
グラフが上に開いてるか下に開いてるかで、プラスかマイナスかまでは出せたんですけど、そこから先が進まなくて。

そこまでできてれば半分くらい解けてるよ。あと1個、まだ使ってない条件があるんだよね。それ何だっけ?
これは、実際の授業でのやり取りです。中3数学の二次関数の単元で、二次関数と反比例と一次関数が同時に出てくる融合問題ですね。あまり見ないタイプですが、考え方の柱は1本だけです。今回はその柱を、順番に解説します。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題
右の図において、曲線①は関数y=ax²のグラフで、曲線②は関数y=x分のbのグラフ、直線lは一次関数y=cx+dのグラフです。
曲線①、②と直線lが、x座標が-1である点Pで右の図のように交わっているとき、a,b,c,dの大小関係を小さい順に不等号を使って表しなさい。
図では、曲線①は上に開いた放物線、曲線②は左上と右下に分かれた反比例のグラフ、直線lは右肩下がりの直線になっています。この3本が、x座標が-1のところにある点Pで、1点に集まっています。
使っていない条件は「3つとも同じ点を通る」
グラフの形を見れば、上に開いているか下に開いているかで、プラスかマイナスかの見当はつきます。ただ、それだけではa,b,c,dを1列に並べるところまではいきません。
授業でも、ここで一度止まりました。そこで確認したのが「まだ使っていない条件はどれか」という問いです。
答えは、点Pのx座標が-1だということ。しかも、この点Pは3本のグラフすべてが通る点です。
同じ点を通るということは、そのxを代入したときのyの値が3つとも同じになる。ここが今回の柱です。
「じゃあこれ使うとしたら、どうやって使えると思う?」と聞いたら、生徒から「代入する」と返ってきました。その通りです。
ステップ1: x=-1を代入して、3本を1本につなぐ
3つの式それぞれに、x=-1を代入します。
まず曲線①、放物線のほうです。
y=a×(-1)²=a
(-1)²は1なので、yの値はaそのものになります。
次に曲線②、反比例のほうです。
y=b÷(-1)=-b
分母が-1なので、yの値は-bになります。
最後に直線lです。
y=c×(-1)+d=-c+d
この3つは、どれも点Pのy座標を表しています。同じ点なのですから、y座標が違っていたらおかしいですよね。3つを等号でつなぎます。
a=-b=-c+d
ここまでで、バラバラだった4つの文字が1本の式の中に入りました。授業でも「ここまではいけてる?」と一度止めて確認したところです。
ステップ2: グラフの形から4つの符号を読む
次に、a,b,c,dがそれぞれ正の数か負の数かを、グラフの形から読み取ります。
aは、y=ax²のグラフが上に開いた放物線なので、正の数です。下に開いていたら負の数でした。
bは、反比例y=x分のbのグラフが左上と右下に分かれているので、負の数です。右上と左下に分かれていれば正の数でした。
cは、直線lの傾きです。右肩下がりなので、負の数です。
dは、直線lの切片です。y軸と交わる位置がy軸の正の側なので、正の数です。
まとめると、次のようになります。
a>0、b<0、c<0、d>0
この符号と、ステップ1で作った式。この2つを組み合わせて解いていきます。
ステップ3: 2つの不等式を作って、つなぐ
a=-b=-c+dは、等号が2つ並んだ形です。このままだと扱いにくいので、2つずつ取り出して考えます。
まず a と -c+d を取り出す
a=-c+d
このままだと見にくいので、右辺を入れ替えます。
a=d-c
ここで、cが負の数だったことを思い出してください。負の数を引いているので、実質は足していることになります。授業でも「このマイナスcって、加えてる?引いてる?」と聞いて、生徒から「加えてる」と返ってきたところです。
つまりaは、正の数dに正の数を足した結果ということになります。
a>d
そしてdは正の数、cは負の数ですから、dのほうが大きいのは見たままです。2つをつなぎます。
a>d>c
これで1つ目の不等式ができました。
次に -b と -c+d を取り出す
-b=-c+d
マイナスが付いたまま考えるのは面倒なので、両辺を-1倍します。
b=c-d
ここでもう一度、符号を確認します。bは負の数、cは負の数、dは正の数でした。
bは、負の数cから正の数dを引いた結果です。負の数からさらに引いているので、cよりも小さくなります。
b<c
そしてcは負の数、dは正の数なので、こちらも見たままです。つなぎます。
b<c<d
これで2つ目の不等式ができました。
2つをつなぐ
ここまでで、次の2本が出そろいました。
a>d>c
b<c<d
1つ目を小さい順に書き直すと、c<d<aです。2つ目はb<c<dです。どちらにもc<dが入っていますね。この共通部分で重ねます。
bはcより小さく、cはdより小さく、dはaより小さい。よって答えはこうなります。
b<c<d<a
答えの確かめかた
答えが出たら、符号と並び順が合っているかを見ます。
負の数はbとcの2つ、正の数はdとaの2つでした。並べたb<c<d<aを見ると、左の2つが負の数、右の2つが正の数です。ここが入れ替わっていたら、どこかで符号を読み違えています。
もう1つは、実際に数を入れてみる方法です。たとえばa=2としてみます。a=-bなのでb=-2。a=d-cなので、d-c=2を満たす組み合わせ、たとえばc=-1、d=1が取れます。この4つを小さい順に並べると、-2、-1、1、2です。つまりb、c、d、aの順になりました。答えと同じ並びですね。
数を入れて確かめるやり方は、大小関係の問題で自分の答えを見直すときに使えます。
よくあるつまずき
つまずき1: グラフの形だけで並べようとする
上に開いているからaは正、右肩下がりだからcは負。ここまでは多くの人が出せます。ただ、符号だけでは正の数どうし、負の数どうしの大小は決まりません。aとdはどちらも正の数ですが、どちらが大きいかはグラフの形からは読めません。ここを決めるために、代入して作った式が要ります。
つまずき2: 代入するときに符号を落とす
(-1)²を-1としてしまうミスです。2乗なので、答えは+1になります。ここを間違えると、曲線①のy座標が-aになってしまい、以降の不等式がすべてずれます。カッコを付けて(-1)²と書くだけで、この取り違えは減らせます。
つまずき3: 「マイナスを引く」で止まってしまう
a=d-cの形を見て、「cを引いているからaのほうが小さいのでは」と考えてしまうパターンです。cが負の数のときは、マイナスとマイナスでプラス扱いになります。文字が入ると見えにくくなるので、迷ったらc=-1のような具体的な数を仮に入れてみると、足しているのか引いているのかがはっきりします。
よくある質問
Q. 二次関数の問題なのに、反比例や一次関数が出てくるのはなぜですか?
A. 「グラフの形から係数の符号を読む」という力は、二次関数でも反比例でも一次関数でも同じように使うからです。3つを1つの図にまとめることで、その力をまとめて確認できる問題になっています。単元をまたぐ問題ですが、聞かれていることは1つです。
Q. 点Pのy座標は求めなくていいのですか?
A. 今回は求めなくて大丈夫です。聞かれているのはa,b,c,dの大小関係だけなので、y座標を文字のまま3通りに表して等号でつなげば、それ以上は要りません。座標の具体的な値を出そうとすると、条件が足りずに止まってしまいます。
Q. 答えの向きは「小さい順」と「大きい順」のどちらで書けばよいですか?
A. 問題文の指示に合わせます。今回は「小さい順に」と書かれているので、b<c<d<aと書きます。同じ内容でもa>d>c>bと書くと、指示と向きが逆になってしまいます。答えを書く前に、問題文の指定をもう一度見ておくと安心です。
今回のポイントまとめ
- 3本のグラフが1点で交わる問題は、その点のx座標を全部の式に代入する
- 代入して出たy座標は3つとも同じ値なので、等号でつなげる(a=-b=-c+d)
- グラフの形から符号を読む(上に開く放物線でa>0、左上と右下の反比例でb<0、右肩下がりでc<0、切片が上でd>0)
- 等号でつないだ式から2つずつ取り出して、a>d>c と b<c<d の2本を作る
- 共通するc<dで重ねてつなぐと、答えはb<c<d<a
もっと詳しく見たい人は、実際の解説動画も参考にしてください。板書に書き込みながら進めているので、どの順番で式が出てきたかを目で追えます。
融合問題は、見た目の情報量に押されて手が止まりやすいところです。使っていない条件を1つ探すところから始めると、糸口が見つかりやすくなります。分からない問題があれば、公式LINEで気軽に質問してくださいね。
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