二次関数のグラフの上に三角形ができて、その面積を求めたり、面積を二等分する直線の式を求めたりする問題は、中3数学の二次関数でよく出てくる形です。変域、座標、一次関数の式、三角形の面積と、使う道具が多いので、どこから手をつければいいのかで止まりやすいところです。
この記事であつかうのは、授業で一緒に解いた1問です。問題を読み上げたあと、先生が最初にかけた言葉と、生徒の返事がこちらです。

もう(1)番から詰まっちゃった感じかな

はい
この記事では、(1)のyの変域から始めて、(2)の三角形の面積、番外編の等積変形、(3)の面積を二等分する直線の式まで、授業と同じ順番で進めます。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題と、授業で止まっていたところ
今回いっしょに考えるのは、この問題です。以前公開していた授業動画では、富山県の過去問として紹介していた1問です。
右の図のように、関数 y=2分の1x² のグラフ上に2点A、Bがあり、x座標はそれぞれ −4、2 である。
- (1) xの変域が −1≦x≦2 のときの、yの変域を求めなさい。
- (2) △OABの面積を求めなさい。
- (3) 点Oを通り、△OABの面積を2等分する直線の式を求めなさい。
図は、原点Oを通る放物線の上に、左側の点Aと右側の点Bがあり、O、A、Bを結んだ三角形OABがかかれている形です。
授業で手が止まった場所は、大きく3つありました。
- (1)の最初。先生の「変域って知ってる?」に、生徒は「わかんないです」
- (2)の最初の一手。先生の「まず何したら良さそうかな?」に、生徒は「えーっと」「そうだな」と考えこみ、先生の「ちょっとギブアップ寄りかな?」に「はい」
- 直線の傾きの場面。先生の「こないだ教えたの覚えてる?」に、生徒は「なんだっけ?」
どれも、知識がまったく無いというより、最初の一歩の方向が決まらずに止まっている場面です。この問題は、(2)で出した直線ABの式を(3)でもう一度使います。(1)(2)(3)は、前の問いで出したものを次の問いで使う流れになっている。だから記事も、授業と同じ順番で1つずつ進めます。
(1) yの変域は「原点」と「原点から遠いほう」で決まる
まず(1)です。先生が「変域って知ってる?」と聞くと、生徒は「わかんないです」。そこで先生はグラフを見せて、どういうイメージがあるかを聞きました。生徒の答えは「なんか 変化する領域みたいな」。先生は「おー もう正解よ それ 変化する領域よ」と返しています。
変域は、xやyが動ける範囲のことです。先生はグラフの上で、xが−1のところと2のところを指して、「ここの幅しかx動けないよっていうのが」「今回xの変域ってこと」と説明しました。
次に、xが−1から2まで動くとき、yがどこからどこまで動くかを、グラフで見ます。先生の言葉では「一番高いのここじゃね?」「一番低いの原点じゃね?」。
- 一番高いところ:x=2 のとき
- 一番低いところ:原点(x=0 のとき)
x=2 を代入すると、こうなります。
y=2分の1×2²=2
原点のy座標は0です。だから答えはこうなります。
答え:0≦y≦2
ここが(1)のトラップです。先生は「−1の座標を求めちゃう人が多いんですよ」と言っています。xの変域が −1≦x≦2 のように、マイナスからプラスまで、y軸をはさんでいるときは、グラフが途中で原点を通ります。xの変域が0をまたぐときは、yの最小は原点の0。先生の言い方では「原点が一番最小になるっていうのが」「ちょっとトラップなんだ」。
そして y=2分の1x² のグラフは、原点から遠くなるほど上がっていきます。−1と2では、2のほうが原点から遠いので、最大になるのは x=2 のほうです。ここは授業では扱っていない補足ですが、x=−1 を代入すると y=2分の1 なので、x=2 のときの2より小さくなります。
最後に先生が「変域って言われると気持ち悪いとか苦手って思う子多いんだけれど」「なんか難しかった?」と聞くと、生徒は「いや 思ったより全然ですね」。先生は「そう 絵描いたらめっちゃわかりやすいでしょ?」と返しています。
(2) 座標と直線ABの式を出して、y軸で2つの三角形に分ける
(2)は△OABの面積です。先生の「ちょっとギブアップ寄りかな?」に生徒が「はい」と答えたところで、先生が示した一手が「ここで1回切ってみようか」です。y軸で切って、左右2つの三角形に分ける。y軸と辺ABが交わる点をCとします。
ステップ1:点Aと点Bの座標を出す
x=2 のとき y=2 なので B(2, 2)。x=−4 を代入すると、こうなります。
y=2分の1×(−4)²=2分の1×16=8
だから A(−4, 8) です。
ステップ2:直線ABの式を出す
先生は「連立方程式ちょっとめんどくさいなと思ったら」と言って、傾きから出す道を選びました。「傾きって変化の割合と一緒って教えなかったっけ?」。変化の割合は、生徒の答えのとおり、xの増加量で割ります。
傾き=yの増加量÷xの増加量
xは−4から2で増加量は6、yは8から2で増加量は−6です。
傾き=−6÷6=−1
y=−x+b に B(2, 2) を代入します。
2=−2+b
b=4
直線ABは y=−x+4、点Cは C(0, 4) で、OCの長さは4です。
ステップ3:2つの三角形を足す
OCを底辺にすると、高さは点AとBのx座標の長さになります。左は「ここって−4だからこの長さ4にならん?」で高さ4、右は高さ2です。
左の三角形:4×4×2分の1=8
右の三角形:4×2×2分の1=4
答え:8+4=12
生徒は最初は止まっていましたが、終わりには「似たような問題だったんで」「理解は早い」と話していました。
番外編:等積変形で三角形1つにまとめる
(2)には、先生が「番外編」として見せた別の解き方があります。前置きは「これね言うとちょっとパンクしちゃうかもしれないんだけれど」「なんかそういうのがあるんだぐらいで覚えておいて」。使うのは等積変形です。生徒は「聞いたことある」と答えています。
等積変形は、底辺が同じで、頂点が底辺と平行な直線の上にあれば、頂点をどこに動かしても三角形の面積は変わらない、という考え方です。高さが変わらないからです。先生は「面積が等しくて変形できるよっていうのを等積変形って言うんですよね」とまとめています。平行線の上なら、頂点を動かしても面積は変わらない。
この問題では、底辺をOC(y軸の上の長さ4)にとります。
- 点B(2, 2)を、OCと平行な線(y軸と平行な線)にそって下ろし、x軸の上の B'(2, 0) へ動かす
- 点A(−4, 8)も同じように、x軸の上の A'(−4, 0) へ動かす
どちらも平行線の上を動かしただけなので、左右の三角形の面積はそれぞれ変わりません。そして動かしたあとの2つの三角形は、ぴったり合わさって1つの三角形になります。底辺はA’B’、高さはOCの4です。
A’B’=2−(−4)=6
面積=6×4×2分の1=12
(2)の答えの12と一致しました。先生は「さっき二つの三角形足したでしょ」と、2つの三角形に分けた解き方と比べています。2つに分ける解き方でも答えは出ますが、「そうするとちょっと手間じゃん」。等積変形のイメージがあると「一発で求めることができるから」「上級者はこっち使うかなっていう感じ」とのことでした。
最後は「少しずつ慣れていきましょうか」で締めています。まずは2つに分ける解き方を自分の手で再現できるようにして、そのあとで等積変形にもふれてみる、という順番で十分です。
(3) 原点を通って面積を二等分する直線の式
いよいよ(3)です。点Oを通り、△OABの面積を2等分する直線の式を求めます。先生は「これ難しそうだね」と言いながら、「どうやって解いてあげればいいかな」と聞きました。生徒の答えは「点を1対1にすれば」。先生は「おっ その通り」と返しています。
ステップ1:どこを1対1にするかを決める
先生は「じゃあどこの辺を1対1にしようかっていうのがミソで」と続けました。直線は点Oを通るので、Oの向かい側にある辺ABを1対1に分ければいいのです。原点を通って面積を二等分する直線は、辺ABの中点を通る。辺ABの中点をMとします。
なぜ中点でいいのか。先生は「底辺比が3対2とかだったら」「そのまま面積比になるっていうのも説明してるもんね」「それはもう高さ一緒だから」と補足しています。△OAMと△OMBは、どちらもOを頂点にして、底辺AMとMBが同じ直線AB上にあります。高さが同じなので、底辺の比がそのまま面積の比になります。AM=MB なら、面積も1対1です。
ステップ2:中点Mのx座標を出す
先生は「じゃあこの1対1の座標求めるのちょっとめんどくさそうじゃない?」と言って、平行線を使いました。A、M、Bから、y軸と平行な線をx軸まで引きます。先生の言葉では「これ平行線との辺の比ってここが1対1だったらここも1対1にならない?」「そういう相似やったの知ってる?」。
辺ABの上で1対1なら、x座標も1対1に分かれます。AとBのx座標の間の長さはこうです。
2−(−4)=6
その半分が3なので、−4から3進んだところがMのx座標です。
−4+3=−1
生徒も「−1」と答えています。
ステップ3:中点Mのy座標を出す
Mは直線AB上の点です。(2)で出した直線ABの式 y=−x+4 に、x=−1 を代入します。
y=−(−1)+4=1+4=5
だから M(−1, 5) です。
ステップ4:原点とMを通る直線の式を出す
原点O(0, 0)とM(−1, 5)を通る直線を求めます。Mから原点へ、xは1増えて、yは5から0へ−5進みます。先生の言葉では「xの増加量分のyの増加量が−5だから1分の−5ってならん?」。
傾き=−5÷1=−5
直線は原点を通るので、切片は0です。
答え:y=−5x
先生は「難しかったね」と声をかけ、「どう?解き直したら解けそう?」と聞きました。生徒の返事は「頑張ってみます」でした。
原点を通って面積を二等分する直線は、向かい側の辺の中点を通る。この考え方は、一次関数の問題でも使えます。中2の一次関数で、平行四辺形の面積を二等分する、原点を通る直線の式を求める問題を解説した記事があります。図形が変わっても、どこを通れば面積が半分になるかから考える流れは同じです。

答えの検算:交点と中点、面積で確かめる
ここからは授業では扱っていない補足ですが、答えが出たら、つじつまが合っているかを確かめておきましょう。答えの直線と辺ABの交点が、辺ABの中点になっているかを見ます。
確かめ1:y=−5x と直線ABの交点を出す
直線AB y=−x+4 と、答えの直線 y=−5x を連立します。
−5x=−x+4
−4x=4
x=−1
y=−5×(−1)=5 なので、交点は (−1, 5) です。(3)で出したMと一致しました。
確かめ2:(−1, 5) が辺ABの中点か
A(−4, 8)とB(2, 2)の、x座標どうし、y座標どうしの平均をとります。
x座標:(−4+2)÷2=−1
y座標:(8+2)÷2=5
中点は (−1, 5) で、これも一致しました。
確かめ3:2つに分けた面積が6ずつか
(2)と同じく、y軸で切って面積を出します。y軸と辺ABの交点はC(0, 4)でした。
△OMB=△OCM+△OCB=4×1×2分の1+4×2×2分の1=2+4=6
△OAM=△OCA−△OCM=8−2=6
どちらも6で、合わせると12。(2)の答え12のちょうど半分ずつになっています。(1)(2)(3)の答えが、おたがいにつじつまが合っていることを確かめられました。
よくあるつまずき
ここも授業では扱っていない補足をふくみますが、この問題で手が止まりやすい場所をまとめておきます。
- 変域で、xの両端だけを代入して原点を忘れる。xの変域が0をまたいでいるときは、yの最小は原点の0です。先生も「−1の座標を求めちゃう人が多いんですよ」と言っていた場所です
- 最大のほうを、xの変域の左端で考えてしまう。y=2分の1x² では、原点から遠いほうのxで最大になります。−1と2なら2のほうです
- yの増加量の符号を落とす。Aのy座標は8、Bのy座標は2なので、AからBへ進むとyは減ります。増加量は−6で、傾きは−1です。授業でも、yの増加量を聞かれた生徒が「え?」と止まっていました
- 高さを座標のまま−4にする。高さや底辺は長さなので、x座標が−4なら長さは4です
- (3)で、辺ABではなくOAやOBの中点をとる。直線は点Oを通るので、1対1に分けるのはOの向かい側の辺ABです。先生の言う「どこの辺を1対1にしようか」がミソの部分です
- 中点Mのx座標を、ABの長さそのものと取りちがえる。−4から2までの長さは6、その半分の3だけ−4から進むので、x=−1 です
どれも、公式を知らないことよりも、途中の確認がぬけることで起きやすいつまずきです。式を1行書くごとに、図のどこの長さなのかを指でさして確かめてください。
よくある質問
ここは授業では扱っていない補足です。
Q. xの変域に0がふくまれないときも、yの最小は0ですか?
A. ちがいます。0が変域にふくまれるかどうかで変わります。xの変域に0がふくまれないとき(すべてプラス側、またはすべてマイナス側)は、グラフは原点を通りません。その場合は、両端のxを代入したyのうち、小さいほうが最小、大きいほうが最大になります。xの変域に0がふくまれるときは、0が変域の端にあるときもふくめて、yの最小は原点の0です。
Q. 等積変形は使わないといけませんか?
A. 使わなくても大丈夫です。授業でも先生は「普通に二つの三角形に」「分けて解いてもいいんだけれど」と言っています。まずはy軸で2つに分ける解き方を自分で再現できるようにして、慣れてきたら等積変形も試してみてください。
Q. 点Oではなく、点AやBを通って面積を二等分するときはどうしますか?
A. 考え方は同じです。通る点の向かい側にある辺の中点を通る直線を求めます。点Aを通るなら辺OBの中点、点Bを通るなら辺OAの中点です。
Q. 二次関数と図形の面積の問題を、ほかにも練習したいです。
A. 同じ中3の二次関数で、動く正方形と平行四辺形が重なる部分の面積を求める問題を解説した記事があります。図形が動く分、どの時点でどんな形になるかを整理するところがポイントです。

まとめ
今回の問題は、(1)(2)(3)が順番につながっていました。(1)は、xの変域が0をまたぐので、yの最小は原点の0、最大は原点から遠い x=2 のときの2で、答えは 0≦y≦2。(2)は、A(−4, 8)、B(2, 2)から直線AB y=−x+4 を出し、y軸で左右2つの三角形に分けて 8+4=12。等積変形を使うと、底辺6、高さ4の三角形1つで12になります。(3)は、点Oを通って面積を二等分する直線が辺ABの中点M(−1, 5)を通ることから、y=−5x でした。
授業の生徒も、(1)の変域から止まっていました。それでも、グラフに絵をかいて1つずつ確かめると、最後は「点を1対1にすれば」と自分から答えを出しています。図にかきこみながら、前の問いの答えを次の問いで使う流れを意識してみてください。
この問題のポイント
- xの変域が0をまたぐとき、yの最小は原点の0。最大は原点から遠いほうのx
- 面積は、y軸で切って左右2つの三角形に分ける。底辺はy軸上の長さ4
- 直線ABは、傾き=yの増加量÷xの増加量で出すと連立方程式がいらない
- 等積変形なら、底辺6、高さ4の三角形1つで面積12
- 原点を通って面積を二等分する直線は、辺ABの中点を通る
- 中点のx座標は平行線で1対1に分けて −1、直線ABに代入して y=5
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