一次関数の文章題でよく出るのが、水槽に水を入れたり抜いたりする問題です。グラフから水量を読むところまではできても、「2つの水槽の水量が等しくなるのは何分後か」と聞かれると、どこから式を立てればいいのか分からなくなりやすい問題でもあります。
この記事は、授業で先生と生徒が一緒に解いた1問をもとにしています。先生が「どこまで理解できて、どのあたりがつまずきました?」と聞くと、生徒はこう答えました。

①は解けたんですけど、②がちょっといまいち式が立てられなくて分からなくて

なるほど、OKです
②に入ったところでも、生徒は「まず式がそもそも立てれませんでした」と話しています。この記事では、①の水量の求め方を確かめてから、水槽Bのグラフをかき込み、2本の直線の式を求めて、連立方程式で「何分後」を出すところまで、授業と同じ順番で進めます。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題と、授業で止まっていたところ
今回いっしょに考えるのは、この問題です。
> 空の水そうに水道管Aと水道管Bを使って水を入れる。水道管Aからは毎分6Lの割合で水をいれ、水道管Bからは毎分3Lの割合で水を入れる。はじめに、水そうに水道管Aと水道管Bの両方を使って10分間水を入れた後、水道管Bだけを使って15分水を入れたところ、水そうの中の水の量は135Lになった。図は、水そうに水を入れ始めてから25分後までの時間と水そうの水の量の関係をグラフに表したものである。ただし、水そうAの中の水はあふれないものとする。
> ①水そうAに水を入れ始めてから3分後の水そうAの中の水の量は何Lか?
> ②水そうBを用意し、水が130L入っている。水そうBには排水管がついており、排水管Bからは毎分2Lの割合で水を抜く。水そうAに水を入れはじめてから5分後に排水管Bを使って水そうBから15分間水を抜いたところ、水そうAに水を入れはじめて10分後〜25分後までの間で、水そうAと水そうBの中の水の量が等しくなった。水の量が等しくなったのは、水を入れはじめてから何分後かを求めなさい。
図は文章で説明しておきます。横軸が時間(分)、縦軸が水の量(L)のグラフです。原点Oから10分後の90Lまでは急な直線で上がり、そこから25分後の135Lまでは、ゆるやかな直線で上がっています。これが水槽Aのグラフです。
先生は問題を読みながら、グラフの形を言葉でなぞっていました。「なるほど、だからここ10分間ってなってるのか」。最初の10分は2本の水道管で入れるので急に上がり、そのあとは「緩やかに今度上がってんだ」「水道管A使ってないからね」。グラフの折れ曲がりが、水道管の使い方の切りかわりと対応しています。
止まったのは②です。水槽Bは文章に出てくるだけで、グラフにはかかれていません。式を立てる材料が図に見えていないことが、手が止まった理由の1つです。
つまずきの正体:水槽Bのグラフが図にない
②を見たとき、先生は生徒に「多分ね、でもいい線いってましたよ、パッと見」と声をかけてから、まず図を確かめました。「まずこのグラフは水槽Aのグラフですよね」。
今の図にあるのは水槽Aだけです。水槽Bのことは文章でしか書かれていないので、このままでは2つの水槽を比べようがありません。そこで先生は、水槽Bのグラフを同じ図にかき込むところから始めました。

じゃあ水槽Bのグラフを書きたいとってなった時に、水槽Bをまずここ130リットルからスタートだよね

はい
グラフがそろうと、見え方が変わります。先生は2本の線が交わったところを指して、こう言いました。「そしたらほら、ぶつかっているここがAとBが同じ水の量になってんじゃねーの」。生徒の返事は「あー」でした。
水槽Bのグラフを同じ図にかき込むと、2本の線がぶつかる点が「水の量が等しくなる時刻」です。グラフの上で同じ高さにあるということは、同じ時刻に同じ水の量だということだからです。
だから、やることは決まります。先生の言葉では「ここのグラフとここのグラフ、2つの一次関数を求めて」「連立方程式で交点を求めればいける」。式が立てられなかったのは、何と何を式にすればいいのかが見えていなかったからです。比べる2本の線が図にそろえば、それぞれの式を出して交点を求める、といういつもの形になります。
①の水量を、y=9xから求める
②に入る前に、①を確かめておきます。先生に「①番はどうやって解きました?」と聞かれ、生徒は「yとxを式に代入して解きました」と答えています。先生も「それでいけそうですね」と受けて、一緒に確かめました。
最初の10分のグラフは、原点Oを通る直線です。先生は「ここ切片が0だから、ここの式はy=axで表せる」と説明しています。原点を通る直線はy=axと置けるので、あとはaを求めるだけです。
先生の「何と何代入すればいける?」に、生徒は「yのところに90を代入して、xのところは10?」と答えました。10分後に90Lなので、x=10、y=90を入れます。
90=10a
a=9
これで最初の10分の式が分かりました。
y=9x(0≦x≦10)
①は3分後の水の量なので、x=3を代入します。
y=9×3
y=27
答え:27L
先生も「3×9で27になるって感じかな?」「答えは27リットルとか書いておきましょう」とまとめています。3分は最初の10分の中なので、y=9xの式を使ってよいことも確かめておきましょう。
ステップ1:水槽Bのグラフを同じ図にかく
ここから②です。まず、水槽Bの水の量がどう変わるかを、問題文から読み取ってグラフにします。
水槽Bには最初から130L入っています。先生は「スタートが130リットルです」と確かめてから、排水が始まる時刻に目を向けました。

水槽Aが入れ始めてから5分後から排水しだすから、5分後まではずっと130リットルだと思わない?
排水を始めるまでは、水は減りません。だから0分から5分までは、130Lの高さでまっすぐ横に進みます。
5分後からは、毎分2Lずつ水を抜きます。先生は「ここから毎分2リットルで、こんな感じで緩やかに水を流し出してる」と、右下がりの線をかきました。生徒は「確かに」と答えています。
排水するのは15分間です。先生は「5分後から15分間排水するから、20分まで排水を続ける」と続け、「そこから排水止めるから、こんな感じであとは一定になる」と線を横にのばしました。15分で2L×15=30L減るので、20分後の水の量は100Lです。
まとめると、水槽Bのグラフは次の3つの部分でできています。
- 0分から5分まで:130Lのまま(横にまっすぐ)
- 5分から20分まで:毎分2Lずつ減る(右下がりの直線)
- 20分から25分まで:100Lのまま(横にまっすぐ)
先生の「どう?」に、生徒は「確かにその通りだと思います」と答えました。このグラフをかき込むと、水槽Aの後半のゆるやかな上り坂と、水槽Bの下り坂が交わります。この交点を求めます。
ステップ2:水槽Aの後半の式y=3x+60を求める
交わっているのは、水槽Aの10分から25分の直線と、水槽Bの5分から20分の直線です。まず水槽Aの方から式を出します。
先生が「一次関数だからなんて置ける?」と聞くと、生徒は「135と25?」と、座標の数字を答えました。先生は「それを代入してもいいんだけれど、先にy=ax+bで置いとこうか」と受けています。
y=ax+b
この直線は(10, 90)と(25, 135)を通ります。2点をそれぞれ入れて連立方程式で解くやり方もありますが、先生は別の道を示しました。

これ見て、これxの増加量とyの増加量分かりそうじゃね?

あ、確かに
傾きの求め方を聞かれた生徒は「xの増加量分のyの増加量?」と答えています。傾き=yの増加量÷xの増加量です。
xは10から25まで進むので、増加量は15です。
xの増加量=25−10=15
yは90から135まで上がるので、増加量は45です。
yの増加量=135−90=45
傾き=45÷15=3
先生の「めっちゃ簡単でしょ?こっちの方が」に、生徒も「簡単だ」と返しています。傾きが3なので、式はy=3x+bです。次に(10, 90)を代入してbを求めます。
90=3×10+b
90=30+b
b=60
y=3x+60(10≦x≦25)
生徒は「こんな簡単にできるんだ」と話していました。2点が分かっている直線は、増加量から先に傾きを出すと、連立方程式を解かずに式までたどり着けます。
傾きは「毎分◯L」から読める
水槽Bの式に進む前に、先生は大事な見方を1つ足しました。水槽Aの後半の傾きは、計算しなくても分かっていた、という話です。
10分から25分のあいだ、水槽Aには水道管Bしか使っていません。先生は「水道管Bって毎分3リットル入れてるって書いてなかった?」「1分増加すると3リットル増えるみたいな感じになりません?」と問いかけました。
xが1増えると、yが3増える。これはそのまま傾きが3ということです。先生の言葉では「1分の3だから、これ傾きがそのままほら3じゃん」。15分の45を約分した答えと一致します。

もう問題文に毎分3リットルって書いてあるから、傾き最初から3って実は分かってた
「毎分◯L」は、そのまま傾きになります。同じ見方で、ほかの部分も読めます。
- 水槽Aの0分から10分:水道管A(毎分6L)と水道管B(毎分3L)の両方なので、毎分9L入る。傾きは9
- 水槽Aの10分から25分:水道管B(毎分3L)だけなので、傾きは3
- 水槽Bの5分から20分:毎分2L抜くので、傾きは−2
先生も「合わせて9リットル毎分入るから、傾きが9だったりします」と説明しています。①で求めたy=9xの9と同じ数です。
ただし、先生はこうも言っています。「ここの単位が、分が時間になったりとか、ミリリットルになったりとか、たまに変わるから、そこだけ気をつけないといけない」。グラフの横軸と縦軸の単位が、問題文の「毎分◯L」と同じかどうかを確かめてから使いましょう。単位がそろっていれば、基本的に毎分3Lなら傾き3です。
ステップ3:水槽Bの式を求めて、連立方程式で交点を出す
水槽Bの式はy=−2x+140
水槽Bは毎分2Lずつ減ります。先生は「1分増えたら−2リットル増加してっていう扱いにならない?」と説明しました。減るときは傾きがマイナスです。
y=−2x+b
この直線は、排水を始めた5分後の(5, 130)を通ります。先生は「5分の時130リットルだよっていうのが分かってるから」と、この点を代入しました。
130=−2×5+b
130=−10+b
b=140
y=−2x+140(5≦x≦20)
生徒も「確かにその通りだ」と答えています。
2本の直線の交点を求める
これで、交わる2本の直線の式がそろいました。
y=3x+60
y=−2x+140
先生の「どうやって解いていく?」に、生徒は「yに代入した方が早いかな」と答えました。どちらの式もy=の形なので、右側どうしを等号で結びます。
−2x+140=3x+60
−2x−3x=60−140
−5x=−80
x=16
xは時間(分)なので、水の量が等しくなるのは16分後です。先生も「これが分だから、今回何分後かっていうのを聞かれてるから、答えは16分後」とまとめています。交点のx座標が答えの「何分後」です。
答え:16分後
2本のグラフの交点を連立方程式で求める考え方は、一次関数のバスのすれ違いの問題でも使います。「すれ違う=同じ時間に同じ場所」と読みかえて、グラフから式を作り、交点を出すまでを別の記事で解説しています。

答えの吟味と検算
ここは授業では扱っていない補足です。出てきた16分後が、問題の条件に合っているかを確かめます。
まず、x=16がどちらの式の範囲にも入っているかです。水槽Aの後半の式は10≦x≦25、水槽Bの式は5≦x≦20の範囲で使える式でした。16はどちらにも入っています。問題文の「10分後〜25分後までの間で」という条件にも合っています。
次に、16分後の水の量を、2つの式に入れて比べます。
水槽A:y=3×16+60=108
水槽B:y=−2×16+140=108
どちらも108Lで、水の量は等しくなっています。
もう1つ、交わる前と後の様子も見ておきます。10分後は、水槽Aが90L、水槽Bが−2×10+140=120Lで、水槽Bの方が多い状態です。20分後は、水槽Aが3×20+60=120L、水槽Bが100Lで、今度は水槽Aの方が多くなっています。10分後から20分後のあいだで多い少ないが入れかわるので、そのあいだのどこかで水の量が等しくなる時刻があります。16分後はその中に入っています。
答えを書くときは、聞かれているものをもう一度確かめましょう。②で聞かれているのは「何分後か」です。交点のyの値108は水の量なので、答えにはしません。
よくあるつまずき
授業の中で出てきた言葉をもとに、この問題で手が止まりやすいところをまとめます。
- 水槽Bのグラフをかかずに式を立てようとする。生徒も最初は「まず式がそもそも立てれませんでした」と話していました。文章だけで2つの水槽を比べようとすると、何を式にすればいいのかが見えません。先にグラフを同じ図にかき込み、交わる2本の線を見つけてから式に進みます
- 水槽Bの最初の5分を、減り始めとして扱ってしまう。排水は水槽Aに水を入れ始めてから5分後に始まります。先生も「5分後まではずっと130リットル」と確かめていました。下り坂の直線が通る点は(0, 130)ではなく(5, 130)です
- 減っていく水槽の傾きを+2にしてしまう。「毎分2L」という数字だけを見ると、プラスで書きたくなります。先生の言葉では「1分増えたら−2リットル増加して」という扱いです。入れるときはプラス、抜くときはマイナスと、向きを確かめてから傾きを書きます
- 単位を確かめずに「毎分◯L」を傾きにする。先生が注意していたように、問題によっては時間の単位が「分」でなく「時間」になったり、量が「L」でなく「mL」になったりします。グラフの軸の単位と問題文の単位がそろっているかを見てから使います
- 交点のyの値を答えにしてしまう。連立方程式を解くと、xもyも出せます。聞かれているのが「何分後か」なら答えはx、「何Lか」ならyです
もう1つ、水槽Aのどちらの直線を使うかも迷いやすいところです。水槽Aのグラフは10分で折れ曲がっているので、式が2本あります。水槽Bの下り坂とぶつかっているのは後半のゆるやかな直線なので、使うのはy=3x+60です。
よくある質問
ここは授業では扱っていない補足をふくみます。
Q. 水槽Aの後半の式は、2点を代入する連立方程式でも求められますか?
A. 求められます。先生も「それぞれ入れて連立方程式で解いて、aとbの値を求めるっていうやり方でもいい」と話していました。y=ax+bに(10, 90)と(25, 135)を入れます。
90=10a+b
135=25a+b
下の式から上の式を引くと、
45=15a
a=3
これを上の式に入れると、90=30+bなのでb=60です。傾きを先に求めたときと同じく、y=3x+60になります。
Q. 水量が等しくなったとき、水は何L入っていますか?
A. 108Lです。x=16をy=3x+60に入れると、3×16+60=108になります。問題で聞かれているのは時刻なので、答えに書くのは16分後です。
Q. 水槽Bの式に、5≦x≦20と範囲をつけるのはなぜですか?
A. y=−2x+140が使えるのは、排水している5分後から20分後までだけだからです。0分から5分までは130L、20分から25分までは100Lのまま変わりません。たとえばx=0を入れると140になりますが、最初の水の量は130Lです。式を使う前に、その時刻がどの部分に入るかを確かめましょう。
まとめ
一次関数の水槽の問題で「水量が等しくなるのは何分後か」と聞かれたら、まず2つの水槽のグラフを同じ図にそろえます。2本の線がぶつかる点が、水の量が等しくなる時刻です。あとは、ぶつかっている2本の直線の式を求めて、連立方程式で交点のxを出します。
今回の問題では、水槽Aの後半がy=3x+60、水槽Bの排水中がy=−2x+140でした。2つの式から−5x=−80を解いて、x=16。水の量が等しくなるのは16分後で、そのときの水の量はどちらも108Lです。
傾きは増加量から計算しなくても、問題文の「毎分◯L」から読めます。入れるならプラス、抜くならマイナスです。最初は「式が立てられなくて」と話していた生徒も、グラフをかき込んでからは「こんな簡単にできるんだ」と進めていました。式が立たないときは、まず図にかき込むところから始めてみてください。
この問題のポイント
- 水量が等しくなる時刻は、2つのグラフの交点。まず水槽Bのグラフを同じ図にかき込む
- 水槽Bは5分後までは130Lのまま、5分後から20分後まで毎分2Lずつ減る
- 傾き=yの増加量÷xの増加量。「毎分◯L」が分かっていれば、それがそのまま傾き(抜くときはマイナス)
- 水槽Aの後半はy=3x+60、水槽Bはy=−2x+140。連立方程式でx=16
- 答えは交点のx座標なので16分後。範囲(10≦x≦20)に入っているかも確かめる
水槽のグラフに線をかき足すところで止まってしまった。傾きの符号で迷った。そんなつまずきは、Laf先生の公式LINEから気軽に質問してください。オンライン学習塾Lafでは、無料のオンライン授業も開催しています。「わからない」を「わかった!」に、一緒に変えていきましょう。
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