一次関数のグラフと三角形を組み合わせた問題で、「aの値の範囲を求めなさい」と聞かれると、何をすればいいのか分からなくなる人は多いです。計算そのものは難しくないのに、問題文が何を言っているのかがつかめず、手が止まってしまうタイプの問題です。

(1)が、どういうこっちゃみたいな感じになりました。

問題文の意図が分かれば、もう解けるよ。まずは直線がどう動けるのかを、図の上で確かめてみよう。
この記事では、(1)の「直線が三角形の周と2点で交わるときのaの値の範囲」を図と不等式で求め、続けて(2)の「2つの直線が作る三角形をy軸のまわりに1回転してできる立体の体積」を、円錐の引き算で求めます。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
問題文と、何を聞かれているか
今回あつかうのは、次の問題です(鹿児島県の入試問題を改題したものです)。
> 右の図は、x軸、y軸との交点がそれぞれA、Bである関数 y=x+2 …①のグラフと、y軸上の点Cを示したものである。なお、点Cは関数 y=ax+5 …②のグラフ上の点である。このとき、次の問いに答えなさい。ただし、点Oを原点とし、円周率はπとする。
> (1) 関数②のグラフが△AOBの周と2点で交わるとき、aの値の範囲を求めなさい。
> (2) a=2のとき、関数①のグラフと関数②のグラフとの交点Dの座標を求めなさい。また、△BCDをy軸を軸として1回転してできる立体の体積を求めなさい。
はじめに、図に出てくる点の座標を確かめておきます。
- 点A:y=x+2 とx軸の交点。y=0を代入すると0=x+2なので、A(−2, 0)
- 点B:y=x+2 とy軸の交点。切片なので B(0, 2)
- 点C:y=ax+5 とy軸の交点。切片なので C(0, 5)
授業では、問題を読み終えたところで先生が「どこでつまずきました?」と聞いています。生徒の答えは「えー、1番」「このカッコ1番、どういうこっちゃみたいな感じになった」でした。計算より前に、問題文の意図がつかめていなかったわけです。ここから1つずつほどいていきます。
(1) まず「直線がどう動けるか」を図で確かめる
関数②の y=ax+5 は、aの値が決まっていません。ただし、切片は5なので、どんなaでも必ず点C(0, 5)を通ります。つまりこの直線は、点Cを軸にして、傾きを変えながらくるくる回るように動きます。
そこで、点Cを通る直線をいくつか図にかき足して、△AOBの周と何点でぶつかるかを数えてみます。
- 点Cと点Aを結んだ直線:三角形とは頂点Aの1点でしかぶつからない
- それよりゆるやかに傾けた直線:三角形の上を通りすぎて、どこにもぶつからない
- 逆に、どんどん急にしてy軸に近づけた直線:最後は辺OBに重なってしまい、「2点で交わる」とは言いにくい
- その間の直線:辺ABと辺AOに1回ずつぶつかるので、ちょうど2点で交わる
授業でも、先生が点Aと点Cを結んだ直線をかいて「何点でぶつかってると思いますよ、この△AOBに」と聞くと、生徒はすぐに「1」と答えています。そして先生は「このAからy軸の間で動くって分かる?」「っていう問題文の意図なんです」とまとめていました。
ここまで分かれば、あとは「直線がx軸とぶつかる点が、点Aとy軸(原点O)の間にある」という条件を式にするだけです。
x軸との交点を、y=0の代入で求める
次に、直線 y=ax+5 がx軸とぶつかる点のx座標を求めます。
授業で先生が「次これどうやって解いていけばいいと思う?」と聞くと、生徒は「Aの座標を求める」と答えました。先生は「Aの座標っていうよりね、x軸上の座標を求めるって感じかな」と言い直しています。求めたいのは点Aではなく、動いている直線とx軸の交点です。
x軸の上にある点は、どこでもy座標が0です。授業でも、先生の「y座標はいくつになると思います?」に、生徒は「0?」と答えていました。そこで y=ax+5 に y=0 を代入します。
0 = ax + 5
−ax = 5
x = −5/a
これで、直線とx軸の交点のx座標は −5/a(マイナスa分の5)と表せました。
x軸との交点をy=0の代入で求める流れは、平行な直線の問題でも同じように使います。

点Aの座標と、xの範囲(点Aは含めない)
交点のx座標が「点Aと原点Oの間」にあればよいので、点Aのx座標を確かめます。
点Aは y=x+2 とx軸の交点でした。授業でも先生の「Aの座標はどうやって求めるんだっけ?」に、生徒は「−2」と答えています。0=x+2 から x=−2 です。
ここで大事なのが、両はしを含めるかどうかです。先生の「点Aは含めていいんだっけ?」という問いに、生徒は「含めない」と答えました。理由は、点Aを通る直線は三角形と1点でしか交わらないからです。原点O側のはしも、直線がy軸に重なるところなので含めません。
したがって、交点のx座標の範囲はこうなります。
−2 < x < 0
点Aを含めて −2 ≦ x としてしまうと、1点でしか交わらない直線まで答えに入ってしまうので、等号は付けません。
不等号の向きに気をつけて、aの範囲を出す
x = −5/a を、さきほどの範囲に代入します。
−2 < −5/a < 0
このままだとマイナスが多くて扱いにくいので、全体に −1 をかけます。マイナスの数をかけると、不等号の向きはすべて逆になります。授業でも先生が「これ不等号は全部逆転するかな」と確認していました。
0 < 5/a < 2
左側の「0 < 5/a」から、aは正の数だと分かります。aが正なので、右側の「5/a < 2」の両辺にaをかけても、不等号の向きは変わりません。
5 < 2a
a > 5/2
(1)の答えは a > 5/2(aは2分の5より大きい)です。授業でも先生が「だから2分の5よりaは大きくなる」とまとめ、生徒は「はい、いきました」と答えています。
答えを図で確かめておきます。a=5/2 のとき、x=−5÷(5/2)=−2 となり、直線はちょうど点Aを通ります。aがこれより大きいと直線はもっと急になり、x軸との交点は −2 と 0 の間に入ります。最初に図で確かめた動き方と、ぴったり合っています。
(2) 交点Dの座標を連立方程式で求める
ここから(2)です。a=2 なので、関数②は y=2x+5 になります。
交点Dは、y=x+2 と y=2x+5 の両方の上にある点です。yが等しいので、右辺どうしをイコールで結びます。
x + 2 = 2x + 5
−x = 3
x = −3
このxを y=x+2 に代入します。
y = −3 + 2 = −1
D(−3, −1)
授業でも、先生が「ここ連立方程式で解いてあげればよくって」と進め、「−3+2で−1になった」と確かめています。途中で先生が「Bの座標いくつだっけ?」と聞くと生徒は「0、2」、「Cの座標いくつだっけ?」には「5」と答えていて、B(0, 2)、C(0, 5) も確認できました。
△BCDを回すと「円錐から円錐をくり抜いた形」になる
次に、△BCDをy軸のまわりに1回転させます。
点Bと点Cはy軸の上にあるので、回しても動きません。動くのは点Dだけで、点Dはy軸から3だけ離れているので、半径3の円をえがきます。
このとき、できる立体は次のように考えます。
- 点C、点Dと、y軸上の点(0, −1)で作る直角三角形を回すと、大きい円錐(頂点C、底面の半径3)
- 点B、点Dと、同じ点(0, −1)で作る直角三角形を回すと、小さい円錐(頂点B、底面の半径3)
△BCDは、大きい直角三角形から小さい直角三角形を取り除いた形です。だから回してできる立体も、大きい円錐から小さい円錐をくり抜いた形になります。授業でも先生が「次にこのちっこいやつをくり抜かないといけないんだよね」「ここだけ空洞になってるから」と説明していました。
円錐の体積の公式を確かめたいときは、こちらの記事も参考にしてください。

大きい円錐と小さい円錐の体積を引き算する
円錐の体積は、次の式で求めます。
円錐の体積 = 1/3 × 底面積 × 高さ
まず大きい円錐です。ここで、授業の生徒は一度つまずいています。大きい円錐の体積を聞かれて「3×3×5×1、3分の1」と、高さを5で計算しようとしました。
先生は「5×って言った?」と止めて、「ここ、−1から5までの距離が高さだから」と説明しています。生徒も「6ですね」と気づきました。点Dのy座標は −1 なので、高さは点Cのy座標5から−1までの距離です。
5 − (−1) = 6
大きい円錐の体積は、次のとおりです。
1/3 × π × 3² × 6
= 18π
次に、小さい円錐です。高さは点Bのy座標2から−1までの距離です。
2 − (−1) = 3
1/3 × π × 3² × 3
= 9π
大きい円錐から小さい円錐を引きます。
18π − 9π
= 9π
(2)の答えは、D(−3, −1)、体積 9π です。
授業では、途中の計算でπを省いて、大きい円錐を18、小さい円錐を9と進めています。最後に先生が「18−9で、9が体積になると思うんですけれど、あってます?」と確かめ、生徒が「あってます」と答えています。問題文に「円周率はπとする」とあるので、答案では 9π と書いてください。
点を落としやすい3か所
この問題で点を落とす場所は、だいたい次の3つに集まります。
- 問題文の意図をつかまないまま式を作ろうとする。「周と2点で交わる」は、直線がどこからどこまで動けるかを聞いています。先に図に直線を何本かかき足して、何点でぶつかるかを数えてから式に進みましょう
- 点Aを範囲に含めてしまう、不等号の向きを変え忘れる。点Aを通る直線は1点でしか交わらないので、等号は付けません。また、マイナスの数をかけたときは不等号の向きが逆になります
- 円錐の高さを、y軸と交わる点までで測ってしまう。高さは頂点から底面までの距離です。底面の中心は(0, −1)なので、大きい円錐の高さは 5 − (−1) = 6 になります。座標にマイナスが出てきたら、引き算で距離を出しましょう
よくある質問
Q. なぜ点Aを通るときは範囲に入らないのですか?
A. 直線が点Aを通るとき、△AOBとは頂点Aの1点でしか交わらないからです。問題は「2点で交わるとき」を聞いているので、1点のときは条件に合いません。だから −2 ≦ x ではなく −2 < x と書き、等号を付けません。
Q. aがとても大きくなると、直線はどうなりますか?
A. aが大きくなるほど直線は急になり、x軸との交点 −5/a は0に近づいていきます。それでも交点は0より左にあるので、辺ABと辺AOの2点で交わり続けます。aはどこまでも大きくできるので、答えは「a > 5/2」の片側だけで表します。
Q. 体積の答えにπは付けますか?
A. 付けます。問題文に「円周率はπとする」とあるので、答えは 9π です。授業ではπを省いて計算していましたが、答案では最後にπを書き忘れないようにしてください。
この問題のポイント
- 点の座標は A(−2, 0)、B(0, 2)、C(0, 5)
- y=ax+5 はaがいくつでも点Cを通る。点Cを中心に回る直線として図で動かす
- x軸との交点は y=0 を代入して x = −5/a
- 点Aは含めないので −2 < −5/a < 0。−1をかけると不等号は逆向き
- (1)の答えは a > 5/2
- (2)の交点は連立方程式で D(−3, −1)
- 回転体は、大きい円錐(高さ6)から小さい円錐(高さ3)をくり抜いた形。18π − 9π = 9π
(1)も(2)も、計算そのものは中2で習う式の変形と連立方程式だけです。最初に図に線をかき足して、直線がどう動くのか、どこが円錐の高さになるのかを目で確かめる。その一手間で、問題文が急に読めるようになります。
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