三角形が動いて、もう1つの三角形と重なっていく。その重なった部分の面積を、時間xの式で表しなさい。中3の二次関数で、問題文を読んだ時点で疲れてしまう代表的な形です。
この記事では、問題文を図に描き直すところから、重なる部分がどんな形になるのか、底辺と高さをどう決めるのか、そして(2)の「4倍になる時刻」を求めるところまで、授業の流れそのままに順番に説明します。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題と、つまずいたところ
授業は、生徒がどこで止まったのかを聞くところから始まりました。

2番の問題の意味が分からなかったです。1番は解けたけど、ちょっとあんまり覚えてないです。

OK、じゃあ一緒にやっていこうか。こういうのはいくつかの場合に分かれることがあって、それぞれ絵で描いてあげると非常に分かりやすいよ。テスト本番はゆっくり描いている暇がないかもしれないけれど、自分で勉強している時は描いてあげるといい。
今回考えるのは、この問題です。
> 下の図のように、合同な2つの直角二等辺三角形△ABCと△PQRが直線ℓの上にある。△ABCは直線ℓに沿って矢印の方向に毎秒2cmの速さで動く。点Cが点Qの位置に来たときからx秒後の△ABCと△PQRが重なってできる部分の面積をy cm²とする。点Cが点Qから点Rまで動くとき、次の問いに答えなさい。
> (1) xとyの関係を式に表しなさい。ただし、xの変域は答えなくてよい。
> (2) 重なってできる部分の面積の4倍と△ABCの面積が等しくなるときのxの値を求めなさい。
図には、辺BCの長さが6cmと書き込まれています。問題文には出てこない数字なので、図から読み取る必要があります。
まず、問題文の情報を図に書き込みます。直線ℓ、その上に△ABC、右側に△PQR。「毎秒2cm」は後で使う数字なので丸をつけておきます。そして「点Cが点Qの位置に来たときから」。△ABCの右端の点Cが、△PQRの左端の点Qに触れたところがスタートです。問題文の長さに負けず、動き出す瞬間の図を1枚描く。ここから解き始めます。
核になる考え方: 重なった部分も直角二等辺三角形になる
スタートの図が描けたら、△ABCを少しだけ右に動かした図を、もう1枚描きます。右側の△PQRに、左から△ABCが食い込んでいく形です。重なっている部分に斜線を引くと、小さな三角形が見えてきます。
この小さな三角形が、どんな三角形なのか。ここが今回の問題の心臓部です。
△ABCと△PQRは、どちらも直角二等辺三角形です。直角二等辺三角形の底辺の両端の角は、45度と45度。重なった小さな三角形は、△PQRの左下の角(45度)と、△ABCの右下の角(45度)を底辺の両端に持っています。内角の和は180度なので、残りの1つの角は、
180 − 45 − 45 = 90(度)
つまり、重なってできる部分も直角二等辺三角形です。この事実が分かると、面積を求めるために必要な「底辺」と「高さ」が、両方とも決められるようになります。
面積の公式はいつもどおりです。
三角形の面積 = 底辺 × 高さ × 1/2
問われているのは「xとyの関係を式に表しなさい」なので、ゴールは「y = ○○」の形です。底辺と高さをそれぞれxで表して、この公式に入れる。方針はそれだけです。あとは底辺と高さを1つずつ決めていきます。
ステップ1: 底辺は「点Cが進んだ距離」で2x cm
重なった三角形の底辺は、直線ℓの上にあります。左端は点Q、右端は点C。スタートのときは点Cが点Qと同じ位置にいたので、この底辺の長さは「点Cがスタートから進んだ距離」そのものです。
点Cは毎秒2cmで動きます。x秒後の場面を考えているので、進んだ距離は、
底辺 = 2 × x = 2x(cm)
授業でも、生徒が「毎秒2cmだから2x」と自分で答えていました。速さ×時間で距離を出す、小学校からずっと使っている考え方です。「x秒後」と書かれていたら、まず「距離は2x」と余白にメモしてしまいましょう。
ここで1つ注意です。底辺を「x」と書いてしまう人がいます。xは「秒」であって「cm」ではありません。1秒で2cm進むのだから、x秒なら2x cm。単位を意識すると、この間違いは防げます。
ステップ2: 高さは直角二等辺三角形を半分にしてx cm
次に高さです。ここで、さきほど確かめた「重なった部分も直角二等辺三角形」が効いてきます。
直角二等辺三角形の頂点から底辺に向かって垂線を下ろすと、真っ二つに割れて、小さな直角二等辺三角形が2つできます。授業では、生徒が「真っ二つに割る」と答え、なぜ半分にできるのかを聞かれて「直角二等辺三角形を半分にしたら、2つの直角二等辺三角形ができる」と説明していました。その通りです。
割れてできた小さな直角二等辺三角形は、底辺と高さの長さが等しい三角形です。底辺は2xを半分にしたxなので、高さもxになります。
高さ = 2x ÷ 2 = x(cm)
底辺2x、高さxがそろいました。面積の公式に入れます。
y = 2x × x × 1/2
2と1/2を約分して、
y = x²
これが(1)の答えです。授業では生徒が「2x × x × 2分の1」から「xの2乗」まで自分で計算していました。底辺2x・高さxの直角二等辺三角形を面積の公式に入れるだけ。式に表しなさいと言われて身構えていた問題が、実は面積の公式そのものだったわけです。
ステップ3: (2) △ABCの面積を出して4y=9を解く
(2)は「重なってできる部分の面積の4倍と、△ABCの面積が等しくなるときのxの値」です。重なった部分の面積はyなので、その4倍は4y。これが△ABCの面積と等しい、と読み替えます。
ここで手が止まりやすいのが、△ABCの面積です。問題文の中に△ABCの大きさは1度も書かれていません。授業でも「三角形ABCにまつわる情報なくない?」という話になりました。答えは図の中です。辺BCの長さが6cmと書いてあります。
△ABCは直角二等辺三角形なので、頂点Aから辺BCに垂線を下ろすと、やはり真っ二つに割れて、直角二等辺三角形が2つできます。底辺6cmの半分は3cm。だから高さも3cmです。
△ABCの面積 = 6 × 3 × 1/2 = 9(cm²)
△ABCの面積が9と分かったので、「4yと△ABCの面積が等しい」を式にします。
9 = 4y
求めたいのはxです。(1)で y = x² と分かっているので、yのところにx²を代入します。
9 = 4x²
両辺を4で割って、
x² = 9/4
2乗して9/4になる数は、3/2と−3/2です。ここで少しだけ立ち止まります。xは「スタートから何秒後か」を表す時間なので、負の数にはなりません。授業でも「マイナス2分の3秒ってないもんね」と確認しました。
x = 3/2
答えは x = 3/2(秒)です。(1)で作った y = x² に、△ABCの面積9を持ち込んで方程式にする。(1)と(2)がつながっていることに気づけば、(2)は代入と計算だけで終わります。
検算と答えの吟味
答えが出たら、条件に戻して確かめます。x = 3/2 のとき、重なった部分の面積は、
y = (3/2)² = 9/4
その4倍は、
4y = 4 × 9/4 = 9
△ABCの面積は9でした。ぴったり一致します。
もう1つ、x = 3/2 が「ありえる時刻」なのかも確かめておきます。問題文には「点Cが点Qから点Rまで動くとき」とありました。△PQRは△ABCと合同なので、辺QRの長さは辺BCと同じ6cm。毎秒2cmで6cm進むには、
6 ÷ 2 = 3(秒)
つまり、この問題で考えている時間は0秒から3秒までです。x = 3/2 = 1.5秒はその範囲に入っています。負の解を捨てたことも、正の解が範囲内であることも、両方確認できました。
最後に、図でも見ておきます。x = 3/2 のとき、点Cは点Qから3cm進んだ位置、つまり辺QRのちょうど真ん中にいます。重なった三角形は底辺3cm、高さ1.5cm。△PQRの左半分に収まる小さな三角形で、面積は9/4 = 2.25cm²。△ABCの9cm²の4分の1です。図と計算が矛盾しないことを見て、答えを書きます。
今回は、点Cが点Qから点Rまで動く間、重なった部分の形がずっと直角二等辺三角形のままなので、場合分けは要りませんでした。一方で、動く点がどの辺にいるかで図形の形が変わり、式を分けて作る問題もあります。正方形の辺の上を2点P・Qが動いて三角形をつくる問題で、4つに場合分けする考え方をこちらの記事で説明しています。

よくあるつまずき
つまずき①: 問題文が長くて、読み終わる前に力尽きる
授業でも「問題読むだけで疲れちゃったね」という話が出ました。それが普通です。対策は、読みながら図に書き込んでいくこと。直線ℓ、2つの三角形、毎秒2cm、スタートの位置。文章を頭の中に置いておくのではなく、図の上に置いていけば、読み終わったときには解く準備が終わっています。
つまずき②: 底辺を x cm にしてしまう
xは秒です。毎秒2cmで動くので、x秒後に進んだ距離は2x cm。底辺は x ではなく 2x。ここを間違えると、答えが y = x²/2 のようにずれます。「速さ×時間」を毎回書いてから式を立ててください。
つまずき③: 高さを 3 cm にしてしまう
△ABCの高さは3cmですが、重なった小さな三角形の高さは3cmではありません。重なった三角形はもっと小さくて、高さはxです。求めたいのは重なった部分の面積なので、使う高さも重なった部分の高さ。大きい三角形の数字を、小さい三角形にそのまま使わないように気をつけましょう。
つまずき④: (2)で y = 9/4 を答えにしてしまう
9 = 4y から y = 9/4 まで出して、それを答えに書いてしまう形です。聞かれているのは「xの値」なので、y = x² に戻してxを求めるところまでが答えです。問題文の最後の1行を、答えを書く前にもう1度読んでください。
つまずき⑤: x = ±3/2 と2つ書いてしまう
x² = 9/4 を解くと、計算上は ±3/2 が出ます。ただし、xは時間です。負の時間は存在しないので、正のほうだけを答えにします。「2乗を外したら、その文字が何を表しているかを見る」。動く点の問題では、この確認を忘れないでください。
FAQ
Q. 重なった部分が直角二等辺三角形になるのは、どうしてですか?
A. 底辺の両端の角が、それぞれ元の直角二等辺三角形の45度の角だからです。45度と45度が決まれば、残りの角は180 − 45 − 45 = 90度。2つの角が等しく、1つが直角なので、直角二等辺三角形になります。合同な直角二等辺三角形どうしを同じ直線の上で重ねると、この形になります。
Q. 高さがxになるのが、まだしっくりきません
A. 直角二等辺三角形を、頂点から底辺に垂線を下ろして半分にすると、小さな直角二等辺三角形が2つできます。小さな直角二等辺三角形は、底辺と高さの長さが同じです。底辺の半分がxなので、高さもxになります。実際に紙に描いて、真ん中で折ってみると納得しやすいです。
Q. △ABCの高さ3cmは、どこから出てきたのですか?
A. 図に書いてある辺BC = 6cmからです。△ABCは直角二等辺三角形なので、頂点Aから垂線を下ろすと底辺が3cmずつに分かれ、高さも3cmになります。問題文に書かれていない数字は、図から拾ってくる。この問題は、それができるかどうかも試しています。
Q. xの変域は、答えなくてよいと書いてありますが、考えなくていいのですか?
A. (1)では答えなくてよいと指示されているので、書く必要はありません。ただし、(2)で出た答えが正しい範囲にあるかを見るときには使います。点Cが点Qから点Rまで6cm動くのに3秒かかるので、xは0から3の範囲です。x = 3/2 はこの中に入っています。答えの吟味の材料として、頭の片隅に置いておくと安心です。
まとめ
この問題のポイント
- 長い問題文は、読みながら図に書き込む。「点Cが点Qに来たとき」がスタート
- 重なった部分は、45度と45度から直角二等辺三角形と分かる
- 底辺は点Cが進んだ距離。毎秒2cm × x秒で 2x cm
- 高さは直角二等辺三角形を半分にして x cm
- y = 2x × x × 1/2 より y = x²
- △ABCの面積は、図のBC = 6cmから 6 × 3 × 1/2 = 9 cm²
- (2)は 9 = 4y → 9 = 4x² → x² = 9/4
- 時間なので負の解は捨てて x = 3/2(秒)
- 検算は 4 × (3/2)² = 9。範囲0〜3秒の中に入っていることも確認
動く図形の問題は、動きそのものを追いかけようとすると迷子になります。「ある瞬間の図を1枚描いて、その図の中で底辺と高さを決める」。今回の問題でやったのは、それだけです。x秒後の図が描けるようになると、二次関数と図形が組み合わさった問題は、見た目ほど怖くなくなります。
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