
式はもう一回作れるんですけど、それを解くときに、なぜか途中から違うんですよね…

その「途中から違う」は、計算じゃなくて式そのものがずれているサインのことが多いんだ。今日は図を描くところから一緒にやってみようか。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題
次の問題を考えます。
ある列車が2000mのトンネルに入り始めてから出終わるまでに60秒かかり、800mの鉄橋を渡り始めてから渡り切るまでに30秒かかるという。この列車の秒速と長さを求めなさい。
連立方程式の文章題の中でも「速さ」がからむタイプで、中2の定期テストにも高校入試にもよく出ます。求めるものが2つ(秒速と長さ)あるので、式も2本必要になる問題です。
「式は作れるのに途中でずれる」の正体
授業でもよく出てくる相談が、冒頭の「式は作れるのに、解いていくと途中から合わなくなる」です。
このとき、計算の練習を増やしても直りません。ずれているのは計算ではなく、最初に立てた式のほうだからです。
とくにこの問題では、「列車が進んだ距離」を、トンネルの長さ2000mだけだと思い込む間違いが起きやすいです。ここが違っていると、そのあとの計算をどれだけ丁寧にやっても答えは合いません。
核の考え方は「等しい量さがし」
連立方程式の文章題でやることは、いつも同じです。同じ量を2通りの言い方で表して、イコールで結ぶ。今回はその「同じ量」が、列車が進んだ距離です。
そして、進んだ距離を正しくつかむために、文章題は図を描いてから式を作ります。頭の中だけで処理しようとすると、さっきの思い込みがそのまま式になってしまいます。
紙にトンネルの絵を描いて、その手前に列車を描いてください。そのうえで、次の2つの瞬間の列車の位置を描き込みます。
- 入り始めた瞬間: 列車の先頭がトンネルの入口にいる
- 出終わった瞬間: 列車の最後尾がトンネルの出口を通過している
図にすると、この間に列車が動いた距離が見えてきます。先頭はトンネルの入口から出口まで2000m進み、さらに最後尾が出口を抜けるまで、列車の長さのぶんだけ余分に進んでいます。つまり進んだ距離は
トンネルの長さ + 列車の長さ
です。鉄橋も同じで、「渡り始めてから渡り切るまで」なので
鉄橋の長さ + 列車の長さ
になります。この2つが見えたら、あとは式に落とすだけです。
ステップ1: 求めるものを文字でおく
聞かれているものをそのまま文字にします。
列車の長さをxm、列車の秒速をymとする
「秒速ym」というのは、1秒間にym進むという意味です。速さの問題では、単位をそろえるところで事故が起きやすいのですが、今回は時間が秒、距離がmで最初からそろっているので、そのまま使えます。
ステップ2: トンネルと鉄橋で式を1本ずつ作る
図で確かめたとおり、進んだ距離は「トンネル(鉄橋)の長さ+列車の長さ」です。一方で、進んだ距離は速さ×時間でも表せます。この2通りの言い方をイコールで結ぶのが、この問題の式の作り方です。
トンネルは、60秒で「2000+x」m進んだので
2000 + x = 60y …①
鉄橋は、30秒で「800+x」m進んだので
800 + x = 30y …②
求めるものが2つ、式が2本。これで連立方程式として解ける形になりました。
ステップ3: 連立方程式を解く
①と②を見比べると、どちらにも「+x」が入っています。同じ形が両方にあるときは、引き算で消すのが速いです。
①-②を計算します。
2000 - 800 = 60y - 30y
1200 = 30y
y = 40
秒速が40mと出ました。これを②に代入します。
800 + x = 30 × 40
800 + x = 1200
x = 400
列車の長さは400mです。
検算して答えを吟味する
出しっぱなしにせず、元の2本の式に戻して確かめます。
①の確認
2000 + 400 = 2400
60 × 40 = 2400
②の確認
800 + 400 = 1200
30 × 40 = 1200
どちらも左辺と右辺が一致しました。
答え: 秒速40m、列車の長さ400m
数字の感覚でも確かめておきましょう。秒速40mは時速にすると144kmなので、特急列車くらいの速さです。長さ400mも、10両編成くらいの列車としておかしくありません。答えが出たら「現実にありえる数か」を一度見る癖をつけると、式の立て間違いに自分で気づけます。
よくあるつまずき
- 列車が進んだ距離を、トンネルの長さ2000mだけだと思ってしまう。いちばん多い間違いです。「入り始めてから出終わるまで」なので、列車自身の長さのぶんも進んでいます
- 図を描かずに式を作ってしまう。文章のままだと「先頭」と「最後尾」が頭の中で混ざります。トンネルの絵と列車の絵を描いて、2つの瞬間を描き込むところまでやると混ざりません
- 答えを出して終わりにしてしまう。①と②に代入し直すのは30秒で終わります。ここを飛ばすと、式のずれに気づく機会がなくなります
- 単位を確認していない。今回は秒とmでそろっていますが、「分速」や「km」が混ざる問題では、式を作る前にそろえます
FAQ
Q. なぜ「トンネルの長さ+列車の長さ」になるのですか?
A. 「出終わる」の意味が、列車の最後尾が出口を通過することだからです。先頭を目印に見ると、先頭は出口を通り過ぎたあと、さらに列車の長さのぶんだけ進んでいます。図に最後尾の位置を描き込むと目で確認できます。
Q. ①と②のどちらに代入してもいいですか?
A. どちらでも同じ答えになります。今回は数が小さい②のほうが計算が軽いので、②を選びました。代入する式を選ぶときは、数が小さいほう、係数が1のほうを選ぶとミスが減ります。
Q. 加減法ではなく代入法でも解けますか?
A. 解けます。ただし今回は両方の式に「+x」がそのまま入っているので、引き算で消すほうが手数が少なくて済みます。式の形を見てから解き方を選ぶのも、練習しておきたいところです。
Q. 「トンネルにすっぽり隠れている時間」を聞かれたらどうしますか?
A. 進んだ距離が「トンネルの長さ-列車の長さ」に変わります。隠れている間は、先頭が出口に届く前に最後尾が入口を通過している状態なので、足し算ではなく引き算です。この違いも、図を描けば見分けられます。
この問題のポイント
- 文章題は図を描いてから式を作る。トンネルと列車の絵に「入り始め」「出終わり」の2つの瞬間を描き込む
- 列車が進んだ距離は「トンネル(鉄橋)の長さ+列車の長さ」。トンネルの長さだけではない
- 進んだ距離を「距離の合計」と「速さ×時間」の2通りで表してイコールで結ぶ
- 両方の式に同じ「+x」があるときは、引き算で消すと速い
- 答えが出たら元の2式に代入して検算し、現実にありえる数かも見る
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