
動く点の問題になったとたん、何から手をつければいいか分からなくなります。図は1つしかないのに、場合によって答えが変わると言われても想像できなくて。

その感覚で合っているよ。手が止まる原因は、図が1つしかないところにあるんだ。動く点の問題は、点が今どの辺にいるかで場面を分けて、場面の数だけ自分で図を描く。描いてしまえば、あとは三角形の面積を出すだけの問題になるよ。
これは、宮崎県の公立高校入試で出た「二次方程式の利用」の問題です。1辺12cmの正方形の辺の上を、点Pと点Qが速さを変えずに動きます。いわゆる動点問題ですね。
動点問題で手が止まるのは、計算が難しいからではありません。場面を分ける前に、いきなり式を立てようとしているのが原因です。逆に言えば、場面さえ分けられれば、あとは小学校でやった「速さ×時間=距離」と「底辺×高さ×2分の1」しか使いません。
この記事では、授業でやった順番のまま(1)から(5)までを追いかけます。山場は最後の(5)です。答えが1つではないことと、求めた解がその場合の変域に入っているかを確かめる手順まで扱います。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題
今回いっしょに考えるのは、この問題です。
右の図のような1辺の長さが12cmの正方形ABCDがあります。点Pは辺AD上をAからDまで毎秒2cmの速さで動き、Dに着くと停止します。また、点Qは正方形の周上をAからB、Cを通ってDまで毎秒3cmの速さで動き、Dに着くと停止します。2点P、QがAを同時に出発してからx秒後の△APQの面積をycm²とするとき、次の問いに答えなさい。
- (1) x=3のときのyの値を求めなさい。
- (2) x=6のときのyの値を求めなさい。
- (3) 0≦x≦4のとき、yをxの式で表しなさい。
- (4) 4≦x≦6のとき、yをxの式で表しなさい。また、yの変域を求めなさい。
- (5) y=36のときのxの値をすべて求めなさい。
図は、Aが左上、Dが右上、Bが左下、Cが右下に並んだ正方形です。点PはAからDへ、上の辺の上をまっすぐ進みます。点QはAからB、C、Dへと、正方形の周をぐるりと回ります。
同じ「動く点」でも、Pは1本の辺だけ、Qは3本の辺を通ります。この差が、そのまま場合分けの数になります。
同じ正方形の上を2点が動くタイプでも、速さが同じ設定だと場合分けは要りません。比べておくと、どこで場合分けが必要になるのかが見えてきます。

核になる考え方: 「今どの辺にいるか」で場合を分ける
動点問題の場合分けは、勘で区切るものではありません。切れ目になるのは、点が角を曲がる時刻と、点が止まる時刻だけです。だから、先に「何秒で角に着くか」を全部出してしまえば、区間は自動的に決まります。
点Pから見ていきます。AD=12cmを毎秒2cmで進むので、
12 ÷ 2 = 6
6秒でDに着いて、そこで止まります。Pの切れ目は、x=6の1か所だけです。
点Qは毎秒3cmで、辺を3本通ります。
AB=12cm → 12 ÷ 3 = 4秒でBに着く
BC=12cm → 合計24cmなので 24 ÷ 3 = 8秒でCに着く
CD=12cm → 合計36cmなので 36 ÷ 3 = 12秒でDに着く
Qの切れ目は、x=4、x=8、x=12の3か所です。PとQの切れ目を全部ならべると、x=4、6、8、12。つまり、この問題の場面は次の4つに分かれます。
| 区間 | 点Qの位置 | 点Pの位置 |
|---|---|---|
| 0≦x≦4 | 辺AB上 | 辺AD上を移動中 |
| 4≦x≦6 | 辺BC上 | 辺AD上を移動中 |
| 6≦x≦8 | 辺BC上 | Dで停止 |
| 8≦x≦12 | 辺CD上 | Dで停止 |
問題の(3)が0≦x≦4、(4)が4≦x≦6になっているのは、この表の上から2つをそのまま聞いているからです。場面の切れ目を先に出しておくと、問題文の数字が「なぜその数字なのか」まで見えるようになります。
ステップ1:(1)x=3のとき。まず絵を描いて距離を出す
いきなり文字を使わず、3秒後の絵を1枚描きます。
点Qは毎秒3cmなので、3秒で進む距離は、
AQ = 3 × 3 = 9(cm)
AB=12cmなので、9cmならまだ辺AB上です。点Pは毎秒2cmなので、
AP = 2 × 3 = 6(cm)
正方形の角Aは直角なので、辺ADと辺ABは垂直に交わります。つまり△APQは、APとAQを2辺にもつ直角三角形です。三角形の面積は底辺×高さ×2分の1なので、
y = 6 × 9 × 1/2
y = 27
答えは 27cm² です。
ここでやったことは、速さと時間をかけて距離を出し、面積の公式に入れただけです。動点問題という名前に身構えてしまいますが、1つの場面を切り取ってしまえば、中身は小学校の算数と変わりません。「み・は・じ」で覚えた速さの関係が、そのまま使えます。
ステップ2:(2)x=6のとき。点PがDに着いて止まる
同じように、6秒後の絵を描きます。まず点Qです。
Qが進んだ道のり = 3 × 6 = 18(cm)
ここにこの問題のトラップがあります。AB=12cmなのに、Qは18cm進んでいます。18cmは12cmより大きいので、QはすでにBを曲がって辺BC上にいるということです。Bからの距離は、
18 − 12 = 6(cm)
Bから6cmの位置、ちょうど辺BCの真ん中にいます。次に点Pです。
AP = 2 × 6 = 12(cm)
AD=12cmなので、x=6でPはDに到着し、ここで止まります。この2つを図に描くと、△APQの底辺はAP(=AD)で12cm、高さは辺ADと辺BCの間の距離で12cmになります。
y = 12 × 12 × 1/2
y = 72
答えは 72cm² です。
QがBを曲がったことに気づかないと、AQ=18cmの点を辺AB上に描いてしまい、そこから先が全部ずれます。計算した距離が辺の長さを超えていないか、毎回くらべる。これが動点問題でいちばん多い事故の防ぎ方です。
ステップ3:(3)0≦x≦4のとき、y=3x²になる理由
ここから文字が入ります。0≦x≦4という変域が何を意味しているのかを、先に絵にします。
x=4のとき、Qの進んだ距離は 3×4=12cm。1辺が12cmなので、x=4はQがちょうどBに着く瞬間です。出発点のx=0はAですから、0≦x≦4は「QがまだAB上にいる場面」を指しています。変域は、場面の名前だと思ってください。
その場面で、長さを文字のまま書きます。Qは毎秒3cmでx秒進むので、
AQ = 3 × x = 3x
Pは毎秒2cmでx秒進むので、
AP = 2 × x = 2x
(1)で3×3や2×3としていたところを、3×xや2×xに変えただけです。あとは同じく、角Aが直角の三角形の面積を出します。
y = 2x × 3x × 1/2
2と2分の1が約分できるので、
y = x × 3x
y = 3x²
答えは y=3x² です。
xの2乗が出てきたので、この場面のyとxの関係は二次関数になります。(1)で求めたx=3のときの27も、この式にx=3を入れると3×9=27で一致します。式が正しく作れているかどうかは、こうして前の問題の答えを代入してみると確かめられます。
ステップ4:(4)4≦x≦6のとき、y=12xとyの変域
次は、Qが辺BC上に移った場面です。4≦x≦6なので、Qの位置はBから 3x−12 cmのところになります。ただし、今回この長さは使いません。
理由は高さにあります。△APQの底辺をAPにとると、高さは点Qから辺ADまでの距離です。Qが辺BC上にいるかぎり、辺BCは辺ADと平行なので、Qが辺BCのどこにいても高さは12cmのまま変わらない。授業でも、Qがどこを移動しても高さは変わらない、と念を押している部分です。
底辺はPの位置で決まります。x≦6ではPはまだ辺AD上を動いているので、
AP = 2x
高さは12cmで固定なので、
y = 2x × 12 × 1/2
y = 12x
答えの式は y=12x です。yがxの1乗なので、こちらは一次関数になります。
続けてyの変域です。y=12xは右上がりの一次関数なので、xが小さいほどyも小さく、xが大きいほどyも大きくなります。だから、xの変域の両端を代入すれば、yの両端が出ます。
x=4のとき、y = 12 × 4 = 48
x=6のとき、y = 12 × 6 = 72
よって、yの変域は 48≦y≦72 です。x=4での48は、(3)の式y=3x²にx=4を入れた3×16=48と一致します。場面の境目では、前の式と次の式が同じ値になる。ここがずれていたら、どちらかの式が間違っているという合図です。
ステップ5:(5)y=36になるxを全部さがす
「すべて求めなさい」と書いてある問題は、答えが1つとはかぎりません。場面が4つあるなら、4つ全部にy=36があるかどうかを当たるのが正しい進め方です。表の残り2つの場面から式を作って、4つそろえます。
6≦x≦8の場面は、PがすでにDで止まり、Qはまだ辺BC上です。底辺AD=12、高さ12で、どちらもxを含みません。
y = 12 × 12 × 1/2 = 72
この区間のyは、xがいくつでも72のまま動きません。72は36ではないので、ここに答えはありません。
8≦x≦12の場面は、Qが辺CD上に入り、Dに向かって近づいていきます。Qが通る道のり全体はAからB、C、Dまでで36cmですから、Qがまだ進んでいない残りの距離は、全体からすでに進んだ距離を引いて、
DQ = 36 − 3x
底辺はAD=12で止まったままなので、
y = 12 × (36 − 3x) × 1/2
12と2分の1を約分して6にすると、
y = 6(36 − 3x)
展開すれば y = 216 − 18x ですが、ここでy=36を代入するなら、展開しないほうが計算が軽いです。
36 = 6(36 − 3x)
両辺を6でわります。
6 = 36 − 3x
3x = 30
x = 10
x=10は8≦x≦12の中にあるので、これは答えです。
残る0≦x≦4の場面はy=3x²でした。y=36を代入します。
36 = 3x²
x² = 12
x = √12
xは秒数なので、マイナスは考えません。√12を簡単にすると、12=4×3で4は2の2乗なので、
x = 2√3
最後に4≦x≦6の場面です。y=12xにy=36を代入します。
36 = 12x
x = 3
x=3は出ましたが、この場面の変域は4≦x≦6です。3はその外側なので、この解は使えません。よって答えは x=2√3、10 の2つです。
検算と答えの吟味: 変域の中に入っているかを確かめる
動点問題で点数を落とすのは、計算ではなく最後の確認です。求めた解が、その場合の変域に入っているかを1つずつ見る。ここが今回の山場でした。
x=2√3のほうを確かめます。この解が出てきたのは0≦x≦4の場面なので、2√3が0と4の間にあるかを見ます。ここで小数に直して3.46…と近づけていくのは遠回りです。4のほうをルートに直します。
4 = √16
√12 < √16
ルートの中の数が小さいほうが小さい値なので、√12は4より小さいと言えます。0より大きいのは明らかなので、2√3は0≦x≦4の中に入っています。これで採用できます。
x=10のほうは、出てきた場面が8≦x≦12なので、そのまま範囲の中です。念のためy=216−18xにx=10を入れると、216−180=36。問題の条件と合っています。
反対に、x=3は棄却しました。式の計算は正しいのに、4≦x≦6という場面の外側の値だからです。変域の外に出た解は、計算が合っていても答えにならない。二次方程式の文章題で、解が2つ出たときにどちらを残すかで迷う人が多いところなので、判断の基準を「場面に戻して確かめる」に固定しておくと安全です。
解が2つ出たときの考え方は、こちらの記事でも別の問題で扱っています。

よくあるつまずき
- 場面を分けずに、1つの式で最後まで行こうとする。動点問題は、点が角を曲がるたびに面積の式が変わります。式は1本ではなく、場面の数だけ作るものだと考えてください
- 進んだ距離が辺の長さを超えたことに気づかない。(2)のAQ=18cmがその例です。12cmの辺を18cm進んだのなら、もう次の辺に入っています。計算した距離と辺の長さをくらべる一手間を入れます
- 図を1枚も描かずに考えようとする。頭の中だけで点を動かすのは、大人でも難しいです。場面ごとに小さくてよいので正方形を描き、そのときのPとQを打つ。授業でも、図を描いた瞬間に手が動き出しています
- 変域の意味を「ただの条件」だと思っている。0≦x≦4は、QがAB上にいる場面という意味です。変域を場面の名前だと読みかえられると、(3)と(4)が別の式になる理由がつながります
- 「すべて求めなさい」で1つ答えて終わる。今回はx=10を出した時点で満足すると、2√3を落とします。答えが1つとはかぎらない合図が「すべて」という言葉です
- √12を小数に直そうとして時間を使う。4を√16に直せば、ルートどうしの比較で終わります。ルートの大小は、中の数の大小と同じ向きです
FAQ
Q. 場合分けが何個になるかは、どうやって数えるのですか?
A. 点が角を曲がる時刻と、点が止まる時刻を全部書き出して、小さい順にならべます。今回ならPが止まるx=6と、Qが角を曲がるx=4、x=8、そしてゴールのx=12。この4つで区切ったものが、そのまま場合の数になります。
Q. (4)で3x−12を求めたのに使いませんでした。無駄だったのでしょうか?
A. 無駄ではありませんが、この問題では答えに関係しません。Qが辺BC上にあるあいだは、Qがどこにいても高さが12cmで変わらないからです。動画でも、いったん3x−12を書いてから、今回の問題では特に必要ないかもしれない、と言い直しています。長さを出しておくこと自体は悪くないので、出したうえで「面積に効くのはどれか」を選ぶ順番で考えてください。
Q. y=216−18xと書かずに、6(36−3x)のまま置いておいてよいのですか?
A. 「yをxの式で表しなさい」と聞かれたときは展開した形で答えます。ただし今回のように、そのあとすぐy=36を代入するのなら、6でくくったままのほうが計算が短くなります。36=6(36−3x)の両辺を6でわれば、6=36−3xの1行で終わります。展開してから216−18x=36を解いても答えは同じなので、どちらでも構いません。式を作る目的が「表すこと」なのか「代入して解くこと」なのかで、形を選び分けます。
Q. 入試の本番で、時間が足りないときはどこまで解けばよいですか?
A. 動画でも話しているとおり、(4)までは取りにいきたいところです。(5)は場面を全部当たり直す必要があるぶん、時間も手数もかかります。(1)から(4)までは、図を描いて速さ×時間を出せば届く範囲なので、ここを先に取りきってから(5)に向かうのが現実的な順番です。
まとめ
この問題のポイント
- 場合分けの切れ目は、点が角を曲がる時刻と止まる時刻。今回はx=4、6、8、12の4か所
- 0≦x≦4はQがAB上。AP=2x、AQ=3xで、y=2x×3x×1/2=3x²
- 4≦x≦6はQがBC上。高さは12で固定なので、y=2x×12×1/2=12x。yの変域は48≦y≦72
- 6≦x≦8は底辺も高さも12で固定。yはxに関係なく72のまま
- 8≦x≦12はDQ=36−3x。y=12×(36−3x)×1/2=6(36−3x)
- y=36は、36=6(36−3x)からx=10、36=3x²からx=2√3。4≦x≦6で出たx=3は変域の外なので棄却
- 2√3が0≦x≦4に入るかは、4を√16に直して√12と比べる
動点問題で増えるのは、覚える公式ではなく図を描く枚数です。場面ごとに1枚描いて、速さ×時間で長さを入れて、底辺×高さ×2分の1。この繰り返しを場面の数だけやると決めてしまえば、問題文の長さに気持ちを持っていかれずに済みます。順番にやれば、解ける問題は増えていきます。
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