一次関数の式は作れるのに、「平行な直線」と「x軸との交点」という条件が2つ重なったとたん、どこから手をつければいいか分からなくなる。中2の一次関数で、とてもよくあるつまずきです。

通る点の座標があるのは分かるし、平行っていう言葉の意味も分かるんです。でも、そこから何をすればいいのかで手が止まってしまいます。

いいところまで来てるよ。この問題は「平行」と「x軸との交点」を、それぞれ式の言葉に言いかえるだけで解けるんだ。言いかえの型は2つだけ。そのあとは代入の作業に落ちるよ。
この記事では、授業で実際に使った順番のまま、3ステップに分けて整理します。①平行から式の形を決める、②通る点を代入してbを求める、③x軸との交点なのでy=0を代入する。この3つです。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題
今回いっしょに考えるのは、この問題です。
点(4, -5)を通り、y=-2x+5 に平行な直線ℓがある。この直線ℓとx軸との交点の座標を求めなさい。
条件が2つ入っています。「点(4, -5)を通る」ことと、「y=-2x+5 に平行」なこと。そのうえで聞かれているのは、直線ℓそのものではなく、ℓとx軸がぶつかる点の座標です。
聞かれているものが2段構えになっているので、いきなり答えを出そうとすると迷子になります。順番としては、先に直線ℓの式を確定させて、そのあとでx軸との交点を求める。この2段に分けるだけで、やることはぐっと見えやすくなります。
先に答えを言っておくと (3/2, 0) です。そこにたどり着くまでに新しく覚える公式はありません。使うのは、平行の意味とx軸の意味を式に翻訳する2つの型だけです。
実際に生徒とやり取りしながら解いていく様子は、動画でも解説しています。手つきごと見たい人はこちらもどうぞ。
核になる考え方: 条件を「等しい量」に翻訳する
一次関数の問題は、日本語で書かれた条件を式の言葉に置きかえられるかどうかで決まります。この問題に入っている2つの条件も、それぞれ「何と何が等しいのか」に翻訳できます。
1つ目の鉄則です。
一次関数で「平行」と言われたら、傾きが等しい。
y=ax+b の a が傾きでした。2本の直線が平行だということは、進む向きと角度が同じだということ。つまり、aの値がぴったり同じになります。逆に、切片のbは自由です。bが違うから2本は重ならず、平行なまま離れて並びます。
2つ目の鉄則です。
「x軸との交点」と言われたら、y=0。
x軸というのは、座標平面を横に走っている線のことです。この線の上にある点は、右も左も、原点から遠くても近くても、y座標が全部0になっています。だから「x軸との交点」という日本語は、そのまま「yが0のときの点」と読みかえられます。
この2つは、一次関数のあいだじゅう何度も出てきます。授業でも「もうこれは鉄則」と言い切っている部分です。覚えるというより、条件を見たら反射で式に翻訳できる状態を目指してください。
ステップ1: 平行だから y=-2x+b とおく
まず、直線ℓの式の形を決めます。ℓは y=-2x+5 に平行です。鉄則1を使うと、ℓの傾きは -2 になります。
一次関数の式は y=ax+b の形でした。aのところに -2 が入るので、
ℓ: y = -2x + b
と書けます。bはまだ分かっていないので、文字のまま置いておきます。
ここで大事なのは、平行だからといって y=-2x+5 と同じ式にはならないということです。切片の5まで同じにしてしまうと、それは平行な別の直線ではなく、元の直線そのものになってしまいます。同じにするのは傾きだけ。切片は、これから点(4, -5)を使って決めます。
言いかえると、この時点でℓの候補は「傾き -2 の直線」全部です。y=-2x+1 も y=-2x-7 も候補に入っています。その無数の候補の中から1本を選び出すのが、次のステップで使う「点(4, -5)を通る」という条件です。条件が2つあるのは、傾きを決める役と切片を決める役で1つずつ必要だからだと考えると、問題文の構造が見えてきます。
ステップ2: 通る点(4, -5)を代入してbを求める
ℓは点(4, -5)を通ります。「通る」というのは、その点の座標を式に入れると成り立つ、ということです。x=4、y=-5 を y = -2x + b に代入します。
代入すると、こうなります。
-5 = -2 × 4 + b
右辺の -2×4 を計算します。
-5 = -8 + b
-8 を左辺に移項します。移項するので符号が変わって +8 です。
-5 + 8 = b
b = 3
切片が3だと分かりました。これを y = -2x + b のbに戻します。
ℓ: y = -2x + 3
これが直線ℓの方程式です。ここまでで問題の前半が終わりました。
代入のときに手が止まりやすいのは、xとyのどちらに何を入れるかです。座標は(x, y)の順で書かれているので、(4, -5)なら x=4、y=-5 です。カッコの中の前がx、後ろがy。これを毎回声に出して確認するだけで、入れ違いはかなり減ります。
ステップ3: x軸との交点はy=0を代入する
問題が聞いているのは、ℓとx軸との交点でした。ここで鉄則2の出番です。x軸との交点なので、y=0 を y = -2x + 3 に代入します。
0 = -2x + 3
xについて解きます。ここでは -2x を右辺に移項します。符号が変わって +2x です。
2x = 3
両辺を2でわります。
x = 3/2
x座標が 3/2、つまり2分の3だと分かりました。そして、この点はx軸の上にあるので、y座標は0です。座標の形にまとめます。
答え: (3/2, 0)
聞かれているのが「座標」なので、xの値だけで止めないでください。x=3/2 まで出して安心してしまい、(3/2, 0)と書かずに終わる。これが失点の多い形です。問題文が「交点の座標を求めなさい」となっているときは、答えもカッコつきの座標で返します。
分数のままで問題ありません。3/2 を小数に直すと1.5ですが、中学の答案では分数で答えるのが基本です。約分できるかどうかだけ確認してください。3と2に共通の約数はないので、これ以上は約分できません。
検算: 答えを式に戻して確かめる
出した答えは、元の条件に戻して確かめます。確かめるところは2つあります。
1つ目。直線ℓが、本当に点(4, -5)を通るか。y = -2x + 3 に x=4 を入れます。
-2 × 4 + 3
= -8 + 3
= -5
yが -5 になりました。点(4, -5)を通っています。
2つ目。求めた交点が、本当にℓの上にあるか。同じ式に x=3/2 を入れます。
-2 × 3/2 + 3
= -3 + 3
= 0
yが0になりました。(3/2, 0)はℓの上にあり、しかもy座標が0なのでx軸の上にもあります。2つの線が両方通る点なので、これが交点です。検算は、答えを代入して等式が成り立つかを見るだけで終わります。時間にして30秒ほどなので、やる価値があります。
答えの吟味も1つしておきます。x座標が正の数、つまり原点より右側で交わることに違和感はないでしょうか。ℓは傾きが -2 の右下がりの直線で、切片が3なので点(0, 3)を通ります。y軸のところで高さ3にいて、右へ進むほど下がっていくのだから、x軸をまたぐのは原点より右側です。グラフの形と答えの位置がかみ合っているかを最後に見ておくと、符号の落としに気づけます。
よくあるつまずき
- 平行を「同じ式」だと思ってしまう。平行で等しいのは傾きだけです。切片まで同じにすると元の直線と重なってしまい、2本の直線という設定が崩れます。そろえるのはaだけ、bは別物と分けて覚えてください
- 代入でxとyが入れかわる。(4, -5)は x=4、y=-5 です。y=-2x+b の左辺にyを、右辺のxのところに4を入れます。座標は前がx、後ろがy。カッコの中の順番を毎回確認するだけで防げます
- -2×4 の符号を落とす。-8 になるところを 8 と書いてしまうと、bの値が変わってしまいます。かけ算の符号は、マイナスが1つなら答えもマイナスです
- 移項の符号を変え忘れる。-5 = -8 + b で -8 を左に動かすと +8 になります。動かしたら符号が変わる、をセットで手が動くようにしておくと安全です
- xの値で答えを止めてしまう。x=3/2 は答えの半分です。聞かれているのは座標なので (3/2, 0) まで書きます。y座標の0は、x軸上だから0だと決まっています
- x軸とy軸を取り違える。x軸との交点はy=0、y軸との交点はx=0です。0になるのは、名前に出ていないほうの文字だと覚えると迷いません
FAQ
Q. 「平行」と書いていない問題でも、傾きが同じだと判断していいですか?
A. 問題文に平行と書いてある場合のほか、グラフから2直線が交わらないと読み取れる場合も傾きは同じです。逆に、傾きが違う2直線はどこかで1点だけ交わります。「交わらない」と「平行」は同じことを言っているので、どちらの書かれ方でも傾きをそろえて式を立ててください。
Q. y軸との交点を聞かれたときは、どうすればいいですか?
A. x=0 を代入します。y軸の上にある点は、x座標が全部0だからです。今回の ℓ: y=-2x+3 なら、x=0 を入れて y=3 となり、y軸との交点は(0, 3)です。切片の3がそのまま出てきます。x軸ならy=0、y軸ならx=0。この対応を書き出しておくと、テスト中に迷いません。
Q. 答えの 3/2 は小数の1.5で書いてもいいですか?
A. 中学の答案では分数のままが基本です。今回はちょうど割り切れますが、割り切れない分数を小数で書くと誤差が出てしまいます。分数で答える習慣をつけておくと、この先の単元でも安全です。約分できるところまで約分してあれば、それが最終形になります。
Q. 途中式はどこまで書けばいいですか?
A. 代入した式と、移項したあとの式は残しておいてください。今回なら「-5 = -2×4 + b」「-5 = -8 + b」「b = 3」の3行と、「0 = -2x + 3」「2x = 3」「x = 3/2」の3行です。答えだけが合っていても、途中の1行が抜けていると部分点が取りにくくなります。逆に、途中式が残っていれば、見直しのときにどこでずれたかを自分で追えます。
まとめ
この問題のポイント
- 「平行」と言われたら傾きが等しい。ℓは y=-2x+b とおける(切片5はコピーしない)
- 「通る」は代入して成り立つということ。x=4、y=-5 を入れる
- -5 = -2×4 + b → -5 = -8 + b → b = 3。よって ℓ: y = -2x + 3
- 「x軸との交点」と言われたら y=0。0 = -2x + 3 → 2x = 3 → x = 3/2
- 答えは座標の形で (3/2, 0)。xの値だけで止めない
- 検算は代入するだけ。x=4 で y=-5、x=3/2 で y=0 になれば大丈夫
一次関数の条件文は、解きにくくするための飾りではなく、式に翻訳するための合図です。「平行」が「傾きが同じ」に、「x軸との交点」が「y=0」に見えるようになると、同じ型の問題で手が止まる時間が短くなっていきます。順番にやれば、解ける問題は増えていきます。
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