直方体の中に点線でかこまれた、なんだか歪(いびつ)な立体。「この形の体積を求めなさい」と言われても、そもそも図形が頭の中でまとまらない——中1の空間図形で、いちばん多いつまずきです。今回のテーマは、直方体の中にできる立体APFGの体積の求め方。ぐにゃっとして見えるこの立体の正体さえ見抜けば、あとは公式に入れるだけで解けます。

この立体、点線でかこまれてて、自分で図形がまとまって思い浮かべられなくて…。どこが底面で、どこが高さなのかも分からないです。

その「形がまとまらない」って感覚、めちゃくちゃ大事にしてほしい。実はこの立体、横に寝かせて見れば、ただの三角錐(三角すい)なんだ。正体さえ分かれば、あとは「底面積 × 高さ × 1/3」に入れるだけ。今日はその見抜き方を、一緒にやっていこう。
この記事では、公式LINEに実際に届いた質問をもとに、立体APFGを三角錐と見抜くところから、底面のえらび方、答えの出し方までを、順番に説明します。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
1. 今回の問題
まず問題文です。
> 右の図のような直方体ABCD−EFGHがあり、AB=8cm、AD=12cm、AE=10cmです。点Pは辺ABの中点です。このとき、立体APFGの体積を求めなさい。
直方体ABCD−EFGHは、上の面がABCD、下の面がEFGHで、Aの真下がE、Bの真下がF、Cの真下がG、Dの真下がHになっています。辺の長さは、AB=8cm(よこ)、AD=12cm(おくゆき)、AE=10cm(たて)。点Pは辺ABのちょうど真ん中なので、
AP = ABの半分 = 8 ÷ 2 = 4(cm)
このA、P、F、Gの4点を結んでできる立体の体積を求めます。点線でかこまれていて、パッと見はゴツゴツした変な形。でも、やることは決まっています。
2. 核になる考え方:ぐにゃっとした立体は「三角錐」を見抜く
この問題の一番のポイントは、立体APFGの正体が三角錐(三角すい)だと気づくことです。

頂点を数えてみよう。A、P、F、Gの4つだよね。頂点が4つで、三角形の面だけでできている立体=三角錐なんだ。直方体の中にあると歪んで見えるけど、取り出して横に寝かせれば、ただの三角すいだよ。
立体を「まっすぐ立っている」と思い込むと、底面がどこか分からなくなります。そうではなく、都合のいい面を1つ選んで、それを底面にしていい——これが三角錐の体積を求めるときのコツです。三角錐は、どの面を下にして置いても同じ体積だからです。
そこで今回えらぶ底面は、三角形APF。この三角形は、直方体の前の面ABFE(A・B・F・Eでできる長方形の面)の上に、ぴったり平らに乗っています。平らな面に乗っている三角形なら、面積が計算しやすいですよね。

なるほど、底面を三角形APFにするんですね。じゃあ高さはどこになるんですか?

いい質問。底面を前の面ABFEに置いたら、その面に垂直な辺=AD(おくゆきの辺)が、そのまま高さになるんだ。直方体だから、前の面と奥行きの辺はきれいに直角。だから高さはAD=12cmって、はかる前から分かるんだよ。
底面を三角形APF、高さをAD=12cmと決めた瞬間に、この問題は「三角形APFの面積さえ出せば終わり」まで単純になります。あとは公式に入れるだけです。
3. 3ステップで解く
三角錐の体積の公式を確認しておきます。
三角錐の体積 = 底面積 × 高さ × 1/3
この形に「底面積」と「高さ」を入れていくだけです。
ステップ1:三角錐だと見抜いて、底面と高さを決める
まず、立体APFGは三角錐。底面を三角形APF、頂点(てっぺん)をGとみます。
底面の三角形APFは、前の面ABFEの上にあります。その面に対して、点Gは奥行き方向にポツンと離れた位置にあります。GはちょうどFの真後ろ(おくゆき方向)にあって、
FG = AD = 12(cm)
FGは前の面ABFEに垂直な辺なので、この12cmが三角錐の高さです。「高さ」は、底面の面からてっぺんの点Gまでの、まっすぐな(垂直な)長さのこと。直方体のおくゆきの辺ADと同じ12cmになります。
ステップ2:底面の三角形APFの面積を出す
次に底面積です。三角形APFがある前の面ABFEだけを、平面として取り出して考えます。
この面の中で、
- 底辺は AP = 4cm(AからPまで、ABの半分)
- 高さは AE = 10cm(AからEへおりる、たての辺)
AP(よこの辺AB上)とAE(たての辺)は直角に交わっているので、そのまま三角形の底辺と高さに使えます。三角形の面積は「底辺 × 高さ × 1/2」なので、
三角形APF = 1/2 × 4 × 10
三角形APF = 20(cm²)
底面積が20cm²と出ました。
ステップ3:高さADをかけて、最後に1/3をかける
底面積20cm²、高さ12cm。三角錐の体積の公式に入れます。
体積 = 1/3 × 20 × 12
体積 = 1/3 × 240
体積 = 80(cm³)
答えは80cm³です。動画で先生が板書したとおり、式を一気に並べると、
4 × 10 × 1/2 × 12 × 1/3 = 80(cm³)
前半の「4 × 10 × 1/2」が底面積20、そこに高さ12、最後に三角錐の1/3をかける、という流れがそのまま1本の式になっています。最後の「× 1/3」を忘れないのが、三角錐の合言葉です。
4. 答えの確かめ:この立体が本当に80cm³か
出した答えが妥当か、ざっくり確かめておきましょう。直方体ABCD−EFGH全体の体積は、
直方体の体積 = 8 × 12 × 10 = 960(cm³)
三角錐APFGの体積80cm³は、この直方体のちょうど 80 ÷ 960 = 1/12。直方体の中に点線でかこまれた小さめの立体だったことを思い出すと、全体の1割弱におさまるのは自然な大きさです。とんでもなく大きい・小さいになっていないかを最後にチェックすると、計算ミスに気づけます。

空間図形は、答えが出たあとに「全体の何分の1くらい?」って比べるクセをつけるといいよ。1/12ならまあ納得。もしこれが「800cm³」とか出てたら、直方体(960cm³)に近すぎておかしい、って気づけるよね。
5. よくあるつまずき
つまずき①:立体の形が頭の中でまとまらない
点線でかこまれた立体は、そのまま見ようとすると歪んで見えて、どこが底面か分かりません。まず「頂点はいくつ?」と数えるのが第一歩。今回はA・P・F・Gの4つ=三角錐。正体さえ決まれば、「底面 × 高さ × 1/3」というレールに乗せられます。形をイメージだけでとらえようとせず、頂点の数から入りましょう。
つまずき②:底面のえらび方が悪くて、高さが分からなくなる
三角錐はどの面を底面にしてもいいのですが、えらぶ面を間違えると高さが計算できなくなります。コツは「直方体の面にぴったり乗っている三角形」を底面にすること。今回なら三角形APF(前の面ABFEの上)。すると、その面に垂直な辺(AD=12)が自動的に高さになります。ナナメの面を底面にすると高さが求めにくいので避けましょう。
つまずき③:最後の「× 1/3」を忘れる
底面積 × 高さで止めてしまうと、それは三角柱(プリズム)の体積です。1点にキュッとまとまる三角錐は、同じ底面・高さの三角柱の3分の1しかありません。錐(すい)の体積は、最後にかならず × 1/3。公式を書いた瞬間に「錐だから3分の1」と口に出すクセをつけると、忘れなくなります。
6. FAQ
Q. どうして高さがADだと言い切れるのですか?
底面にえらんだ三角形APFは、前の面ABFEの上にあります。直方体では、この面と奥行きの辺ADはきれいに直角(垂直)に交わります。高さとは「底面の面から、てっぺんの点まで垂直にはかった長さ」のこと。頂点Gは、Fの真後ろに奥行きAD=12cmだけ離れた位置にあるので、その12cmがそのまま高さになります。
Q. 三角形APFの面積で、なぜAEが高さになるのですか?
三角形APFを前の面ABFEの上で見ると、底辺APは辺AB(よこ)の一部、点Fは面の下のほうの角です。底辺APから点Fまでの垂直な長さが、ちょうどたての辺AE=10cmにあたります。ABとAEは直角に交わっているので、AP=4を底辺、AE=10を高さとして「1/2 × 4 × 10」で面積が出せます。
Q. 底面を別の三角形にしても答えは同じになりますか?
なります。三角錐はどの面を底面にしても体積は変わりません。ただし、面によっては高さがすぐに分からず、計算がぐっと大変になります。だから「高さがひと目で分かる底面」をえらぶのが、はやく正確に解くコツです。今回の三角形APFは、その条件をいちばん満たす底面でした。
Q. こういう「立体の中の立体」の問題は、高校受験でも出ますか?
よく出ます。大きな直方体や立方体の中から、三角錐(三角すい)を見つけ出して体積を求める問題は、受験の空間図形で定番です。「大きい立体の中にかくれている三角錐を見抜き、計算しやすい底面と高さをえらぶ」——この今日のやり方が、そのまま受験でも武器になります。
7. まとめ
・点線でかこまれた歪な立体は、まず「頂点の数」を数える。4つ=三角錐
・三角錐はどの面を底面にしてもよい→高さがひと目で分かる面をえらぶ
・今回の底面は三角形APF(前の面ABFEの上)、高さはそれに垂直なAD=12cm
・Pは辺ABの中点なのでAP=4cm
・底面積=1/2 × 4 × 10 = 20cm²(底辺AP、高さAE)
・体積=1/3 × 20 × 12 = 80cm³(板書:4×10×1/2×12×1/3=80)
・錐(すい)の体積は、最後にかならず × 1/3 を忘れない
この問題は、Lafの公式LINEに実際に届いた質問をもとに、動画で解説したものです。「立体の形が頭の中でまとまらない」「どこを底面にすればいいか分からない」——そんなときは、公式LINEから気軽に送ってください。あなたのつまずきに合わせて、一緒にほどいていきます。
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