二次方程式の文章題で、時間を取られやすいのが「式を作るところ」です。解き方は覚えたのに、図を見た瞬間に何を書き始めればいいか分からなくなる。今回の道幅の問題は、その止まり方がはっきり出るタイプです。

縦と横の長さは分かっているし、道幅を何mにすればいいかを求めるんだな、というところまでは読めました。でも(1)も(2)も、時間がなくてできていません。

読めているところまでは合ってるよ。要は、花壇の面積が80になるような道幅にしたいんだよね。ただ、4か所に分かれた花壇のまま計算するのはめんどくさそうじゃない?先に1か所にまとめてから、式を作りにいこう。
この記事では、4つに分かれた花壇を1つの長方形にまとめるところから、縦と横をxで表して方程式を立て、展開して整理し、因数分解してxを出すまでを順番に説明します。最後に、出てきた2つの解のうちどちらを答えるかと、別のやり方での確かめもやっておきます。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
問題文と、図に描かれている形
今回あつかうのは、中3の二次方程式で定番になっている道幅の問題です。
> 縦10m、横12mの長方形の土地があります。この土地に、同じ幅の道を十字に2本つくり、残った4つの長方形の部分を花壇にします。花壇の面積の合計が80m²になるようにするには、道の幅を何mにすればよいですか。
> (1) 道の幅をxmとして、方程式をつくりなさい。
> (2) その方程式を解いて、道の幅を求めなさい。
問題についている図を、言葉で描いてみます。縦10m・横12mの長方形の土地があります。その中に、縦向きの道が1本と横向きの道が1本、十字に交わるように通っています。2本の道は同じ幅です。道で区切られて残った部分が、左上・右上・左下・右下の4つの長方形になります。この4つが花壇で、動画の図ではこの部分が黒くぬられています。
聞かれているのは、その4つの花壇の面積を合わせて80m²にするための道幅です。授業でも、まずここを言葉にするところから始めました。「花壇の面積が80になるような道幅にしたいんでしょ」という確認です。求めたいのは道幅、条件として与えられているのは花壇の面積。この2つの役割がはっきりすると、(1)で何を文字にするかが決まります。
4つに分かれた花壇を、1つの長方形にまとめる
この問題のいちばん大事なところは、計算に入る前にあります。
花壇は4か所にバラバラにあります。このまま面積を足そうとすると、長方形4つぶんの縦と横をそれぞれxで表して、4回かけ算をして足すことになります。授業でも先生が「4箇所に花壇あったら、計算するのめんどくさそうじゃない?」「1箇所にまとめたくね?」と聞いていました。実際、めんどくさいです。
そこで使うのが、道そのものを動かしてしまうという手です。縦の道を右端まで、横の道を下まで、それぞれずらします。このとき道の幅も長さも変えていないので、道の面積は動かす前と後で同じです。土地全体の面積も120m²のまま変わりません。土地から道を引いた残りが花壇なので、花壇の面積の合計も変わらない、ということになります。
動かしたあとの形を見ると、バラバラだった花壇が、左上に1つの大きな長方形としてまとまっています。4つぶんの面積を足す作業が、長方形1つの面積を出す作業に変わりました。
授業では「道の平行移動っていうのがもうマストです。よく出る問題なんだ」と話しています。知っているかどうかで手数がまったく変わる一手なので、この形の図を見たら反射で道を端に寄せてください。寄せる向きは逆でもかまいません。縦の道を左端、横の道を上に寄せても、残る長方形は縦(10 − x)m・横(12 − x)mで同じです。
(1) 縦と横をxで表すと、式は1行で書ける
道を端に寄せて、花壇が1つの長方形になりました。あとは、その長方形の縦と横の長さをxを使って表すだけです。
まず横から見ます。土地の横はもともと12mです。そのうち、右端に寄せた縦の道が幅xmぶんを使っています。残りが花壇の横なので、
横 = (12 − x) m
次に縦です。土地の縦は10m。下に寄せた横の道が幅xmぶんを使っています。だから、
縦 = (10 − x) m
授業でも、ここは先生が「ここがxってことは、ここの長さは12 − xにならない?」「縦も、ここ全部が10だから、ここxだから、10 − xにならない?」と1つずつ確認しながら進めていました。図の上で、もとの長さから道の幅を引く。やっていることはそれだけです。
長方形の面積は「縦 × 横」で求まります。縦が (10 − x)、横が (12 − x)、そしてこの2つをかけた答えが80になればOK。式に直すと、
(10 − x)(12 − x) = 80
(1)で聞かれていた方程式は、これで完成です。
式の形をながめてみてください。左辺は花壇の面積をxで書いたもの、右辺は問題文が与えている80という数。文章題の式は、同じ1つの量を2通りの書き方で表して、イコールでつないだものです。今回なら「花壇の面積」という同じ量を、xの式と80という数の2通りで書いています。何をイコールでつなぐかが決まった時点で、式づくりは終わっています。
動画でも、この (10 − x)(12 − x) = 80 の形を「これが1番の答えです」としていました。カッコを外して整理する展開は、(2)でやる作業です。
(2) 展開して「= 0」の形に整える
ここから計算です。まず左辺のカッコを外します。
授業でも、(2)に入って先生が「まず何したらいいと思う?」と聞いたあと、「これ、普通にまず分配法則で計算してあげようよ」と一言かけて、生徒が「あ、そうだ、分配法則だ」と気づいています。先生も「それが出てこなかったのね」と返していました。カッコが2つ並んだ形を見たら分配法則、という結びつきが出てくるかどうかです。
(10 − x)(12 − x) の展開は、前のカッコの中の2つと、後ろのカッコの中の2つを、すべての組み合わせでかけ算します。つまり4つの積の和になります。
10 × 12 = 120
10 × (−x) = −10x
(−x) × 12 = −12x
(−x) × (−x) = x²
全部足すと、
120 − 10x − 12x + x² = 80
xがついている項どうしをそろえます。
x² − 22x + 120 = 80
最後に、右辺の80を左辺に移項して「= 0」の形にします。
x² − 22x + 120 − 80 = 0
x² − 22x + 40 = 0
120 − 80 は +40 です。ここをうっかり −40 と書かないでください。動画の中でも、先生が一度「x² − 22x − 40かな?」と口にして、「あ、これプラスね。120 − 80だからプラスね。ごめんごめん、プラスにするの忘れちゃった」と直しています。移項したのは右辺の80だけで、もとからあった120の符号はそのままです。整理し終わったら、定数項の符号だけ指さしで確認してから次に進みましょう。
因数分解でxを求める。かけて40、たして−22
x² − 22x + 40 = 0 を因数分解します。
さがすのは「かけて +40、たして −22」になる2つの数です。足してマイナス、かけてプラスなので、2つともマイナスの数だと先に決まります。積が40になる組み合わせを並べてみます。
- −1 と −40 → 足すと −41
- −2 と −20 → 足すと −22
- −4 と −10 → 足すと −14
- −5 と −8 → 足すと −13
足して −22 になるのは −2 と −20 です。よって、
(x − 2)(x − 20) = 0
かけて0になるということは、どちらかのカッコが0だということです。
x − 2 = 0 より x = 2
x − 20 = 0 より x = 20
x = 2, x = 20
今回は「かけて◯◯、たして△△」になる整数が見つかったので因数分解で進みました。見つからないときは解の公式に切りかえます。二次方程式の解き方を3つに整理した記事もあるので、どれで解くか迷うときはこちらを見てください。

計算としては、ここで終わりです。ところが、この2つをそのまま答えにすることはできません。聞かれているのは「xの値」ではなく「道の幅」だからです。次の節で、どちらを答えるかを決めます。
x = 20 も式は成り立つ。それでも答えにならない理由
授業では、先生が「この時、トラップがあります」と言って、生徒に「道幅、どっちが正解だと思う?2と20?」と聞いています。生徒は最初「20」と答えました。先生が「20?ほんとに?見て?横12m、縦10mの」と土地の大きさを指すと、生徒は「あー、2だ」と気づきます。
答えは道幅2mです。x = 20 は「道幅20m」という意味になりますが、土地は縦10m・横12mしかありません。先生も「道幅20ってこんなになるからね。この土地越えちゃう」と話しています。土地からはみ出す道は作れないので、20はありえません。
ここで、動画では扱っていない確かめ方を1つ足しておきます。x = 20 を、もとの式 (10 − x)(12 − x) に入れてみてください。
(10 − 20)(12 − 20) = (−10) × (−8) = 80
きちんと80になります。つまり x = 20 は、方程式としては正しく成り立っている解です。それでも答えにならないのは、縦の長さが 10 − 20 = −10 となって、長さがマイナスになってしまうからです。土地の上に存在できない長方形の面積を80と言っているだけ、という状態です。
二次方程式は、式として成り立つ解をすべて出してくれます。その解が問題の場面に合うかどうかを見るのは、解いた自分の仕事になります。先生も「二次方程式の答えって2つとか出ることが多いです。その場合、どっちも答えの場合ももちろんあるんだ。なんだけれど、どっちかの場合のことも結構あるから、今回って結局何聞かれてんだっけ?それって成立するんだっけ?って言ったら、一回確かめるっていうのを、テスト中慌ててても一回確認入れてください」と話していました。
答えが2つ出たときの見分け方を、この問題でさらに詳しく書いた記事もあります。

別のやり方で確かめる。土地全体から道の面積を引く
ここも動画では扱っていませんが、出した答えが合っているかどうかを、平行移動とは別の道すじで確かめられます。花壇の面積を「土地全体から道の面積を引いた残り」として計算する方法です。
土地全体の面積は、
10 × 12 = 120 (m²)
次に、十字の道の面積を出します。縦の道は縦10m・横xmなので 10x。横の道は縦xm・横12mなので 12x。この2つをそのまま足すと、真ん中で交わっている部分を2回数えてしまいます。交わっているのは1辺xmの正方形なので、その x² を1回ぶん引きます。
道の面積 = 10x + 12x − x²
x = 2 を入れてみます。
10 × 2 = 20
12 × 2 = 24
x² = 4
20 + 24 − 4 = 40 (m²)
土地全体からこれを引くと、
120 − 40 = 80 (m²)
花壇の面積が80m²になりました。同じ答えに2つの道すじでたどり着けたら、その答えはかなり信用できます。テストで時間が余ったときの確かめ方としても使えます。
なお、この引き算の考え方で最初から式を立てると 120 − (10x + 12x − x²) = 80 となり、整理すればやはり x² − 22x + 40 = 0 にたどり着きます。ただし、道が重なっている部分を引き忘れるミスが起きやすい形です。式を作るときは平行移動、答えを確かめるときは引き算、と使い分けるのがおすすめです。
点を落としやすい3か所
この問題で点を落とす場所は、だいたい次の3つに集まります。どれも計算力の問題ではなく、手順の問題です。
- 道を動かさずに、4つの花壇をそのまま計算しようとする。できなくはないのですが、長方形4つぶんの縦と横をxで表して足すことになるので、式がとても長くなります。長くなるほど符号のミスが増えます。図を見たら、まず道を端に寄せる。この一手を先に入れてください
- 展開したあとの符号を落とす。(−x) × (−x) = x² のマイナス同士のかけ算と、移項したあとの 120 − 80 = +40 の2か所が危ない場所です。動画の中では、先生も一度 −40 と口にして直しています。慣れている人でも起きるミスなので、整理し終わった式の定数項だけは、もう一度見る習慣をつけておくと安全です
- x = 2 と x = 20 を両方書いてしまう。計算が全部合っているのにここで失点するのが、いちばんもったいない形です。求めているものが長さや幅のときは、その値が図の上で取れるかどうかが先に決まっています。出した数をいったん図に戻して、置けないほうを消してから答案に書きましょう
よくある質問
Q. 縦も横も、xを2回引かなくていいのですか?
A. 引くのは1回ずつで合っています。道は縦向きが1本と横向きが1本です。花壇の横の長さを削っているのは、縦向きの道の幅xmだけ。横向きの道は横方向に土地いっぱい伸びているので、横の長さは削りません。だから横は 12 − x になります。縦も同じで、削っているのは横向きの道の幅xmだけなので 10 − x です。図の上で、どの道がどちらの向きを削っているかを指でなぞってみると、引く回数で迷わなくなります。
Q. (1)の答えは、展開した x² − 22x + 40 = 0 の形で書いてもいいですか?
A. x² − 22x + 40 = 0 は (10 − x)(12 − x) = 80 を整理した式なので、同じ方程式を別の形で書いたものです。ただ、この問題は(1)で立てた式を(2)で解く流れなので、動画でも(1)の答えは (10 − x)(12 − x) = 80 の形でした。学校のテストなどで書き方の指示がある場合は、その指示に従ってください。
Q. x = 20 はまちがいなのですか?答案にはどう書けばいいですか?
A. 計算としてはまちがいではありません。x² − 22x + 40 = 0 の解としては正しい数です。答案では x = 2, 20 までを途中式に書いて、そのあとに「道幅20mでは土地の縦10m・横12mを越えてしまうので不適」と一言そえてから、答えを2mと書きます。動画でも先生が「20はありえないよ、答えは2mですよ、っていう風に書いてあげましょう」と話しています。
この問題のポイント
- 花壇が4か所に分かれていたら、まず道を端に寄せて1つの長方形にまとめる
- 道の形と大きさは変えていないので、道の面積も花壇の面積の合計も変わらない
- まとめた花壇は縦(10 − x)m・横(12 − x)m。面積の式は (10 − x)(12 − x) = 80
- 展開は4つの積の和。120 − 10x − 12x + x² = 80
- 移項して整理すると x² − 22x + 40 = 0。120 − 80 なので定数項はプラスの40
- かけて40・たして−22 から (x − 2)(x − 20) = 0、x = 2, 20
- x = 20 を入れると式は成り立つが、縦が 10 − 20 = −10 でマイナスになるので却下
- 答えは道の幅2m。確かめは (10 − 2)(12 − 2) = 8 × 10 = 80
文章題で手が止まるとき、計算そのものよりも、「図をどう置きかえれば式になるか」で迷っていることが多いです。今日の道の平行移動は、先生が「よく出る問題なんだ」と話していたとおり、同じ形の問題で何度も出てきます。似た図を見かけたら、まず道を端に寄せるところから手を動かしてみてください。
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