
動く点の問題が苦手です。場合分けが必要なのは分かるんですけど、どこで区切ればいいのか分からなくて、式を立てる前に止まっちゃいます。

その悩み、中2の一次関数でいちばんよく聞く相談です。区切る場所は「点が角を曲がる瞬間」です。今日はそれを一緒に確かめていきましょう。
> 座標平面上に正方形OABC(O=原点(0,0)、A=(0,30)、B=(30,30)、C=(30,0)、1辺30cm)がある。点Pは原点Oを出発し、辺OA→AB→BC の順に毎秒9cmの速さで動き、10秒後に点Cに到着する。点QはPと同時に原点Oを出発し、辺OC上を毎秒3cmの速さで動き、10秒後に点Cに到着する。点PとQを結ぶ。
>
> (1) 点Pの座標が(30,20)のとき、2点P,Qを通る直線の式を求めよ。
>
> (2) 点Pが出発してからt秒後、原点OとPを結んでできる△OPQを考える。△OPQの面積が243/2 cm²になるのは、点Pが出発してから何秒後と何秒後か。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
核の考え方:動点の問題は「点がどの辺の上にいるか」で式が変わる
動点の問題を見ると、点が動くせいで頭の中の図も一緒に揺れてしまいますよね。そこで最初に押さえてほしいのが、次のひとことです。
点Pがどの辺の上にいるかが決まれば、図は止まった1枚の絵として考えられます。
今回の点Pは、辺OA、辺AB、辺BCの3本を順番に走ります。走っている辺が変わると、Pの座標の表し方も変わります。だから三角形の面積の式も変わる。これが「場合分けが必要になる理由」です。
では、この問題で変わらないものは何でしょう。ここが「等しい量を探す」視点です。
- 点Qはずっと辺OC(x軸)の上にいます。t秒後の位置は Q(3t, 0) で、式は途中で変わりません。
- △OPQは、OとQがどちらもx軸の上にあります。なので底辺はいつもOQ = 3t と見られます。
- 高さは「点Pのy座標」です。変わるのはこの高さだけです。
つまり、場合分けで考え直すのは「Pのy座標をtでどう表すか」の1か所だけなんです。こう整理すると、3つの場合をバラバラに覚える必要はなくなります。
もうひとつ大事なのが、PとQは同時に出発しているので時間tが共通だということです。Pの位置から時間が分かれば、同じ時間でQの位置も決まります。(1)はまさにこの考え方で解きます。
3ステップで解く:直線の式と面積の場合分け
どちらの小問も、同じ3ステップで進めます。
ステップ1 点Pがどの辺の上にいるかを決める
(1)の場合 P(30,20)はx座標が30です。x=30になっている辺は、B(30,30)とC(30,0)を結ぶ辺BCです。辺ABはy=30の辺なので、ここは見間違えやすいところです。
Pが進んだ距離は、OA(30cm)とAB(30cm)を走り切り、BからCへ10cm下りたところなので、
30 + 30 + 10 = 70(cm)
(2)の場合 Pが角を曲がるのは、Aに着いたとき(30cm進んだとき)とBに着いたとき(60cm進んだとき)です。ここで区切ると、3つの場合に分かれます。
| 場合 | Pがいる辺 | Pが進んだ距離 | 高さ(Pのy座標) |
|---|---|---|---|
| ① | 辺OA | 0cm〜30cm | 9t |
| ② | 辺AB | 30cm〜60cm | 30 |
| ③ | 辺BC | 60cm〜90cm | 90 − 9t |
③の高さは、Bから下りた距離が 9t − 60 なので、30 − (9t − 60) = 90 − 9t と表せます。
ステップ2 時間tを使ってQの位置を表す
(1)の場合 70cm進むのにかかる時間は
t = 70 ÷ 9 = 70/9(秒)
Qは同じ時間だけ毎秒3cmで進むので
3 × 70/9 = 70/3(cm)
よって Q(70/3, 0) です。
(2)の場合 Qはいつでも Q(3t, 0)、底辺は OQ = 3t です。
ステップ3 式を立てて解く
(1)の場合 P(30,20)とQ(70/3, 0)を通る直線の傾きは
(20 − 0) ÷ (30 − 70/3) = 20 ÷ 20/3 = 3
y = 3x + b にP(30,20)を代入して
20 = 90 + b
b = −70
答え:y = 3x − 70
(2)の場合 面積 = 1/2 × 底辺 × 高さ = 243/2 として、場合ごとに解きます。
①(Pが辺OA上)
1/2 × 3t × 9t = 243/2
27t² = 243
t² = 9
t = 3(t>0より)
②(Pが辺AB上)
1/2 × 3t × 30 = 243/2
45t = 243/2
解いたtは3秒より前の時間になり、そのときPはまだ辺OAの上にいます。②の範囲に入らないので、②からは答えが出ません。
③(Pが辺BC上)
1/2 × 3t × (90 − 9t) = 243/2
270t − 27t² = 243
t² − 10t + 9 = 0
(t − 1)(t − 9) = 0
t = 1, 9
検算・答えの吟味:出てきた解が範囲に入っているか確かめる
場合分けの問題では、式を解いたあとに「その解は、その場合の範囲に入っているか」を確かめる作業が欠かせません。ここを飛ばすと、せっかくの計算が失点につながります。
①で出たt = 3 3秒でPは 9 × 3 = 27cm 進みます。30cmより手前なので、確かに辺OAの上です。このとき P(0,27)、Q(9,0) なので
1/2 × 9 × 27 = 243/2
面積もぴったり合います。
③で出たt = 1 1秒でPは9cmしか進んでいません。まだ辺OAの上なので、辺BCの式から出た答えとしては不適です。
③で出たt = 9 9秒でPは81cm進みます。60cmを超えて90cmより手前なので、辺BCの上です。このとき P(30,9)、Q(27,0) なので
1/2 × 27 × 9 = 243/2
こちらも合っています。
(1)の検算 y = 3x − 70 にx = 30を入れると y = 20、x = 70/3を入れると y = 0 です。PとQの両方を通っているので正しい式です。
答え:(1) y = 3x − 70 (2) 3秒後と9秒後
吟味のコツは、時間を「進んだ距離」に直して、どの辺にいるかを見直すことです。分数の時間の大小を比べるより、「何cm進んだか」で見るほうがずっとイメージしやすくなります。
よくあるつまずき:場合分けをどこで区切るか迷う
冒頭の相談のように、「場合分けの区切りが分からない」という声は本当によく届きます。つまずき方はだいたい次の3つです。
つまずき1:時間の数字から区切ろうとする
いきなり「何秒から何秒まで」と考えると、分数が出てきて混乱します。先に距離で区切るのがおすすめです。今回なら30cm、60cm、90cmが区切りで、時間はそれを9で割るだけです。
つまずき2:辺の名前と座標を取り違える
(1)で「P(30,20)は辺AB上」と思い込むと、進んだ距離も時間もずれてしまいます。辺ABはy=30、辺BCはx=30です。座標を見たら、まず図に点を打ってどの辺か確かめましょう
つまずき3:出てきた解を全部答えにしてしまう
③の式からは t = 1 と t = 9 の2つが出てきます。範囲と照らし合わせずに書くと、t = 1 のような不適な解まで答えてしまいます
区切りは「点が角を曲がる瞬間」です。図の頂点に着く瞬間ごとに、図を描き直すつもりで考えましょう。場合ごとに小さく図を3つ描くだけでも、手が止まる時間はぐっと減ります。
よくある質問(FAQ)
Q. 場合分けの境目(ちょうどAやBにいるとき)は、どちらの場合に入れればいいですか?
A. 境目では、隣り合う2つの式が同じ値になります。どちらに入れても計算結果は変わらないので、教科書や学校の書き方に合わせれば大丈夫です。大切なのは、すき間なく全部の時間をカバーすることです。
Q. 高さは毎回Pのy座標でいいんですか?
A. 今回の問題はOとQがどちらもx軸の上にあるので、底辺をOQにすると高さはPのy座標になります。別の問題で底辺の取り方が変わるときは、「どこを底辺にすると式が簡単になるか」から考え直してみてください。
Q. 二次方程式みたいな式が出てきて不安です。
A. ①や③では t² が出てきますが、今回は平方根や因数分解で解ける形になっています。式を立てる考え方は一次関数と同じで、「tで座標を表して面積に代入する」だけです。
まとめ
動点の問題は、点が動いていても「今どの辺にいるか」を決めれば止まった図として解けます。今回のポイントを3つにまとめます。
- 場合分けの区切りは、点Pが角(頂点)を曲がる瞬間。距離で30cm、60cmのところで区切る
- 底辺OQ = 3tは変わらない。場合ごとに変わるのは高さ(Pのy座標)だけ
- 式を解いたら、進んだ距離に直して「その辺にいるか」を吟味する。今回の答えは3秒後と9秒後
動く点の問題は、一度考え方をつかむと別の図形でも使えるようになります。つまずいたところがあれば、気軽に相談してくださいね。
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