直方体の上を点が動いて、立体の体積が変わっていく問題。中3の二次方程式の文章題の中でも、図を見た瞬間に手が止まりやすいタイプです。点が2つ動くうえに立体まで出てくるので、どこから手をつければいいのかが見えにくくなります。

問題を見たとき、わけがわからなかったです。三角錐なのは分かるんですけど、そこから先がよく分からなくて。

大丈夫。立体のまま考えるから難しく見えるんだよ。三角錐の体積の公式を思い出して、底面だけを取り出して平らな図で考えれば、いつもの二次方程式の文章題になるよ。
この記事では、三角錐の体積の求め方を確認したうえで、立体から底面の三角形だけを取り出し、その面積をxの式で表して二次方程式を立てるまでを順番に説明します。最後に、出てきた2つの答えのうち、どちらを選ぶかも確かめます。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
問題文と、図に描かれている直方体
今回あつかうのは、公式LINEに届いた次の問題です。
> 右の図の直方体で、点Pは辺EF上を秒速2cmの速さでEからFまで、点Qは辺EH上を秒速1cmの速さでEからHまで動く。P,Qが同時に出発するとき、三角錐CGQPの体積が64cm³になるのは何秒後ですか。
図を言葉で描いてみます。上の面がABCD、下の面がEFGHの直方体です。長さは、辺DC(下の面ではEF)が12cm、辺AD(下の面ではEH)が6cm、縦の辺CGが6cmです。
点Pと点Qは、どちらも下の面の角Eから同時にスタートします。Pは辺EFの上を秒速2cmでFへ、Qは辺EHの上を秒速1cmでHへ進みます。
そして、この2点と、直方体の角C・Gの4点を結んでできる立体が三角錐CGQPです。授業では、先生が問題文を読みながら「点Pはここですね」「点Qは辺EH、ここか」と図の上で1つずつ場所を確かめていました。
問題を見たとき、生徒の最初の感想は「わけがわからない」でした。整理がどこまでできていたかを聞くと「三角錐だし、よくわかんない」。立体の中で点が動く問題は、この状態から始まるのがふつうです。ここから、何を求めればいいかを1つずつ決めていきます。
三角錐の体積は「底面積 × 高さ × 3分の1」
まず、何を計算すれば体積が出るのかを確認します。
授業で先生は「これって底面は何になってる?形」と聞いています。生徒の答えは「三角形」。底面が三角形で、上に向かって1点にまとまっている立体なので、三角錐です。
三角錐の体積の求め方は、授業で生徒が「ちょっと覚えてない」と答えた部分です。先生は「全然大丈夫だよ」と受けてから、次のように説明しました。
三角錐の体積 = 底面積 × 高さ × 3分の1
なぜ3分の1がつくのか。底面があって、高さの分だけまっすぐ上に伸びている立体は「柱」です。三角柱なら、体積は底面積 × 高さ。一方で、上に向かって1点にまとまっている立体が「錐」です。同じ底面・同じ高さなら、錐は柱よりも明らかに小さくなります。その小さくなった分をあらわすのが「× 3分の1」です。
今回の三角錐CGQPでは、底面を下の面にある三角形QPGと見ると、高さは縦の辺CGになります。CGは6cmと分かっています。
高さ = CG = 6cm
高さが決まったので、残りは底面積です。先生も「あと底面積が求まれば、何秒後かって分かるよね」と話していました。この問題は、底面の三角形の面積をxで表せるかどうかで決まります。
立体から底面だけを取り出して、平らな図で考える
底面の三角形QPGは、直方体の下の面EFGHの中にあります。授業では、先生が「これ立体で考えるから難しいんだけれど、ちょっと底面だけ持ってきてあげて」と言って、下の面だけを平らな長方形として描き直しています。
描き直した長方形EFGHは、横EF = 12cm、縦EH = 6cmです。その中で、Pは辺EFの上、Qは辺EHの上にいて、Gは右下の角にあります。三角形QPGは、この長方形の内側にできる三角形です。
この三角形は、どの辺も長方形の辺と平行になっていません。そのため、底辺と高さをそのまま読み取ることができません。そこで先生が提案したのが、長方形全体から、まわりにできる三角形を引き算するという方法です。
三角形QPGの面積 = 長方形EFGH − 三角形EPQ − 三角形PFG − 三角形QHG
まわりの3つの三角形は、どれも直角三角形です。直角をはさむ2辺が長方形の辺の上にあるので、長さが分かれば「底辺 × 高さ × 2分の1」ですぐに面積が出ます。
立体の問題でも、1つの面だけを取り出せば、中1・中2で習った平面の図形の問題に変わります。ここまで来れば、あとは長さをxで表すだけです。
x秒後の長さを、2x、12 − 2x、x、6 − x で表す
文章題では、聞かれているものを文字で置きます。授業でも先生は、画面に問題文を映し直して「今回聞かれてるのは何秒後かって言われてます」と確認し、「何秒後かっていうのを、今回x秒後ってしとこうか」と決めています。
x秒後の各辺の長さを出していきます。
- 点Pは秒速2cmなので、EP = 2x cm
- 辺EFは12cmなので、PF = 12 − 2x cm
- 点Qは秒速1cmなので、EQ = x cm
- 辺EHは6cmなので、QH = 6 − x cm
授業では、EPを聞かれた生徒が「2x?」と答え、続けてPFも「12 − 2x」と自分で出しています。動く点の問題は、速さ × 時間で進んだ距離を出し、辺の長さから引いて残りを出す、の2つだけでほとんどの長さが決まります。
長さがそろったので、3つの三角形の面積をそれぞれ式にします。
三角形EPQ = 2x × x × 2分の1 = x²
三角形PFG = (12 − 2x) × 6 × 2分の1 = 36 − 6x
三角形QHG = 12 × (6 − x) × 2分の1 = 36 − 6x
三角形QHGは、辺HGの長さが12cm(EFと同じ)、QHが 6 − x なので、この形になります。長方形全体は 6 × 12 = 72 です。
底面積を計算すると −x² + 12x になる
長方形から3つの三角形を引きます。
底面積 = 72 − x² − (36 − 6x) − (36 − 6x)
カッコを外すときは、前にあるマイナスをカッコの中の2つともにかけます。
72 − x² − 36 + 6x − 36 + 6x
数字どうし、xどうしをまとめます。72 − 36 − 36 は0になります。授業でも生徒が「0」と答えて、先生が「そうだね」と確認していました。
底面積 = −x² + 12x
これで、底面の三角形の面積をxだけで書けました。
いったん止まって、式が図と合っているかを確かめておくと安心です。たとえば x = 1 のとき、EP = 2、EQ = 1 なので、三角形EPQ = 1、三角形PFG = 30、三角形QHG = 30 です。72 − 1 − 30 − 30 = 11 で、式に入れた −1 + 12 = 11 と一致します。
計算の途中で符号が1つでも変わると、このあと立てる二次方程式が全部ずれてしまいます。カッコの前のマイナスは、カッコの中の全部にかかる。ここは声に出して確認しながら進めるくらいでちょうどいい場所です。
体積が64cm³になる二次方程式を立てて解く
底面積と高さがそろったので、体積の式を立てます。
(−x² + 12x) × 6 × 3分の1 = 64
6 × 3分の1 は2なので、左辺は2 × (−x² + 12x) です。授業では、先に両辺を2で割っておく方法をとっていました。
−x² + 12x = 32
右辺の32を左辺へ移項して、x² の係数がプラスになるように両辺を入れかえます。
x² − 12x + 32 = 0
因数分解で解きます。さがすのは「かけて +32、たして −12」になる2つの数です。
- −1 と −32 → 足すと −33
- −2 と −16 → 足すと −18
- −4 と −8 → 足すと −12
足して −12 になるのは −4 と −8 です。
(x − 4)(x − 8) = 0
x = 4, x = 8
授業では、生徒が「−4と−8」と答えたところで、先生が「4と8になります」と直しています。因数分解のカッコの中にある数は −4 と −8 ですが、x の値はその符号を変えた4と8です。カッコの中の数をそのまま答えにしないように気をつけてください。
二次方程式の解き方を3つに整理した記事もあるので、因数分解・平方根・解の公式のどれで解くか迷うときはこちらも見てください。

8秒後はありえる?答えを図に戻して確かめる
計算からは、4秒後と8秒後の2つが出てきました。授業で先生は「今回どっちが適切だと思う?」と聞き、「8秒後の時イメージしてみよう」と続けています。
8秒後のとき、EPの長さは 2 × 8 = 16cm です。ところが、辺EFは12cmしかありません。点Pは辺EFの上を動く点なので、16cm進んだ位置にはいられません。生徒も「ありえない」と答えています。
動画ではこの「辺の長さを超える」という確かめ方で決めていました。ここでは、考えられる時間の範囲も先に出しておきます。点Pは 12 ÷ 2 = 6 で、6秒後にFに着きます。点Qも 6 ÷ 1 = 6 で、6秒後にHに着きます。つまり、この問題で考えられるのは0秒から6秒までです。
0 ≦ x ≦ 6
x = 4 はこの範囲に入り、x = 8 は範囲の外です。
答え:4秒後
x = 4 のとき、底面積は −16 + 48 = 32、体積は 32 × 6 × 3分の1 = 64 で、問題の条件どおり64cm³になります。
x = 8 も、方程式としては成り立っている解です。それでも答えにならないのは、問題の場面に戻すと点が辺からはみ出してしまうからです。二次方程式は、式として成り立つ解を全部出してくれます。その中から場面に合うものを選ぶのは、解いた人の仕事です。
答えが2つ出たときの選び方は、この問題を別の切り口で解説した記事でもくわしく書いています。

点を落としやすい3か所
この問題で点を落とす場所は、だいたい次の3つに集まります。
- 立体のまま底面積を出そうとする。三角形QPGは直方体の底の面にありますが、立体の見取り図のままだと、どこが直角でどこが何cmかが読み取りにくくなります。底の面だけを長方形として描き直してから、長さを書きこんでください
- 3つの三角形を引くときの符号。72 − x² − (36 − 6x) − (36 − 6x) のカッコを外すとき、−6x が +6x に変わります。ここで符号を落とすと、底面積が −x² − 12x のような別の式になり、そのあとの方程式が解けなくなります
- x = 8 まで答えに書いてしまう。計算が全部合っていても、ここで失点するともったいない形です。点が動く問題では、点が辺の端に着くまでの時間が先に決まっています。出した答えを図に戻して、点が辺の上にいるかを確かめてから答案に書きましょう
よくある質問
Q. 底面を三角形QPGとして、高さをCGにしてよいのはなぜですか?
A. 三角形QPGは直方体の下の面EFGHの上にあり、辺CGは下の面に垂直に立っています。だから、下の面にある三角形を底面にすると、頂点Cまでの高さはCGの6cmになります。三角錐は、どの面を底面に選んでも体積は同じです。底面積と高さが両方読み取れる面を選ぶのがコツです。
Q. 三角錐の体積の公式を忘れてしまったら、どう思い出せばいいですか?
A. 「柱」と「錐」の関係で覚えておくと思い出しやすくなります。同じ底面・同じ高さなら、柱の体積は底面積 × 高さ、錐はその3分の1です。授業でも、生徒が公式を覚えていなかったところから、柱と錐の違いを確認して公式につなげていました。分からないところを分からないと言えれば、そこから覚え直せます。
Q. 答えの書き方はどうすればいいですか?
A. 途中式に x = 4, 8 まで書いたあと、「0 ≦ x ≦ 6 より、x = 8 は点Pが辺EFの外に出るので不適」と一言そえてから、答えを4秒後と書きます。どちらの解を捨てたのか、その理由まで書いておくと、採点する人にも考えの筋道が伝わります。
この問題のポイント
- 三角錐の体積は 底面積 × 高さ × 3分の1。今回の高さはCGの6cm
- 立体から底の面EFGHだけを取り出し、平らな長方形として描き直す
- x秒後の長さは EP = 2x、PF = 12 − 2x、EQ = x、QH = 6 − x
- 底面積は長方形72から3つの三角形を引いて −x² + 12x
- 体積の式 (−x² + 12x) × 6 × 3分の1 = 64 から x² − 12x + 32 = 0
- (x − 4)(x − 8) = 0 より x = 4, 8
- 点は6秒で辺の端に着くので 0 ≦ x ≦ 6。答えは 4秒後
立体の問題で手が止まるとき、計算そのものより「どの面を見ればいいか」で迷っていることが多いです。今日の底面を取り出す見方は、直方体や三角柱の上を点が動く問題で何度も出てきます。似た図を見かけたら、まず1つの面だけを平らに描き直すところから手を動かしてみてください。
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