’をまっすぐな1本の直線で結んだときです。
遠回りせず直線で行くのが一番短い、というだけの話です。
そして、その直線がY軸と交わったところが、求めたい点Cになります。
今回の工夫:CDの1を先に消しておく
問題はここからです。
今回はY軸上に点が2つあり、CとDは1だけ離れています。上の形にそのまま当てはまりません。
そこで、CとDの間の1を、いったん「なかったこと」にします。
ゴムをぎゅっと縮めるように、DをCの位置まで折りたたむイメージです。
すると、Dのぶんだけ道のりが1短くなってしまいます。
そこで、その1をあらかじめA側に足しておきます。
具体的には、Aを (1, 0) から (1, 1) へ、上に1だけ平行移動します。
これで「AからDまで行くときに、どうせ下に1だけ移動しないといけない」という分を、先に払い終えた状態になります。
あとは、移動後のA(1, 1)を使って、いつもどおりの対称移動をするだけです。
> ここがこの問題の山場です。
> 「Dをなかったことにして、最後に元に戻す」という発想さえつかめば、計算そのものは中2の一次関数で終わります。
3ステップ解法
ステップ1:Aを上に1だけ動かす
CDの間隔1を先に足しておくため、点Aを1つ上に平行移動します。
A(1, 0) → A'(1, 1)
ステップ2:A’をY軸に関して線対称移動する
Y軸で折り返すので、x座標の符号だけが変わります。y座標はそのままです。
A'(1, 1) → A”(-1, 1)
これで、求めたい最小の長さは「A”とBを結んだ直線の長さ」に置きかわりました。
ステップ3:A”とBを通る直線の式を求める
直線なので、一次関数 y = ax + b の形になります。
ここに2点の座標をそれぞれ代入します。
B(4, 5) を代入すると、
5 = 4a + b
A”(-1, 1) を代入すると、
1 = -a + b
この2つの連立方程式を、加減法で解きます。bが両方にそのままあるので、引き算をします。
5 – 1 = 4a – (-a)
4 = 5a
a = 4/5
これを2つ目の式に代入します。
1 = -4/5 + b
移項して、
b = 1 + 4/5
b = 9/5
答えの取り出し方
点CはY軸上の点なので、x座標は0です。
x=0のとき、y=b。つまり、求めた切片bが、そのまま点Cのy座標になります。
答え:点Cの座標は (0, 9/5)
検算と答えの吟味
Dの位置を確かめる
Cのy座標が9/5なので、Dのy座標はその1小さい値です。
9/5 – 1 = 4/5
問題文には「点Dのy座標は正である」とあります。
4/5は正の数なので、条件を満たしています。ここは必ず確認してください。
実際の長さで確かめる
C(0, 9/5)、D(0, 4/5) のときの BC + DA を計算してみます。
BC は B(4, 5) と C(0, 9/5) の距離なので、
BC = √(4² + (5 – 9/5)²) = √(16 + (16/5)²) = √(656/25)
DA は D(0, 4/5) と A(1, 0) の距離なので、
DA = √(1² + (4/5)²) = √(41/25)
小数にすると、BC ≒ 5.12、DA ≒ 1.28 で、合計は約 6.40 です。
一方、A”(-1, 1) と B(4, 5) を直線で結んだ長さは、
A”B = √(5² + 4²) = √41 ≒ 6.40
きれいに一致しました。狙いどおり、BC + DA が直線A”Bの長さに置きかわっています。
ほかの点と比べてみる
ためしにDのy座標を1(つまりC(0, 2))にしてみます。
BC = √(16 + 9) = 5、DA = √(1 + 1) = √2 ≒ 1.41、合計は約 6.41
先ほどの6.40より長くなりました。
やはり C(0, 9/5) のときが最小だと確認できます。
周の長さそのもの
ついでに周の長さも出しておくと、
AB = √(3² + 5²) = √34、CD = 1、BC + DA = √41
周の長さの最小値 = √34 + 1 + √41
今回の問題は点Cの座標だけ答えればよいので、ここまでは書かなくて構いません。
よくあるつまずき
1. ABとCDまで最小にしようとしてしまう
「周の長さが最小」と読むと、4辺すべてを短くしようとしてしまいがちです。
でもABは両端が決まっているので動きません。CDも1で固定です。
動く辺だけを取り出すのが最初の一手です。
2. Aを動かさずに、いきなり対称移動してしまう
A(1, 0) をそのままY軸で折り返して (-1, 0) としてしまう間違いです。
これだとCDの1が入っていないので、答えがずれます。
先に1つ上げてから折り返す。順番が大事です。
3. 上に上げるのか下に下げるのか迷う
Cのほうがy座標が大きい、つまりCが上、Dが下です。
DからAへ向かうときは下に降りることになるので、その分をAに先に足しておきます。だからAは上へ1です。
図にCとDを実際に書き込んで、どちらが上かを目で確かめてから動かしてください。
4. 対称移動でy座標まで変えてしまう
Y軸に関する線対称では、変わるのはx座標の符号だけです。
(1, 1) → (-1, 1) であって、(-1, -1) ではありません。
X軸に関する線対称と混ざりやすいところなので、どちらの軸で折り返しているかを毎回声に出して確認しましょう。
5. 切片bを求めて安心して、答えを書き忘れる
b=9/5 まで出たところで手が止まってしまう人がいます。
聞かれているのは点Cの座標です。x座標の0を付けて、(0, 9/5) と書き切ってください。
FAQ
Q. なぜ「直線で結ぶと最短」と言えるのですか。
A. 2点を結ぶ道のりのうち、まっすぐな線が一番短いからです。折れ曲がったルートは、どんな曲がり方をしても必ず遠回りになります。対称移動は、折れ曲がっていたBCAという道を、BからA”までのまっすぐな1本に置きかえるための作業です。
Q. Aではなく、Bを動かしてもよいですか。
A. 考え方としては同じです。ただ、今回はDがAとつながっているので、A側で1を調整するほうが図がすっきりします。動かす点を変えると、その後の対称移動の点も変わるので、途中で混ぜないよう注意してください。
Q. Aを上に1上げると、四角形の形が変わってしまいませんか。
A. 変わりません。上げるのは計算のための一時的な作業で、最後に元へ戻します。実際の答えとして使うのは「直線がY軸と交わる位置」だけなので、四角形そのものはA(1, 0) のままです。
Q. 9/5 は小数で答えてもよいですか。
A. 分数のままが安全です。9/5 は1.8ですが、割り切れない値が出る問題もあるので、座標は分数で答える習慣をつけておきましょう。
Q. この問題は何年生の範囲ですか。
A. 中2の一次関数です。対称移動は中1の図形、直線の式を求める連立方程式は中2で習います。使う道具はすべて習い終えたものだけです。
Q. 入試でも出ますか。
A. 最短距離を対称移動で求める問題は、公立入試の関数の大問でよく出ます。今回のように「2点の間の距離が固定されている」タイプは応用にあたりますが、考え方は同じなので、基本形をしっかり身につけておけば対応できます。
まとめ
今回のポイントは3つです。
- 周の長さのうち、動かない辺(ABとCD)は無視して、BC + DA だけを考える
- CDの1を先に払っておくため、Aを1つ上に動かしてから、Y軸で線対称移動する
- できた直線の切片bが、そのまま点Cのy座標になる
正直に言うと、この問題は難しいです。
「分けて考える」「いったんなかったことにして、あとで戻す」という発想は、一度自分で手を動かして図を書いてみないと身につきません。
今回の解き方をノートに写しながら、もう一度自分で最初から解いてみてください。
分からないところがあれば、そのまま送ってきてください。
公式LINEでは、みなさんの分からない問題に直接お答えしています。写真を1枚送るだけで大丈夫です。
一緒に、分からないを分かるにしていきましょう。
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