円錐の体積の求め方は、中1数学の空間図形で出てくる定番の問題です。公式を見たことはあっても、「3分の1ってどこから来るの?」「どこに何をかけるんだっけ?」で手が止まりやすいところです。
この記事であつかうのは、授業で一緒に解いた1問です。先生はいきなり円錐の公式に入らず、まず円柱の体積を聞きました。そのときのやり取りがこちらです。

底面×底面。

惜しい。底面積×高さにこれを積み上げたら体積になるわけじゃん。
この記事では、円柱の体積を思い出すところから始めて、円錐の体積が円柱の3分の1倍になるイメージをつかみ、半径8cm・高さ6cmを当てはめて答えの128π cm³まで進めます。
先に動画で確認したい方はこちらからどうぞ。
今回の問題と、授業で止まっていたところ
今回いっしょに考えるのは、この問題です。
底面の半径が8cm、高さが6cmの円錐の体積を求めなさい。
円錐は、底面が円で、てっぺんの1点に向かってすぼまっていく、ソフトクリームのコーンを逆さにしたような立体です。求めるのは表面積ではなく体積、つまりこの立体の「かさ」です。単位は cm³ になります。
授業ではまず、先生が「今回の問題はどのあたりがちょっと分かんないなってなりました?」と聞きました。生徒は円錐の公式のことから話し始めます。そこで先生は「了解 じゃあちょっと一緒にやっていこうか」と受けて、円錐の公式をそのまま教えるのではなく、ひとつ手前の円柱の体積から確かめていきました。
この順番には理由があります。円錐の体積は、円柱の体積とセットで覚えると迷いにくいからです。円柱の体積が言えれば、円錐の体積はそこに1つ操作を足すだけになります。円錐の体積は、円柱の体積から考えると覚えやすい。この記事も、授業と同じ順番で進めます。
- 円柱の体積を思い出す(底面積×高さ)
- 円錐の体積は、円柱の体積の3分の1倍だと押さえる
- 半径8cm、高さ6cmを当てはめて計算する
まず円柱の体積を思い出す:底面積×高さ
授業で先生は、最初に円錐と円柱の形のちがいを言葉にしています。
- 円錐:底面が円で、「錐」は一点で集まる形
- 円柱:「円の柱」と書くとおり、底面が円で、上底も円。それがまっすぐ上に伸びた柱の形
| 立体 | 底面 | 上のほう | 体積 |
|---|---|---|---|
| 円柱 | 円 | 底面と同じ大きさの円(上底) | 底面積×高さ |
| 円錐 | 円 | 1点に集まる | 円柱の体積×3分の1 |
そのうえで先生が「この円柱の体積ってどうやって求めればいいんだっけ?」と聞くと、生徒の答えは「底面×底面」でした。先生の返事は「惜しい」。続けて「底面積×高さにこれを積み上げたら 体積になるわけじゃん」と説明しています。
ここで「惜しい」だったのは、2か所ずれていたからです。1つ目は、かけるものが「底面」ではなく「高さ」だったこと。2つ目は、底面は「下の面そのもの」、底面積は「その面の広さ」という言葉のちがいです。円柱の体積は、底面の広さ(底面積)に高さをかけて出します。
円柱の体積 = 底面積 × 高さ
先生が「だから円柱の体積は」と言いかけると、今度は生徒が「底面積×高さ」と答え、先生も「その通り いいね」と返しています。
この公式は、丸暗記よりも絵で覚えるのがおすすめです。先生の言い方では「この底面積を高さ分積み上げたら 体積になるよっていうイメージ」。円の形をした薄い板を、高さの分だけ重ねていくと円柱になる、という見方です。底面積を高さの分だけ積み上げたものが、円柱の体積。先生も「円柱の体積は覚えやすいです」と言っています。
円錐の体積は、円柱の体積を3分の1倍する
円柱の体積が言えたら、いよいよ円錐です。授業で先生は、こう言い切っています。
円錐の体積 = 円柱の体積 × 3分の1
円柱の体積は底面積×高さなので、式にまとめるとこうなります(ここは記事側のまとめです)。
円錐の体積 = 底面積 × 高さ × 3分の1
生徒は「ああ」と反応しました。ただ、先生自身も「ちょっと感覚的に分かんないかもしれないけれど」と前置きしています。3分の1という数は、見ただけではピンと来にくいところです。
先生が手がかりにしたのは2つです。
- 円錐は、上のほうが一点に集まっている
- だから、同じ底面・同じ高さの円柱よりも体積が少なくなる
そのうえで「これは3分の1倍って覚えておこう」とまとめ、イメージを1つ渡しています。円錐の形をしたコップを用意して、そこに水を入れる。それを逆さにして円柱に注ぐ。これを3回くり返すと、ちょうど円柱1杯分になる。円錐のコップで3回注ぐと、円柱1杯分。先生は「イメージを持っとくと 問題が解きやすいかもしれない」と言い、最後は「3分の1だけ きっちり覚えておきましょうか」と締めています。
ここは授業では扱っていない補足ですが、比べる円柱は「円錐と同じ底面、同じ高さ」のものです。底面の大きさや高さがちがう円柱と比べても、3分の1にはなりません。今回の水のイメージも、底面と高さがそろった円錐のコップと円柱のコップで考えています。
もう1つ補足すると、この「3分の1をかける」は円錐だけの話ではありません。三角錐や四角錐のような角錐でも、体積は底面積×高さ×3分の1で求めます。立方体の中にできる三角錐の体積を、どこを引いて、どこで3分の1をかけるのかを整理した記事もあります。

半径8cm・高さ6cmを当てはめる3ステップ
公式が決まったので、今回の数字を当てはめます。授業で先生は、図の上で「ここが8cm」「高さが6cmだから6」と数字を確かめるところから始めています。
- 底面の半径:8cm
- 高さ:6cm
ステップ1:底面積を求める
先生の「そしたら底面積はどうやって求められる?」に、生徒は「半径×半径×3.14」と答えました。円の面積の出し方そのものは合っています。
ここで先生は「多分円周率π使っていいよね これ」と確かめ、生徒の「はい」を受けて、πのまま進めることにしました。授業では扱っていない補足ですが、中学の数学では、問題文に指示がなければ円周率はπという文字のまま式に残して計算します。
底面積 = 半径 × 半径 × π = 8 × 8 × π = 64π
先生も「これで円の面積が分かりました」と区切っています。
ステップ2:高さをかける
次に、底面積に高さをかけます。先生の言葉では「ここに高さをかけてあげると 体積だから」「高さは6だから 6をかけてあげましょう」。
8 × 8 × π × 6
ただし、ここで止めてはいけません。この式が表しているのは、まだ円柱の体積です。先生も「このままだと 円柱のままになっちゃうから」と言っています。
ステップ3:3分の1をかけて、約分してから計算する
最後に、円錐なので3分の1をかけます。
8 × 8 × π × 6 × 3分の1
これが式です。あとは計算するだけですが、先生は大きい数を先に作らず、先に3で約分してから計算するやり方を見せています。
6 × 3分の1 = 6 ÷ 3 = 2
8 × 8 = 64
64 × 2 = 128
πをつけて、答えはこうなります。
答え:128π cm³
先生は「64に2倍するから 128πが答えになるかな」とまとめ、生徒も「ありがとうございます」と返して授業は終わりました。
約分を先にするのは、計算ミスを減らすためです。64×6を先に計算すると384になり、そこから3で割ることになります。答えは同じ128ですが、6を先に3で割って2にしておけば、64×2という小さなかけ算で済みます。
検算と、πを3.14で計算するとき
ここからは授業では扱っていない補足ですが、答えが出たら、つじつまが合っているかを確かめておきましょう。
1つ目は、円柱と比べる見方です。同じ底面、同じ高さの円柱の体積は、底面積×高さで出せます。
円柱の体積 = 64π × 6 = 384π
その3分の1を出すと、
384π ÷ 3 = 128π
授業の答えと一致しました。逆に、円錐の答え128πを3倍すると384πで、円柱1杯分に戻ります。授業で先生が話した、円錐のコップで3回入れると円柱1杯分になるというイメージが、数の上でもそのとおりになっています。
2つ目は、式の書き方を変えて計算し直す見方です。教科書や問題集では、円錐の体積の公式を次の形で書くこともあります。半径をr、高さをhとしています。
円錐の体積 = 3分の1 × π × r² × h
r=8、h=6を入れると、3分の1 × π × 64 × 6 = 64π × 6 ÷ 3 = 128π。かける順番がちがっても、答えは同じです。
最後に、円周率の扱いです。今回の授業ではπのまま答えました。πのままで答えるか、3.14で計算するかは、問題文の指示で決めると覚えておいてください。「円周率は3.14とする」と書かれている問題なら、128πのπを3.14に置きかえます。
128 × 3.14 = 401.92
答えは 401.92 cm³ です。πのまま最後まで計算して、最後に3.14をかけると、途中の数が大きくならずに済みます。
よくあるつまずき
ここも授業では扱っていない補足をふくみますが、円錐の体積で手が止まりやすい場所をまとめておきます。
- 3分の1をかけ忘れる。底面積×高さで止めてしまうと、答えは円柱の体積の384πになります。授業でも先生が「このままだと 円柱のままになっちゃう」と言っていた場所です。式を書き終えたら、「円錐だから3分の1をかけたか」を見直してください
- 底面と底面積を混ぜる。授業の生徒も、最初は「底面×底面」と答えていました。体積は「底面の広さ(底面積)×高さ」です。底面どうしをかけるのではなく、底面積に高さをかけます
- 半径と直径を取りちがえる。今回の問題は「半径が8cm」と書かれていますが、問題によっては「直径が16cm」のように直径で与えられることもあります。直径なら、半分にして半径を出してから底面積を求めます
- 3.14で先に計算して、数が大きくなる。8×8×3.14×6のように進めると、小数のかけ算が続いてミスが増えます。πのまま約分まで済ませ、3.14は最後にかけるのが楽です
- 単位を cm² と書いてしまう。面積は cm²、体積は cm³ です。答えを書くときに、求めたのが面積なのか体積なのかを確かめてください
どれも、公式を知らないことよりも、途中の確認がぬけることから起きやすいつまずきです。「底面積を出す、高さをかける、3分の1をかける」の順番を、式の中で1つずつ指さしながら見直してください。
よくある質問
ここは授業では扱っていない補足です。
Q. 円錐の体積が円柱の3分の1になるのは、なぜですか?
A. 中1の段階では、水のイメージと公式をセットで覚えるのが分かりやすいと思います。先生自身も「感覚的に分かんないかもしれない」と前置きしていたとおり、見た目だけで3分の1と見ぬくのは難しいところです。まずは公式を覚えて、今回の数字で確かめる(128πの3倍が384π)ところから始めてください。
Q. 答えは128πのままでいいですか?
A. 問題文に円周率についての指示がなければ、128π cm³ のままで答えます。「円周率は3.14とする」と指示されたときだけ、128×3.14=401.92 で 401.92 cm³ と答えます。
Q. 球や半球の問題でも、同じように考えられますか?
A. 球や半球は、円錐とは別の公式を使います。ただ、「公式を丸暗記するより、立体の形から考える」という姿勢は同じです。同じ中1の空間図形で、半球の表面積を求めるときに、球の表面積の半分に切り口の円を足す理由を整理した記事があります。

まとめ
円錐の体積は、円柱の体積を3分の1倍するだけです。円柱の体積は底面積×高さ。そこに3分の1をかければ円錐になります。今回の問題では、底面積が8×8×π=64π、高さ6をかけて、3分の1をかけ、先に6÷3=2と約分して、答えは128π cm³ でした。
3分の1が感覚的に分かりにくいときは、授業で先生が話した、円錐のコップで水を3回注ぐと円柱1杯分になるイメージを思い出してください。公式の形だけを覚えるより、円柱とのつながりで覚えておくと、テストの本番で公式が出てこないときの手がかりになります。
この問題のポイント
- 円柱の体積は「底面積×高さ」。底面積を高さの分だけ積み上げるイメージ
- 円錐の体積は「円柱の体積×3分の1」=底面積×高さ×3分の1
- 3分の1は、円錐のコップで3回注ぐと円柱1杯分になるイメージで覚える
- 底面積は8×8×π=64π。高さ6をかけて、3分の1をかける
- 先に6÷3=2と約分して、64×2=128。答えは128π cm³
- 円周率を3.14とする指示があれば、128×3.14=401.92 cm³
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