立方体の切り口を3点から求める問題は、中1数学の空間図形で出てくる定番の問題です。立方体の図に3つの点が打たれていて、その3点を通る平面で切ったときの切り口について「切り口の形をできるだけ正確な名前で答えなさい」と聞かれます。点が3つあるので、つい3つを結んで終わりにしたくなるところです。
この記事であつかうのは、授業で一緒に解いた1問です。先生は最初に、どこで止まったのかを聞きました。

今回はどこまでが理解できてどのあたりつまずいたんです?

三角形とかでも済むのかと思っていたんですけれども
この記事では、切り口の端がどこにあるのかを考えるところから始めて、立方体を横から見た図に描き直し、平面をのばして新しい点を見つけ、最後に切り口の形に名前をつけるところまで、授業と同じ順番で進めます。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題と、授業で止まっていたところ
今回いっしょに考えるのは、この問題です。
立方体を●を通る平面で切ります。このときできる切り口を図にかきこみ、切り口の形をできるだけ正確な名前で答えなさい。(●はすべて辺の中点にあります)
授業の板書では、立方体の8つの頂点に次の記号がついていました。
| 位置 | 手前左 | 奥左 | 奥右 | 手前右 |
|---|---|---|---|---|
| 上の面 | A | C | G | E |
| 下の面 | B | D | H | F |
A の真下が B、C の真下が D、G の真下が H、E の真下が F です。3つの●は次の場所にあります。
- 辺 AC の中点(上の面の左側の辺。手前から奥へのびる辺)
- 辺 CG の中点(上の面の奥の辺)
- 辺 GH の中点(右奥でたてに立っている辺)
授業の冒頭で、生徒は「三角形とかでも済むのかと思っていたんですけれども」と話していました。以前この問題にふれたときに、3点なのに三角形にならないことは知ったものの、その場では理由を聞く時間がなく、あらためて質問してくれたという流れです。先生も「質問してくれた感じですね」と受けて、図に書き込みながら進めていきました。
問題文の「できるだけ正確な名前で」という言い方にも注意してください。形の大まかな名前だけでなく、辺の長さや角の大きさまで見て、いちばんくわしい名前で答えることが求められています。答えを出すところまで来たら、この一言をもう一度思い出すことになります。
つまずきの正体:3点を結ぶと三角形に見える
先生は最初に、この問題で多くの人が考える筋道をそのまま言葉にしています。「確かにこれ三角形で考えがちなんだよね」「こことこことここを結んで三角形できるやんみたいな感じでしょ」。そのうえで「そしたら意外と違うんだよっていったところがあると」と続けました。
なぜ三角形ではないのか。手がかりは、切り口の辺がどこにできるかです。立方体を平面でスパッと切ると、切り口のふちは立方体の表面、つまり6つの面のどれかの上にできます。立方体の中を通る線が、切り口のふちになることはありません。切り口の端は、立方体の面の上にある。ここが今回の出発点です。
この目で3つの点を見直してみます。
- 辺 AC の中点と辺 CG の中点は、どちらも上の面にある。だから上の面の上で結べる
- 辺 CG の中点と辺 GH の中点は、どちらも奥の面にある。だから奥の面の上で結べる
- 辺 AC の中点と辺 GH の中点は、同じ面の上にない。結ぶと立方体の中を通ってしまう
3つ目の線は、切り口のふちにはなりません。つまり、3点を結んだ三角形は切り口ではないということです。平面は3つの点を通ったあとも、立方体の外に出るまで続いていきます。その続きが、ほかの面にも切り口の辺を作ります。
授業の終わりにも、生徒は「この3つの点が三角形っていう概念があるので」と話し、先生は「ここでね絞られちゃうやつね」と返しています。3つの点だけを見ていると、考えがそこで閉じてしまうわけです。
切ったところに何ができるかを絵で考えるのは、切り口の問題に限りません。同じ中1の空間図形で、半球を切ったときにできる平らな円の面を、表面積に足す理由を整理した記事もあります。

ステップ1・2:各面の線を考えて、横から見た図に描き直す
ここからが解き方の中心です。
ステップ1:各面でどこの線を通るかを考える
先生がまず伝えたのは、考える順番です。「ここ要はね各面でどこのラインを通ってるのかって考えるのが重要なんだ」。切り口の端は面の上にあるので、この平面がそれぞれの面のどこを通っているかを、1面ずつ確かめていきます。先生は「この立方体の側面になると思わない?」と生徒に聞き、端は側面の上にできることを確かめています。
コツは点線です。先生の言葉では「その側面に合わせて点線引いていくと非常に分かりやすいんだ」。まず奥の面で、CG の中点と GH の中点を結んで点線を引きました。先生は「一番奥の側面縦に立ってる側面ではここ通りますよっていうので点線で引きました」と説明しています。続けて「次に上面はじゃあどこ通るのかっていったら」と、上の面でも AC の中点と CG の中点を結びます。
ここまでは同じ面の上にある2点を結ぶだけなので、迷いにくいところです。問題はその先で、先生も「ここの手前の側面でどう映るかなんですよね」「これはねめっちゃ難しいでしょ想像するの」と話しています。手前の面や右の面に、平面がどう通るかが見えにくいのです。
このとき生徒が、豆腐で試すといいと聞いたことがあると話すと、先生も「豆腐でやるのが一番いい本当に」と答えていました。実物を切って確かめる方法もある、ということです。
ステップ2:GH の方から、横から見た図に描き直す
そこで先生がとったのが、見る向きを変える方法です。「えっとねこれこの角度で見てるからめっちゃむずいのよ」と言って、「これ見方をこのGHの方から逆に見てるって扱いにしたら」と、立方体を横から見た図をノートの右ページに描き直しました。
辺 GH の側から立方体をながめると、長方形のような図になります。
| 図の位置 | 上 | 下 |
|---|---|---|
| 左 | E | F |
| 真ん中 | G | H |
| 右 | C | D |
先生の「でど真ん中がGHのラインね」に続いて、「右側はじゃあここ何になる?」と聞くと、生徒は「右側がCDです」、左側は「EFですね」と答えています。見えにくい角度の図は、見やすい向きから描き直す。この一手で、ここから先の作業がぐっと楽になります。
ステップ3・4:3つの点を移し、平面をのばして新しい点を見つける
ステップ3:3つの点を横から見た図に移す
描き直した図に、3つの●を移します。先生は「これまず一つ目の黒丸ってGHのど真ん中にない?」と聞き、真ん中の線 GH のちょうど真ん中に点を入れました。
次は生徒が自分で見つけています。「あでGCの真ん中に点」。先生も「そうど真ん中じゃん」と返しました。上の辺の G と C のあいだの、ちょうど真ん中です。
残りの1つについて、生徒が「でCAはどう表しますか?」と聞くと、先生は「あCAはねとりあえず置いとこう」と答えています。ここは授業では扱っていない補足ですが、GH の側から見ると、A は G のちょうど奥にかくれます。そのため辺 CA の中点は、GC の中点と同じ場所に重なって見えます。だから、この図ではいったん置いておいて大丈夫なのです。
ステップ4:平面をのばして、FH の中点を見つける
ここが今回いちばん大事な場面です。先生は、GC の中点と GH の中点を結んだ線を、そのまま下へのばしました。生徒は「延長するんですか?」とおどろきますが、先生は「平面ってことは延長できるでしょ」と答えています。切っているのは平面なので、3つの点のところで止まらず、立方体の端まで続いていきます。平面はのばせるので、線も立方体の端までのばす。
のばした線は、下の辺 F と H のあいだに当たります。その場所について、先生は「ここ中点でここ中点じゃん」「で同じ三角形になりそうじゃない?」と問いかけました。GH の中点をはさんで、上の三角形(G、GC の中点、GH の中点)と、下の三角形(H、下の辺に当たった点、GH の中点)が同じ形になる、という見方です。
上の三角形で、GC の中点は G と C のちょうど真ん中にあります。上と下が同じ形の三角形なら、下で当たった点も H と F のちょうど真ん中にくるはずです。先生の言葉では「だからここも中点になると思わない?」「ってことはこれFHの中点通るから」。こうして、問題の図には書かれていなかった4つ目の点、辺 FH の中点が見つかりました。
ステップ5:対称性で残りの中点を見つけて、6つの点を結ぶ
4つ目の点が見つかれば、あとは同じ考え方のくり返しです。先生は「そうするとこっちも同じ現象があって」と、反対側でも同じように中点で切れていくことを示しています。
最後に先生が使ったのが対称性です。「あとは対称性だね」「ここで切った時に左右対称になりそうだなって」。今回の3つの点は、どれも辺の真ん中にあります。片側で中点を通るなら、反対側でも中点を通りそうだ、という見方です。
こうして、平面が通る点は次の6つになります。
- 辺 AC の中点(問題の●)
- 辺 CG の中点(問題の●)
- 辺 GH の中点(問題の●)
- 辺 HF の中点(平面をのばして見つけた点)
- 辺 FB の中点(対称性で見つけた点)
- 辺 BA の中点(対称性で見つけた点)
となり合う点を、同じ面の上で順番に結んでいきます。
| 面 | 結ぶ2点 |
|---|---|
| 上の面 | AC の中点と CG の中点 |
| 奥の面 | CG の中点と GH の中点 |
| 右の面 | GH の中点と HF の中点 |
| 下の面 | HF の中点と FB の中点 |
| 手前の面 | FB の中点と BA の中点 |
| 左の面 | BA の中点と AC の中点 |
表のとおり、6つの面それぞれに切り口の辺が1本ずつできます。6つの面を1本ずつ通って、ぐるりと1周して閉じる。最初の3点を結んだ三角形とは、まったく別の形が出てきます。
答えと検算
6つの点を結んで、先生は「結んであげると答えはこれ」「正六角形かな」とまとめています。
答え:正六角形
授業の冒頭で、生徒は「案外こうやって3つの時でも正六角形になったりとか」と話していました。3つの点から始まったのに、切り口は6つの頂点をもつ形になる。この意外さが、今回の問題のいちばんの山場です。
ここからは授業では扱っていない補足です。問題文には「できるだけ正確な名前で」とありました。ただの六角形ではなく正六角形と言えるのはなぜか、2つの見方で確かめておきます。
1つ目は辺の長さです。たとえば上の面の辺、AC の中点から CG の中点までの線を見てください。AC の中点から C までは辺の半分、C から CG の中点までも辺の半分で、C のところの角は直角です。つまりこの線は、直角をはさむ2辺がどちらも辺の半分の直角二等辺三角形の、いちばん長い辺です。ほかの5つの面の線も、まったく同じ形の三角形の長い辺になっています。だから6本の辺の長さはすべて等しくなります。
2つ目は、6つの頂点の位置です。辺の長さが等しいだけでは、正六角形とは言い切れません。そこで立方体のちょうど真ん中の点から見ると、6つの中点はどれも、たて・横・高さのうち2つの向きに辺の半分ずつずれた場所にあります。6つの点は同じ1枚の平面の上にあり、どの点も真ん中の点から同じ距離にあるので、1つの円の上にならびます。辺の長さがそろっていて、頂点が1つの円の上にあるので、角の大きさもそろい、正六角形になります。なお、6つの中点がすべて同じ1枚の平面の上にあることは、座標を使って計算しても確かめられます。
よくあるつまずき
授業の中で止まった場所をもとに、この問題で手が止まりやすいところをまとめます。
- 3つの点を結んだ三角形を答えにしてしまう。授業の生徒も、最初は「三角形とかでも済むのかと思っていたんですけれども」と話していました。切り口の辺は面の上にしかできません。3本の線がすべて面の上にあるかを、1本ずつ確かめてください
- 平面をのばすことを思いつかない。生徒は授業の終わりに「FとHの間に新しくできるとか」「そういう概念がちょっと今なかったので」と振り返っていました。切っているのは平面なので、問題の点のところで止まらず、立方体の端までのばして考えます
- 斜めから見た図のまま考え続ける。先生も「この角度で見てるからめっちゃむずいのよ」と話していたとおり、見えにくい向きのままでは手前の面の線が想像しにくくなります。辺の側から横に見た図に描き直してください
- 「六角形」で止めてしまう。問題文は「できるだけ正確な名前で」と聞いています。辺の長さや角の大きさがそろっているかまで見て、正六角形と答えます
もう1つ、授業で出てきたのが、その場では分かっても、あとで分からなくなりそうだという不安です。生徒は途中で「やっぱ私これ今は理解できてるんですけど後で理解できなくなりそうです」と話し、どう練習すればいいかを先生に聞いています。先生の答えは「いろんな見方をした時に書き換えれるかどうかっていうのがポイントです」。答えの形を覚えるより、見る向きを変えて図を描き直す手順そのものを、自分の手でくり返しておくことが練習になります。
よくある質問
ここは授業では扱っていない補足をふくみます。
Q. 3つの点が辺の中点ではないときも、同じ手順で解けますか?
A. 考え方は同じです。同じ面の上にある2点を結ぶ。平面をのばして、ほかの辺とどこで交わるかを探す。見えにくければ、見やすい向きから描き直す。この順番はどの問題でも使えます。ただし、点の位置によって切り口の形は変わります。たとえば1つの頂点に集まる3本の辺の中点を通る平面で切ると、切り口は三角形になります。三角形という考え方が、いつでもまちがいというわけではありません。
Q. 横から見た図は、どの向きから描けばいいですか?
A. 授業で先生は「なんだけれどこういうのパターンある程度決まってるから」「基本的にはここで見ることが非常に多いですね」と話しています。今回のように、切る平面がまっすぐな線に見える向きを探すのが手がかりです。先生は「ちなみにこういう問題は中1の空間図形でも結構出てくるし」「中学3年生の改めて入試問題の時にも結構聞かれる問題です」とも話していました。学年が上がってからも使う見方なので、中1のうちから描き直しの手順に慣れておきましょう。
Q. 空間図形で、切り口のほかにつまずきやすいところはありますか?
A. 体積や表面積の問題で、公式をどこに当てはめるかに迷う人がよくいます。こちらも、公式の形だけを覚えるより、立体の形から考えるのが近道です。同じ中1の空間図形で、円錐の体積を、同じ底面と高さの円柱の体積の3分の1倍として考える記事もあります。

まとめ
立方体を3点を通る平面で切る問題は、3つの点を結んで終わりではありません。切り口の端は立方体の面の上にできるので、各面でどこを通るかを1面ずつ考えます。見えにくいときは、辺 GH の側から横に見た図に描き直し、平面をのばして新しい点を探します。今回の問題では、のばした先で辺 FH の中点が見つかり、対称性で残りの中点もそろって、6つの面を1本ずつ通る正六角形が切り口になりました。
先生も最後に「めっちゃむずいよね」と話していたとおり、立体の切り口は想像だけで考えると難しい単元です。それでも「よくある定番の問題ではあるので」と先生が言うように、手順はいつも同じです。点を面の上で結ぶ、見る向きを変えて描き直す、平面をのばす。この3つを図の上でくり返してみてください。
この問題のポイント
- 切り口の端は、立方体の面の上にできる。3点を結んだ三角形がそのまま切り口になるとは限らない
- 同じ面の上にある2点を結び、各面でどこを通るかを1面ずつ考える
- 見えにくいときは、辺 GH の側から横に見た図に描き直す(右が CD、左が EF、真ん中が GH)
- 平面はのばせる。GC の中点と GH の中点を結んだ線をのばすと、辺 FH の中点を通る
- 対称性で残りの中点(辺 FB・辺 BA)も見つけ、6つの点を結ぶと正六角形になる
- 「できるだけ正確な名前で」と聞かれたら、辺の長さと角の大きさまで見て答える
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