放物線のグラフに「90度」と書き込まれている問題。解説を読めば手順は追えるのに、どうしてその手順で解けるのかが腑に落ちない。中3の二次関数で、いちばん引っかかりやすい形です。

ポイントみたいな問題なんですけど、なんでこうなるのかが分からなくて。解説も読んでみたんですけど、どうしてそうなるのかがいまいち分からなかったです。

その止まり方、いい止まり方だよ。この90度で交わる系の問題は意外とよく出てくるんだけど、押さえるポイントは1つだけなんだ。しかも「なんでそうなるのか」は図を1枚描けば見えるから、そこも一緒にやっていこうか。
この記事では、点Aの座標を出すところから、直線OAの式、直線ABの式、そして点Bの座標までを順番に説明します。途中で「なぜ傾きの積が-1なのか」も図で確かめます。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題
今回考えるのは、放物線と直線が組み合わさった、この問題です。
> 右の図のように、放物線 y=x² 上に3点O、A、Bがある。点Oは原点で、OAとABは垂直に交わっている。点Aのx座標が -1 のとき、点Bの座標を求めなさい。
まず、グラフの問題では書いてある情報をなるべく図に書き込みましょう。図に情報が乗っていないと、頭の中だけで3つの点を動かすことになって、すぐに迷子になります。
書き込むものは3つです。放物線 y=x² はもう描いてあるのでそのまま。OAとABが垂直なので、点Aのところに直角の記号を書き込みます。そして点Aのx座標が -1 なので、x軸の -1 のところから点線を上に伸ばして、放物線とぶつかったところがAだと分かるようにしておきます。
ここまで書き込むと、問題の見た目が変わります。求めたいのは点Bの座標。手元にある条件は「Aのx座標が -1」と「90度」の2つだけです。このうち90度のほうが、そのままでは計算に使えません。「垂直」という図形の言葉を、計算できる式に翻訳できるかどうか。それが今回の問題の心臓部です。
核になる考え方: 垂直を「傾きの積が-1」に翻訳する
この問題で覚えておくポイントは、これだけです。
2つの直線が垂直に交わるとき、傾きの積は -1 になる
一次関数の式は、y = ax + b の形で表せました。このときの a が傾きです。もう1本の直線を y = cx + d と置いたとすると、2本が垂直に交わる条件は、
a × c = -1
と書けます。垂直と言われたら、傾きをかけて-1。この1行が、図形の条件と式の世界をつなぐ橋になります。
なぜこれが今回の問題を解く鍵になるのか、求めたいものから逆にたどってみましょう。
- 求めたいのは点Bの座標
- 点Bは、放物線 y=x² と直線ABが交わる点
- だから直線ABの式が分かれば、連立して点Bが出せる
- 直線ABの式を出すには、傾きと切片がいる
- 傾きは「OAと垂直」という条件から出せる
- そのために、まず直線OAの式を出す
逆からたどると、最初にやるべきことは「直線OAの式を求める」だと分かります。点Bという遠いゴールから、一歩ずつ手前に戻ってくる。この戻り方ができると、グラフの応用問題は急に見通しがよくなります。
なぜ傾きの積は-1になるのか
公式として覚えてしまえば解けます。それでも「なんで?」が気持ち悪い人のために、いちばん簡単な例で確かめておきましょう。
まず、原点を通る直線 y=x を引きます。xが1増えるとyも1増えるので、傾きは1です。ここで、原点から右に1、上に1進んだところで直角三角形を描いてみてください。横が1、縦が1の三角形なので、直角二等辺三角形になります。ということは、x軸とこの直線がつくる角度は45度です。
次に、同じ原点から y=-x を引きます。こちらはxが1増えるとyが1減るので、傾きは -1 です。同じように三角形を描くと、横が1、縦が1。これも直角二等辺三角形なので、角度はやはり45度です。
45度と45度。2本の直線がはさむ角は、足して90度になります。つまり y=x と y=-x は垂直です。そして、このときの傾きをかけ算すると、
1 × (-1) = -1
きれいに -1 になりました。ほかの角度、たとえば30度と60度の組み合わせでも同じことが成り立ちます。これは厳密な証明ではありませんが、「本当に -1 になるんだ」という手ざわりをつかむには十分です。
この図には、もう1つ使い道があります。テスト中に「かけたとき1だっけ、-1だっけ」と迷ったときです。y=x と y=-x を思い出して、1×(-1) を計算すれば、その場で -1 だと確かめられます。公式を忘れたときの保険として、この2本の直線を覚えておいてください。
ステップ1: 点Aの座標と直線OAの式を求める
では、実際に解いていきます。まずは点Aの座標です。
点Aは放物線 y=x² の上にあって、x座標が -1 です。y=x² の x に -1 を代入します。
y = (-1)²
y = 1
A(-1, 1)
座標が1つ確定しました。点Oは原点なので O(0, 0) です。2点が分かったので、直線OAの傾きが出せます。傾きは「yの増加量 ÷ xの増加量」でした。
Aから Oへ向かうと、x座標は -1 から 0 なので、1増加します。同じくy座標は 1 から 0 なので、1減少します。
傾き = -1 ÷ 1
= -1
直線OAの傾きは -1
次に切片です。直線OAは原点を通っているので、y軸と交わる点のy座標は0。切片は0です。
直線OAの式: y = -x
ここまでで、1本目の直線の式が出ました。傾きが -1 だという事実が、次のステップでそのまま材料になります。
ステップ2: 垂直条件から直線ABの式を出す
2本目、直線ABの式を求めます。傾きも切片も分かっていないので、文字で置きます。
ここで1つ注意です。一次関数の式は y = ax + b と習いますが、今回はA、Bという点の名前がすでに出てきています。同じ文字を使うとごちゃ混ぜになるので、直線ABの式は、
y = cx + d
と置いておきます。文字が足りなくなったら、かぶらない文字に逃がす。地味ですが、ミスを1つ減らせます。
さて、OAとABは垂直でした。直線OAの傾きは -1 と分かっているので、垂直条件の式に代入します。
-1 × c = -1
両辺を -1 で割ると、
c = 1
直線ABの傾きは 1
垂直条件のいいところは、片方の傾きが分かれば、もう片方が自動的に決まってしまうことです。ここまで来れば、直線ABは y = x + d まで絞られました。
残るは切片 d です。傾きが分かっていて切片を求めたいときは、その直線が通る点の座標を代入します。直線ABは点Aを通るので、A(-1, 1) を y = x + d に入れます。
1 = -1 + d
d = 2
直線ABの式: y = x + 2
ステップ3: y=x²と連立して点Bを求める
いよいよ点Bです。点Bは、放物線 y=x² と直線 y=x+2 が交わる点でした。交わる点では、xもyも同じ値になります。そこで、yどうしをイコールで結びます。
x² = x + 2
二次方程式の形に直すため、右辺を左辺へ移項します。
x² – x – 2 = 0
因数分解します。かけて -2、足して -1 になる2つの数は、+1 と -2 です。
(x + 1)(x – 2) = 0
x = -1, x = 2
解が2つ出ました。ここで手を止めてください。出てきた x=-1 は点Aのx座標そのものです。放物線と直線は2か所で交わっていて、その片方がA、もう片方がBだったわけですね。だから点Bのx座標は 2 のほうです。
最後に、x=2 を y=x² に代入してy座標を出します。
y = 2²
y = 4
答え: B(2, 4)
解が2つ出たときに「どっちが答えだろう」と迷わないために、図に戻るクセをつけてください。点Aは放物線の左側、点Bは右側にありました。x=-1 が左、x=2 が右。図と一致しています。
検算: 本当に垂直になっているか確かめる
答えが出たら、条件に戻して確かめます。今回の条件は「OAとABが垂直」でした。傾きをかけて -1 になるかを見れば済みます。
まず直線OAの傾き。O(0, 0) と A(-1, 1) から、
傾き = (1 – 0) ÷ (-1 – 0)
= -1
次に直線ABの傾き。A(-1, 1) と B(2, 4) から、
傾き = (4 – 1) ÷ (2 – (-1))
= 3 ÷ 3
= 1
かけ算します。
-1 × 1 = -1
条件どおり、垂直になっていました。
点Bが放物線の上にあることも確かめておきましょう。y=x² に x=2 を入れると 4。B(2, 4) と一致します。直線 y=x+2 のほうも、x=2 を入れると 2+2=4 で一致。点Bは2本のグラフの両方に乗っています。
答えの吟味もしておきます。点Aは左上、点Bは右上で、どちらも放物線の上側にあります。点Aで直角に折れて、右上へ向かっていく形。図に描いた直角の記号と矛盾しません。求めた座標を条件の式に戻して確かめるのは、計算ミスを自分で見つけられる、いちばん確実な方法です。
よくあるつまずき
つまずき①: 「垂直」を式に直さないまま座標を追いかける
いちばん多いのがこれです。図に90度と書いてあるのは見えているのに、それを計算に使える形にしないまま、点Bの座標を文字で置いて手が止まってしまう。図形の条件は、式に翻訳しないと計算に参加できません。垂直と書いてあったら、まず「傾きの積が -1」と余白にメモしてしまうのがおすすめです。
つまずき②: 傾きの積を1にしてしまう
かけて -1 なのか、1 なのか。テスト中に分からなくなる人は多いです。平行なら傾きが等しい、垂直なら傾きの積が-1。この2つは別のルールなので、混ぜないでください。迷ったら、さきほどの y=x と y=-x を思い出して、その場で 1×(-1) を計算すれば確かめられます。
つまずき③: 二次方程式の解2つを、両方とも答えにしてしまう
x² – x – 2 = 0 を解くと x = -1, 2 の2つが出ます。このうち x=-1 は点Aのx座標なので、点Bの答えにはなりません。放物線と直線の交点を求めると、聞かれていない点の座標もセットで出てくる。これは連立の性質なので、解が出たら「どっちが聞かれている点か」を図で確認する手順を必ず挟みましょう。
つまずき④: マイナスの引き算で符号を落とす
傾きを出すところが危険地帯です。AとBの傾きなら、xの増加量は 2-(-1) で 3 です。ここを 2-1=1 と書くと、以降が全部ずれます。マイナスの数を引くときは、カッコをつけてから計算してください。
つまずき⑤: y座標を出し忘れる
x=2 まで出したところで安心して、答えを「2」と書いてしまう。聞かれているのは「点Bの座標」なので、(2, 4) の形で答える必要があります。「座標を求めなさい」と書いてあったら、カッコの中に数字が2つ入るまでが答えです。
FAQ
Q. 傾きの積が-1になるのは、どんな2直線でも成り立ちますか?
A. 垂直に交わっていれば成り立ちます。例外は、片方がy軸に平行な直線(x=3 のような形)のときです。この直線には傾きがないので、積という考え方が使えません。その場合は、もう片方がx軸に平行な直線(y=2 のような形)になります。中3の問題で出てくる形はほとんどが傾きのある直線どうしなので、まずは積が -1 を基本として覚えて大丈夫です。
Q. 直線ABの式を、点Aと点Bの座標から求めることはできないのですか?
A. 点Bの座標がまだ分かっていないので、この順番では求められません。点Bを求めるために直線ABがほしい、という関係になっています。だからこそ、垂直という条件を使って、点Bを使わずに直線ABの傾きを出すルートを通ります。「求めたいものを使わずに求める」ルートを探すのが、応用問題の考え方です。
Q. 放物線の式が y=x² 以外(y=2x² など)でも、同じ手順で解けますか?
A. 解けます。手順はまったく同じで、代入する式が変わるだけです。点Aのy座標を出すときに y=2x² に代入し、最後の連立でも y=2x² と直線の式を結びます。二次方程式が少し複雑になることはありますが、「垂直から傾き、傾きから直線、直線と放物線で連立」という流れは変わりません。
Q. 90度で交わる問題は、ほかにどんな形で出ますか?
A. 座標平面上で直角三角形をつくる問題、長方形や正方形の頂点を求める問題などで出ます。どれも「直角がある→傾きの積が-1」と翻訳するところは共通です。図のどこに直角があるかを見つけたら、その2辺の傾きに注目する。この一手を持っているだけで、手をつけられる問題がぐっと増えます。
まとめ
この問題のポイント
- グラフの問題は、まず図に情報を書き込む(直角の記号、x座標の -1)
- 垂直と言われたら「傾きの積が -1」と式に翻訳する
- なぜ -1 か迷ったら y=x(傾き1)と y=-x(傾き-1)を思い出す。45度+45度で90度
- 求めたい点Bから逆算する。B → 直線AB → その傾き → 直線OA の順
- y=x² に x=-1 を代入して A(-1, 1)
- 直線OAの傾きは -1、原点を通るので y = -x
- 垂直条件 -1 × c = -1 より、直線ABの傾きは 1
- y = x + d に A(-1, 1) を代入して d=2。直線ABは y = x + 2
- y=x² と連立。x² – x – 2 = 0 → (x+1)(x-2) = 0 → x = -1, 2
- x=-1 は点A。もう一方の x=2 が点B。y=2²=4 で B(2, 4)
- 検算は傾きの積。-1 × 1 = -1 で垂直を確認
放物線と直線が組み合わさった問題は、計算そのものより「図形の条件を式に置きかえられるか」で差がつきます。今回の「垂直なら傾きの積が -1」は、高校入試でも形を変えて何度も出てくる道具です。図の中に直角の記号を見つけたら、まずこの一手を思い出してください。
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