
食塩水の問題で、容器から容器に移したり水を足したりするタイプがどうしても解けないんです。濃度を求めるところで、何gで割ればいいのか分からなくなって止まってしまいます。

その止まり方、すごくよく分かるよ。操作が増えると、頭の中だけでは容器の中身を追いきれなくなるんだ。今日は、ビーカーの絵を状態ごとに書き出して「食塩の量」で追いかける方法を、一緒にやってみよう。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題
今回いっしょに考えるのは、この問題です。
12%の食塩水xgが入った容器Aと、7%の食塩水350gが入った容器Bがある。容器Bから50gの食塩水を取り出して容器Aに移したところ、容器Aの食塩水の濃度が11%になった。
(1) xの値を求めなさい。
(2) さらに容器Bに水をyg加え、よくかき混ぜたあと、50gを取り出して容器Aに移したところ、容器Aの食塩水の濃度が10%になった。yの値を求めなさい。
容器が2つあって、片方からもう片方へ食塩水を移す。そのあとで水を足して、もう一度移す。中1数学の一次方程式の文章題のなかでも、操作の数が多い部類の問題です。
動画の授業でも、先生が問題文を読み上げたあとに最初に言ったのはこれでした。
食塩水の問題は、絵に描きながら解くのがおすすめ
文章のまま考えようとすると、いま容器の中が何gで何%なのかが分からなくなります。この問題でつまずく原因は、解き方を知らないことではなく、途中の状態を頭の中だけで追おうとすることです。
食塩水の問題そのものが初めてという人は、容器が1つの基本の形から確認しておくと、今回の話が入りやすくなります。図で整理する手順は、こちらの記事でまとめています。

考え方の核: 状態ごとに絵を書き出し「食塩の量」で追う
この問題を解くのに使う道具は2つだけです。
1つ目は、状態ごとに書き出すことです。動画では、最初の容器Aと容器Bを描いたあと、50gを移した次の状態を容器A’・容器B’として、その下にもう一度書き出していました。水を加えたあとは容器A”・容器B”、さらに50gを移したあとは容器A”’・容器B”’です。先生も「場合分けで次のフェーズを書き出してあげるのが重要」と話していました。1つの絵を書き換えるのではなく、状態の数だけ絵を並べて描きます。
2つ目は、食塩の量で追いかけることです。
食塩の量 = 食塩水の量 × 濃度
動画では、先生が「容器Aの食塩の量って、どうやって求めるか分かる?」と聞き、生徒さんは「濃度×水の量」と答え、先生は「そうだね」と受けました。ここでいう「水の量」は、容器に入っている食塩水ぜんぶの量のことです。ここは大事な区別です。かけるのは、水だけの重さではなく食塩水ぜんぶの重さです。
そして、食塩水を移しても、水を加えても、食塩そのものの量が勝手に増えたり減ったりすることはない。この2つを持って絵に書き込んでいけば、方程式のほうから姿を見せてくれます。
ステップ1: 50gを移したあとの容器A’と容器B’を書き出す
まず最初の状態です。容器Aは食塩水がxgで、濃度が12%。容器Bは350gで7%。これをビーカーの絵にして、g数と%を書き込みます。
次に、容器Bから50gを取り出して容器Aに移した状態を、その下に書き出します。
容器B’から見ていきます。350gから50g減るので、
350 – 50 = 300(g)
動画でも、生徒さんが「300g」とすぐ答えていました。では濃度はどうなるか。ここで生徒さんは「11%」と答えて、先生に「ここが7%のままだ」と直され、「あ、7%」と言い直しています。食塩水ごと取り出しているので、残った側の濃度は変わりません。コップのジュースを半分飲んでも、残りの味が薄くならないのと同じです。容器B’は300gで7%のままになります。
次に容器A’です。xgの食塩水に50gが加わったので、食塩水の量は
x + 50(g)
濃度は、問題文に「容器Aの食塩水の濃度が11%になった」と書いてあるので11%です。生徒さんもここは「x+50」「11%」と自分で答えていました。
これで、(1)を解くのに必要な4つの箱がそろいました。
ステップ2: 食塩の総量は変わらない。(1)の方程式を立てる
絵ができたら、4つの箱それぞれについて食塩の量を計算します。
移す前の容器Aは、xgの12%なので、
x × 100分の12 = 100分の12x(g)
動画では、約分せずに100分の12xのまま書いていました。あとで両辺を100倍して分母を消すので、そのほうが計算が軽くなります。
移す前の容器Bは、350gの7%です。
350 × 100分の7 = 24.5(g)
ここは、生徒さんが自分で計算して「24.5」と答えた箇所です。
移したあとの容器A’は、(x+50)gの11%なので、
(x + 50) × 100分の11(g)
移したあとの容器B’は、300gの7%です。
300 × 100分の7 = 21(g)
ここで使うのが、考え方の核で確認した「食塩の量は全体で変わらない」です。容器Aと容器Bに入っている食塩を合計すると、移す前と移したあとで同じ量になります。動画の言葉では「AとBの食塩の総量が一緒にならないといけない」です。
100分の12x + 24.5 = (x + 50) × 100分の11 + 21
あとは計算です。xの項を左辺に集めます。
100分の12x – 100分の11x = 100分のx
右辺に残るのは、21から24.5を引いた分と、50×100分の11の分です。50×100分の11は5.5なので、
21 + 5.5 – 24.5 = 2
よって、
100分のx = 2
両辺を100倍して、
x = 200
(1)の答えは、容器Aに入っていた食塩水が200gです。
ステップ3: (2)は「増えた食塩」から容器Bの濃度を先に出す
(2)に進みます。容器Bに水をyg加えて、よくかき混ぜてから50gを容器Aに移したら、容器Aが10%になった。yを求める問題です。
ここでも、まず絵を下に書き足します。
水を加えたあとの容器B”は、300gにygが足されるので、
300 + y(g)
濃度は、この時点では分かりません。「?」と書いておきます。容器A”のほうは、(1)で分かったとおり250gで11%のままです。
そこからさらに50gを移した状態が、容器A”’と容器B”’です。容器A”’は250gに50gが加わって300g。濃度は問題文から10%です。
ここからが(2)の山場です。分からないyを追いかけるのではなく、数が分かっている容器A”’の食塩の量から逆にたどります。
容器A”’の食塩の量は、300gの10%なので、
300 × 100分の10 = 30(g)
その1つ前、容器A”の食塩の量は250gの11%なので、
250 × 100分の11 = 27.5(g)
つまり、容器A”から容器A”’になったとき、食塩は
30 – 27.5 = 2.5(g)
増えています。動画でも先生が「食塩、何g増えてる?」と聞き、生徒さんが「2.5g」と答えています。
では、その2.5gはどこから来たのか。先生の「この食塩って、どっから発生した?」という問いに、生徒さんは「Bから入れた50g」と答えました。容器Aに入ってきたのはその50gの食塩水だけなので、増えた食塩はその中にあったものです。
移した50gの中に、食塩が2.5g入っていた
(2)は、この一文にたどり着けるかどうかで決まります。
ステップ4: 水を加えても食塩は21gのまま。yの方程式を立てる
50gの中に2.5gの食塩が入っている。ここから、移す直前の容器B”の濃度が出せます。
ここは、動画で生徒さんが1回つまずいた場所でもあります。「濃度はどうやって求める?」と聞かれて「300÷2.5?」と答え、先生に「あっ、違う」と直されました。何gの中に入っている食塩なのかを取り違えると、割る数を間違えます。いま見ているのは移した50gの中身なので、全体は50gです。
50分の2.5 × 100 = 5
容器B”の濃度は5%だと分かりました。
次に、容器B”に入っている食塩の量です。容器B’には食塩が21gありました。そこに加えたのは水だけです。水を加えても、食塩の量は変わりません。だから容器B”の食塩も21gのままです。動画でも先生が「21gの食塩の量、変わってる?」と確認し、生徒さんが「変わってない?」と答えていました。
食塩水の量が300+yg、濃度が5%、そして食塩の量が21g。この3つで方程式が立ちます。
(300 + y) × 100分の5 = 21
計算します。
15 + 100分の5y = 21
15を移項して、
100分の5y = 6
両辺に5分の100をかけて、
y = 6 × 20 = 120
答え: x = 200(g)、y = 120(g)
検算: 答えの吟味
答えが出たら、絵の最初に戻して確かめます。
1つ目は(1)の確認です。x=200なので、容器Aには12%の食塩水が200g、つまり食塩が24g入っていたことになります。容器Bから移した50gは7%なので、その中の食塩は3.5g。合わせると、
200 + 50 = 250(g)
24 + 3.5 = 27.5(g)
食塩水が250gで、食塩が27.5g。割り算すると、
27.5 ÷ 250 = 0.11
11%になり、問題文と一致します。
2つ目は(2)の確認です。y=120なので、容器B”の食塩水の量は
300 + 120 = 420(g)
食塩は21gのままなので、
21 ÷ 420 = 0.05
5%です。ステップ4で出した「容器B”は5%」と一致しました。その420gから50gを取り出すと食塩が2.5g出ていくので、容器Aの食塩は27.5+2.5で30g、食塩水は300gになり、濃度は10%。問題文の10%とも合います。
(1)と(2)の両方を、もとの問題文に書いてある濃度に当てて確かめる。ここまでやって、答えが固まります。
よくあるつまずき
- 食塩水を取り出した側の濃度を変えてしまう。容器Bから50gを取り出しても、残った300gは7%のままです。食塩水ごと取り出しているので、濃くも薄くもなりません
- 濃度を出すときに、何gの中の食塩かを取り違える。移した50gの中に2.5gなら、割る数は50です。どの箱の話をしているのかを絵で指さしてから計算しましょう
- 水を加えたときに、食塩の量まで変えてしまう。加えたのは水だけなので、食塩は21gのままです。変わるのは食塩水の量と濃度の2つだけです
- 1つの絵を消しゴムで書き換えてしまう。状態ごとに新しい絵を下へ足していくと、「1つ前は何gだったか」をすぐ見返せます
- (x+50)のかっこを付け忘れる。11%は(x+50)の全体にかかります
2種類の食塩水を混ぜて別の濃度を作る問題も、同じ「食塩の量」で式を立てます。10%と5%を混ぜて8%にする問題は、こちらの記事で扱っています。

FAQ
Q. 食塩の量とは何ですか?濃度とはどう違うのですか?
A. 食塩の量は、食塩水の中に溶けている食塩そのものの重さ(g)です。濃度は、食塩水全体に対してその食塩が何%にあたるかを表した割合です。この2つは「食塩の量=食塩水の量×濃度」で行き来できます。今回の問題なら、350gの7%は24.5gという形で、濃度から食塩の量に直して使いました。
Q. なぜ食塩の総量は変わらないと言えるのですか?
A. 容器Aと容器Bの間で食塩水を移す操作では、食塩は容器のあいだを行き来しているだけで、消えることも新しく生まれることもないからです。(1)のように容器の外への出入りがない場合、AとBの食塩を合計した量は、移す前と移したあとで同じになります。この「合計が同じ」が、方程式の=の正体です。
Q. 水を加えると濃度は変わるのに、食塩の量が変わらないのはなぜですか?
A. 加えたものが水だけだからです。食塩は1gも入れていないので、容器Bの食塩は21gのままになります。一方で、食塩水の全体量は300gから300+ygに増えます。濃度は「食塩の量÷食塩水の量」なので、分子はそのままで分母だけが大きくなり、濃度は下がります。今回の問題では、7%だった容器Bが5%まで下がりました。
Q. 答えが合っているかを自分で確かめる方法はありますか?
A. 求めたxとyを、絵の最初の状態に戻して当ててみてください。そのうえで、問題文に書いてある濃度(11%と10%)が再現できるかを計算します。この記事の検算の欄と同じ手順です。答えを戻して確かめる習慣は、計算ミスをその場で拾うのに役立ちます。
まとめ
食塩水を移したり水を加えたりする問題は、操作が増えるほど頭の中だけでは追えなくなります。動画の授業でやったとおり、ビーカーの絵を状態ごとに書き出して、それぞれの箱に「食塩水の量」「濃度」「食塩の量」の3つを書き込む。そこまで書けたら、あとはいつもの一次方程式と同じ手順です。
(1)は、食塩の総量が変わらないことから式が立ちます。(2)は、増えた食塩2.5gがどこから来たのかをたどって容器Bの濃度を先に出し、水を加えても食塩は21gのままという事実で式を閉じます。
この問題のポイント
- 食塩水の問題は、状態が変わるたびに絵を下へ書き足す(容器A・B → A’・B’ → A”・B” → A”’・B”’)
- 食塩の量=食塩水の量×濃度。水の量ではなく、食塩水ぜんぶの量にかける
- 食塩水ごと取り出しても、残った側の濃度は変わらない(容器B’は7%のまま)
- (1)は「食塩の総量が変わらない」で立式。100分の12x+24.5=(x+50)×100分の11+21 から x=200g
- (2)は、増えた食塩2.5gが移した50gの中身だと気づくのが山場。50分の2.5×100=5%
- 水を加えても食塩は21gのまま。(300+y)×100分の5=21 から y=120g
食塩水の問題で、いまどの箱の話をしているのか分からなくなる。濃度を求めるときに何gで割ればいいのか迷ってしまう。そんなときは、Laf先生の公式LINEから気軽に質問してください。今回の生徒さんが止まったのも、まさにそこでした。
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