図形が動いて、重なった部分の面積を求める問題は、二次関数の単元の後半によく出てきます。座標がいくつも並び、しかも図形が動くので、問題を読んだところで答案が白紙のまま止まってしまう人も多いタイプです。

面積Sは、高さが4で……底辺は、これがいくつになるんだろう?

t=3だから、何センチ入ってるんだろうか?
この記事では、(1)のt=3のときの面積を、動いた長さと相似を使って求め、続けて(2)の6<t<8のときの面積を、正方形から三角形を引いてtの式で表します。途中で授業の生徒が止まった2か所も、そのまま順番に取り上げます。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
問題文と、何を聞かれているか
今回あつかうのは、次の問題です。
> 右の図のように、平行四辺形OABCと正方形ODEFがあり、点Aの座標は(6, 0)、点Cの座標は(3, 6)、点Eの座標は(−4, 4)である。正方形ODEFがこの位置から毎秒1cmの速さでx軸の正の方向へ動くとき、t秒後に2つの図形が重なった部分の面積をSとする。平行四辺形は動かないものとして、次の問いに答えなさい。
> (1) t=3のときのSの値を求めなさい。
> (2) 6<t<8のとき、Sをtを用いて表しなさい。
はじめに、図に出てくる点の座標をそろえておきます。
- 平行四辺形OABC:O(0, 0)、A(6, 0)、B(9, 6)、C(3, 6)
- 正方形ODEF(動く前):O(0, 0)、D(0, 4)、E(−4, 4)、F(−4, 0)
点Bは問題文に書かれていませんが、平行四辺形なので、点Aから点Cと同じだけ右に3、上に6進んだところにあります。
「x軸の正の方向」は右向きです。授業でも先生が「正の方向ってどっち?」と聞くと、生徒は「正の方向なので 右ですね」と答えています。つまり、正方形は1秒に1cmずつ右へすべっていき、平行四辺形の中へ入っていきます。
正方形の1辺と、t秒後の位置を整理する
次に、動く正方形の大きさを確かめます。
点Eは(−4, 4)なので、正方形の横の長さも縦の長さも4です。授業でも先生の「一辺の長さって いくつだと思う?」に、生徒はすぐ「4」と答えていました。
正方形は毎秒1cmで右へ動くので、t秒後には全体がtだけ右にずれます。
- 正方形の右の辺:x = t の位置
- 正方形の左の辺:x = t − 4 の位置
- 高さはずっと 4(下の辺はx軸の上、上の辺は y = 4)
一方、平行四辺形は高さ6で、正方形の高さ4より大きい図形です。先生も点Cのy座標が6であることを確かめてから、「正方形より大きい図形」だと整理していました。
ここで大事なのは、何秒たったかが、そのまま何cm動いたかになるということです。毎秒1cmなので、3秒なら3cm、6秒なら6cm右へ動きます。この読みかえが、(1)でも(2)でも出発点になります。
(1) t=3のとき、正方形はどこまで来ている?
(1)はt=3のときです。先生は最初に「t=3の時って どの状態?ってなるじゃん」と問いかけています。
3秒で3cm動くので、正方形の右の辺は x = 3 の位置にあります。先生は図の上で「Cのx座標が3だから ここまで来てないといけないね」と示し、生徒も「あ そういうことです」と納得しました。点Cの真下まで正方形の右の辺が来ている状態です。
このとき、正方形の中で平行四辺形と重なっているのは、辺OCより右側、x = 3 より左側の部分です。辺OCはななめの線なので、重なった部分は次のような台形になります。
- 下の辺:x軸の上で、原点Oから x = 3 まで
- 上の辺:y = 4 の高さで、辺OCから x = 3 まで
- 高さ:正方形の高さと同じ4
授業の生徒は、ここで「面積Sは 高さが4で」と高さまではすぐに言えました。止まったのは、この次の底辺です。
台形の底辺は「3秒で3cm」から決まる
先生が「で 底辺は?」と聞くと、生徒は「底辺は… これがいくつになるんだろう?」と手が止まりました。図の中の長さを、座標から読もうとして迷ったところです。
そこで先生は、「t=3だから 何センチ入ってるんだろうか?」と聞き直しています。生徒の答えは「3センチです」。聞き方を変えただけで、すぐに答えが出ました。
正方形の右の辺は、動く前は原点O(x = 0)にありました。3秒で3cm右へ動いたので、原点Oから x = 3 までの3cm分が、平行四辺形の中に入っています。これが台形の下の辺です。
下底 = 3
この問題で最初に止まりやすいのは、計算ではなくこの場所です。座標の数字だけを見て長さを探すと、どの数を使えばいいのか迷いやすくなります。動く図形の問題では、「何秒たった?」を「何cm動いた?」に読みかえてから図を見ると、長さが1つ決まります。
上底は、相似な三角形の比で求める
残りは上の辺(上底)です。先生も「上底って どうやったら 求まると思う? これ難しいよね」と言っています。
授業では、辺OCに沿った2つの直角三角形を使いました。
- 大きい三角形:原点O、点(3, 0)、点C(3, 6) でできる三角形。高さは6
- 小さい三角形:y = 4 から点Cまでの部分にできる三角形。高さは 6 − 4 = 2
この2つは形が同じ(相似)です。先生が「このちっちゃい三角形と この 大きい三角形って 相似にならん?」と聞くと、生徒は「なります」と答えています。
高さの比は6対2、つまり3対1です。大きい三角形の底辺は3なので、小さい三角形の底辺は1になります。
6 : 2 = 3 : 1
上底 = 1
小さい三角形の底辺は、ちょうど y = 4 の高さで、辺OCから x = 3 までの長さです。つまりこれが台形の上底です。先生も「相似さえ覚えてれば 3対1で求まるから」とまとめていました。
二次関数の知識だけで解くなら、直線の式を使う
相似をまだ習っていない場合は、辺OCの直線の式から上底を出せます。授業でも先生が「二次関数だけの知識で もし解けって 言われたら」と、この方法にふれています。
辺OCは原点Oと点C(3, 6)を通る直線です。原点を通るので y = ax の形で、(3, 6)を代入します。
6 = 3a
a = 2
y = 2x
正方形の上の辺は y = 4 なので、代入して交わる点のx座標を出します。
4 = 2x
x = 2
上の辺は、x = 2 から x = 3 までなので、長さは 3 − 2 = 1 です。相似で出した上底1と同じになりました。
先生はこの方法を「それってめんどくさくない?」と聞き、生徒も「めんどくさいです」と答えています。相似を習っていれば比で出すほうが速く、習っていなければ直線の式で出す。どちらでも同じ長さになるので、検算にも使えます。
直線と図形の組み合わせで面積を出す問題は、こちらの記事でも扱っています。

台形の公式で、t=3のときの面積を出す
上底1、下底3、高さ4がそろったので、台形の公式に入れます。授業では生徒が、公式を「上底足す下底 かける高さ割る2です」と答えています。
台形の面積 = (上底 + 下底) × 高さ ÷ 2
(1 + 3) × 4 ÷ 2
= 4 × 4 ÷ 2
= 8
(1)の答えは S = 8 です。授業でも先生が「計算すると 8かな」と進め、生徒が「8です 合ってます」と確かめています。
答えを確かめておきます。重なった部分は、正方形のうち x = 0 から x = 3 までの縦長の長方形(面積 3 × 4 = 12)から、辺OCの左上にある直角三角形(底辺2、高さ4で面積4)を除いた形です。
12 − 4 = 8
別の分け方でも8になり、答えが合っていることが分かります。
(2) 6<t<8のとき、正方形は点Aを越えている
ここから(2)です。先生は「tが 6より大きいって どういう状態になると思う?」「なんで わざわざ6って 設定したんだろうか?」と問いかけています。
6秒たつと、正方形の右の辺は x = 6、つまり点Aの真上に来ます。先生の言葉では「6秒動くと その時6センチ動くってことだと思う」です。6秒より後は、正方形の右下の角が点Aを越えて、平行四辺形の右側の辺ABの外へはみ出します。先生も「このAの座標よりも 右側に この正方形が出てくるよ」と説明していました。
では、8はどこから来た数でしょうか。これは授業では扱っていない補足ですが、次の見出しで出てくる三角形の高さ 2(t − 6) が、t = 8 でちょうど正方形の高さ4に届きます。6<t<8 は、「正方形の右下の角だけが三角形の形ではみ出している間」という区切りです。
もう1つ確かめておくと、6秒たったとき正方形の左の辺は x = 2 にあり、辺OCとは y = 4 の高さでちょうどぶつかる位置です。それより後は、正方形の左側が辺OCにかかることはありません。だから(2)の間、面積が減る原因は右下のはみ出しだけになります。
図形が動く問題は、このように「何秒で、どの点を越えるか」で場面が切り替わります。区切りの数が出てきたら、その秒数で正方形がどこにいるかを図にかいて確かめましょう。
重なった部分は「正方形から三角形を引く」で求める
6<t<8 のとき、重なった部分は、正方形の右下の角が直角三角形の形に欠けた図形になります。この形のまま面積を出そうとすると、長さを何か所も求めることになります。
授業でも、先生が「逆さまの台形求めるのだるくない?」と聞き、生徒は「はい、だるい」と答えています。そして先生の「もう一つのパターン どうやってやるんだっけ?」に、生徒は「逆の三角形を求めて うん 引いてあげる」と答えました。
形が複雑なときは、全体から、はみ出した部分を引く。これがこの問題の核の考え方です。
S = 正方形の面積 − はみ出した三角形の面積
正方形の面積は 4 × 4 = 16 です。あとは、はみ出した三角形の底辺と高さが分かれば式になります。
底辺は、x軸の上で点Aから正方形の右の辺までです。点Aは x = 6、右の辺は x = t なので、先生の「このちっちゃい三角形の 底辺っていくつだろう?」に、生徒は「t−6っす」と答えています。
底辺 = t − 6
三角形の高さは、辺ABの傾き2から求める
最後に残るのが三角形の高さです。先生が「この高さどうやって求めたらいいの?」と聞くと、生徒は「うーん」「そうですね」「えー」と、ここで大きく止まりました。
先生自身も「これめっちゃマニアックだね」「ちょっと先生もトラップに引っかかったわ」と言っています。(1)と同じように相似で考えようとすると、比べる三角形が見つけにくいからです。そこで先生は「傾き求めた方がいいのかもしれないね」と、方法を切りかえました。
まず辺OCの傾きです。原点Oから点C(3, 6)まで、xが3増えるとyは6増えます。生徒は「プラス3の時、6ですか?」と確かめ、「傾きは2です」と答えました。
傾き = yの増加量 ÷ xの増加量 = 6 ÷ 3 = 2
平行四辺形なので、辺ABは辺OCと平行で、傾きも同じ2です。先生も「ここの直線って ここの直線と傾き一緒だよね 平行だから」と確認しています。
傾きが2ということは、xが1増えるとyが2増えるということです。三角形の底辺は、点Aからxが t − 6 だけ進んだ長さなので、高さはその2倍になります。
高さ = 2(t − 6) = 2t − 12
授業でも生徒が「t−6 だから 2tと マイナス12ですね」と答えています。
傾きを「xが1増えたらyがいくつ増えるか」で読む考え方は、一次関数の変化の割合と同じです。

正方形の面積から三角形を引いて、Sをtの式で表す
材料がそろったので、式にまとめます。授業では先生が「S=全体の正方形 4×4=16から」と書き始め、三角形の高さは 2(t − 6) の形のまま残しています。
S = 16 − (t − 6) × 2(t − 6) × 1/2
2 と 1/2 が約分できるので、
S = 16 − (t − 6)²
ここで (t − 6)² を展開します。生徒は「(t−6)の2乗は t²−12t プラス36ですね」と答えています。
(t − 6)² = t² − 12t + 36
これを式に戻し、かっこの前のマイナスに気をつけて外します。
S = 16 − (t² − 12t + 36)
S = 16 − t² + 12t − 36
S = −t² + 12t − 20
(2)の答えは S = −t² + 12t − 20(6<t<8)です。先生が「これで合ってる?」と聞き、生徒は「合ってます」と答えています。
式が正しいか、区切りの両はしで確かめておきます。
- t = 6 のとき:−36 + 72 − 20 = 16。正方形がまるごと平行四辺形の中にある状態で、正方形の面積16と一致します
- t = 8 のとき:−64 + 96 − 20 = 12。はみ出した三角形は底辺2、高さ4で面積4なので、16 − 4 = 12 と一致します
(t − 6)² を展開したあと、かっこの前のマイナスをt²にだけかけて、−12tと+36の符号を変え忘れるミスが起きやすいので、展開した式をかっこでくくってから1式ずつ外してください。
点を落としやすい3か所
この問題で点を落とす場所は、だいたい次の3つに集まります。
- 動いた秒数を長さに読みかえないまま、座標から長さを探す。毎秒1cmなので、t秒後にはtcm動いています。まず「何秒で、どこまで来たか」を図にかき、台形の下の辺のように動いた距離がそのまま長さになる場所を見つけましょう
- 形が複雑なまま、直接面積を求めようとする。(2)の重なった部分は、正方形の右下が欠けた形です。全体の正方形16から、はみ出した三角形を引くほうが、式がずっと短くなります
- 三角形の高さを、相似だけで探し続ける。比べる三角形が見つからないときは、辺の傾きを使います。傾き2なら、横に t − 6 進むと高さは 2(t − 6) です
似た形の問題として、動く台形と長方形が重なる面積を扱った記事もあります。場面の切り替わりを図で確かめる流れは同じです。

よくある質問
Q. 相似を習っていなくても(1)は解けますか?
A. 解けます。辺OCの直線の式 y = 2x を求め、正方形の上の辺 y = 4 を代入すると x = 2 です。上底は 3 − 2 = 1 になり、相似で出した長さと同じになります。授業で先生が「二次関数だけの知識で」解く方法として紹介しているのがこのやり方です。
Q. なぜ(2)は6<t<8と範囲が決められているのですか?
A. t = 6 で正方形の右の辺が点Aの真上に来て、それより後に右下がはみ出し始めるからです。そして t = 8 で、はみ出した三角形の高さ 2(t − 6) が正方形の高さ4に届きます。この間は「右下が三角形の形ではみ出している」という同じ場面なので、1つの式で表せます。
Q. 重なった部分の形を、そのまま求めてもいいですか?
A. 求めることはできますが、長さを何か所も出す必要があります。授業でも先生が「逆さまの台形求めるのだるくない?」と話していたように、正方形の面積16からはみ出した三角形を引くほうが、式が短く、計算ミスも減らせます。
この問題のポイント
- 正方形の1辺は4。毎秒1cmなので、t秒後には右へtcm動いている
- (1) t=3のとき、重なった部分は 下底3、上底1、高さ4の台形
- 上底は相似(6対2=3対1)か、直線の式 y = 2x で求める
- (1)の答えは S = 8
- (2) 6<t<8のときは S = 正方形16 − はみ出した三角形
- 三角形の底辺は t − 6、高さは傾き2から 2(t − 6)
- S = 16 − (t − 6)² = −t² + 12t − 20
図形が動く問題は、座標や式が多くて難しく見えます。それでも、最初にやることは「何秒で、どこまで動いたか」を図にかくことだけです。場面が決まれば、あとは台形の公式や、全体から引く考え方など、これまでに習った道具で解けます。
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