
条件が2つも書いてあって、どっちから手をつければいいのか分からなくなりました。

条件が2つ並んでいるときは、先に「aってどんな数なの?」を1本の式にまとめてしまうと、あとがぐっと楽になるよ。今日はその順番でいこう。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題
次の問題を考えます。
aは4の倍数で、7でわると2余る自然数である。√576−a が自然数となるようなaの値を求めなさい。
中3の平方根で出てくる、条件が2つ重なったタイプです。「4の倍数」という条件と「7でわると2余る」という条件、そのうえで「√の中が平方数になる」という3つ目の要求まである。読んだ瞬間に情報が多くて、どこから手をつけるか迷いやすい問題です。
ここで大事なのは、√の話に入る前に、aがどんな数なのかを先に決めてしまうことです。aの正体があいまいなまま√576−a をいじり始めると、文字が2つあるような気分になって手が止まります。
授業でも、最初にやったのはこれでした。「まずaがどういった数なのかっていうのを明らかにしていきましょう」という一言から始まっています。この記事でも同じ順番で、次の3ステップに分けて整理します。①aを 16 + 28k の形にする、②√の中に代入して素因数分解する、③残った部分が平方数になるkを探す。この3つです。
核になる考え方: 2つの条件を1本の式にまとめる
条件が2つあるとき、多くの人は片方ずつ使おうとします。ところがこの問題では、片方だけでは前に進めません。
たとえば「4の倍数」だけを使って、
a = 4k
と置いてみます。授業でも最初はここから入りました。ただ、この式には「7でわると2余る」という情報がまったく入っていません。このまま√の中に入れても、7の条件を後から足す場所がなくて困ってしまいます。
そこで、2つの条件を同時に満たす数を、はじめから1本の式で書くという方針に切りかえます。ゴールはこの形です。
a = 16 + 28k(k = 0, 1, 2, 3, …)
16は「2つの条件を両方満たす一番小さい数」、28は「そこから次の数までの間隔」です。この2つさえ分かれば、条件を満たすaを全部この1本で表せます。あとはkを動かしてどれが答えかを探すだけの問題に変わります。
条件が2つある問題は、この「1本にまとめる」ができるかどうかで難しさがまったく変わります。
ステップ1: aを 16 + 28k の形にする
では、16と28をどうやって見つけるか。授業でやったのは、書き出して並べるという方法です。まず4の倍数を小さいほうから書き出します。
4, 8, 12, 16, 20, 24, 28, 32
次に、その下に「7でわったときの余り」を書いていきます。
| 4の倍数 | 4 | 8 | 12 | 16 | 20 | 24 | 28 | 32 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 7でわった余り | 4 | 1 | 5 | 2 | 6 | 3 | 0 | 4 |
この余りの行をながめると、4, 1, 5, 2, 6, 3, 0 と来て、次がまた4に戻っています。7個で1セットになって、余りが循環しているのが見えます。
余りが2になる一番はじめの数は、表の4番目にある16です。そして余りは7個で1周するので、次に余りが2になるのは16から7個先。4の倍数が7個ぶん進むということは、
4 × 7 = 28
だけ大きくなるということです。実際、表の左端の4と右端の32は28だけ離れていて、余りはどちらも4に戻っています。
だから条件を満たすaは、16から28ずつ増えていく数の並びになります。
a = 16 + 28k(k = 0, 1, 2, 3, …)
念のため、k = 1 のときを確かめます。
a = 16 + 28 = 44
44は4の倍数です。そして 44 ÷ 7 = 6 余り 2 なので、7でわると2余ります。両方の条件を満たしています。
ステップ2: √の中に代入して素因数分解する
aの形が決まったので、いよいよ√の中に入れます。
576 − a = 576 − (16 + 28k)
576 − 16 = 560
576 − a = 560 − 28k
ここから先が、この問題の山場です。560 − 28k のままでは平方数かどうか判断できないので、共通の因数でくくり出せる形に素因数分解するという作業をします。
まず560を素因数分解します。授業では4と7で順にわっていく形で進めました。
560 ÷ 4 = 140
140 ÷ 7 = 20
20 ÷ 4 = 5
わった数と最後に残った数を全部かけ合わせると、
560 = 2⁴ × 5 × 7
となります。同じように、引く側の 28k も分解します。
28k = 2² × 7 × k
2つを見比べると、どちらにも 2² と 7 が入っています。560のほうは 2⁴ × 5 = 2² × 20 と見ると、
560 = 2² × 7 × 20
と書けます。共通の 2² × 7 でくくると、
560 − 28k = 2² × 7 × (20 − k)
√の中がこの形になったので、2乗になっている 2² だけ√の外に出せます。
√(576 − a) = 2√(7(20 − k))
ステップ3: 7(20 − k) が平方数になるkを探す
2√(7(20 − k)) が自然数になるのは、√の中の 7(20 − k) が、何かの2乗(平方数)になっているときです。
ここで注目するのが、中に残っている7です。7は素数なので、7が1個だけ残っている状態では平方数になりません。平方数はどの素因数も偶数個ずつ持っているからです。
つまり 20 − k の側にもう1個の7が必要で、7(20 − k) 全体としては「7 × 何かの2乗」の形、言いかえると 20 − k が 7 の倍数になっている必要があります。
次に、20 − k がとれる範囲を確認します。k = 0 のとき 20 − k は20で、これが一番大きい値。kを大きくしていくと 20 − k は小さくなり、k = 20 のとき0になります。
20 − k がとれるのは 0 から 20 の範囲
この範囲で「7 × 何かの2乗」になる数を探します。
7 × 1² = 7 → 範囲に入る
7 × 2² = 28 → 20を超えるので範囲外
7の倍数なら何でもいい、と考えてしまうとここでつまずきます。20 − k は20までしかとれないので、次の候補の28はもう入りません。条件に合うのは 20 − k = 7 の1つだけです。
20 − k = 7
k = 13
このkを a = 16 + 28k に代入します。
a = 16 + 28 × 13
28 × 13 = 364
a = 16 + 364 = 380
答えは a = 380 です。
答えを検算する。そして答えの吟味
出した a = 380 を、もとの条件に全部あてはめて確かめます。確かめる項目は3つです。
1つ目、4の倍数かどうか。
380 ÷ 4 = 95
わり切れるので4の倍数です。
2つ目、7でわると2余るかどうか。
380 ÷ 7 = 54 余り 2
余りは2です。
3つ目、√576−a が自然数になるかどうか。
576 − 380 = 196
196 = 14²
√196 = 14
14は自然数なので成り立っています。ステップ2で作った 2√(7(20 − k)) の形からも確かめられます。k = 13 なので 20 − k = 7、中は 7 × 7 = 49 となり、
2√49 = 2 × 7 = 14
同じ14になりました。2つの道すじで同じ答えにたどり着けたら、計算の確からしさはかなり高いと考えていいです。
もう1つ吟味しておきます。「他にも答えがあるのでは」という点です。20 − k がとれるのは0から20までで、その中で「7 × 何かの2乗」になるのは7だけでした。次の候補である28は範囲を飛び出してしまいます。だから条件を満たすaは a = 380 の1つに決まります。
よくあるつまずき
- 条件を片方ずつしか使わない。a = 4k と置いたところで止まってしまうのが一番多い形です。この式には「7でわると2余る」が入っていないので、そのまま√に代入しても先へ進めません。条件が2つあるときは、両方を満たす数の並びを1本の式にするところまでを最初の作業にしてください
- kの範囲を決めないまま候補を挙げる。20 − k が7の倍数、というところまでは合っていても、範囲を見ないと14や21や28まで候補に入れてしまいます。20 − k がとれるのは0から20まで。この一言をステップ3の最初に書いておくと、候補の絞り込みが1行で終わります
- 560の素因数分解をまちがえる。560 = 2⁴ × 5 × 7 です。ここで 2³ や 5² を作ってしまうと、くくり出す共通因数がずれて √の外に出る数が変わります。わり算の答えだけでなく、わった数も全部かけ合わせているかを確認してください
- 7が1個残っていることを見落とす。√の中に素数が1個だけ残っている状態は平方数ではありません。「7が1個ある→もう1個の7を 20 − k から持ってくる」という読み方ができると、ステップ3は一本道になります
- kを出して満足してしまう。求められているのはaの値です。k = 13 はaを出すための途中の数なので、a = 16 + 28 × 13 まで戻って答えを書きましょう
FAQ
Q. a = 4k と置くやり方は、まちがいなのですか?
A. まちがいではありません。4の倍数を文字で表す書き方としては正しいです。ただ、この問題は条件が2つあるので、a = 4k だけでは7の条件を式に入れる場所がありません。今回のように条件が重なっているときは、両方を満たす数を書き出して「はじめの数 + 間隔 × k」の形にまとめるほうが速いです。条件が1つだけの問題なら a = 4k で十分進みます。
Q. 20 − k は7の倍数ならいい、と覚えてはいけませんか?
A. 方向としては合っていますが、範囲とセットで覚えてください。7(20 − k) が平方数になるには 20 − k が「7 × 何かの2乗」である必要があり、候補は7、28、63、…と続きます。ところが今回は 20 − k が20までしかとれないので、実際に使えるのは7だけです。範囲を先に書いてから候補を並べると、この取りちがえは起きにくくなります。
Q. 560の素因数分解が遅いです。速くする方法はありますか?
A. 大きい数をいきなり素数でわろうとせず、目に見えるかたまりから落とすのがおすすめです。今回なら「560は4でわれる→140」「140は7でわれる→20」「20は4でわれる→5」と進めば3回で終わります。最後に2をそろえて 2⁴ × 5 × 7 と書き直せば形が整います。576 = 24² のような平方数は、覚えておくと√の問題全体で役に立ちます。
この問題のポイント
- 条件が2つあるときは、先にaの正体を1本の式にまとめる(a = 16 + 28k)
- 16は両方の条件を満たす最小の数、28は 4 × 7 で決まる間隔
- √の中に代入したら素因数分解して共通因数でくくる(560 − 28k = 2² × 7 × (20 − k))
- 2乗ぶんを外に出した 2√(7(20 − k)) が自然数になるのは、7(20 − k) が平方数のとき
- 20 − k がとれるのは0から20まで。この範囲で「7 × 何かの2乗」は7だけ → k = 13
- a = 16 + 28 × 13 = 380。検算は 576 − 380 = 196 = 14²
条件が2つ並んだ平方根の問題で、どちらから手をつければいいか分からない。素因数分解までは進めたのに、そのあとで止まってしまう。そんなつまずきは、Laf先生の公式LINEから気軽に質問してください。今回の生徒さんと同じ場所で止まっている人は、思っているよりずっと多いです。
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