一次関数のグラフの上に図形がかかれていて、「面積を2等分する直線の式を求めなさい」と聞かれる問題は、一次関数の単元でよく見かけるタイプです。どこを通る直線を引けばいいのかが決まらないと、式を作るところまで進めません。
この記事であつかうのは、公式LINEに届いた質問です。質問をくれた生徒は、(1)〜(3)は解けていて、分からなかったのは(4)だけでした。授業で「どこまで考えられましたか」と聞くと、こう答えてくれました。

ABCDの面積を2等分するってことは、多分Oを通るかな。BとDを通るんじゃないのかなって思った。

ただね、ちょっと惜しくて。OBDが一直線上にあったら、それは正解なんだけど、これが一直線上にあるって言ったら、実は分かんないんだよね。
この記事では、生徒の予想のどこが惜しかったのかを確かめてから、平行四辺形を2等分する直線が通る点を見つけ、3つのステップで直線の式を求めます。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
問題文と、何を聞かれているか
授業で読み上げた問題文をもとに、(4)に必要なところをまとめると次のとおりです。
> 右の図において、A(4,6)、B(3,2)であり、直線ℓは点Aを通り、傾きが4分の1である。また、点Dは直線ℓ上の点で、x座標が8である。四角形ABCDが平行四辺形になるように点Cをとる。
> (4) 原点を通り、平行四辺形ABCDの面積を2等分する直線の式を求めなさい。
はじめに、分かっていることを整理します。
- 点A:A(4, 6)
- 点B:B(3, 2)
- 直線ℓ:点Aを通り、傾きは 1/4(4分の1)
- 点D:直線ℓ上の点で、x座標は 8(y座標はまだ分からない)
- 点C:(3)で求めた座標。授業では生徒が覚えていて、C(7, 3) として進めました
直線ℓは、点Aと点Dを通る直線です。つまり平行四辺形の辺ADが、そのまま直線ℓの上にのっています。授業でも先生はこの直線を「直線AD」と呼んで式を作っています。
(4)で聞かれているのは、次の2つの条件を両方みたす直線です。
- 原点O(0, 0)を通る
- 平行四辺形ABCDの面積を、ちょうど半分ずつに分ける
原点を通る直線は y = ax の形なので、あと1つ、この直線が通る点が分かれば式が決まります。問題は、その「もう1つの点」がどこなのかです。
「原点とB・Dを通る直線」の予想が惜しい理由
生徒の予想は、「原点Oと、頂点Bと頂点Dを通る直線」でした。BとDは平行四辺形の向かい合う頂点で、BDは対角線です。対角線で切れば、平行四辺形は同じ形の三角形2つに分かれます。だからこの予想は、考え方としてはとても筋がいいものです。
先生も「なるほど」と受け止めたうえで、「ただね ちょっと惜しくて」と続けています。理由は1つです。
O、B、Dの3つの点が一直線に並んでいるとは限らない
直線BDで切れば面積は半分になります。でも問題の条件は「原点を通る」こと。原点からBを通って、そのままDまで一直線に進めるかどうかは、図を見ただけでは分かりません。先生が「実は分かんない」と言ったのは、この点です。
ここは授業では扱っていない補足ですが、実際に確かめてみます。点Dの座標は、このあとステップ1で求める D(8, 7) を使います。
- 原点OからBへ:xが3増えるとyが2増えるので、傾きは 2/3
- 原点OからDへ:xが8増えるとyが7増えるので、傾きは 7/8
傾きがちがうので、O、B、Dは一直線に並んでいません。原点とBを結んだ直線をのばしても、Dは通らないということです。
つまり、頂点の中から通りそうな点を選ぶのではなく、別の点を探す必要があります。
平行四辺形を2等分する直線は、対角線の交点を通る
では、どこを通ればいいのでしょうか。授業で先生は、平行四辺形の2本の対角線に注目しています。
- 対角線BD
- 対角線AC
この2本は、平行四辺形の真ん中の1点で交わります。先生はこの点を「中心」と呼び、こう説明しました。
平行四辺形の対角線の交点を通る直線は、平行四辺形の面積を2等分する
先生のたとえは正方形です。「正方形を2等分してください」と言われたら、正方形の対角線の交点を通る直線を引けば2等分できます。平行四辺形も同じで、対角線の交点(真ん中の点)を通る直線なら、面積を2等分できます。
ここで生徒が「これ やったことあるよ」と思い出しました。

凸凹したU字型の図形があって、それをまず長方形2つに2等分して、そこの対角線同士を結べば2等分できるよ。

そうそう。その今思い出してくれたやつの問題と、全く同じ考えです。
長方形も平行四辺形も、真ん中の点を通る直線で半分に分けられます。形がちがっても、「真ん中の点を探す」という考え方は共通です。
なお、真ん中の点を通る直線がなぜ面積を半分にするかについて、授業では正方形の例で説明しています。補足すると、平行四辺形は対角線の交点を中心に180°回すと元の形にぴったり重なる図形です。だから交点を通る直線で切ると、切れた2つの部分も回すとぴったり重なり、面積が等しくなります。
三角形の面積を2等分する直線は、頂点と向かいの辺の中点を通ります。「中点を見つけてから直線を引く」流れは、こちらの記事でも扱っています。

まず対角線の交点を求める。対角線はそれぞれの中点で交わる
求める直線は、原点と「対角線の交点」を通る直線だと分かりました。授業でも先生は「直線の式を求めなさいって言われたときに 何をしたいのかっていうと ここの対角線の交点 ここを求めたいんだよね」と整理しています。
対角線の交点を求めるときに使うのが、平行四辺形の性質です。
平行四辺形の対角線は、それぞれの中点で交わる
つまり、対角線の交点は、対角線BDの中点でもあり、対角線ACの中点でもあります。どちらか一方の中点を求めれば、それが交点です。
授業では、対角線BDの中点を使いました。ただし、点Dの座標はまだ分かっていません。そこで、次の順番で進めます。
- ステップ1:直線ADの式を作り、点Dの座標を求める
- ステップ2:対角線BDの中点Eの座標を求める
- ステップ3:原点Oと点Eを通る直線OEの傾きを求め、式を作る
点Cの座標(7, 3)がすでに分かっているので、対角線ACの中点からも交点は求められます。こちらは最後の検算に使います。
ステップ1:直線ADの式から、点Dの座標を求める
点Dは直線ℓ、つまり直線AD上の点です。まず直線ADの式を作ります。
傾きは問題文で4分の1と決まっているので、切片をbとおきます。
y = (1/4)x + b
この直線は点A(4, 6)を通るので、xに4、yに6を代入します。
6 = 1/4 × 4 + b
6 = 1 + b
b = 5
授業でも、先生の「bっていくつになるかな」に、生徒はすぐ「5」と答えています。直線ADの式は次のとおりです。
y = (1/4)x + 5
点Dのx座標は8なので、xに8を代入します。
y = 1/4 × 8 + 5
y = 2 + 5
y = 7
生徒もここで「7」と答えました。点Dの座標が決まりました。直線の式に分かっているx座標を代入すれば、その点のy座標が出る。中点を求める前の、この下ごしらえがステップ1です。
D(8, 7)
ステップ2:対角線BDの中点Eの座標を求める
次に、対角線BDの中点を求めます。授業では先生がこの点を「E」とおいています。
中点の座標は、2つの点のx座標どうし、y座標どうしをそれぞれ足して2で割ると求まります。先生の言葉では、x座標は「3から8の半分のとこ」です。
点B(3, 2)、点D(8, 7)なので、まずx座標です。
(3 + 8) ÷ 2
= 11/2
次にy座標です。
(2 + 7) ÷ 2
= 9/2
授業でも、y座標を聞かれた生徒が「2分の9」と答えています。
E(11/2, 9/2)
11/2は「2分の11」、9/2は「2分の9」と読みます。小数で書くと E(5.5, 4.5) です。この点Eが、平行四辺形ABCDの対角線の交点、つまり真ん中の点です。
中点の座標は、直線の式の問題でも図形の問題でもよく使います。x座標どうしを足すところで、うっかりx座標とy座標を足してしまうミスが起きやすいので、「xはxどうし、yはyどうし」と分けて計算してください。
ステップ3:直線OEの傾きを求めて、式を作る
最後に、原点Oと点Eを通る直線を求めます。授業では「直線OE」と名前をつけています。
傾きは、xの増加量分のyの増加量です。
傾き = yの増加量 ÷ xの増加量
原点(0, 0)から点E(11/2, 9/2)まで、xは11/2増え、yは9/2増えています。
傾き = 9/2 ÷ 11/2
ここで、分母にも分子にも分数が入った形になります。先生も「分数の分子分母に分数があるから ちょっとややこしい」と言っています。そこで、小学校で習った分数の割り算に戻します。割り算は、後ろの分数の上下をひっくり返すと、かけ算に直せます。
= 9/2 × 2/11
2が約分できるので、
= 9/11
授業では、生徒が自分で「2分の9割る2分の11してるから」「2分の9かけ11分の2」「で11分の9が傾き」と計算を進めています。
傾きを「xの増加量分のyの増加量」で求める考え方は、こちらの記事でくわしく解説しています。

この直線は原点を通るので、切片は0です。式は y = ax のaに傾きを入れた形になります。
y = (9/11)x
(4)の答えは y = (9/11)x(y=11分の9x)です。授業でも生徒が「y=11分の9x」と答え、先生が「なのでこれが答えになります」とまとめています。
答えを確かめる
式が出たら、条件に合っているかを確かめておきます。
1つ目は、点Eが本当に対角線の交点かどうかです。対角線ACの中点も求めてみます。点A(4, 6)、点C(7, 3)なので、
x座標:(4 + 7) ÷ 2 = 11/2
y座標:(6 + 3) ÷ 2 = 9/2
対角線BDの中点と同じ (11/2, 9/2) になりました。2本の対角線がこの点で交わっていることが確かめられます。
2つ目は、y = (9/11)x が点Eを通るかどうかです。xに11/2を代入します。
y = 9/11 × 11/2
= 9/2
点Eのy座標9/2と一致しました。原点を通ることは、切片が0なので明らかです。
3つ目は、生徒の予想との比べ方です。原点とBを結ぶ直線の傾きは2/3、原点とDを結ぶ直線の傾きは7/8でした。答えの傾き9/11は、小数にすると約0.82で、2/3(約0.67)と7/8(約0.88)の間にあります。求めた直線は、BとDのあいだ、平行四辺形の真ん中を通っていることが数の上でも分かります。
点を落としやすい3か所
この問題で点を落とす場所は、だいたい次の3つに集まります。
- 頂点を通る直線で2等分しようとする。対角線で切れば面積は半分になりますが、「原点を通る」という条件と両立するとは限りません。平行四辺形を2等分する直線を探すときは、まず対角線の交点(真ん中の点)を探しましょう
- 点Dの座標を求めないまま、中点を出そうとする。対角線BDの中点を使うには、点Dのy座標が必要です。直線ADの式 y = (1/4)x + 5 を作り、x = 8 を代入して D(8, 7) を先に出します
- 分数÷分数の傾きで計算が止まる。9/2 ÷ 11/2 のような形は、後ろの分数をひっくり返してかけ算に直します。9/2 × 2/11 = 9/11 です
よくある質問
Q. 対角線BDの中点ではなく、ACの中点を使ってもいいですか?
A. 使えます。平行四辺形の対角線はそれぞれの中点で交わるので、ACの中点もBDの中点も同じ点になります。点C(7, 3)が分かっていれば、ACの中点 ((4 + 7) ÷ 2, (6 + 3) ÷ 2) = (11/2, 9/2) からも求められます。授業ではBDの中点を使いましたが、どちらでも答えは同じです。
Q. なぜ原点とBとDを通る直線ではだめなのですか?
A. 原点O、B、Dの3つの点が一直線に並んでいないからです。原点からBへの傾きは2/3、原点からDへの傾きは7/8で、ちがう値になります。直線BDは平行四辺形を2等分しますが、原点を通らないので、この問題の条件に合いません。
Q. 傾きが分数の分数になって、計算の仕方が分かりません。
A. 「yの増加量 ÷ xの増加量」を割り算の形で書き直すと分かりやすくなります。9/2 ÷ 11/2 は、後ろの11/2を上下ひっくり返して 9/2 × 2/11 とし、2を約分して 9/11 です。小学校で習った分数の割り算と同じ計算です。
この問題のポイント
- 平行四辺形の面積を2等分する直線は、対角線の交点(真ん中の点)を通る
- 「原点とB・Dを通る直線」は、O、B、Dが一直線に並ばないので答えにならない
- 直線ADは y = (1/4)x + 5。x = 8 を代入して D(8, 7)
- 対角線はそれぞれの中点で交わる。BDの中点は E(11/2, 9/2)
- 直線OEの傾きは 9/2 ÷ 11/2 = 9/2 × 2/11 = 9/11
- 原点を通るので切片は0。答えは y = (9/11)x
面積を2等分する直線の問題は、式の計算よりも先に「どの点を通る直線なのか」を決めるところが山場です。平行四辺形なら対角線の交点、三角形なら頂点と向かいの辺の中点。通る点さえ決まれば、あとは中点の座標と傾きの計算で式まで進めます。
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