
平行四辺形の中に中点が2つ出てくる問題で、正直もう全部わからないみたいな感じになってしまって。図に線がたくさんあって、どこを見ればいいのかも分かりませんでした。

正直に言ってくれてありがとう。この「中点が2つあるパターン」は結構よく出る形なんだけど、やり方を知らないと難しいんだよね。逆に言えば、手順を知っていれば毎回同じように手が動きます。今日は一緒にやっていこうか。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題
今回いっしょに考えるのは、この問題です。
右の図の平行四辺形ABCDで、辺ADの中点をMとし、線分BMと対角線ACの交点をEとする。辺ABの中点をNとし、線分CNと線分BMとの交点をFとする。EF:MBを求めなさい。
条件を図の上で並べ直すと、こうなります。
- Mは辺ADの中点。だからAM=MD
- Nは辺ABの中点。だからAN=NB
- Eは線分BMと対角線ACの交点
- Fは線分CNと線分BMの交点
ここで注目してほしいのは、EもFも、同じ線分BM(を延ばした直線)の上に乗っているということです。求めたいEFも、比べる相手のMBも、全部この1本の直線の上の話。つまりこの問題は「線分BMという1本の物差しの上で、EとFがそれぞれどこにいるか」を突き止める問題だと言い換えられます。
なお、この問題で使う「リボン型」は相似の考え方なので、中3で習う内容も少し混ざります。難関校の入試では発展問題としてよく顔を出す形です。
考え方の核: 中点は2つとも使い切る
図形の問題で条件が2つ書いてあるとき、それは2つとも使うために書いてあります。今回なら中点がM・Nと2つ。だから、中点Mで点Eの位置を決め、中点Nで点Fの位置を決める。仕事を1つずつ割り振るのが基本方針になります。
そしてもう1つ大事なのが、EFの出し方です。EFを直接はかろうとしないでください。
BからEまでの長さと、BからFまでの長さを別々に出して、最後に引き算する
これが今回の設計図です。EとFは同じ直線上にいるので、Bを基準にそろえてしまえば、EF=BE−BF で出ます。長さそのものは分からなくても、比さえそろえば引き算できる。ここが今回の問題のいちばんの気持ちよさです。
逆に言うと、この問題でつまずく人の多くは「EFという線分そのもの」をにらんで止まっています。見るべきはEFではなく、BE と BF。この視点の切り替えができると、あとは作業になります。
ステップ1: 中点Mとリボン型でBE:EMを出す
まず中点Mのほうから使います。
Mは辺ADの中点なので、AM=MD。ここでAM=1とおくと、AD全体は2になります。そして平行四辺形は向かい合う辺の長さが等しいので、
BC = AD = 2
さらに、平行四辺形なのでAD∥BC、つまりAM∥CBです。ここで点Eのまわりを見てください。直線AC上にAとCがあり、直線BM上にMとBがある。この2本が点Eで交わっていて、AMとCBが平行。この形が「リボン型(砂時計型)」の相似です。
△EAM と △ECB が相似で、対応する辺の比は
AM : CB = 1 : 2
なので、EをはさむBM上の比も同じになって、
ME : EB = 1 : 2
MBを全体で見れば 1+2 で3。つまり BE : EM = 2 : 1、MB = 3 と決まりました。
ここまでは多くの人がたどり着けるところです。実際、これで点Eの居場所は完全に分かりました。問題は、ここから点Fをどうするかです。
ステップ2: 行き詰まったらBMと辺CDを延長して点Zを作る
点Fは、線分CNと線分BMの交点でした。Fの位置を出すにも、さっきと同じようにリボン型を作りたい。そのためにはCNと平行な線か、CNを含む三角形と相似になる三角形が必要です。
ところが図をいくら眺めても、そのままでは使える平行線のペアが作れません。ここで多くの人の手が止まります。
打開策はこれです。
線分BMをMの側へ、辺CDをDの側へ、それぞれ延長して、ぶつかった点をZとする
平行線が引けないときは、平行線を探すのではなく、線のほうを伸ばして交点を作る。この「先に伸ばす系」の補助線は、入試でかなりの頻度で登場します。想像がつきにくい線なので、パターンとして覚えておくと役に立ちます。
さて、点Zができると何が起きるか。△MABと△MDZを見てください。
- AM = MD(Mは中点だから)
- ∠AMB = ∠DMZ(対頂角)
- ∠MAB = ∠MDZ(AB∥DZ の錯角。ABとDCが平行で、ZはDCを延ばした線の上にいる)
1辺とその両端の角が等しいので、△MAB ≡ △MDZ。合同から2つのことが分かります。
MZ = MB = 3、そして DZ = AB
MZ=3が出たので、BからZまでの直線が丸ごと数字になりました。
BE : EM : MZ = 2 : 1 : 3(合計6)
この2:1:3が、動画で「四角の数字」と呼んでいる1組目です。BZ全体が6、と覚えておいてください。
ステップ3: 中点Nとリボン型でBF:FZを出す
ここで、まだ使っていないもう1つの中点Nの出番です。
Nは辺ABの中点なので、AB=2とおけば NB = 1。動画で「三角の数字」と呼んでいるほうの単位です。
次にZCの長さを見ます。ZDはさっきの合同からABと等しく、DCも平行四辺形の向かい合う辺なのでABと等しい。ZとDとCはこの順に一直線に並んでいるので、
ZC = ZD + DC = AB + AB = 4
そしてNBはAB上、ZCはDC上にあって、AB∥DCですからNB∥ZC。点Fのまわりを見ると、直線CN上にCとN、直線BZ上にBとZ、それが点Fで交わっていて、NBとCZが平行。またリボン型です。
△FNB と △FCZ が相似で、対応する辺の比は
NB : CZ = 1 : 4
したがって、
BF : FZ = 1 : 4(合計5)
これが2組目、「丸の数字」です。BZ全体が5になりました。
同じBZという線分なのに、1組目では6、2組目では5。数字が食い違っているように見えますが、これは単位が違うだけです。1組目は「AMを1とした世界」、2組目は「NBを1とした世界」で数えているので、そもそも物差しが別物なんですね。
ステップ4: BZを30にそろえて2つの比を合体させる
2組の比がそろいました。ここからが仕上げです。
- 四角の数字: BE : EM : MZ = 2 : 1 : 3、BZ = 6
- 丸の数字: BF : FZ = 1 : 4、BZ = 5
土台の数がそろっていない比は、そのままでは足し引きできません。分数の足し算で通分するのと同じで、まずBZを共通の数にそろえます。6と5の最小公倍数は30。だからBZを30にします。
四角の数字は5倍します。
BE : EM : MZ = 10 : 5 : 15(合計30)
丸の数字は6倍します。
BF : FZ = 6 : 24(合計30)
これで両方の比が、同じ「BZ=30」という物差しの上に乗りました。あとは読むだけです。
BからEまでが10、BからFまでが6。Bを基準にそろえたので、そのまま引き算できます。
EF = BE − BF = 10 − 6 = 4
比べる相手のMBは、BEとEMを足せば出ます。
MB = BE + EM = 10 + 5 = 15
したがって、
答え: EF : MB = 4 : 15
「EFという線分を直接はかる」のではなく、「Bからの距離を2つ出して引く」。ステップ2で立てた設計図のとおりに着地しました。
検算: 出した数字がつじつま合うか確かめる
答えが出たら、そのまま次に行かずに確かめます。今回は30にそろえた数字が正しいかを、途中で出した比をもう一度再現できるかで見ます。
まず合計。四角のほうは 10 + 5 + 15 = 30。丸のほうは 6 + 24 = 30。どちらもBZの30に一致します。
次に、途中の比が復元できるかを見ます。
| 確かめること | 30にそろえた数字 | 元の比 |
|---|---|---|
| BE : EM | 10 : 5 | 2 : 1(ステップ1と一致) |
| BM : MZ | 15 : 15 | 1 : 1(△MAB≡△MDZ と一致) |
| BF : FZ | 6 : 24 | 1 : 4(ステップ3と一致) |
3つとも、前のステップで出した比とぴったり同じ形に戻りました。倍率のかけ間違いがあれば、ここで必ず食い違いが出ます。
答えの吟味もしておきます。EF : MB = 4 : 15 は、EFがMBの15分の4ということ。4分の1より少し長いくらいです。図の上でBとMの間隔と、FとEの間隔を見比べてみてください。EFのほうが長くなったり引き算がマイナスになったりしたら、比の向きを取り違えています。
具体的な数字で試す確かめ方もあります。長方形も平行四辺形の仲間なので、A(0,0)、B(0,−4)、C(6,−4)、D(6,0) で座標をとると M(3,0)、N(0,−2)。直線BMは y = (4/3)x − 4、直線ACは y = −(2/3)x なので交点Eは (2, −4/3)。直線CNは y = −(1/3)x − 2 なので、BMとの交点Fは (6/5, −12/5)。長さを出すと BM = 5、BE = 10/3、BF = 2 で、EF = 10/3 − 2 = 4/3。EF : MB = 4/3 : 5 = 4 : 15 で、比を使って出した答えと一致します。
よくあるつまずき
- 四角の数字と丸の数字を、そろえずにそのまま引き算してしまう。BE=2、BF=1として「EF=1」としてしまう間違いです。単位が違う比は、共通の数(今回は30)にそろえてからでないと引けません
- 中点Mだけ使って、Nを使わずに止まってしまう。条件は2つ書いてあるので、2つとも仕事があります
- 延長する線を間違えて、BMと対角線ACを伸ばしてしまう。伸ばすのは線分BMと辺CDの2本です。BMとADを伸ばしても点Mに戻るだけで、新しい情報は増えません
- Zを作ったあと、ごちゃごちゃした図のまま比を読もうとしてしまう。直線BZだけを別のところに1本抜き出して、B・F・E・M・Zを左から並べて書くと、読み間違いがぐっと減ります
- 求めたいのがEFなので、EFという線分をにらんだまま動けなくなる。見るのはBEとBFです
FAQ
Q. なぜBMと辺CDを延長するのですか?他の線ではだめですか?
A. 目的は「CNと平行な線をもう1本作ること」ではなく、「NBと平行な長い辺を作って、Fをはさむリボン型を成立させること」だからです。BMを伸ばせば点Fを含む直線が長くなり、CDを伸ばせばABと平行な線が長くなる。この2本が交わった点Zのおかげで、NB : ZC = 1 : 4 という比が読めるようになりました。ちなみにBMと辺ADを延長しても、その交点はMそのものなので情報は増えません。
Q. リボン型の相似って何ですか?
A. 2本の直線が1点で交わっていて、その交点をはさんで向かい合う2本の線が平行になっている形です。図にするとリボン(砂時計)のように見えるので、そう呼ばれます。今回は点Eのところ(AM∥CB)と、点Fのところ(NB∥CZ)の2か所で使いました。平行な2辺の比が、交点をはさんだ他の辺の比にもそのまま移るのが、この形の使いどころです。
Q. 30以外の数にそろえてもいいですか?
A. 大丈夫です。6と5の公倍数であれば、60でも90でも同じ答えになります。60でそろえれば四角の数字が20:10:30、丸の数字が12:48となって、EF=20−12=8、MB=20+10=30。8 : 30 を約分すると 4 : 15 で、やはり同じです。最小公倍数の30を使うのは、数字がいちばん小さくて計算がラクだからというだけの理由です。
まとめ
中点が2つ、交点が2つ。条件の並びがこの形になっていたら、今回の手順を思い出してください。片方の中点でリボン型を作る。行き詰まったら線を延長して点を作る。単位の違う2組の比を、共通の線分でそろえて合体させる。難関校の入試の発展問題によく顔を出す流れです。
比をそろえてから合体させるという作業に慣れておくと、線分比の問題で手が止まる回数は減っていきます。
この問題のポイント
- EもFも同じ直線BMの上にいる。EFは直接はからず、BEとBFの引き算で出す
- 中点が2つあるなら、2つとも使う。Mで点E、Nで点Fを決める
- 平行線が作れずに行き詰まったら、線分BMと辺CDを延長して交点Zを作る
- △MAB≡△MDZ から MZ=MB。これでBZ全体が数字になる
- 単位の違う2組の比は、共通の線分BZを最小公倍数(今回は30)にそろえてから合体させる
- BE=10、BF=6、EM=5 より、EF=4、MB=15。答えは 4 : 15
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